世界の花嫁と世界の王

蒼葉縁

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2.夜の女王と夜の子

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段々と明るい空は暗くなって行く
それに連れ、子供らも眠そうにぐずり始める
子供らは布団へ入るとすぐ寝息を立てた
私とレオと院長殿はまだ起きている
「君達はまだ寝ないのかな?」
「院長殿、今日は少し予定がある」
「夜の女王」
私とレオの言葉に院長殿は固まった
そりゃ、そうだろう
何故ならといえば夜の女王は院長殿のことをえらく気に入っている
一度会わせた時、院長殿が子供の様に見えたのだ
院長殿は今年で三十代だが童顔だから仕方のない事である
院長殿は寝るよとだけ言って寝室へと向かった
「さて、夜の女王への贈り物は何にしようか」
「?」
レオはわかっていない様だ
今日は何故、会おうとしているのかを
「くく、レオ」
「何?」
私はレオを見つめる
「夜の子と聞けば分かるだろう?」
「それはめでたいな」
夜の女王は生まれたての我が子を見せに来るのだ
夜の女王は美しいし、夫も顔が整っている
生まれ子もさぞかし美しいだろう
「では行くか」
「うん」
私とレオの姿が施設から消える
着いたのは深い深い森の奥
「夜の女王、来たぞ」
「来たよ」
レオは人と接する時は口数の少ない奴だが妖達の前では口数は多い
普段閉じている森の扉が開いた
私達が中に入るのは大丈夫たが、人の子ではきっと身体が保てない
「夜の女王、おめでとう」
私はそっと夜の女王の額に口づけを落とす
「ふふ、世界の花嫁に祝福されるなんて嬉しい限りよ」
夜の女王は嬉しそうにしている
「夜の女王への贈り物を僭越ながら私達が選びました」
夜の女王は嬉しそうにレオからものを受け取った
「これは、とても素敵ね」
「それを素敵というか、やはり夜の女王は面白いな」
夜の女王は嬉しそうに精霊の喜ぶおもちゃを持っている
「夜の子は何処だ?」
「私の後ろにいるわ」
夜の女王の後ろに隠れている人の子ら、要するには一歳くらいと同じ大きさの子供がいた
「母様」
「なぁに?照れてるの?」
夜の子はもじもじとしている
私とレオは微笑みながらそれを見ていた
「僕、ティオ」
「良い名だな」
ふわりと夜の子の頭を撫でる
夜の子は嬉しそうに私の手に擦り寄った
「夜の子よ、君はどんな夢を持つ?」
「お前の夢を教えておくれ」
「僕、は母様と父様の様な立派な王になりたい!」
夜の子の輝いている瞳を見て、私とレオは心から喜んだ
「そうか、では夜の子」
「君に幸を贈ろう」
私とレオはそっと夜の子の額に口づけを落とす
夜の女王は幸せそうに我が子を抱きしめる
「しかし、あの馬鹿は何処にいる」
宴も終わりに近付くが、一向に夜の王が見えない
「おりょ?俺を呼んだ?」
「呼んだ?ではないぞ、この馬鹿者」
夜の王の額をデコピンする
夜の王は額に手を当て、笑っていた
「俺達のティオは可愛いだろ?」
「流石は夜の子だ、あれはいい王になる」
「君が言うならそうだろうな!」
宴が終わり、夜の子は寝ていた
夜の女王と夜の王は互いに寄り添い、手を振る
「次は君たちの子を見せてくれるかい?」
「くく、いつかな」
「それでも待つわ」
「ルカ、そろそろ行こう」
レオは私の手を握ると進んでいく
森の扉が閉まり、私はそっと空を見る
空は少し明るくも暗いままだ
「ルカ」
「なんだ」
不意にレオが振り返る
レオは私の口にキスをすると、微笑んだ
「君が望むなら、俺は叶えるよ」
「っ!?ば、馬鹿か!?」
まだ森を抜けていないレオは口数が多い
私はそんなレオも好きだと思う
惚気ではないがな
「夜明けまで、休もう」
「そうするか」
それぞれの部屋へ行こうとしたが、手を離さないレオ
私は察して、離れようとした
「ん」
「何故」
腕を広げるレオに私は戸惑う
「ん!」
「~~~!?」
痺れを切らしたレオに抱き締められ、私は尚更戸惑った
けど、レオの甘い匂いに眠気が来る
「おやすみ」
額に感じる暖かい温もりに私は微笑んだ
「姫様~ってあらあら」
ミーナは私とレオが寝ているのを見て、微笑む
翌朝となり、私はレオの腕の中から抜け出す
「ルカ」
「起こしたか?」
ぐぬぅとした顔をしているレオに抱き締められつつも私は部屋を出る
洗顔するとレオも目を覚ました
「院長殿はいつ起きるのだ」
「三時かな?」
その時刻はまだ私さえ寝ている
私は院長殿の笑みに何もいえず、挨拶はした
庭園へ向かうと、レオがついてくる
「久しい」
「そうだろうな」
レオの姿を見た精霊と動物達は嬉しそうだ
私も微笑ましい
お茶会を少しして、私達はまた院長殿の元へと向かった
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