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本編
2.婚約者に恋人がいるらしい②
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やっとデニスが見つかったのはカフェテラス。
彼はブリトニーとお茶をしているところだった。
「ご歓談中に失礼。デニス、ちょっと聞きたいことがあるのだけど、いま少しだけ良いかしら?」
「やぁ、ステファニー。いきなりどうしたんだ?」
私の突撃訪問にもデニスは動じることなく、隣にブリトニーが寄り添っていることに悪びれた様子も無い。
どちらかというとブリトニーを驚かしてしまったみたいで、彼女は居心地悪そうにモジモジしている。
「えーと、不躾で申し訳ないのだけど、お二人はお付き合いなさってるのかしら?」
「「え?」」
単刀直入過ぎたのか、二人は驚いて固まった。
でもみるみる顔が赤く染まって目が泳ぎ、これはどう見ても恋人同士だって気が付いた。
「あ、良いのよ。私は確かにデニスの婚約者だけど、正式な手続きをしたってわけじゃないもの。だから二人の邪魔をするつもりは無いの。安心して?」
「え? 良いのか?」
「もちろんよ。ただ、私にも予定ってものがあるんだから『もっと早く言ってくれたら良かったのに』とは思ったけど?」
私は冗談めかしてそう言った。
聞きたいことが聞けた以上、あとはもう私には関係ないし、もうお暇しよう。
「私の社交界デビューのエスコート。デニスはできないって、おじい様に言っても良いか、それが知りたかっただけなのよ。じゃあ……」
「あぁ、そうか。ごめん、そこまで気が回らなくて……」
「気にしないで? 今はブリトニーさんのことで頭がいっぱいなのでしょう?」
そう言ったら、デニスは真っ赤になって照れていた。
そんなに好きな相手に出会えたなんて、幼なじみとしてはホッコリした気分になる。
仕方ないから色々な不手際は許してあげよう。
「私の用事はそれだけなの。お邪魔してごめんなさいね」
「あの……ステファニーさん。ごめんなさい。私がデニスを好きになっちゃったから……」
「いや、悪いのは俺だよ。俺がブリトニーを好きになったから……」
「デニス!」
「ブリトニー!」
新たな茶番が始まってしまったようだ。
私のことは眼中に無いようだし、二人には勝手に盛り上がってもらおう。
見てるコッチが恥ずかしくなってきて、私はその場をそそくさと退散した。
彼はブリトニーとお茶をしているところだった。
「ご歓談中に失礼。デニス、ちょっと聞きたいことがあるのだけど、いま少しだけ良いかしら?」
「やぁ、ステファニー。いきなりどうしたんだ?」
私の突撃訪問にもデニスは動じることなく、隣にブリトニーが寄り添っていることに悪びれた様子も無い。
どちらかというとブリトニーを驚かしてしまったみたいで、彼女は居心地悪そうにモジモジしている。
「えーと、不躾で申し訳ないのだけど、お二人はお付き合いなさってるのかしら?」
「「え?」」
単刀直入過ぎたのか、二人は驚いて固まった。
でもみるみる顔が赤く染まって目が泳ぎ、これはどう見ても恋人同士だって気が付いた。
「あ、良いのよ。私は確かにデニスの婚約者だけど、正式な手続きをしたってわけじゃないもの。だから二人の邪魔をするつもりは無いの。安心して?」
「え? 良いのか?」
「もちろんよ。ただ、私にも予定ってものがあるんだから『もっと早く言ってくれたら良かったのに』とは思ったけど?」
私は冗談めかしてそう言った。
聞きたいことが聞けた以上、あとはもう私には関係ないし、もうお暇しよう。
「私の社交界デビューのエスコート。デニスはできないって、おじい様に言っても良いか、それが知りたかっただけなのよ。じゃあ……」
「あぁ、そうか。ごめん、そこまで気が回らなくて……」
「気にしないで? 今はブリトニーさんのことで頭がいっぱいなのでしょう?」
そう言ったら、デニスは真っ赤になって照れていた。
そんなに好きな相手に出会えたなんて、幼なじみとしてはホッコリした気分になる。
仕方ないから色々な不手際は許してあげよう。
「私の用事はそれだけなの。お邪魔してごめんなさいね」
「あの……ステファニーさん。ごめんなさい。私がデニスを好きになっちゃったから……」
「いや、悪いのは俺だよ。俺がブリトニーを好きになったから……」
「デニス!」
「ブリトニー!」
新たな茶番が始まってしまったようだ。
私のことは眼中に無いようだし、二人には勝手に盛り上がってもらおう。
見てるコッチが恥ずかしくなってきて、私はその場をそそくさと退散した。
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