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第54話 蠢動
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暗黒の霧に包まれた城の中で、ザーベナルトは部下の報告を受けていた。
バルグレンの指図でアーフェンガルドに向かった魔物の軍団に、偵察能力のある翼獣・カノーラを複数紛れ込ませていたのである。
カノーラは平原の戦いの一部始終を見届けていた。
「クックックッ。バルグレンの奴め、まんまとしくじりおったわ。それにしてもあの軍勢を一時は抑え込むほどの魔法陣を作れる魔法使いが、人間どもの中にいるとはな」
「はい。その魔法使いはリーゼロッテ・フォン・ローエンベルンと言い、人間の間では『魔女』と恐れられているそうです」
「ローエンベルンか……その名前、覚えておくとしよう。他にわかったことは?」
カノーラは仕入れた情報を余すところなく上司に伝えた。
「その他、赤い髪の女騎士の名はアリア・ベルヴァルト。黒髪の異国の女はタカクラ・ミサキというそうです。いずれも若いですが、かなりの手練れです」
この報告に、陰気な魔導士はやや喜びの表情を見せた。
「ついに女どもの名前が分かったか。よくやったぞ。奴らを殺すか捕らえるかすれば、魔王様はさぞお喜びになるだろう」
ザーベナルトは暗い笑いを室内に響かせた。
「お前たちは女どもから目を離すな。奴らの行動を逐一報告するのだ」
言い終えるとザーベナルトは、ライバルの失態を耳打ちすべく主の元へ急いだ。
「なるほど、見事に仕損じたようだな、バルグレンよ」
「面目次第もございません。まさかあの女たちがこれほどの実力とは」
魔王の叱責は一見穏やかに聞こえるが、そんな時ほど怒りの度合いは深いということを、側近たちは知っている。
跪くバルグレンは一層頭を下げた。
「しかもついに奴らと人間どもが手を組んだと言うではないか。お前が昔聞きかじった話が本当だとしたら、これで例の緋色の髪の女騎士とその仲間が天が遣わしたという守護聖女とやらであることはほぼ間違いあるまい。そうだな? ザーベナルトよ」
「はっ。ご明察の通りでございます。あれほどの軍勢を退けるとは並みの人間ではありませぬ」
ザーベナルトは魔王の顔を上目遣いに窺いながら、ここぞとばかりにおのれの策を提示した。
「しかしながら魔王様、わたくしの部下が奴らを監視しております。刺客を送れば隙を突いて女どもを永遠に黙らせることが出来るでしょう」
「うむ。よかろう、女どもの始末をお前に任せる。しくじるなよ」
「ははっ」
悔しそうに顔を歪めるバルグレンを置いて、ザーベナルトは自室へと下がって行った。
出発は明日と決まり、ランドリオンとの打ち合わせを終えたアリアが自分の部屋に戻ると、ベッドにはワインボトルとゴブレットを持った魔法使いが寝そべっていた。
何やら酒臭い匂いがする。
「どうしたのよ、一体。ずいぶん酔ってるのね」
アリアは見下ろして語りかけた。
「どうもこうもないってのよ。何なのよあのエルフ野郎。勝手なことほざいちゃってさぁ」
「あなたのご先祖さまっていう話?」
椅子に腰かけながら聞いた相棒に、魔法使いは不満をぶちまけた。
「そうよ。何だってのよアイツさぁ。ふざけんじゃないわよ、だーれがエルフだってのよ」
かなり荒れている。
「別に気にしなくてもいいんじゃない?」
アリアはわざと明るく言った。
「ご先祖様って言っても千年前の話でしょう? もうほとんど関係ないんじゃない? 貴女は貴女なんだし」
そう言って立ち上がると大きく伸びをした。ビキニアーマーに覆われてはいても、形の良い胸が盛り上がる。
ベッドで仰向けになってふて腐れていたリーザの目が鋭く光る。
そうとは知らず、アリアは前屈みになり無防備に丸い尻を魔法使いに晒した。
尻の割れ目に食い込んだ赤いショーツがリーザの欲情をかき立て、酔った目が妖しく煌めきだした。
リーザは本能に忠実な女だった。ましてや、これほど魅力的な相手はかつて見たことがない。緋色の髪、涼し気な目元、桜色の唇に揉み心地の良い胸、そしてあふれる蜜壺。
それらは完璧にリーザの心を捉えて離さなかった。
かねて用意していたあるモノを試す良い機会だと判断したリーザは、着替えようと衝立の向こうに消えたアリアを背後から襲うことにした。
半裸の背中が眩しいほどに美しい。細くくびれた腰と丸い尻が艶めかしいが、リーザが殊更に魅力を感じたのは、髪を持ち上げた時にアリアが見せたうなじと肩甲骨だった。
「ああっ、もう我慢できない♡」
足音を忍ばせて近づくと、リーザはビキニアーマーの胸を後ろから両手で掴んだ。
「キャアアアッ!」
悲鳴を上げて驚く相棒の耳元で、魔法使いは囁いた。
「ダメねぇ。高名な女騎士様が素人に後ろをとられてるようじゃ」
「リ、リーザ、何なのよいきなり」
「あら冷たいわね。最近忙しかったからさぁ、ずいぶんご無沙汰じゃない? 私たち」
そう言ってアリアのうなじにキスをした。
そのまま両手をビキニアーマーのブラの中に滑り込ませる。
「やっ、あんっ♡ ダメよいきなり……」
愛しい女騎士が漏らす吐息を聞きながら、リーザは温かく柔らかな二つの山を握る手に力を少し加えた。
