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徴兵の始まり
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「なんで腐ったジャガイモからこんな美味しいのは出来るのに、普通の食材持たせると、何故こんなんなるのかね?」
「カリスティアが、私に腐ったジャガイモを持たせた事から始まった呪いです。少し火加減を間違えただけです。現に昔作ったクッキーや、スープなどは美味しく出来ていました。たまたまです」
嘆いても仕方ないから誰も居ない家にお邪魔した。食材とかは全くといって良いほどなくて、家具も泣けてくる位無かったから、具現化で色々やってる中で、普段ドロウ君に料理をお世話になってるから、それぞれ料理を作って休ませよう、ついでにドロウ君の料理の引き出しが増えるし一石二鳥と思ったのだけど……。
最初にグラスに食材持たせて出来たのが、野菜の惨殺死体というかなんというか……。言葉にするも憚られるほどの凄惨な様に、思わずグラスに腐ったジャガイモとか、腐ったり傷んでる部分のある食材を渡したら、普通に美味しくて食べられる出来だった。グラスの家事スキルってなに? 博打かなんか?
色々仕組みがわからなくて、グラス以外の全員が、野菜惨殺死体と普通に美味い料理を交互に見て珍妙な顔をして最後にグラスを見た。グラスは少しショックそうに食材のことを謝った後に、私の合った当初の腐ったジャガイモで料理をさせてきたことを持ち出して、私にだけ野菜惨殺死体を掬ったスプーンを差し出してきた。
「いやいやいや、待ってまだ死にたくない」
「少し失敗してしまっただけです。私の料理が人を殺せるような出来だと解釈してよろしいでしょうか?」
「当たり前でしょ!!! 野菜バラバラ惨殺焼死死体にお世辞にも素敵なんて言えるか!!! むぐぐぐ……」
結局この失敗料理を口に突っ込まれて無理矢理食わせられることとなった。味の感想をグラスに聞かれたから正直に不 味 いっと言うと「そうでしょうね。後で片付けます」っとあっけらかんと言ってきた。この野郎……っと思うけれど、何だかんだグラスが頑張って作って居た所を見てるので、何にも言えないままにグラスからスプーンを奪い取って、失敗作を胃に詰めた。
「よっ! これぞ愛! いやーすんばらしいものわて見ちゃって、心ほっこり~」
私が野菜惨殺死体を、頑張って全員分食べている間に、いけしゃあしゃあとスケイスは骨の身体で普通の料理を食べてて殺意がわいたので「五月蠅い盗賊顔!」っと言うと、ぎゃいぎゃいスケイスが騒いだけど無視して食べ続けた……にがぁい。
「こっちは美味しく出来てるわ、グラス君」
「ありがとうございます。 ウィーン様」
「ふむ、改善できるぞ。機材も成れない奴だし、魔法で作った火の勢いに癖があったから、大方機材のせいだ気にすんな」
「ありがとうございます。 ドロウ様」
改善方法とか良いこと言ってる端で、一口食べただけの失敗作を何気ない顔で私の方へと差し出さないでくれるかね? 食べるけど!!!
