神妖恋物語

蒼葉縁

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伍.恋とは何か愛とは何か

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それは突然の事だった
天音が風邪をひいて寝込んでいる
その時に私は薬を飲まそうとした
そう、飲まそうとした
その時
私の腕を引っ張り、口付けをされた
「んん!?」 
「時雨………」
とろける様な焼ける様な目で見られる
私は押し返そうとしたが深くなる口付けに戸惑い力が出ない
「ん、く、」
「時雨、好きです」
真っ白になる頭のどこかでその言葉が聞こえた
好き?
とはなんじゃ
息ができなくて意識を閉ざす
次に目を覚ますと天音と寝ていた
口付けは夢だったのかと思いながら、ベッドから出る
「起きましたか?」
「うむ、起きたぞ!体調はどうじゃ?」
私はにこりと微笑みながらそう言うと
天音は拗ねていた
「どうしたのじゃ?」
「時雨、好きです」
ドクンと胸が熱くなる
そして音を立てていた
まさか
あれは夢じゃなく?
「なので、俺と付き合ってくれませんか?」
そう言われ、私は黙り込む
「私は恋とか好きがわからんのじゃ………」
「ならその気持ちを芽生えさせますね」
それから天音は私にやたら恋を教えようとした
だが
私はそれを聞いても首を傾げるばかり
だが
一つわかったのは
天音といると楽しいことだった
好きがわからなかった
「あま、ね」
ただ、分からないだけだった
天音と仲良さそうに話している女の子を見て胸が苦しくなった
何故?
パニックになりながらも外に走り出る
涙が止まらない
いきなりすぎて追いつかない
天音の楽しそうな顔が
あの子に向いていると思うと嫌で仕方ない
怖くて仕方ない
私はこの感情になんて付ければいいのだろうか
「………っ」
私はこんな自分が嫌いになりそうだ
私は結界を作り、中に入る
外からは見えない
黒い塊となる
落ち着くまでこうして居たい
「………何をしているのですか?時雨」
なのに
天音は来てしまった
「何でもないのじゃ」
私は冷たいことを言う
天音の足音が遠ざかる
あぁ、これでいいのだと思った
天音よ、幸せになれ
そう思って涙を静かに流した
しばらく泣き疲れて寝て居たのか
私から視える外は夕方になって居た
このまま夜になるまでいよう
私はそう考えもう一度結界を張り直す
すると
中に入ろうとした時引き寄せられる
慌てて結界の中に入ると目の前に天音がいた
「!?」
出ようと振り返るとそのまま引き寄せられる
心臓の音がうるさい
まるで耳の近くにある様だ
「時雨、離れてかないでください」
「っ………」
私は黙る
「離れはせんよ」
それだけ言って黙ったままでいると天音が言い出した
「何故、教えてくれないのですか」
「………え?」
教えてくれない?
何をじゃ?
私は考え込む
「貴方は俺の事をどう思っているのです」
「それは………」
私は伝えていいのか
怖くなった
「何でも受け止めますから」
「っ、………それは」
私は今までのことを全て話した
嫌だったことも
胸が苦しくなったことも
涙が出たことも
全て
そしたら
天音は嬉しそうにして居た
「何故、嬉しそうなんじゃ」
私はむすっとする
「それが好きなんですよ」
「は?」
好き?
この複雑なものが?
「俺は時雨しか好きじゃない、それにあの人は俺にプリントを渡しに来てくれただけです」
「は?………ぁ、帰、帰ろう」
私は真っ赤になり、逃げようとした
それを見逃すほどの男ではない天音は私を抱き寄せる
「言い逃れは酷いですよ」
「う、………」
私は天音の方を向く
天音は嬉しそうに私の頬を撫でる
「本当はね」
天音に口付けをされる
貴方が私の事を好きだと言ってくれて
貴方が振り向いてくれて
「心から幸せなんですよ?」
「う~~~」
二人で抱き寄せ合っていると
結界が時間によって解ける
私と天音は同時に
「帰ろう」
「帰りましょうか」
と手を繋いだ
今度は
恋人として
好きな気持ちを通じ合った者として
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