ガーディアンと鎧の天使

イケのモ

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家出王子捜索隊

5話 クラウン

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 馬車に揺られながら正面の席に座る強力な一撃で自分を気絶させた黒目黒髪の美少女を見て、その次に自分の隣に座る黄金の鎧に目を向ける。
 この二人に常に見られながらここ二日をともにしてきたことにため息をつく。背の方馬車を操縦しているおじさんから

「もうすぐ目的地の村につきますのでもう少しの辛抱ですぞ」

 と言われる。
 おそらくこの二人ではなく初日に「馬車に乗るのは初めてです」と言ったから自分に気を使ってくれているのだろう。
 なんでこうなったのか目を覚ましたところから思い出す。



「ふぁーっ…ふぇ?」

 目が覚めるとそこは高級ホテルの一室みたいな場所であった。
 やたらと天井が高い部屋、床面積の中でベットの占める割が多めであるということが一番最初に思ったことである。

「えっ!?俺のパジャマ?はえ?」

 この世界で目覚めた時に着ていたいつもの寝巻きではなく肌触りがいいシルク?の寝巻きになっていた。


 少し落ち着いて状況が未だに理解できていない。
 誰かいないかベットの上から声を掛けるが返事は無い。部屋を出て誰かいないかを探しに行く事を決意する。
「あの腹部に強力な一撃を貰ってぇ?痛くない?」

 確かに一撃を貰って気絶した筈だよなと思い出しながら腹部をさすりながら部屋をでる。

 部屋を出るとすぐ目の前に大きな扉があることに気が付く。大きな扉の前の短い通路を歩き、目の前にあるのは大きな円卓に金か銀、多くは大理石でできた材質以外は大体同じデザインの椅子が配置されていた。
 今いる場所から見える一つだけ大きくデザインの違う玉座と思われる椅子をなんとなく正面側から見たいと思い移動する。
 正面に移動するまで椅子のデザインに材質以外の違いに気が付く。
 それぞれ背もたれの裏に球、十字?ニードル。二つの剣などのシンボルの様な物がある。


 玉座正面の大理石で出来た椅子にたどり着く。大理石で出来た弓のシンボルの椅子と金で出来た馬上槍のシンボルの椅子に挟まれた大理石で出来た盾のシンボルの椅子に何かに惹かれるかのように座る。
 座り心地は良く、正面の玉座と思われる椅子を見つめているとまだ寝足りないのかウトウトし始める。

「ふぁー、眠い」

 眠気に誘われるがままに再び眠ってしまう。




 家出したランスが戻って来たと言う事で本当は家族全員で説教をしたいが父も伯父達もいなかったとは言え、城にいる兵士、契約武器持ち達、ガーディアン達をそして何より私たち兄弟を突破して家出した弟である。
 暴れるのならば即座にその鎧を打ち砕く、ブレイクさせるために契約武器持ちとガーディアンの姫や王子、伯父、父で会う事となった。

「それにしてもあのランスをよく捕まえたなソード、ホーリー」

 ガタイの良い若い男がソードとホーリーに話を振る。

「バレット兄様。いつもならば私がついた時にはもういないのですが、ホーリー・レイにて動きを止められずソードが気絶させてくれたので捕まえることができました」

「私、ホーリーの力が効かなかった。無数の剣を宙に浮かせていたなど捉える時に色々気になる事がありましたので聞くべきことを聞いた後でランスに尋ねたいことが多くあります」

