ボクのことが嫌いな彼らは、10年後の僕を溺愛する

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過去編3

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弟の三さいのたんじょう日。


ボクらは四人でケーキを食べた。


ママがやいてくれた、大きなチョコレートケーキ。


ママのチョコレートケーキはボクと弟の世界一大すきな食べものだった。



口のまわりをチョコレートでベタベタによごす弟を見て、ママはうれしそうに笑っていた。


ボクもまた、そんなママを見て笑った。
 

パパも笑がおだった。



ボクらはたぶん、かんぺきな家ぞくに見えていた。





でも、ボクとパパは家ぞくなんかじゃなかった。


パパは、ボクのことがきらいなんだ。


ボクは弟が生まれてすぐにそのことに気づいた。


弟を見るパパの目は、すごくやさしかった。


まるでママを見ているような目で、ボクを見る目と全ぜんちがった。


気づいて、前から怖かったパパのことがもっと怖くなった。


だからボクはあまりパパに近づかないようにした。

それでも怒られることが多かった。

あまりにパパが怒ると、ママが止めてくれた。



パパは高宮家の子どもならきびしくしつけなきゃいけないんだと言っていた。



でもパパは、弟のことは一度も怒っていなかった。



パパはママがいないところでボクを叩くことがあった。


ボクはパパのことが怖いだけじゃなく、きらいになっていた。







ママに喜んでもらうために。

パパになるべく怒られないために。

高宮家の人間としてはずかしくないように。


ボクは学校へ通うかわりに毎日高宮家に行って、スミレさんに勉強を教わった。


そして家でお手伝いをするようになった。


ママが忙しい時は、弟の遊び相手になってあげた。


ボクの後ろをついてくる弟は可愛くてたまらなかった。


一番好きな人はママ。二番目は弟。三番目はスミレさん。


おじいちゃんやおばあちゃんに無視されたって、パパやカスミさんに殴られたって、ヒビキ君やレン君にいじわるされたって、三人も好きな人がいるボクは幸せなんだと思っていた。







四歳になった弟が、階段から落ちた。


自分で散らかしていたミニカーにつまづいて、コロコロと落ちて行くのを、ボクは見てしまった。


ママとパパは、弟の泣き声を聞いて、初めて弟が落ちたことに気づいたみたいだった。


二人とも慌てて弟が大丈夫か確認していた。



10段くらいしかない階段だったおかげか、ひざをすりむいただけのようで、ボクはほっとした。


だけど弟が、お兄ちゃんに落とされたと言ったしゅん間、頭が真っ白になった。

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