もう一度うなじに軽くキスをすると、アリアはさらに熱い息を吐いた。
バルグレンの指図でアーフェンガルドに向かった魔物の軍団に、偵察能力のある翼獣・カノーラを複数紛れ込ませていたのである。
カノーラは平原の戦いの一部始終を見届けていた。
「クックックッ。バルグレンの奴め、まんまとしくじりおったわ。それにしてもあの軍勢を一時は抑え込むほどの魔法陣を作れる魔法使いが、人間どもの中にいるとはな」
「はい。その魔法使いはリーゼロッテ・フォン・ローエンベルンと言い、人間の間では『魔女』と恐れられているそうです」
「ローエンベルンか……その名前、覚えておくとしよう。他にわかったことは?」
カノーラは仕入れた情報を余すところなく上司に伝えた。
「その他、赤い髪の女騎士の名はアリア・ベルヴァルト。黒髪の異国の女はタカクラ・ミサキというそうです。いずれも若いですが、かなりの手練れです」
この報告に、陰気な魔導士はやや喜びの表情を見せた。
「ついに女どもの名前が分かったか。よくやったぞ。奴らを殺すか捕らえるかすれば、魔王様はさぞお喜びになるだろう」
ザーベナルトは暗い笑いを室内に響かせた。
「お前たちは女どもから目を離すな。奴らの行動を逐一報告するのだ」
言い終えるとザーベナルトは、ライバルの失態を耳打ちすべく主の元へ急いだ。
「なるほど、見事に仕損じたようだな、バルグレンよ」
「面目次第もございません。まさかあの女たちがこれほどの実力とは」
魔王の叱責は一見穏やかに聞こえるが、そんな時ほど怒りの度合いは深いということを、側近たちは知っている。
跪くバルグレンは一層頭を下げた。
「しかもついに奴らと人間どもが手を組んだと言うではないか。お前が昔聞きかじった話が本当だとしたら、これで例の緋色の髪の女騎士とその仲間が天が遣わしたという守護聖女とやらであることはほぼ間違いあるまい。そうだな? ザーベナルトよ」
「はっ。ご明察の通りでございます。あれほどの軍勢を退けるとは並みの人間ではありませぬ」
ザーベナルトは魔王の顔を上目遣いに窺いながら、ここぞとばかりにおのれの策を提示した。
「しかしながら魔王様、わたくしの部下が奴らを監視しております。刺客を送れば隙を突いて女どもを永遠に黙らせることが出来るでしょう」
「うむ。よかろう、女どもの始末をお前に任せる。しくじるなよ」
「ははっ」
悔しそうに顔を歪めるバルグレンを置いて、ザーベナルトは自室へと下がって行った。
出発は明日と決まり、ランドリオンとの打ち合わせを終えたアリアが自分の部屋に戻ると、ベッドにはワインボトルとゴブレットを持った魔法使いが寝そべっていた。
何やら酒臭い匂いがする。
「どうしたのよ、一体。ずいぶん酔ってるのね」
アリアは見下ろして語りかけた。
「どうもこうもないってのよ。何なのよあのエルフ野郎。勝手なことほざいちゃってさぁ」
「あなたのご先祖さまっていう話?」
椅子に腰かけながら聞いた相棒に、魔法使いは不満をぶちまけた。
「そうよ。何だってのよアイツさぁ。ふざけんじゃないわよ、だーれがエルフだってのよ」
かなり荒れている。
「別に気にしなくてもいいんじゃない?」
アリアはわざと明るく言った。
「ご先祖様って言っても千年前の話でしょう? もうほとんど関係ないんじゃない? 貴女は貴女なんだし」
そう言って立ち上がると大きく伸びをした。ビキニアーマーに覆われてはいても、形の良い胸が盛り上がる。
ベッドで仰向けになってふて腐れていたリーザの目が鋭く光る。
そうとは知らず、アリアは前屈みになり無防備に丸い尻を魔法使いに晒した。
尻の割れ目に食い込んだ赤いショーツがリーザの欲情をかき立て、酔った目が妖しく煌めきだした。
リーザは本能に忠実な女だった。ましてや、これほど魅力的な相手はかつて見たことがない。緋色の髪、涼し気な目元、桜色の唇に揉み心地の良い胸、そしてあふれる蜜壺。
それらは完璧にリーザの心を捉えて離さなかった。
かねて用意していたあるモノを試す良い機会だと判断したリーザは、着替えようと衝立の向こうに消えたアリアを背後から襲うことにした。
半裸の背中が眩しいほどに美しい。細くくびれた腰と丸い尻が艶めかしいが、リーザが殊更に魅力を感じたのは、髪を持ち上げた時にアリアが見せたうなじと肩甲骨だった。
「ああっ、もう我慢できない♡」
足音を忍ばせて近づくと、リーザはビキニアーマーの胸を後ろから両手で掴んだ。
「キャアアアッ!」
悲鳴を上げて驚く相棒の耳元で、魔法使いは囁いた。
「ダメねぇ。高名な女騎士様が素人に後ろをとられてるようじゃ」
「リ、リーザ、何なのよいきなり」
「あら冷たいわね。最近忙しかったからさぁ、ずいぶんご無沙汰じゃない? 私たち」
そう言ってアリアのうなじにキスをした。
そのまま両手をビキニアーマーのブラの中に滑り込ませる。
「やっ、あんっ♡ ダメよいきなり……」
愛しい女騎士が漏らす吐息を聞きながら、リーザは温かく柔らかな二つの山を握る手に力を少し加えた。
もう一度うなじに軽くキスをすると、アリアはさらに熱い息を吐いた。
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