Trade Secret R ~ やがて、あの約束へ ~

あたか

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第1幕 企業研修編

第4章 日英対抗、枕合戦②

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一方、侑斗ゆきととサルヴァトーレは部屋にいた。


「……なんで、お前と部屋まで一緒なんだ」


「ふふっ、仕方ないだろ。二人一部屋だ。晩飯は食べないのか?」


そう言いながら、侑斗ゆきとは布団を敷いていた。

木造建ての簡素な宿泊棟は、元は企業の保養所として使われていたものらしい。

和室の床は年季の入った畳の香りがほんのり漂い、天井には小さな丸型の照明がぶら下がっていた。

押し入れの中から引っ張り出した敷布団を畳に並べると、室内の大半が寝床に埋まってしまう。

窓の外には静かな森が広がり、虫の声がかすかに聞こえる。

都会の喧騒とは無縁のこの場所には、どこか懐かしいような、妙な静けさがあった。


「ここの飯は口に合わない。なんで、日本人がカレー振舞ってるんだ。クリスマスといい、ハロウィンといい異文化のサラダボウルだな、この国は。文化を尊重するふりして、ただの季節イベントと化してる。もはや文化が商売道具だろ」


ここまで日本を的確に皮肉ってみせる高校生も、そうはいない。

すると、侑斗ゆきとが少しだけ悪戯っぽく笑ってこう言った。


「じゃあ、日本らしいものを食べてみる?」


「…………?」


「これ、一緒に食べよう。家から持ってきた」


必要最低限以外のものは、この企業研修には持ってきてはならないルールだ。

「内緒だよ」と言うと、侑斗ゆきとが日本の伝統菓子が入った箱を開けた。

来日してまだ日が浅い、サルヴァトーレは初めて見た。


「……何だこれは?」


「いいから、口を開けて。美味しいから」


そう言って、侑斗ゆきとが彼の口に和菓子を手で運ぶ。

その瞬間、彼の唇にそっと触れた。

女子が見ていれば、確実に悲鳴を上げていたであろう、美しすぎる構図だった。

あるいは、そんな瞬間があったことなど、彼らは自覚していないのかもしれない。

わずかに触れた。

サルヴァトーレの目が少し見開かれた、その瞬間だった――。
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