 バレットの質問に対してソードとロッドがそう言うと三人の後ろについて歩く白と黒の少女の内白い少女がソードに向かって。

「内容はともかく…聞きたいことがたくさんあるのはみんなそうでしょう」

 黒い少女が続けて。
「姉様が居なかったとは言え、私達二人を出し抜くなんてね。あの時は驚いたわ」

 あの時なぜ突破されたのか一番の原因である二人に対してソードが呆れ気味に。

「ダガー姉様、サイズ姉様のお二人がブック姉様の元に行ったから突破されたんですよ」

 ダガーとサイズはお互いの肩と頭をくっ付けて。
「「三つ子だから三人一緒にいたいじゃーん」」

 三人一緒にいないと、離れた場所にいる姉妹の元へ誰にも聞かないでしかも見知らぬ土地であってもたどり着くと言う特技を持つ三つ子の姉達に対していつも通りソードは。

「だいたい三つ子だ」
「「そんな事ないもん」」

 ソードはだいたい三つ子だから三人一緒にいなくても良いのではと言おうとしたが遮られる。
 いつものことなので諦める。


 ランスを捕まえるまでの道中などを話しながら歩いていると座の室前にたどり着くとそこには唯一の出口を押さえている伯父のムテキと父のクラウンがいる。

「来たか。ふむ、リンク、クラウン」
 フリー家の一代目の鎧にして十三代目の鎧である威風堂々としたその姿形は鎧の王とはこの通りであろうと称えられる赤と金の王の鎧に包まれる。

「リンク、ムテキ」
 この国の最強の鎧にしてこの国この世界の最強の鎧。神と共に現れた鎧の内一つと伝え聞く。青紫と銀の色をした鉄の体を持つ人型の龍が現れる。

 それを見て姫、王子・王女達はそれぞれ鎧を持つ者は鎧に、契約武器を持つ者はその手に握る。
 それを見てクラウンは。

「ふむ、行こうか」


 扉が開かれると一斉に王子、王女達が入り込みそこには一時的に大理石から金へと変化したであろう王の席の真正面。かつて前王と次王その空白期、二つの歴史の間にのみ座る者を選ばなかったが前王の時代からの英雄がかつて座っていた席を見る。
 あのランスが好んで座る、ランス自身の本来の席の隣見て、まだ逃げ出していない事と久々に見る光景に懐かしさを感じる。 
 だが、相手はあの弟だ。警戒して近づく。

 ディスティニー伯父様が着せた寝巻き姿で前王の時代からの英雄デスティニー伯父様の席だった。
 他の席に認められた黄金に定められ一時的に黄金と化したシールドの席で眠るランスの姿があった。
 警戒は解かないがすやすやと眠る弟の姿をみんなで囲んで懐かしい顔を見ていると目が覚め突然立ち上がる。
 
「リンク」

 リンク、ジョーカーと呟き、鎧を纏うと同時にその鎧をブレイクさせるための一撃を繰り出す準備をする。

「エース」

 弟の鎧、懐かしい輝きを放つがまったく違う形、銀騎士の鎧が現れる。


 「「「「え?」」」」

 その光景に双方驚く。王様達は子、兄弟の鎧ではないガーディアンに対して、智は視界の隅に入った金色を寝起きで頭の回転が追い付かないで見てエールと勘違いをしたがすぐに追いつき、まったく別の鎧と周りをなぜかまた囲まれていることに。

 膠着状態が一分くらい続いたが、先に動いたのは智の方だ。



「アウトー…エース…えーと…そのー…すみません?」

 聞こえるか聞こえないかくらいの小声で
「なんで…えー」

 両手を軽く上げて困惑した表情で謝るランス?
 ソードがランスじゃないかもしれない少年の隣にあるありえない光景に声を上げる。

「ちょっと待ってみんな。シールドの席が…黄金に」

 本来は大理石のはずであるシールドの席が金の席に代わっていた。
 
 この城には特殊な席がある。
 この特殊な席の中で、この円卓にある席は大理石、金、銀の席がある。
 大理石の席はまだ誰も選ばれていない席で選ばれると金や銀と例外で水晶になる。
 シールドの席はこれらの席の中でもより特殊な席。

 北のクラウン、東のロッド、南のシールド、西のクリスタルの4つの席は一人の王の時代にニ席しか埋まらない。

 北の席が決まれば南の席は誰も認めず西の席が決まれば東の席が決まらない。

 北のクラウンは王座でありその正面のシールドは本来ならば座る者が決まらない。
 双子や三つ子は一つの席を共有する。
 その場合は片割れが認められると認められる者が現れるまで他の席を一時的に割り当てる。
 そのように割り当てられる場合を除き、正規の者が決まるのは王の死による次の王様までの空白期間と例外が一つ。
 今回は例外の一つ。その例外の二度目が智でシールドの席に選ばれた。



