神妖恋物語

蒼葉縁

文字の大きさ
6 / 7

伍.恋とは何か愛とは何か

しおりを挟む
それは突然の事だった
天音が風邪をひいて寝込んでいる
その時に私は薬を飲まそうとした
そう、飲まそうとした
その時
私の腕を引っ張り、口付けをされた
「んん!?」 
「時雨………」
とろける様な焼ける様な目で見られる
私は押し返そうとしたが深くなる口付けに戸惑い力が出ない
「ん、く、」
「時雨、好きです」
真っ白になる頭のどこかでその言葉が聞こえた
好き?
とはなんじゃ
息ができなくて意識を閉ざす
次に目を覚ますと天音と寝ていた
口付けは夢だったのかと思いながら、ベッドから出る
「起きましたか?」
「うむ、起きたぞ!体調はどうじゃ?」
私はにこりと微笑みながらそう言うと
天音は拗ねていた
「どうしたのじゃ?」
「時雨、好きです」
ドクンと胸が熱くなる
そして音を立てていた
まさか
あれは夢じゃなく?
「なので、俺と付き合ってくれませんか?」
そう言われ、私は黙り込む
「私は恋とか好きがわからんのじゃ………」
「ならその気持ちを芽生えさせますね」
それから天音は私にやたら恋を教えようとした
だが
私はそれを聞いても首を傾げるばかり
だが
一つわかったのは
天音といると楽しいことだった
好きがわからなかった
「あま、ね」
ただ、分からないだけだった
天音と仲良さそうに話している女の子を見て胸が苦しくなった
何故?
パニックになりながらも外に走り出る
涙が止まらない
いきなりすぎて追いつかない
天音の楽しそうな顔が
あの子に向いていると思うと嫌で仕方ない
怖くて仕方ない
私はこの感情になんて付ければいいのだろうか
「………っ」
私はこんな自分が嫌いになりそうだ
私は結界を作り、中に入る
外からは見えない
黒い塊となる
落ち着くまでこうして居たい
「………何をしているのですか?時雨」
なのに
天音は来てしまった
「何でもないのじゃ」
私は冷たいことを言う
天音の足音が遠ざかる
あぁ、これでいいのだと思った
天音よ、幸せになれ
そう思って涙を静かに流した
しばらく泣き疲れて寝て居たのか
私から視える外は夕方になって居た
このまま夜になるまでいよう
私はそう考えもう一度結界を張り直す
すると
中に入ろうとした時引き寄せられる
慌てて結界の中に入ると目の前に天音がいた
「!?」
出ようと振り返るとそのまま引き寄せられる
心臓の音がうるさい
まるで耳の近くにある様だ
「時雨、離れてかないでください」
「っ………」
私は黙る
「離れはせんよ」
それだけ言って黙ったままでいると天音が言い出した
「何故、教えてくれないのですか」
「………え?」
教えてくれない?
何をじゃ?
私は考え込む
「貴方は俺の事をどう思っているのです」
「それは………」
私は伝えていいのか
怖くなった
「何でも受け止めますから」
「っ、………それは」
私は今までのことを全て話した
嫌だったことも
胸が苦しくなったことも
涙が出たことも
全て
そしたら
天音は嬉しそうにして居た
「何故、嬉しそうなんじゃ」
私はむすっとする
「それが好きなんですよ」
「は?」
好き?
この複雑なものが?
「俺は時雨しか好きじゃない、それにあの人は俺にプリントを渡しに来てくれただけです」
「は?………ぁ、帰、帰ろう」
私は真っ赤になり、逃げようとした
それを見逃すほどの男ではない天音は私を抱き寄せる
「言い逃れは酷いですよ」
「う、………」
私は天音の方を向く
天音は嬉しそうに私の頬を撫でる
「本当はね」
天音に口付けをされる
貴方が私の事を好きだと言ってくれて
貴方が振り向いてくれて
「心から幸せなんですよ?」
「う~~~」
二人で抱き寄せ合っていると
結界が時間によって解ける
私と天音は同時に
「帰ろう」
「帰りましょうか」
と手を繋いだ
今度は
恋人として
好きな気持ちを通じ合った者として
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

処理中です...