ドロウ君をジットリした目で覚えてろよ……っと見ると目をそらされた。結局のところ、私はグラスが他の人と喋っている間に全員分の失敗作を胃に収めた。治癒術と神聖魔術の混合浄化をしながら食べたので食中毒の心配はなけれど胃が苦しい。
四人が喋っている中で、苦しい中で会話に割り込んだ。
「ごちそうさ……ま。グラス」
「本当に全部食べたんか!?」
「カリスティア……あの、……申し訳ないです」
「言ったでしょ、私はグラスを見てる。頑張って作ってくれてる所をちゃんと見てるから、味は不味いけど、その頑張りは美味しいかったよ……ごちそうさま。失敗作でもグラスの料理はグラスの料理だからね」
全員、本当に私が食べるとは思わなかったようで、それぞれ驚愕の顔を浮かべた。舐めるなよ……前の世界の日本の貧困低底市民として産まれた私が食べ物を粗末にはしない。グラスが私を見て目を潤ませながら慌てて私の目の前に小さな皿をよこした。
「これって……」
「氷菓子です。甘露の葉の朝露を凍らせて集めた物を砕いたものです」
「食べていいの?」
「はい、元々……カリスティアだけにと思って作ったものです。その……私の失敗作は申し訳ないです。ただ……嬉しいで、す」
「ありがとう!」
この世界の氷菓子は、勿論高価な物でこんな所で食べられるとは思わなかった。皿の横に添えられた小さなスプーンを手に取って一口砕いた氷を舌に乗せて飴のように転がすと、優しい甘さが口に広がった。氷砂糖のようでいて氷砂糖とは違う、甘さを凝縮したような氷で、自身の舌でとける度に甘さが染み渡るようにしわりと広がる。
気がついた時には全部無くなってて……。あっ……っと思って皆を見ると凄く可愛くて愛らしい子供を見るような目で見られて恥ずかしかった。
「グラス……美味しかった。ありがとう!」
「そう言って頂けて嬉しいです。嬉しい……です。また、食べてくださいね」
ということで、気を張らなければならない所だけど、気を張ってばかりだとパフォーマンスが下がる。ご飯の担当変えてみたり散歩をしたり、羽が外れない程度の息抜きをしながら、それぞれ焦らずに、着々と五人の知恵を絞り出して計画を立てた。
スケイスが予めアダムス二人組に接触したさいの情報で、アダムスに人が居ないのは強制労働に連れて行かれたか、珍しいスキルがある物は自分たちのように強制徴兵されているはず。その場合で冒険者として入った場合は必ず監視が付くそうだ。
実際にアダムスに入ってからというものの、不自然な魔力が頭の上から感じる。グラスが言うにはこれが国が持つ監視水晶の魔力だとか……。監視水晶の魔力を遮るのは簡単だけれど、それだと有無も言わさずに反乱分子として処刑されて仕舞う恐れがあるので……そのまま、アダムスの人間が冒険者として私達を強制収容するまで待つという物だ。
魔封じなどの手錠をはめさせられるはずだから、逆にそれを向こうかするアクセサリーをいくつか私が作って全員に分配した。ピアスだったり髪飾りだったり、一つでは心許ないから思い浮かぶ限り、魔力が続く限りそれを作った。勿論、私の魔力はすっかんぴんになってしまったが、なんとか魔封じ耐性を全員4つずつと、それぞれ必要そうな魔具を分配することが出来た。
「んで、王妃持って脱出や。脱出経路はわてに任しんしゃい!」
「けど、そんなに手荒にして大丈夫?」
「いいのよ、だってほっといても、もうこの国は限界で消えるわ。いっそのこともう消えちゃった方がそれこそ国民の為よ」
窓枠に腰掛けるウィーンママが、汚れたガラスに人差し指を当てて上から下へこすった後に、自分の目元に少し茶色に煤けた自分の指を見て、ふっと息を汚れた指に吹きかけた。いっそのこと……。確かにそうだろうと思ってしまった。だって、この町にはもう誰も居ない。
「民が居ない国は国ではありません」
当たり前の事がグラスの口から放たれる。グラスも思うところはあるのだろう……ペルマネンテのある方角をどこか遠く見つめていた。グラスは国や貴族や王族は嫌いだけれども……ペルマネンテの国民は大好きで差別感情さえなければ誇れるほどに好いていると、言っていた。
そうして……このまま兄が国王を続ければ、ペルマネンテも時期地図から消えるだろうということも言っていた。思うところしか……無いだろうこの国には。
「ホラホラ、軽くつまめる俺お手製のドロウチーズ食って話し進めるぞ」
「せや、それぞれこの国で思うところがあるのはしゃーない。けど、今は置きなはれ」
「あ、ドロウ君いっただきー!!!」
「運んでくれてありがと、三枚目が美味いぞ」
思うことはあれど、進まなければいけない。
見かねたドロウ君が流れを変えるように、お手製かつ自分の好物であるミックスチーズを用意してくれた。それぞれ気分を仕切り治してドロウ君お手製のチーズを味わう。脱線気味になったがチーズ片手に作戦を再度話し合いが進められた。
まとめると、脱出できる隙が見つかったら抜け出して、王妃様をゲットして区画にある水道を潜り抜けて脱出ということ。一番近い八番区を目指して合流とのことだ。グラスの協力もあって具現化で、魔力を込めるだけで簡単に音声通信できる水晶も作ることが出来て……扱いを間違えて破壊した水晶の二の舞にならずに済みそうだ。
「よかったなカリスティアちゃん。グラスの時みたいに魔力の込めすぎて破壊する心配が無くなって……あっ! 悪い」
わ る い じゃ ね ぇ え ! ! !
