転生幼女具現化スキルでハードな異世界生活

高梨

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次は神様

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「天使の次は神か……はぁ……」(これ、もしかしてサクリちゃんが仕向けたとか?)

『ええ おかしいな わたし おかあさん と おとうさん を さしだすように うごくことをめいじた だけなのに』

 どうせ騙されたんでしょ、なんて意識で会話すると明らかにむっとしたような感情が私の心の隅にできる。一緒の身体に二つの魂を共有しているからなのか、それとも私の魂とこの子の魂が融合したからなのか、意識すればサクリちゃんの感情が少しだけわかる。黒聖騎士とサクリちゃんのことで二つの意味で呆れた。私の渾身のあきれ顔でも全く動じないこの男にどうしてくれようか……などと頭を抑えて首を振った後に。

「我々は別の用があります。必ずそちらに向かいますので今はおかえり頂けませんか?」

 サクリちゃんが騙されている可能性を考えて、そちらに向かうから帰ってくれっということにしたい。サクリちゃんがどの段階でこうなったのか……私個人のお話もあることだ。今の此処で余り面倒事に巻き込まれて時間は取られたくはないし、それに王妃様を精霊国経由でラブちゃんに預ける目的もある。目を合せて祈りで願いを乞うよう男に伝えると、微笑んだ後に立ち上がった。

「我が神のお言葉はわかりました……ええ、わかりました」

 男の口調に違和感を覚えた私は咄嗟に、首元に水明の剣を首元へ素早く剣に魔力を込めて片刃の刀へと変化させてすぐに、男の重たい剣が首へと叩き込まれた。

「ッヒゥ!」

「カリスティア!」

 男の剣術の重さが尋常じゃない、私は受け止めきれずに首に片刃の背が直撃して吹っ飛ばされた。すぐに体勢を整えて男を見据える。グラス、スケイス、アドラメルクママ、全員瞬時に戦闘態勢となり。グラスは吹っ飛ばされた私の代わりに、王妃様とドロウ君の前に立って二人に安全な所へ下がるように誘導した。
 私を吹っ飛ばした男の指示で他の黒聖騎士も剣を抜いて元法王のスケイスにも容赦なく襲いかかる。アドラメルクママは真っ先にリーダー格の男に殴り掛かろうとしたが、9人の内3人に足止めされて悔しげな顔で、応戦していた。その中でリーダー格の男が黒い鎧を纏いながら歩いて私の元に向かって来た。

「神様って崇める相手に剣を向けるなんて、口先だけって言葉をここまでわかりやすく表した男の人初めて見た」

 答えはない、そのまま微笑んでこちらへ向かってくる。もし、水明の剣を刀に変化させずに、両刃の剣のままにしていたら……今頃さっくり私の首をお別れさせていたであろう相手。この乱戦状態で仲間の手助けは期待することは出来ない。さて……どうするか、なんて考えて見据えていると。本当に人間か? と疑いたくなるような速さで間合いに入られた。

「神ですから、首くらい吹っ飛ばしてもお許し頂ける」

「そんなわけないでしょ!」『そんなわけないでしょ!』

 確かに前の世界の神は、象の頭くっつけられたり、間違えて首吹っ飛ばされちゃったてへぺろで済む神様がいたような気がするけど、私は人間だから死ぬ。初めてサクリちゃんと考えることが一緒のようで、同時にそんなことを言った。意外と刀でこの重たい剣をあしらえることに驚きながらも、巨体と14歳少女の間合いの差は歴然で、中々こちらから攻撃に踏み切れない。

『ちからのもとはあなた そのせいぎょはわたし ぐげんかで しょうりを ぐげんかしちゃおうよ ただ ないちゃうほど あとが つらいけど』

(たとえば?)