 混乱が起きたが少し落ち着いた所で自己紹介をする事になった。
 自分の自己紹介の後に、王様が見栄えの為に来てそうな豪華な赤と金が特徴的な鎧を纏ったガーディアンから自己紹介が始まる。
「私の名前はクラウン、クラウン・フリー・クラウンこの国の王様だ」

 あまりの事にポカーンとしてしまうと隣の青紫ベース上に格子状のデザインとドラゴンをモチーフにしたヘッドの強そうな鎧を身に纏っていたガーディアンで王様と同じか少し年上の茶色い短髪の怖いおじさんが説明をする。
「まだ、信じられないというか私も混乱しているのだが、君を私の甥、目の前にいる王様の家出した息子のランス王子だと思い捕まえてきてしまったということだ。その…すまない。私の名前はムテキ、ムテキ・クロス。この国の大臣の一人で公爵だ」

 自分も自己紹介をしようとすると肩を叩かれる。
 振り向くと白い少女と黒い少女がいつの間にか後ろに回っていたらしい。

 影の鎧というか黒い靄の鎧から黒い少女が現れる。
「アウト、シャドー」

「三つ子の姉妹が2。シャドー、シャドー・フリー・サイズ」

 続いて鏡で出来ている周りの風景を映し出している鎧から白い少女が現れる。
「アウト、ミラー」

「三つ子の姉妹が3。ミラー、ミラー・フリー・ダガー」

「え?」
 三つ子と言っているし、本来ならば真ん中にもう一人が入るのであろうが、突然こんなことを始めたから反応に困る。
 剣を持った軽装の黒目黒髪の美少女が二人の姉に頭を抱える。
「もう、姉さんたちは~」

 持っていた緑の金属…いや、石でできた剣をその場に落とすと床にぶつかる前に溶ける様に消える。
 自分の方に改めて向き直して。
「はぁ、私の名前はソード、フリー・ソード。私はガーディアンではないから守名はないよ」

 続いて赤いマントとメタリックブルーの重装鎧が話しかけてくる。
「私は、ホーリー…いや、この鎧はオラシオン。ホーリー・オラシオン・フリー・ロッド。ノーマルでホーリー、インヘリタンスで父から受け継いだオラシオンだ」

 一番最後のガタイの良い若い男が自己紹介を始める。

「ははは、珍しいだろ。一つは生まれつきの、ノーマルでもう一つが遺産のインヘリタンスの二つの鎧持ちは。俺の名前はバレット、フリー・バレットだ。よろしくな」

 生まれつきはノーマル、遺産…イン…なんだ?は、継承か?遺産なら?
「へー、そういうなんだ?」
 と返事をしてみる。

 ソードという黒目黒髪の美少女が説明する。
「ガーディアンの生まれ方を分けた物でノーマルはガーディアンの家系に生まれたガーディアン、ニューはガーディアンの家系ではないにも関わらず生まれたガーディアン、インヘリタンスは生まれつきのガーディアンではないけど親や兄弟がガーディアンで死亡した時に子供や孫か兄弟に鎧が継承されてガーディアンになった者、イレギュラーはある日突然なぜかガーディアンになっちゃった人だよ」

「そうなんですか。えー、遅れましたが自分の名前は智、山本智です。自分は…」

 ここでこの世界における自分の立場を考える。
 一つ、不法入国者である。
 二つ、ガーディアンとか言う存在になった。
 三つ、無一文の自分は生き残れるかと言われたら無理。
 うん、どうすればいいのかわからん。保護を求めてみるか。

 意を決して話そうとするとヒンジが壊れたような音が最後に鳴って扉が開くと緑の服を着たおかっぱ頭の男が息を切らせながら入ってくる。
「りゅ…リュウジン様が帰還しまし、ゲホ…ゲ、オウェ」
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