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息抜きの黒
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(キラキラで目が痛い。反動で下水道に帰りたくなるほどキラキラする。お料理もお酒もお値段書いてなーい)
高級店じゃヒャッハーなんて喜べるほど図太い神経な訳がなく、完全に顔が固まる。無表情じゃなくて固まっている。当てのない言いようもないこの恐縮感と場違い感。ほんとどうしてくれようかはてな
ルームに通された瞬間に香る品のいい花のような香り、キンモクセイに近い感じの香りだけれども、どこかお腹が空いてくる。案内し終わった店員さんはありがとうという暇さえも与えずに、呼び出し用のベルを置いて退場していった。今のこの場所でグラスと二人きり、二人なのは良いのだが、緊張している自分をよそにグラスは普通にくつろいで、値段の書いていないメニュー表を見て居る。この元王子めぇ……と恨みがましく見て居たら、気づかれてしまった。
「カリスティアは何にしますか?」
「あぁ、いや……大半がなんなのかわからないや」
グラスが首をちょこんと傾けながら聞いてきたから、メニューを見た正直な感想を述べる。成長しても中性的なのは変わらないから、見ように寄っては本当に美女だなーと思いつつ。わかりませーんとメニューを閉じて両腕をあげる。本当に書かれてるのが全部高級品過ぎて、聞いたことがないものしかない、選びようも断りようもない。
「私が選びますよ。今日はどんなものが食べたい気分ですか?」
「さっぱりしたお魚と、お水で」
「気にせずにともよろしいのですよ?」
「そもそも、私飲酒したことないからね? わかんないよ」
色々付き合いが長いから慣れたけど【お金のことは気にせずに酒を頼んでもいいのですよ?】と言いたいのだろう。返答をしたら「あぁ、でしたら」っとメニュー表に目を移したので、合っていたようだ。これでジュースかなんかを探してくれるだろう。今回ばっかりは前の世界の未成年飲酒法とか、なんとかが異世界入りしてくれと思ってしまう……ないものは無いんだけどね。さてさて、異世界の高級品のジュースか水はどんな味になるでしょうかと、見てもわからないメニュー表を円卓の邪魔にならないところに置く。
「アメジストブレイク……いや、でも、アイビスキラーも……」
「………………」
なんかレディーキラー系っぽい綺麗と破壊的な名称が一緒になった酒のような名前がグラスの口から聞こえる。私はアルコールの匂いがしたら絶対に飲まないからな。というか……普通に冒険に行ってきた微妙に汚い格好でここのイス座るのも申し訳なくなってくる。グラスは姿形のおかげで、何来ても気品がただようけれど、こっちはタダの黒女だよ黒女!
(この行き場のない場違い感は、剣で切れないし魔法でぶっ飛ばせないからやだ……帰りたい)
目の前のグラスの向こうの出入り口を遠目で見ながら、言いようもないこの感じを誤魔化すために、テーブルのしたで脚をバタつかせる。すぐに「カリスティア」とたしなめる声が振ってきたので、すぐに止めたが。グラスは待たせてしまったと思ったのか、たしなめてすぐに呼び出しベルを鳴らす。鳴らしてすぐに控えていた従業員の男の人が現れて、真っ先にグラスに注文を取りにくる。
「以上でご注文よろしいでしょうか?」
「はい、ありがとうございます」
注文内容が理解出来ない横文字の呪文のようで、全く頭に入ってこなかったようで記憶が飛んだようにいつの間にか注文が終わっていた。緊張のしすぎと理解の出来ない単語を並べられると人間て脳の処理がキャパシティーを越えて記憶力が低下するとかなんとかの現象だろうか。あのレディーキラー系っぽい名称の酒が入っていたかも覚えてない。
「呆けた顔ですが、どうされましたか?」
「料理名だけで魔法が打てそうなほど呪文じみて長いなって放心してた」
・
・
予知で二人の入った店の個室の窓を、屋根の上に登って見てみると、高級な料理に囲まれて白目を剥きながらグラスに料理をのせたスプーンを押しつけられるところが見える。白と黒のイチャイチャに砂糖をダラダラと吐けそうな甘さだ。少しでも……この激流の中無理矢理でも楽しんでくれるならいいと。カラカラ笑う。
「おーおー……。お若いカップル二人で楽しんでくれてるようで助かりますわー」
「えっ!? カリスティアちゃんが酔ったらどんな風になるの! グラス君は? 二人ともそのまま孫を育み……」