私が簡単水晶を持ちながら固まって居ると、首の後ろから冷気があふれ出てるのが感じられた。ピシリと凍り着きギリギリ……ギリギリ……と、歪にかくかくしながら後ろを向くと……具現化で頑張って修理した水晶を持って微笑むグラスがこちらを見ていた。
「そういえば……私の水晶が新品同様に綺麗になっていたのですが……」
「てへ!」
「素手で触ってませんね?」
何がてへじゃ、何が、っと自分でツッコミを入れながら水晶を仕舞ってこちらに近づくグラスを見て固まった。ハニワのごとく、右手は頭の後ろへ左は脇に置いた馬鹿らしい状態でフリーズして、こりゃ怒られるんじゃっと冷や汗を掻きそうになった。のだけど、怒る声ではなくて気遣う声が変えられたので別の意味で固まった。
「へ? あ、うん、濡れた布で包みながら拾ったよ。壊してごめんなさい」
「怪我がないようでしたら構いません」
「怒らないの?」
「物よりカリスティアに傷が付くようが腹立たしいです。ただ、壊したのでしたら黙って居るのはいけません。次は言ってください」
「はい、ごめんなさい」
深々謝ると雰囲気が軟化したのを見計らって頭を上げると、やっぱり頭を撫でられる。良い子いいことかではなく「撫でたいから撫でました」と言わんばかりに微笑みながら、自信満々に撫でるので……本当にグラスは私の扱いかたを心得ていらっしゃる……と心の中で白旗を振った。
「徴兵に参った」
扉の向こうから、急に五人以外の言葉が聞こえて一気に警戒心が跳ね上がる。スケイスが思ったより速いのう……と顎骨に手を当てて人間の姿になるために自身の周囲に結界を張った。同じく警戒しているウィーンママが軽快な声では~いっと扉を開けに向かう。
先ほどの和気藹々として雰囲気はどこへやら……やっぱり平穏って急に消えて無くなるものだとの諦めを携えて、名残惜しい気持ちのまま、グラスの手を私の頭から下ろした。
「カリスティアが、私に腐ったジャガイモを持たせた事から始まった呪いです。少し火加減を間違えただけです。現に昔作ったクッキーや、スープなどは美味しく出来ていました。たまたまです」
嘆いても仕方ないから誰も居ない家にお邪魔した。食材とかは全くといって良いほどなくて、家具も泣けてくる位無かったから、具現化で色々やってる中で、普段ドロウ君に料理をお世話になってるから、それぞれ料理を作って休ませよう、ついでにドロウ君の料理の引き出しが増えるし一石二鳥と思ったのだけど……。
最初にグラスに食材持たせて出来たのが、野菜の惨殺死体というかなんというか……。言葉にするも憚られるほどの凄惨な様に、思わずグラスに腐ったジャガイモとか、腐ったり傷んでる部分のある食材を渡したら、普通に美味しくて食べられる出来だった。グラスの家事スキルってなに? 博打かなんか?
色々仕組みがわからなくて、グラス以外の全員が、野菜惨殺死体と普通に美味い料理を交互に見て珍妙な顔をして最後にグラスを見た。グラスは少しショックそうに食材のことを謝った後に、私の合った当初の腐ったジャガイモで料理をさせてきたことを持ち出して、私にだけ野菜惨殺死体を掬ったスプーンを差し出してきた。
「いやいやいや、待ってまだ死にたくない」
「少し失敗してしまっただけです。私の料理が人を殺せるような出来だと解釈してよろしいでしょうか?」
「当たり前でしょ!!! 野菜バラバラ惨殺焼死死体にお世辞にも素敵なんて言えるか!!! むぐぐぐ……」
結局この失敗料理を口に突っ込まれて無理矢理食わせられることとなった。味の感想をグラスに聞かれたから正直に不 味 いっと言うと「そうでしょうね。後で片付けます」っとあっけらかんと言ってきた。この野郎……っと思うけれど、何だかんだグラスが頑張って作って居た所を見てるので、何にも言えないままにグラスからスプーンを奪い取って、失敗作を胃に詰めた。
「よっ! これぞ愛! いやーすんばらしいものわて見ちゃって、心ほっこり~」
私が野菜惨殺死体を、頑張って全員分食べている間に、いけしゃあしゃあとスケイスは骨の身体で普通の料理を食べてて殺意がわいたので「五月蠅い盗賊顔!」っと言うと、ぎゃいぎゃいスケイスが騒いだけど無視して食べ続けた……にがぁい。
「こっちは美味しく出来てるわ、グラス君」
「ありがとうございます。 ウィーン様」
「ふむ、改善できるぞ。機材も成れない奴だし、魔法で作った火の勢いに癖があったから、大方機材のせいだ気にすんな」
「ありがとうございます。 ドロウ様」
改善方法とか良いこと言ってる端で、一口食べただけの失敗作を何気ない顔で私の方へと差し出さないでくれるかね? 食べるけど!!!
