転生幼女具現化スキルでハードな異世界生活

高梨

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諦めた結果の今

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 自分の父親からお爺ちゃんの介護を押しつけられて成人式に言ったことはなかった。皆が華々しく笑顔で居るときに私は、水道代を浮かす為にお爺ちゃんと一緒にお風呂に入りながら身体を洗ったりした。父親は仕事が理由なのと体の良い押しつけ先が私だからと言う理由だった。

 そのすぐ一年後に、勝手に授かり婚ですぐ結婚してすぐ離婚した姉が転がり込んできた。成人式も就職も学業も満足に出来ないままに、介護と自分の子供でもない姪っ子の面倒を見ることとなった。行きたかった大学も、勤めたかった就職先も介護と子育てで丸々潰されて、大体4年ほどの空白期間を経ての就職先は有名なブラックの飲食接客業だった。

自分の子供じゃないのに、本当の親は育児放棄しやがって。

母親から聞いた話だけど、最初父親は私が生まれたことに納得いかなくて赤ん坊の私を床に叩き付けたらしい。なのに、厚い面をぶら下げて私に自分の親を押しつけたのだ。

 いつの間にか私は、お爺ちゃんと姪っ子の首に手を置くようになった。最初は片手だったのにいつの間にか無意識に置いてしまう手が両手になった時は戦慄した。そう……。自分の行動が恐ろしくなって私の親友の家に上がり込んで暫く関係を断った。福祉の助けが来る前に過ちが先になりそうだったから。そんな状況になっても、私の親も姉と兄も話し聞かなかったしな……。聞かない処か逆ギレされたし……。

 や~と全て片付いた頃には、文句の100は言いたい親二人は墓の中だし。墓に文句言っても空しいと悟った時の虚しさがなんとも……。文句の一つでも言ったら、表向きだけでもいいから謝罪と……仲直りを期待してぶん余計に。

「家族であれ、子供であれ利用する奴は利用するし、捨てる奴は捨てるし……。極限状態まで行けば無意識に行動し始めるから、殺したいっていう自覚があるだけまだ健全だよ。話し合い? 無理無理、話し合おうものならぶっ飛ばされるのがオチだね」

「私は口答えしようものならば、父上に意見して収容された人間の亡骸が置いてある牢屋に二週間収容されて居ました。話し合い……無理ですね。処刑されてお終いです。そもそもが、自分よりも下と見下されているので余計にですね」

『わたしは あめのなか そとのさくにに しばりつけられて あさまでほっとかれちゃった はなしあおうとしたけっか これだよ』

「やっぱどこの世界でも居るのね~。世界跨いで余計実感することになるとは、ホントに思わなかったけど」

「けれど、そのお陰で出会えたのも事実ですから」

『ね~!』

「本当に申し訳ない……」

 ドロウ君がこれでもかというくらい、広い肩幅を縮こまらせて申し訳なさそうにしていたから、慌てて私とグラスが逆に謝り倒した。聞いて気持ちいい話しではないことを話したのだから、まぁ、正直知って欲しいという気持ちがあったしね。対応としてはドロウ君の言葉は逆に傷付いて悲劇を生むことを知って頂ければいい。実際に境遇を話すまで話し合いさえも通じない環境って理解してくれない奴と違って、ドロウ君ならば理解してくれると信じてた!!!ありがとう。

「主はんら……本当にハードな経験してらっしゃるの~」

「私だけじゃなくて、親がアレな人は皆ハードだよ。異世界も前の世界も、親ですでに人生決まることへの手助けが不十分なのがハードだわ」

「でしたら、今回のディザのことを片付けましたら……すぐにリチェルリットに法整備を打診致しましょう。その場合に是非お二人、いえ、三人ですわね。三人のご意見を伺いたく思います。如何かしら?」

「いいね~グラス一緒にやってみようよ」

「ええ、喜んで参加致します」

 一人の人間として恨んで、怨んで、呪って、それでも変わらなかったからこうして今諦めて軽く話せるようになった。諦めた結果だけど、こうして話してこんな人も居るんだよって自己主張できるようになったことは嬉しく思う。話しは脱線したと明るい調子で、皆の意見を聞くことにした。アドラメルクママは困惑と申し訳ないと言う瞳で「私は……難しくて、今回は何も言わないわ」っと辞退した。

「そういえば、グラスはあのデブ王のことはもう良いの?」

「アレは、出来れば迷惑の掛からない所でのたれ死んでくださらないかと願うくらいですね。今は……。私の方は殺すことは賛成ですね。殺して自分の中で終わると胸を張れるのならば……ですが」

