漆黒の獣は吠える

月の蛍

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ギルドとレインと共に歩いていると霧が濃くなる
「ふん、霧の里か」
本で読んだことがあった
霧に包まれる里があると
ギルドとレインは珍しい物を見る目で見ていた
「耳を押さえておいで」
私の言葉に二人は大人しく耳を塞ぐ
「ガオオオオオオオオオオオオオ!!!」
霧を晴らすと大勢の里の者が此方に刃を向けていた
ギルドは剣を向ける
レインは街から来るときに教えてきた短刀を向けた
私は人型になり里の者を見つめる
「この里の主を呼べ」
私の言葉に吠える里の者共
「何故、貴様らに主を呼ばねばならぬ」
そんなの分かっているだろう
「お前らでは私に勝てるわけはない」
里の者共は弓矢を飛ばして来る
ギルドがその弓矢を振り払い落とす
レインは短刀で防いだ
私は全てを避ける
里の者共は手持ちの弓矢がないのか諦めた
「中に参れ」
私は欠伸をしながら里の者についていく
ギルドもレインも後ろから付いてきていた
はずだった
だが私の背中には温もりがない
「貴様ら死にたいのか?」
ギロリと睨む
「っ!?」
里の者共は皆固まる
私の殺気に当てられ鎮まる者もいた
「これくらいので倒れるとは情けない」
私の両手には気絶した女の二人
「ふん」
私は二人を抱き上げて運ぶ
里の者共は優しく私から二人を取り上げる
「私は何もせんよ、だから二人を返して貰おうか」
鋭い目つきで睨む
里が震える
「「バロン!!」」
二人は私に抱き付いて嬉しそうに名前を呼ぶ
「お前らには危機感はないのか」
私は呆れたように溜息を吐いた
「お話中済まないが」
一人の女が私の方へ来る
「お前か主よ」
私は女を見つめた
女は頷き、微笑む
「この者達が済まないがお前達は何者だ?」
女は私たちを見つめたままでいた
「分かっているだろう」
私の言葉に女は笑い
「フ、レインとやらは貴族ギルドとやらは炎と雷の族」
二人は頷く
「お前は魔法使いの族だろう?」
私は笑った
「ご名答」
女は目を見開き固まる
「美しい」
そう言って女は頭を下げた
「是非我もつい行かせてはくれぬか?」
女は頭を下げたままそう言う
私は静かに
「名はなんと言う」
と言うと女はキラキラとした目を向けて
「ランギョク・ミハトとゆう」
「ミハト、主はこの行先その両手を血で濡らしても構わぬか」
私の目を見つめミハトは静かに両手を見る
そして
「あなたが望むなら」
と微笑んだ
私はそっと目を閉じて獣の姿になる
レインは待っていたかのように私の背中に乗った
「さらばじゃ、皆のもの!」
「いつでもおいでませ!」
ミハトも女
私も女だがレインの前に乗せた
「ギルドは大丈夫か?」
ギルドを見るとギルドは汗を拭き
「お前に心配させられねぇよ」
と笑っているが疲れている
私は有無を言わさず背中に放り投げた
「寝ていろ」
私は走り出す
次への街へと向けて
その先に待つ者のために
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