ドロウ君をジットリした目で覚えてろよ……っと見ると目をそらされた。結局のところ、私はグラスが他の人と喋っている間に全員分の失敗作を胃に収めた。治癒術と神聖魔術の混合浄化をしながら食べたので食中毒の心配はなけれど胃が苦しい。
四人が喋っている中で、苦しい中で会話に割り込んだ。
「ごちそうさ……ま。グラス」
「本当に全部食べたんか!?」
「カリスティア……あの、……申し訳ないです」
「言ったでしょ、私はグラスを見てる。頑張って作ってくれてる所をちゃんと見てるから、味は不味いけど、その頑張りは美味しいかったよ……ごちそうさま。失敗作でもグラスの料理はグラスの料理だからね」
全員、本当に私が食べるとは思わなかったようで、それぞれ驚愕の顔を浮かべた。舐めるなよ……前の世界の日本の貧困低底市民として産まれた私が食べ物を粗末にはしない。グラスが私を見て目を潤ませながら慌てて私の目の前に小さな皿をよこした。
「これって……」
「氷菓子です。甘露の葉の朝露を凍らせて集めた物を砕いたものです」
「食べていいの?」
「はい、元々……カリスティアだけにと思って作ったものです。その……私の失敗作は申し訳ないです。ただ……嬉しいで、す」
「ありがとう!」
この世界の氷菓子は、勿論高価な物でこんな所で食べられるとは思わなかった。皿の横に添えられた小さなスプーンを手に取って一口砕いた氷を舌に乗せて飴のように転がすと、優しい甘さが口に広がった。氷砂糖のようでいて氷砂糖とは違う、甘さを凝縮したような氷で、自身の舌でとける度に甘さが染み渡るようにしわりと広がる。
気がついた時には全部無くなってて……。あっ……っと思って皆を見ると凄く可愛くて愛らしい子供を見るような目で見られて恥ずかしかった。
「グラス……美味しかった。ありがとう!」
「そう言って頂けて嬉しいです。嬉しい……です。また、食べてくださいね」
ということで、気を張らなければならない所だけど、気を張ってばかりだとパフォーマンスが下がる。ご飯の担当変えてみたり散歩をしたり、羽が外れない程度の息抜きをしながら、それぞれ焦らずに、着々と五人の知恵を絞り出して計画を立てた。
スケイスが予めアダムス二人組に接触したさいの情報で、アダムスに人が居ないのは強制労働に連れて行かれたか、珍しいスキルがある物は自分たちのように強制徴兵されているはず。その場合で冒険者として入った場合は必ず監視が付くそうだ。
実際にアダムスに入ってからというものの、不自然な魔力が頭の上から感じる。グラスが言うにはこれが国が持つ監視水晶の魔力だとか……。監視水晶の魔力を遮るのは簡単だけれど、それだと有無も言わさずに反乱分子として処刑されて仕舞う恐れがあるので……そのまま、アダムスの人間が冒険者として私達を強制収容するまで待つという物だ。
魔封じなどの手錠をはめさせられるはずだから、逆にそれを向こうかするアクセサリーをいくつか私が作って全員に分配した。ピアスだったり髪飾りだったり、一つでは心許ないから思い浮かぶ限り、魔力が続く限りそれを作った。勿論、私の魔力はすっかんぴんになってしまったが、なんとか魔封じ耐性を全員4つずつと、それぞれ必要そうな魔具を分配することが出来た。
「んで、王妃持って脱出や。脱出経路はわてに任しんしゃい!」
「けど、そんなに手荒にして大丈夫?」
「いいのよ、だってほっといても、もうこの国は限界で消えるわ。いっそのこともう消えちゃった方がそれこそ国民の為よ」
窓枠に腰掛けるウィーンママが、汚れたガラスに人差し指を当てて上から下へこすった後に、自分の目元に少し茶色に煤けた自分の指を見て、ふっと息を汚れた指に吹きかけた。いっそのこと……。確かにそうだろうと思ってしまった。だって、この町にはもう誰も居ない。
