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緋想の巫女

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「すみませーん! ドロウ君の依頼で来ました冒険者でーす。このイヤリングお届けに来ました」

「カリスティア! 物事には順序というものが」

 廃村は流石に凍られるのはアレなので、私の修行がてら手でチマチマ魔物を倒して、先へと進む中で明らかに魔力に覆われた朽ちた一軒家だったものが見え、ボロボロになった壁の穴から何かをぶつぶつと唱え続ける老婆がいることがわかったので、すぐさま大声で結界の向こうのドロウ君のお母さんに向けてイヤリングをつまんで見えるように掲げながら限界まで進むと、声は聞こえているようで、うろという物を移した老婆の目がまっすぐと私と私の手にあるイヤリング見た。

 は い り な さ い な

 声は聞こえないけれどこちらを見ている老婆……巫女さんの口はそう動いていた「何で毎回猪突猛進で物事が進むのでしょうかね……」後ろでグラスが大きいため息をついて、巫女さんに向かってうやうやしいお辞儀をしたので私も習って巫女さんにみえるようにお辞儀をしてから、玄関だっただろうところから、巫女さんの居るところへ向かう。

「カリスティア、危ないですのでこちらへ」

「あー結構腐ってて危ないねこれ」

 一応玄関から入ったのだけれども、所々床は腐りに腐り穴だらけ天井からは屋根を支えて居たであろう木材が今にでも壊れて落ちそうなほどに黒く朽ちている。流石の冒険者に転職したグラスは一目で安全な足場を見極めて進む中で、私もグラスに前を譲りあとを追う。こんなに朽ちてるのだから何度か足をとられそうにはなったけれども、なんとか持ちこたえて、やっと巫女さんのところへ。

「横の壁の穴からはいってくりゃいいもんを……わざわざ」

「うん、ごもっともです。けれど話しをするのに横の壁からこんにちわより、ちゃんと玄関から入ってきたほうが気分がよろしいと思いまして」

「わかってるじゃないか、巫女と呼ばれるくらいだ。礼節と心遣いには厳しい自覚はあるよ」

「……」

 この時にグラスは少し目を細めて、巫女を観察していた。廃村になって自分が知る限りでは27年の間で身体の細さを見るに、飲まず食わずでここにとどまっていたことが容易に想像できる。けれど、今のこの老人の受け答えはヤケにはっきりしすぎている。ドロウ様の話していた時感じた予想では反乱心気味だと思って居たのだが……様子を見て危険ならば、無理矢理にでもこの老人を保護しよう。グラスはそう考えてバレないように緻密に転移魔術を練り込む。もちろん、カリスティアにもバレぬように……だけれど。

「グラス……今すぐ転移魔術を止めて、でないならここから出て行って」

「カリスティア……」

「これは私の依頼。私はそんな風に解決するのは嫌だから」

 グラスは魔力を隠れて練るときに、僅かにあたりの温度が下がる。それは無意識なのか体質なのかはわからないけれど、グラスが場合によっては目の前の巫女さんを無理矢理転移させようと考えているのが分かって、グラスに若干だけれども強めの口調で静止をする。グラスが迷うように魔力を揺らしたあとに「わかりました。私は今この場ではなにも手出しはしません」といって魔力を解いてくれたので、改めて巫女のおばあちゃんの顔を見ると、穏やかに笑っていた。

「大声以外じゃ、中々礼節のなっている子だねぇーそちらの坊やは貴族流だから、あたしゃには合わない礼節だ。分かったら坊や、次やったらお前だけ家の外に叩きだすから覚悟しておき!」

「無礼を働いてしまい申し訳ございませんでした。二度はしません」

 グラスはそれこそ、貴族や王族の礼儀正しい形式で頭を下げて謝罪をしたが、合わないと言うか嫌いな用で巫女さんは少し眉をつり上げたが、わかればいいと取りあえずは許して貰えたようだ。

「あたしゃ緋想ひそう、あんたは」

「カリスティアと申します」

 名前を名乗ると見定めるように、私を見た後に「座りなといいたいところだが、ここは塵だらけだ。立ったままで悪いね」っと少し表情と声音を優しくしてくれた。けど今回の話しの仕方によっては、元に……いや、それ以上に怪訝になることが予想される不安な優しさであったが。私は頭を下げてお礼をいい巫女さんが口を開くのを待つ。今回はこちらが話しを聞いて貰う側なのだから、こちらから話しを始めるのは失礼にあたるから待たねば。

「ドロウから聞いただろう。そのイヤリングは私の物だ……それを渡す代わりに動けってことかい?」

「いいえ、私はドロウ君にと言いました。ですから、私のできること、このイヤリングを緋想さんに渡して、話しをする……それだけです。話しは話しでも……動けない理由をドロウ君に伝えても納得して貰える理由だと嬉しくはありますが」

 日本社会ではおなじみ、嬉しいという言葉を笠に着た【そうしてくれ】の威圧。別に相手に選択肢を渡しているので、別にずるい手ではないけれども、よく上司にこうやって威圧されてた身からすれば、あまりやりたくない行為ではあるけれどこれで気づいてくれればいい。

ちゃんと息子さんと話しをして納得して貰ったゆえの行動なのかと。

「はぁ……。あいわかった、話そうじゃないか。ある条件であたしゃが動くのを了承しよう」

 その意図は伝わったのかは分からないけれど、腕があったら自身の頭に手を当てているだろう幸せが逃げそうなため息を一つついて話してくれることを言ってくれた。

「はい、

絶対にあとから条件の話しはなかったことにだけはさせないからな。


 
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