「わたくしは……反対致します。人生何があるかはわかりません」

「反対だ……すまん」

「俺は復讐する前に、面拝んでから決めた方がええと思う。から、反対とも賛成ともちゃいますな」

 賛成2の反対2のその他1……。さてさて、どうするのやらと聞いてみても肝心のサクリちゃんは返事をしてくれなかった。話題が話題なのだが、皆色々ありすぎてすぐに吹っ切れていた……勿論ドロウ君も、ママも吹っ切れていた。吹っ切れたんだけどね……これはどういうことでしょう。

「カリスティアちゃんもグラス君もよ゛ぐだべでねぇぇぇ!!! だから二人とも細いのよ!!! カリスティアちゃんに至っては足首から折れる処か根元から引っこ抜けそうで……だから、食べられる魔物の確保はママで、調理はドロウ君にお任せすることになりました~」

「根元から引っこ抜けそう……。足首折れる……」

「ええ、毎度のこと持ち上げた瞬間にカリスティアは天に昇っていきそうで……」

「っということで俺の美味い料理だ! やっぱり謝罪もお詫びも料理くらいしか俺はできないから、うけと……」


ズドーン!!!


「「ありがとうございます……けれど、バッフゥーロード丸々一体は多いと思います」」

 口調も声音もタイミングも言葉もグラスと同時に言って抗議した。ドロウ君の話を遮って降ってきた物体Xを見上げながら。

「ドロウ君! 調理お願い」

「無理だ! デカすぎて内蔵処理だけで一時間かかるし……解体にはさらに三日かかるぞ!?」

 そうは言った物の185は越えているドロウ君縦横5人分のデカさを誇るバッファローみたいな魔物の丸焼きを瞬く間に完成させたドロウ君とママ。内蔵処理と火加減はドロウ君監督の元に、アドラメルクママの魔法で大胆かつしっかりとした丸焼きに大変身……食べきれません。

「み、み、み、皆と一緒に食べた方が美味しいと思うからね? ね? 皆一緒に食べよう」

「わて魔物やからぱ~す!」

「わたくしは、王妃として相応しい胃の大きさしかございませんので」

「苦肉の策です。カリスティア食べきれない分をストックに入れて下さい」

 普段バクバク食ってる癖に都合の良いときだけ魔物になる馬鹿骨と、胃の大きさが王妃という、王妃にあるまじき誤魔化しかたでそそくさと寝る為の準備をし始める王妃二人……覚えてろよ。流石のグラスも二人をチラチラ見ていたので、多分……同じ気持ちでしょう。

 結局の所だけど、私もグラスも食べきれないのでストックに入れるこに決めて食べ始めた。その横でぐったりとしているドロウ君はやっぱり被害者&苦労人体質だ。この丸焼きは、見た目は堅そうなのに歯を入れると柔らかくて、噛んだ時にチュゥ……って肉汁が吹き出る音と共にふわりと噛み切れて、舌で転がしてほどける柔らかさ、ほろほろと舌で溶けて美味しかった。

「っぃ……です」

 グラスは猫舌なので食べるのに大変苦労していたけれど、嬉しそうに目を細め熱いながらも美味しそうに唇は弧を描いていて、はむはむと食べていた。

 そうして、食べ終わって肉をストックに入れているときに、生命探知できるスケイスが一点を見つめて杖を構え始めた。その様子を見て私は剣を、グラスは魔力を、ママは槌を、王妃様とドロウ君は一番近い私の後ろに控えた。一体何が来るのか説明が欲しい所だけど、今までに無いほどにスケイスの魔力が荒れ狂っているのが見えて聞くのが憚られた。契約で繋がった魔力がキリキリと音を立てそうなほどに……今のスケイスは気を張り詰めていたから。


「知ってる魂の気配や……大聖堂のパラディン達が10人こっちに来とる。まっすぐこっちに向かってのう……。場合によっては、多少手荒にしてもええ、けど殺しちゃあかん」

 スケイスはくぐもった声でそう言うと、杖で地面を叩いて視覚妨害の簡易結界を自身の周りに張ってすぐに……人間の姿となって出てきた。ある意味初めてのスケイスの張り詰めた雰囲気に全員の気が張り詰めた。やがて、私でも気配がわかるほどに近くなった。その後少しにはこの森の中で馬の蹄の音が聞こえるようになった。

 その後すぐにスケイスの言ったピッタリ10人の……黒い鎧を着たパラディンと思われる騎士が現れた。パラディンの内の茶髪の40ほどの男がまっすぐ私を見ると、遮るようにスケイスがその男の前に出た。

「オレオル、久しぶりやな。元気にしとったかワレェ?」

 魔力でわかりやすく脅しをかけるスケイスに、オレオレ……じゃなかったオレオルという男は、元法王で在ったスケイスを一瞥し、目もくれぬままにスケイスの横をすり抜けて、剣を構える私の前まで来て……片足をついて、手を合せ祈りを乞うようなポーズで私を見た。


「我が神、……カリスティア様お迎えにあがりました!」


「天使の次は神か……はぁ……」



 




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