ボクのことが嫌いな彼らは、10年後の僕を溺愛する

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現在編4

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「結婚って、馬鹿じゃないの?息子にはなれるかもしれないけど、そうじゃない。そういう息子を望んでるんじゃない」


「でも、母さんと一緒に生活する理由になる」


「それこそ、高宮奏が許さない」


「許すよ。今の父さんなら」


「お前はあの人に愛されて育ったんだろ。だからあの人の怖さを知らないんだ」


「確かに俺は父さんに怒られたことがない。大事にされてきた。でも、何も知らないでいられたわけじゃない。あの人の異常さをよく知ってる。あの人は、母さんの全部を手に入れたかった。だから母さんと自分の子供である俺を愛し、他の男の血が混ざったお兄ちゃんを嫌った。でもお兄ちゃんだって、ちゃんと母さんの子供なんだ。昔も可愛かったみたいだけど、今のほうがより母さんに似てる。あの人は、今更お兄ちゃんを欲しがってる」


「は?ふざけんなよ」


「ほんと、ふざけてるよ。俺のお兄ちゃんを散々傷つけて、俺から奪って、今度は自分のモノにしたいとな、すごく腹立たしいよね」


「お前と僕の怒りを一緒にするな」


「とにかくね、今の父さんにお兄ちゃんを傷つける意思はない。俺がそんなことはさせない」


「お前にどんな力があるんだよ。結局、あの人の方が立場が上だろ」


「うん。敵にしたら最悪な相手だよ。だから、手を組んだんだ。最終的にお兄ちゃんは俺にくれるって、約束してもらった」


「……くれるって」


「父さんは俺を自分のものだと思ってる。俺のものは、父さんのものってことになる。だからね、お兄ちゃんが俺のものになってくれれば、父さんも安心なんだよ。少なくとも、他の全然知らないやつに獲られる心配はなくなるから。つまり、俺とお兄ちゃんが結婚すれば、家族みんなが幸せになれるんだ」


「ありえない。ママはどうなるんだ。よくわからない存在の僕が大切な1人息子と結婚するなんて、戸惑うに決まってる」


「母さんの幸せは子供が幸せでいることなんだ。そういう人だって、お兄ちゃんも知ってるでしょ。そんな母さんが、俺が本気で選んだ相手を否定するわけがない」



僕を誰よりも愛してくれたママ。


ママはきっと、僕の分もまとめて弟に愛を与えているのだろう。


弟の言う通り、弟の幸せを願っているママは結婚を受け入れてくれるかもしれない。


でも、それでいいのだろうか。


弟に従えば、本当にすべてが上手く収まるのだろうか。


ママは僕のママになって、昔みたいに愛してくれるのだろうか。


誕生日にチョコレートケーキを焼いて、あの綺麗な顔で微笑んでくれるのだろうか。


まだママと再会すらできていないのに、その先なんて夢のまた夢だ。





僕にとって、幸せは、全部錯覚だった。




「お兄ちゃん、幸せにするよ。だからねぇ、俺を、選んでよ」




今ではママと過ごした日々すら、夢だったのかもしれないと思っている。
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