「こんなギチギチスケジュールで、息抜きしてもらっとる中で子供こさえられるかい!」
頭に手をやり、一気に妄想を飛躍させる悪魔に気力を吸い取ってくる悪魔の首元を引っ張り、自分もでばがめ使用とする悪魔を引きずる。ウィーンが足をバタバタ腕をバタバタし始める。普通の女の子の抵抗ならば可愛い者だけれども……。
「話しなさ……。あっゴメン屋根壊しちゃった」
「あぁ……。こんな暴力女と一緒なんて、わてはなんて不幸な男なんやろ」
「なんですって?」
足をバタつかせたら、足場にしていた石の屋根を軽く貫通させてしまうほど。肩が取れるんじゃ無いかというほどに肩をがっくりと落とし、懐の有り金を開けてしまった屋根の上から落とす。男の驚く声と金が高いところか落ちた甲高い音を立てたのを確認して、ウィーンの首根っこを掴んだままに町の外へ屋根伝いに飛んで行く。
「騙し討ちか……」
「なんや、悪魔なんに騙し討ちは嫌いけ?」
「いいえ、ただ……法王の癖して狡いことって思っただけよ」
「王だからや……綺麗事で物事動かせてたら……。こんな世界はぐちゃぐちゃになんってなってないんや」
綺麗事で済ませられることは済まして、汚いことはとことん汚く済ませるのが自分だ。俺が主はんと……奴隷商人の狂犬の架け橋になることを契約して、町の外でアダムスの国の殺し屋幹部を……殺して貰う。そして、僅かながら何弱った所を……わてらで殺す。
普通の契約はとても強い効力を持ち、本来は違えば木っ端微塵となる。けれども、わては法王や契約を自分の力だけで押さえ込み無効にすることなど容易い。
「ってなわけで、わては肉体派やないんでーいってこーい!」
「わぁぁぁぁぁぁ!!! 投げるなんてサイテぇぇぇぇぇ!!!」
中々圧倒的に終わったであろう戦いの中にウィーンを力一杯に投げ込む。法王のスーパー強化腕力での投げ込みは、中々スリル満点だろう。実際に悪魔が叫びながら、必死に羽をバタつかせている。頭蓋の耳を両手で押さえていると、すぐに隕石が落下したような音が聞こえた。どうやら到着したみたいやな。
高級店じゃヒャッハーなんて喜べるほど図太い神経な訳がなく、完全に顔が固まる。無表情じゃなくて固まっている。当てのない言いようもないこの恐縮感と場違い感。ほんとどうしてくれようかはてな
ルームに通された瞬間に香る品のいい花のような香り、キンモクセイに近い感じの香りだけれども、どこかお腹が空いてくる。案内し終わった店員さんはありがとうという暇さえも与えずに、呼び出し用のベルを置いて退場していった。今のこの場所でグラスと二人きり、二人なのは良いのだが、緊張している自分をよそにグラスは普通にくつろいで、値段の書いていないメニュー表を見て居る。この元王子めぇ……と恨みがましく見て居たら、気づかれてしまった。
「カリスティアは何にしますか?」
「あぁ、いや……大半がなんなのかわからないや」
グラスが首をちょこんと傾けながら聞いてきたから、メニューを見た正直な感想を述べる。成長しても中性的なのは変わらないから、見ように寄っては本当に美女だなーと思いつつ。わかりませーんとメニューを閉じて両腕をあげる。本当に書かれてるのが全部高級品過ぎて、聞いたことがないものしかない、選びようも断りようもない。
「私が選びますよ。今日はどんなものが食べたい気分ですか?」
「さっぱりしたお魚と、お水で」
「気にせずにともよろしいのですよ?」
「そもそも、私飲酒したことないからね? わかんないよ」
色々付き合いが長いから慣れたけど【お金のことは気にせずに酒を頼んでもいいのですよ?】と言いたいのだろう。返答をしたら「あぁ、でしたら」っとメニュー表に目を移したので、合っていたようだ。これでジュースかなんかを探してくれるだろう。今回ばっかりは前の世界の未成年飲酒法とか、なんとかが異世界入りしてくれと思ってしまう……ないものは無いんだけどね。さてさて、異世界の高級品のジュースか水はどんな味になるでしょうかと、見てもわからないメニュー表を円卓の邪魔にならないところに置く。
「アメジストブレイク……いや、でも、アイビスキラーも……」
「………………」
なんかレディーキラー系っぽい綺麗と破壊的な名称が一緒になった酒のような名前がグラスの口から聞こえる。私はアルコールの匂いがしたら絶対に飲まないからな。というか……普通に冒険に行ってきた微妙に汚い格好でここのイス座るのも申し訳なくなってくる。グラスは姿形のおかげで、何来ても気品がただようけれど、こっちはタダの黒女だよ黒女!