「民が居ない国は国ではありません」
当たり前の事がグラスの口から放たれる。グラスも思うところはあるのだろう……ペルマネンテのある方角をどこか遠く見つめていた。グラスは国や貴族や王族は嫌いだけれども……ペルマネンテの国民は大好きで差別感情さえなければ誇れるほどに好いていると、言っていた。
そうして……このまま兄が国王を続ければ、ペルマネンテも時期地図から消えるだろうということも言っていた。思うところしか……無いだろうこの国には。
「ホラホラ、軽くつまめる俺お手製のドロウチーズ食って話し進めるぞ」
「せや、それぞれこの国で思うところがあるのはしゃーない。けど、今は置きなはれ」
「あ、ドロウ君いっただきー!!!」
「運んでくれてありがと、三枚目が美味いぞ」
思うことはあれど、進まなければいけない。
見かねたドロウ君が流れを変えるように、お手製かつ自分の好物であるミックスチーズを用意してくれた。それぞれ気分を仕切り治してドロウ君お手製のチーズを味わう。脱線気味になったがチーズ片手に作戦を再度話し合いが進められた。
まとめると、脱出できる隙が見つかったら抜け出して、王妃様をゲットして区画にある水道を潜り抜けて脱出ということ。一番近い八番区を目指して合流とのことだ。グラスの協力もあって具現化で、魔力を込めるだけで簡単に音声通信できる水晶も作ることが出来て……扱いを間違えて破壊した水晶の二の舞にならずに済みそうだ。
「よかったなカリスティアちゃん。グラスの時みたいに魔力の込めすぎて破壊する心配が無くなって……あっ! 悪い」
わ る い じゃ ね ぇ え ! ! !
私が簡単水晶を持ちながら固まって居ると、首の後ろから冷気があふれ出てるのが感じられた。ピシリと凍り着きギリギリ……ギリギリ……と、歪にかくかくしながら後ろを向くと……具現化で頑張って修理した水晶を持って微笑むグラスがこちらを見ていた。
「そういえば……私の水晶が新品同様に綺麗になっていたのですが……」
「てへ!」
「素手で触ってませんね?」
何がてへじゃ、何が、っと自分でツッコミを入れながら水晶を仕舞ってこちらに近づくグラスを見て固まった。ハニワのごとく、右手は頭の後ろへ左は脇に置いた馬鹿らしい状態でフリーズして、こりゃ怒られるんじゃっと冷や汗を掻きそうになった。のだけど、怒る声ではなくて気遣う声が変えられたので別の意味で固まった。
「へ? あ、うん、濡れた布で包みながら拾ったよ。壊してごめんなさい」
「怪我がないようでしたら構いません」
「怒らないの?」
「物よりカリスティアに傷が付くようが腹立たしいです。ただ、壊したのでしたら黙って居るのはいけません。次は言ってください」
「はい、ごめんなさい」
深々謝ると雰囲気が軟化したのを見計らって頭を上げると、やっぱり頭を撫でられる。良い子いいことかではなく「撫でたいから撫でました」と言わんばかりに微笑みながら、自信満々に撫でるので……本当にグラスは私の扱いかたを心得ていらっしゃる……と心の中で白旗を振った。
「徴兵に参った」
扉の向こうから、急に五人以外の言葉が聞こえて一気に警戒心が跳ね上がる。スケイスが思ったより速いのう……と顎骨に手を当てて人間の姿になるために自身の周囲に結界を張った。同じく警戒しているウィーンママが軽快な声では~いっと扉を開けに向かう。
先ほどの和気藹々として雰囲気はどこへやら……やっぱり平穏って急に消えて無くなるものだとの諦めを携えて、名残惜しい気持ちのまま、グラスの手を私の頭から下ろした。
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