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第一話 始まりの一織り
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「まさか、指示した以上の高さを斬れるとは思わなかったわ!予想以上!」
ヒルデは遥か上を見上げて少し興奮したように言った。
視線の先…常人では到底無理な高さの枝がバッサリ切り取られている。先程ザードが、まるで風のように翔んだ結果だ。
ザード自身も己の力に驚きを隠せなかった。
「お…俺様が本気を出せばこの位ワケないぜ!ふんっ!見たか!どうだ!見直したか!」
「うん、見直した」
ヒルデはザードの威張りに素直な笑顔を浮かべた。その反応に一瞬固まるザードは声を上擦らせつつ、顔の紅潮を隠すように背を向けた。
「…そっ…そろそろ帰るぞ!テメェに付き合ってると疲れるんだよ!」
「あ、ちょっと待ってよ!コラ、ザード!」
ズカズカと歩き出したザードを追いかけるヒルデは笑い、横に並ぶと顔を覗き込んだ。
「顔が真っ赤だけど、大丈夫?」
「な、そんなことねぇよ!これが俺の通常じゃい」
「ふーん」
含んだような返しをすると、ヒルデはそれ以上は突っ込まずにザードの横を黙って歩いた。
森の爽やかな空気と木々が揺れる音、そしてザードとヒルデの足音が周囲を包む。並んで歩く二人は傍から見ればただの少年と少女なのだが──それぞれに装備した剣が光に反射して鈍く光る。隣同士少しだけ距離が離れているのも、甘酸っぱい理由ではなくお互いの武器を抜いた時にぶつからない為──なのかもしれないと察せられ、ただの子供なのではなく鉄の匂いを纏わせた"戦士"なのだと理解させられた。
「ザードが翔んだとき、私昔読んだ本思い出しちゃったんだ」
今まで黙って歩いていたヒルデは立ち止まり、突然言った。ザードも進むのを止めて、不思議そうな表情をしながらヒルデへ振り返る。
「その本には竜が出て来るんだけど、その竜は太陽の光に当たると黄金に輝くの」
そこで一旦切ると、ヒルデは目を細めてザードの髪に触れた。
草木が揺れる──
「ザードの髪って、光に当たると金に見えるでしょ?だから、翔んだ時…凄く綺麗でさ、まるで竜が空高く舞ってるみたいだった」
──お前だって綺麗だ。
ヒルデの笑顔にザードもそう言い返そうとしたが、言葉に出来なかった。茹でた後のように真っ赤になって、口に詰まる。ザードはそれでも必死に声を絞りだした。
「俺が…今より強くなって……テメェより強くなって今度は俺様がテメェの護衛になってやる!」
──自分で何を言っているのか訳が分からなかった。ヒルデの言葉の返事をしたかったのに、言いたい事が頭の中でぐちゃぐちゃしていて、まとまらない。ザードはどうしようもなくなり、視線をずらして押し黙るしかなかった。
「…ふふっ、そっか」
さわさわと耳障りの良い森の静けさの中、沈黙を破ったのはヒルデだった。
ザードが視線を戻すと、顔をほんのり赤らめているヒルデが映った。
「期待しないで待ってるよ、黄金のドラゴンさん」
そう言うと、ヒルデは足取り軽やかに歩き出した。ザードは一瞬頭の中を真っ白にしたが、すぐにその後を追う。
二人の笑い声が森に木霊した。
ヒルデは遥か上を見上げて少し興奮したように言った。
視線の先…常人では到底無理な高さの枝がバッサリ切り取られている。先程ザードが、まるで風のように翔んだ結果だ。
ザード自身も己の力に驚きを隠せなかった。
「お…俺様が本気を出せばこの位ワケないぜ!ふんっ!見たか!どうだ!見直したか!」
「うん、見直した」
ヒルデはザードの威張りに素直な笑顔を浮かべた。その反応に一瞬固まるザードは声を上擦らせつつ、顔の紅潮を隠すように背を向けた。
「…そっ…そろそろ帰るぞ!テメェに付き合ってると疲れるんだよ!」
「あ、ちょっと待ってよ!コラ、ザード!」
ズカズカと歩き出したザードを追いかけるヒルデは笑い、横に並ぶと顔を覗き込んだ。
「顔が真っ赤だけど、大丈夫?」
「な、そんなことねぇよ!これが俺の通常じゃい」
「ふーん」
含んだような返しをすると、ヒルデはそれ以上は突っ込まずにザードの横を黙って歩いた。
森の爽やかな空気と木々が揺れる音、そしてザードとヒルデの足音が周囲を包む。並んで歩く二人は傍から見ればただの少年と少女なのだが──それぞれに装備した剣が光に反射して鈍く光る。隣同士少しだけ距離が離れているのも、甘酸っぱい理由ではなくお互いの武器を抜いた時にぶつからない為──なのかもしれないと察せられ、ただの子供なのではなく鉄の匂いを纏わせた"戦士"なのだと理解させられた。
「ザードが翔んだとき、私昔読んだ本思い出しちゃったんだ」
今まで黙って歩いていたヒルデは立ち止まり、突然言った。ザードも進むのを止めて、不思議そうな表情をしながらヒルデへ振り返る。
「その本には竜が出て来るんだけど、その竜は太陽の光に当たると黄金に輝くの」
そこで一旦切ると、ヒルデは目を細めてザードの髪に触れた。
草木が揺れる──
「ザードの髪って、光に当たると金に見えるでしょ?だから、翔んだ時…凄く綺麗でさ、まるで竜が空高く舞ってるみたいだった」
──お前だって綺麗だ。
ヒルデの笑顔にザードもそう言い返そうとしたが、言葉に出来なかった。茹でた後のように真っ赤になって、口に詰まる。ザードはそれでも必死に声を絞りだした。
「俺が…今より強くなって……テメェより強くなって今度は俺様がテメェの護衛になってやる!」
──自分で何を言っているのか訳が分からなかった。ヒルデの言葉の返事をしたかったのに、言いたい事が頭の中でぐちゃぐちゃしていて、まとまらない。ザードはどうしようもなくなり、視線をずらして押し黙るしかなかった。
「…ふふっ、そっか」
さわさわと耳障りの良い森の静けさの中、沈黙を破ったのはヒルデだった。
ザードが視線を戻すと、顔をほんのり赤らめているヒルデが映った。
「期待しないで待ってるよ、黄金のドラゴンさん」
そう言うと、ヒルデは足取り軽やかに歩き出した。ザードは一瞬頭の中を真っ白にしたが、すぐにその後を追う。
二人の笑い声が森に木霊した。
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