(この行き場のない場違い感は、剣で切れないし魔法でぶっ飛ばせないからやだ……帰りたい)
目の前のグラスの向こうの出入り口を遠目で見ながら、言いようもないこの感じを誤魔化すために、テーブルのしたで脚をバタつかせる。すぐに「カリスティア」とたしなめる声が振ってきたので、すぐに止めたが。グラスは待たせてしまったと思ったのか、たしなめてすぐに呼び出しベルを鳴らす。鳴らしてすぐに控えていた従業員の男の人が現れて、真っ先にグラスに注文を取りにくる。
「以上でご注文よろしいでしょうか?」
「はい、ありがとうございます」
注文内容が理解出来ない横文字の呪文のようで、全く頭に入ってこなかったようで記憶が飛んだようにいつの間にか注文が終わっていた。緊張のしすぎと理解の出来ない単語を並べられると人間て脳の処理がキャパシティーを越えて記憶力が低下するとかなんとかの現象だろうか。あのレディーキラー系っぽい名称の酒が入っていたかも覚えてない。
「呆けた顔ですが、どうされましたか?」
「料理名だけで魔法が打てそうなほど呪文じみて長いなって放心してた」
・
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予知で二人の入った店の個室の窓を、屋根の上に登って見てみると、高級な料理に囲まれて白目を剥きながらグラスに料理をのせたスプーンを押しつけられるところが見える。白と黒のイチャイチャに砂糖をダラダラと吐けそうな甘さだ。少しでも……この激流の中無理矢理でも楽しんでくれるならいいと。カラカラ笑う。
「おーおー……。お若いカップル二人で楽しんでくれてるようで助かりますわー」
「えっ!? カリスティアちゃんが酔ったらどんな風になるの! グラス君は? 二人ともそのまま孫を育み……」
「こんなギチギチスケジュールで、息抜きしてもらっとる中で子供こさえられるかい!」
頭に手をやり、一気に妄想を飛躍させる悪魔に気力を吸い取ってくる悪魔の首元を引っ張り、自分もでばがめ使用とする悪魔を引きずる。ウィーンが足をバタバタ腕をバタバタし始める。普通の女の子の抵抗ならば可愛い者だけれども……。
「話しなさ……。あっゴメン屋根壊しちゃった」
「あぁ……。こんな暴力女と一緒なんて、わてはなんて不幸な男なんやろ」
「なんですって?」
足をバタつかせたら、足場にしていた石の屋根を軽く貫通させてしまうほど。肩が取れるんじゃ無いかというほどに肩をがっくりと落とし、懐の有り金を開けてしまった屋根の上から落とす。男の驚く声と金が高いところか落ちた甲高い音を立てたのを確認して、ウィーンの首根っこを掴んだままに町の外へ屋根伝いに飛んで行く。
「騙し討ちか……」
「なんや、悪魔なんに騙し討ちは嫌いけ?」
「いいえ、ただ……法王の癖して狡いことって思っただけよ」
「王だからや……綺麗事で物事動かせてたら……。こんな世界はぐちゃぐちゃになんってなってないんや」
綺麗事で済ませられることは済まして、汚いことはとことん汚く済ませるのが自分だ。俺が主はんと……奴隷商人の狂犬の架け橋になることを契約して、町の外でアダムスの国の殺し屋幹部を……殺して貰う。そして、僅かながら何弱った所を……わてらで殺す。
普通の契約はとても強い効力を持ち、本来は違えば木っ端微塵となる。けれども、わては法王や契約を自分の力だけで押さえ込み無効にすることなど容易い。
「ってなわけで、わては肉体派やないんでーいってこーい!」
「わぁぁぁぁぁぁ!!! 投げるなんてサイテぇぇぇぇぇ!!!」
中々圧倒的に終わったであろう戦いの中にウィーンを力一杯に投げ込む。法王のスーパー強化腕力での投げ込みは、中々スリル満点だろう。実際に悪魔が叫びながら、必死に羽をバタつかせている。頭蓋の耳を両手で押さえていると、すぐに隕石が落下したような音が聞こえた。どうやら到着したみたいやな。
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