『いっかげつ こうねつ か いっしゅうかん ぷちはいじん』

「使えねぇ!!!」

 その代わり魔力を気にせずに全てを具現化して叶えられるだのどうのこうの、蘇りや富やらひらがなのよちよち言葉で力説されるが、却下。私が使っているのが100%の内の10%ならばずっとそれで行く。行き過ぎた力って言うのは危ないクスリと一緒で、一回で過ちへの道を突き進む可能性がある。絶対に嫌だ。そんなことを言うと、身体に負担にならない程度に調整してあげるだの言ったので、ちょっとばかし調整して貰うと。

「その折れそうな細腕にこんな……」

「骨が細いだけだから、筋肉がないわけじゃないのッ……よッ!」

 つばぜり合いで、ぞれぞれの獲物がキリキリと悲鳴を上げる音がする。先ほどまで力で押されて受け流したり、魔力で長さを調整することで避けていたのを、堂々と受け止めることができた。それでも少ししたら対応されてしまう。明らかに私には相性の悪すぎる相手だ、どうにか交換できないものかと周りを見ると、3人の聖騎士と騎士と応戦しながらも余裕のあるグラスがこちらと目を合せた。

 こ う か ん し て 

 バレないように口パクでグラスに言った。その後すぐに私に向かって強烈な一撃を食らわせる。なんとかグラスの方へと様子を見ながら何度も刃を交えて様子を見た。やがて、グラスの殺気が私の背中をすり抜けて、この目の前の男へ向けられた気配を感じると、グラスの方向へ向けて【水の刃 一閃】水の刃を飛ばして、すぐに飛ばした刃を追い掛ける形で男に背を向けた。

 背を向けた先には、水の刃を横スレスレを駆けるグラスがこちらに向かって走っていた。水の刃はグラスをすり抜けてグラスと戦っていた黒聖騎士の一人に直撃して倒れた。私もグラスも反対側に駆けすれ違う寸前になり。

「グラス」

「カリスティア」

 パン!

 互いの名を呼びながらバトンタッチをした。手を合せる瞬間に水魔法系統の強化魔法を乗せてグラスに掛けたのだけど、グラスも考えることは一緒だったようで、グラスは魔法障壁を掛けてくれた。よくこんな一瞬で掛けれるなぁ……っと苦笑いしつつも、一人減って二人となった黒聖騎士に向かって勢いのままに顔に向かって跳び蹴りを食らわせる。

「きゅう……」

 まさか、跳び蹴りが顔面に来るとは思わなかった聖騎士の男が情けない声をだしてパタリと倒れた。すぐそばには魔法障壁で守られたドロウ君と王妃様が見て居る。なるほど、二人に障壁を張りながらついでに私に張るようも魔力を練ってたから、グラスは倒さないままだったのか。これなら、二人も楽々倒してるんじゃなんてチラリと周りを観察すると。


「オニーサン、元法王のありがた~いスマイルごらんになって~。関節いったろか?」

「ギャアアアアアアアアアアア」

 スケイスは拷問……。エグいからチラリとだけ見て声だけ聞こう。バキバキを通り過ぎてバキンゴリンというエグい音だけでお腹いっぱい。まぁ、情報を引き出すにはしかたない。

「うー、私もこの作業から解放されたいわ」

「我が魔法を作業と……なんたる侮辱か!!!」

 ママは言わずとも、圧倒して逃げられても面倒だからと、周りを見せる余裕がなくなる位の強さで黒聖騎士達を相手していた。私はもう二人気絶させているしやってもいいかなと。周りの様子を見るのをやめて、一人で私の相手を頑張ってくれる黒聖騎士を見てみる。剣術も魔法も申し分なし、だけど均等すぎて器用貧乏な感じが拭えない戦闘スタイルの男だった。その男は、私に分析されているとわかると口を歪ませ力押しで私を弾いたあとに手を突き出しながら後ろに飛び退いた。

【我が道を認めし神よ。聖なる礎の元に集う華の淑女を手折らんとする輩に、聖なる梓弓を持ちて番えよ。セイントアロー】

【朧に霞み居る、水雲澄み渡る、す……詠唱恥ずかしいからそのままでいいか、ウォーターアロー】

 流石にこの世界に何年か居るから慣れたけれど、フル詠唱は恥ずかしい。そのまま名称詠唱に切り替えてフル詠唱のセイントアローにぶつけるが、あっさり私のウォーターアローがセイントアローに飼ってまっすぐと男の胸に直撃した。声も出ずにパタリと動かなくなった呆気なさに信じられなくて、倒れている黒聖騎士の一人を足でちょいちょいやってみるけど動かない。なんどがちょいちょいやっている間に、ドロウ君の声が障壁越しに聞こえた。

「おーい、カリスティアちゃん。こっちに来てくれ」

「はーい」

 すぐ傍のグラスの障壁に守られてる二人の元へ駆け寄った。不意にグラスの事が気になったけど、グラスなら大丈夫だと信じて、振り返ることなくそのまま二人の元へ向かった。

 
 










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