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本編
50.我が儘は良くないよ?〈ブリトニーside〉
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〈ブリトニーside〉
「ブリトニー、良いところに戻ってきたね。例のグランデ辺境伯の跡継ぎとは上手くいかなかったそうじゃないか。残念だったね」
この日のお父様は上機嫌で私を執務室で待っていた。
いつもよりなんとなく良い服を着て、綺麗に磨かれた大きなグラスに、惜しげもなく注がれた高そうなお酒を飲んでいる。
違和感だらけだった。
「ただいま、お父様。何か良いことでもあったの?」
「あ~いや、ブリトニーは残念なことがあったばかりで悪いんだが、お前の言う通り、とてもめでたい事があってな」
「もしかして、勇者が見つかったってやつ!?」
「おや、耳が早いねぇ。融資者の事、もう知っているのかい?」
意外そうに私を見たお父様の目が一瞬ギラッと光った。
何かまずい事を言ったのかしら?
勇者の話はもしかして内緒なの?
「え? 詳しい事は何も知らないわ。大丈夫よ。それより、良いことがあったのでしょう? 何があったの?」
いつものように一番可愛く見えるポーズで聞いてみれば、実にあっさり「よろしい、教えてあげよう」と返ってきて……。
「キミの嫁ぎ先が決まったよ」
「えっ?」
何を言われたのか理解できず、お父様を穴が開くほど見詰めてしまった。
でもお父様の笑顔は変わらない。
「ブリトニーが中々結婚相手を連れて来ないからね、こちらでも探していたんだよ。そうしたら、ある伯爵から良いツテを紹介されてね」
「は? 何のこと?」
訳の分からない私が慌てていると、そこへ家令が入って来た。
「旦那様、もうご用意が出来ました。いつでも出発できます」
「うむ、ご苦労」
そう言って私に目を向けた。
とてつもなく嫌な予感がする。
「ブリトニー、良いところに戻ってきたね。例のグランデ辺境伯の跡継ぎとは上手くいかなかったそうじゃないか。残念だったね」
この日のお父様は上機嫌で私を執務室で待っていた。
いつもよりなんとなく良い服を着て、綺麗に磨かれた大きなグラスに、惜しげもなく注がれた高そうなお酒を飲んでいる。
違和感だらけだった。
「ただいま、お父様。何か良いことでもあったの?」
「あ~いや、ブリトニーは残念なことがあったばかりで悪いんだが、お前の言う通り、とてもめでたい事があってな」
「もしかして、勇者が見つかったってやつ!?」
「おや、耳が早いねぇ。融資者の事、もう知っているのかい?」
意外そうに私を見たお父様の目が一瞬ギラッと光った。
何かまずい事を言ったのかしら?
勇者の話はもしかして内緒なの?
「え? 詳しい事は何も知らないわ。大丈夫よ。それより、良いことがあったのでしょう? 何があったの?」
いつものように一番可愛く見えるポーズで聞いてみれば、実にあっさり「よろしい、教えてあげよう」と返ってきて……。
「キミの嫁ぎ先が決まったよ」
「えっ?」
何を言われたのか理解できず、お父様を穴が開くほど見詰めてしまった。
でもお父様の笑顔は変わらない。
「ブリトニーが中々結婚相手を連れて来ないからね、こちらでも探していたんだよ。そうしたら、ある伯爵から良いツテを紹介されてね」
「は? 何のこと?」
訳の分からない私が慌てていると、そこへ家令が入って来た。
「旦那様、もうご用意が出来ました。いつでも出発できます」
「うむ、ご苦労」
そう言って私に目を向けた。
とてつもなく嫌な予感がする。
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