32 / 50
現在編4
5
しおりを挟む
「結婚って、馬鹿じゃないの?息子にはなれるかもしれないけど、そうじゃない。そういう息子を望んでるんじゃない」
「でも、母さんと一緒に生活する理由になる」
「それこそ、高宮奏が許さない」
「許すよ。今の父さんなら」
「お前はあの人に愛されて育ったんだろ。だからあの人の怖さを知らないんだ」
「確かに俺は父さんに怒られたことがない。大事にされてきた。でも、何も知らないでいられたわけじゃない。あの人の異常さをよく知ってる。あの人は、母さんの全部を手に入れたかった。だから母さんと自分の子供である俺を愛し、他の男の血が混ざったお兄ちゃんを嫌った。でもお兄ちゃんだって、ちゃんと母さんの子供なんだ。昔も可愛かったみたいだけど、今のほうがより母さんに似てる。あの人は、今更お兄ちゃんを欲しがってる」
「は?ふざけんなよ」
「ほんと、ふざけてるよ。俺のお兄ちゃんを散々傷つけて、俺から奪って、今度は自分のモノにしたいとな、すごく腹立たしいよね」
「お前と僕の怒りを一緒にするな」
「とにかくね、今の父さんにお兄ちゃんを傷つける意思はない。俺がそんなことはさせない」
「お前にどんな力があるんだよ。結局、あの人の方が立場が上だろ」
「うん。敵にしたら最悪な相手だよ。だから、手を組んだんだ。最終的にお兄ちゃんは俺にくれるって、約束してもらった」
「……くれるって」
「父さんは俺を自分のものだと思ってる。俺のものは、父さんのものってことになる。だからね、お兄ちゃんが俺のものになってくれれば、父さんも安心なんだよ。少なくとも、他の全然知らないやつに獲られる心配はなくなるから。つまり、俺とお兄ちゃんが結婚すれば、家族みんなが幸せになれるんだ」
「ありえない。ママはどうなるんだ。よくわからない存在の僕が大切な1人息子と結婚するなんて、戸惑うに決まってる」
「母さんの幸せは子供が幸せでいることなんだ。そういう人だって、お兄ちゃんも知ってるでしょ。そんな母さんが、俺が本気で選んだ相手を否定するわけがない」
僕を誰よりも愛してくれたママ。
ママはきっと、僕の分もまとめて弟に愛を与えているのだろう。
弟の言う通り、弟の幸せを願っているママは結婚を受け入れてくれるかもしれない。
でも、それでいいのだろうか。
弟に従えば、本当にすべてが上手く収まるのだろうか。
ママは僕のママになって、昔みたいに愛してくれるのだろうか。
誕生日にチョコレートケーキを焼いて、あの綺麗な顔で微笑んでくれるのだろうか。
まだママと再会すらできていないのに、その先なんて夢のまた夢だ。
僕にとって、幸せは、全部錯覚だった。
「お兄ちゃん、幸せにするよ。だからねぇ、俺を、選んでよ」
今ではママと過ごした日々すら、夢だったのかもしれないと思っている。
「でも、母さんと一緒に生活する理由になる」
「それこそ、高宮奏が許さない」
「許すよ。今の父さんなら」
「お前はあの人に愛されて育ったんだろ。だからあの人の怖さを知らないんだ」
「確かに俺は父さんに怒られたことがない。大事にされてきた。でも、何も知らないでいられたわけじゃない。あの人の異常さをよく知ってる。あの人は、母さんの全部を手に入れたかった。だから母さんと自分の子供である俺を愛し、他の男の血が混ざったお兄ちゃんを嫌った。でもお兄ちゃんだって、ちゃんと母さんの子供なんだ。昔も可愛かったみたいだけど、今のほうがより母さんに似てる。あの人は、今更お兄ちゃんを欲しがってる」
「は?ふざけんなよ」
「ほんと、ふざけてるよ。俺のお兄ちゃんを散々傷つけて、俺から奪って、今度は自分のモノにしたいとな、すごく腹立たしいよね」
「お前と僕の怒りを一緒にするな」
「とにかくね、今の父さんにお兄ちゃんを傷つける意思はない。俺がそんなことはさせない」
「お前にどんな力があるんだよ。結局、あの人の方が立場が上だろ」
「うん。敵にしたら最悪な相手だよ。だから、手を組んだんだ。最終的にお兄ちゃんは俺にくれるって、約束してもらった」
「……くれるって」
「父さんは俺を自分のものだと思ってる。俺のものは、父さんのものってことになる。だからね、お兄ちゃんが俺のものになってくれれば、父さんも安心なんだよ。少なくとも、他の全然知らないやつに獲られる心配はなくなるから。つまり、俺とお兄ちゃんが結婚すれば、家族みんなが幸せになれるんだ」
「ありえない。ママはどうなるんだ。よくわからない存在の僕が大切な1人息子と結婚するなんて、戸惑うに決まってる」
「母さんの幸せは子供が幸せでいることなんだ。そういう人だって、お兄ちゃんも知ってるでしょ。そんな母さんが、俺が本気で選んだ相手を否定するわけがない」
僕を誰よりも愛してくれたママ。
ママはきっと、僕の分もまとめて弟に愛を与えているのだろう。
弟の言う通り、弟の幸せを願っているママは結婚を受け入れてくれるかもしれない。
でも、それでいいのだろうか。
弟に従えば、本当にすべてが上手く収まるのだろうか。
ママは僕のママになって、昔みたいに愛してくれるのだろうか。
誕生日にチョコレートケーキを焼いて、あの綺麗な顔で微笑んでくれるのだろうか。
まだママと再会すらできていないのに、その先なんて夢のまた夢だ。
僕にとって、幸せは、全部錯覚だった。
「お兄ちゃん、幸せにするよ。だからねぇ、俺を、選んでよ」
今ではママと過ごした日々すら、夢だったのかもしれないと思っている。
0
あなたにおすすめの小説
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
悪役令息に転生したらしいけど、何の悪役令息かわからないから好きにヤリチン生活ガンガンしよう!
ミクリ21 (新)
BL
ヤリチンの江住黒江は刺されて死んで、神を怒らせて悪役令息のクロエ・ユリアスに転生されてしまった………らしい。
らしいというのは、何の悪役令息かわからないからだ。
なので、クロエはヤリチン生活をガンガンいこうと決めたのだった。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる