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第三章 暴風のコロッセオ
第126話 マチルダ先生の魔法学
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休み時間の半分まで延長してもらい、どうにか一限目のグラウンド十周をクリアした後は、休む間もなく二限目の魔法学の授業に入った。
魔法学というからには座学だと思い込んでいたのだが、教室に戻ると、屋外の演習場に移動するようにとの板書がなされていた。
板書によると、北東側の港に面した木々が生い茂る広い草叢が演習場として割り当てられているようだ。
授業開始を知らせる鐘を聞きながら慌てて演習場へ向かったが、幸いなことにまだ先生の姿は見えない。
「どうして演習場なんだろうね?」
「なにか大規模な魔法の実技が入るとか……かな?」
アルフェの質問に答えながら、なんとなく嫌な予感がした。そもそも機兵操縦訓練でも使われるような広い演習場で行う授業というのは、一体どんなものなのだろうか。
授業を担当するのは、アルカディア帝国皇帝直轄領とグートシュタイン領との境界に位置する広大な森林地帯、通称常闇の森と呼ばれる地域出身の女性魔導士――すなわち、魔女のマチルダ先生だ。常闇の森に生息している『ギシェヌ』という樹から作られる空飛ぶ箒で自在に空を飛ぶというのは、この時代でも変わっていないらしい。
グラスだった頃の僕は、人魔大戦の時に、魔女に命を救われたことがあるので、空飛ぶ箒や魔女が現代でも続いているのは感慨深いな。
あれは確か、アトリエを設けていた街が腐敗した魔族の死体から発生した瘴気が原因で毒沼となった頃のことだ。
僕もアトリエが焼かれて逃げ場をなくし、絶体絶命の危機だったのだが――
そんなことを考えながら空を見上げていると、空飛ぶ箒に乗ったマチルダ先生が姿を見せた。
「演習場へようこそー! 私が魔法学担当のマチルダです」
宙に浮いたまま、マチルダ先生が自己紹介する。その手には魔法のステッキが握られており、声の抑揚に合わせて軽やかに左右に動かされている。
「最初の授業はみなさんの現時点での魔法戦闘力を見まーす。私の攻撃を捌くことが出来た人から合格にしますねー」
魔法のステッキを眼下の僕たちに向けたマチルダ先生が、笑顔で言い放つ。
「はぁ? 攻撃ってなんだ?」
「まあ、死なない程度に加減しますし、もし当たっちゃっても回復させますから♪」
「死なない程度……加減……?」
ざわざわとクラスメイトの間に動揺が走ったその時。
「矢、必中、射出~!」
軽やかに魔法のステッキが振り下ろされ、三節の詠唱――つまり追尾能力のある無数のマジックミサイルが具現し、僕たちに襲いかかった。
「マジかよ!」
「逃げろ!」
突然のことにパニックを起こしたクラスメイトたちが蜘蛛の子を散らすように逃げ始める。
「うふふっ。逃げもダメよぉ!」
マチルダ先生の高らかな笑いが響く中、数名の生徒に着弾し、吹き飛ばされていくのが見えた。
「ぎゃあ!」
「助けてっ!」
あちこちで悲鳴が上がるが、一応加減はされているらしく負傷は深刻なものではなさそうだ。とはいえ、直撃を喰らえば、かなり痛いだろうな。
「追撃されるよ! みんな、防御して! 水鉄砲」
アルフェが咄嗟に氷の壁を打ち立て、連続して水鉄砲を放って迎撃する。
「「風の弾丸」」
リリルルの声が重なり、透明な風の弾丸がクラスメイトたちを追尾するマジックミサイルを打ち落とす。
「リリルルちゃん、すごい!」
「「さすがだ、白い肌のエルフの人」」
リリルルが声を揃え、アルフェを褒めながらその場でくるりと回る。どうやらアルフェたちのおかげで、攻撃の第一波は凌げたようだ。
「あら、やりますねぇ」
ぱん、ぱん、と緩やかに手を叩きながら、マチルダ先生が被弾しなかった生徒たちに称賛を送っている。だが、顔に張り付いたようなその笑顔は、目が全く笑っていなかった。
「それならこれはどうです?」
問いかけと同時に、マチルダ先生が乗っていた箒で地面を滑るように掃く。
「リーフ、伏せて!」
アルフェが瞬時に警戒態勢に入ったかと思うと、箒の軌跡から鋭い風の刃が放たれたのが見えた。
「土よ、我が命により隆起せよ。クレイウォール!」
アルフェが詠唱と同時に地面に両手をつく。即座にせり上がった土の壁が風の刃を受け止めた。
「「よくやった」」
リリルルが土の壁を左右から駆け上がり、高く跳躍する。
「「天雷よ、紫電の槍となり敵を穿て。ライトニング・ファランクス!」」
空中で手を繋いだ二人の詠唱の声が重なり、空中に浮かぶマチルダ先生に向かって無数の雷の槍が殺到する。
「うふふっ。お見事」
だが、マチルダ先生は全く動じずに笑っている。完全にその姿を捉えたはずの雷の槍は、マチルダ先生の手前で風の防壁に当たり、散り散りになった。
「「これが、常闇の森の魔女の力……」」
不意打ちからの攻撃を当てられなかったことに、リリルルが愕然とした様子で目を見開いている。マチルダ先生は魔法のステッキを楽しげに左右に振ると、リリルルとアルフェを指した。
「実に素晴らしいですねぇ。あなたたち三名は、加点の上合格にしまーす♪」
「「グッジョブだ。白いエルフの人」」
合格と聞き、リリルルが声を揃えてアルフェに拍手を送っている。
「リリは惜しみない称賛を贈ろう」
「ルルは惜しみない称賛を贈ろう」
拍手をしながら駆け寄って来たリリルルは、アルフェの周りをくるくると回って踊り始めた。
「あ、ありがとう」
アルフェもほっとした様子で、リリルルに合わせて踊り始める。どうやら、エルフ同盟とやらの踊りは基本的に同じ動きのようだな。何度か見るうちに段々と覚えてきた。
「それと、そこのあなたたちも合格でーす!」
マチルダ先生が、被弾しなかった生徒たちを光で照らす。
一人はギードで、氷の壁を打ち立ててマジックミサイルを防いだようだ。かなりボロボロに被弾した壁が今にも崩れそうに罅割れている。
その他に、木の陰に隠れるようにして身を潜めている数人の生徒に合格が告げられた。いずれも魔法科の生徒だったはずだ。
「マチルダ先生、回復魔法をお忘れなく」
自らは被弾していない魚人族の男子生徒が、低く訴えている。尖ったサメの歯を剥いているように見えるのは、もしかして怒っているからなのかもしれない。
「はいはーい♪」
彼の傍らに倒れている数人の生徒に手早く回復魔法をかけ、マチルダ先生が笑顔で起きるように促す。
被弾したらしいヴァナベルも回復を受けて、悔しげに地面を蹴った。傍らに寄り添うヌメリンは、元々無傷のようだ。
「さて、それでは授業を続けまーす」
「……あの、僕とホムはどうなるのでしょう?」
マチルダ先生の攻撃に被弾しないことが条件であれば、一応僕たちも当てはまるかもしれない。
「んー? あなたたちは守ってもらったから、やり直しでーす♪」
朗らかに宣告し、マチルダ先生が再び空中に無数のマジックミサイルを生成する。それからは、先生の攻撃を防ぐまで地獄の授業が続いた。
ホムは戦略を考え、武装錬成を駆使してマジックミサイルを打ち落とすことに成功したが、ホムに守られた僕は再び失格となり、クリエイトウォーターで防御壁を築くことでようやく合格を勝ち取ることができた。
身体は女神のエーテルのせいですぐに回復するとはいえ、普通の身体なら何度か死にかけているようなマチルダ先生の魔法学の授業は、はっきりいって悪夢でしかない。今夜は魘されそうだな。
魔法学というからには座学だと思い込んでいたのだが、教室に戻ると、屋外の演習場に移動するようにとの板書がなされていた。
板書によると、北東側の港に面した木々が生い茂る広い草叢が演習場として割り当てられているようだ。
授業開始を知らせる鐘を聞きながら慌てて演習場へ向かったが、幸いなことにまだ先生の姿は見えない。
「どうして演習場なんだろうね?」
「なにか大規模な魔法の実技が入るとか……かな?」
アルフェの質問に答えながら、なんとなく嫌な予感がした。そもそも機兵操縦訓練でも使われるような広い演習場で行う授業というのは、一体どんなものなのだろうか。
授業を担当するのは、アルカディア帝国皇帝直轄領とグートシュタイン領との境界に位置する広大な森林地帯、通称常闇の森と呼ばれる地域出身の女性魔導士――すなわち、魔女のマチルダ先生だ。常闇の森に生息している『ギシェヌ』という樹から作られる空飛ぶ箒で自在に空を飛ぶというのは、この時代でも変わっていないらしい。
グラスだった頃の僕は、人魔大戦の時に、魔女に命を救われたことがあるので、空飛ぶ箒や魔女が現代でも続いているのは感慨深いな。
あれは確か、アトリエを設けていた街が腐敗した魔族の死体から発生した瘴気が原因で毒沼となった頃のことだ。
僕もアトリエが焼かれて逃げ場をなくし、絶体絶命の危機だったのだが――
そんなことを考えながら空を見上げていると、空飛ぶ箒に乗ったマチルダ先生が姿を見せた。
「演習場へようこそー! 私が魔法学担当のマチルダです」
宙に浮いたまま、マチルダ先生が自己紹介する。その手には魔法のステッキが握られており、声の抑揚に合わせて軽やかに左右に動かされている。
「最初の授業はみなさんの現時点での魔法戦闘力を見まーす。私の攻撃を捌くことが出来た人から合格にしますねー」
魔法のステッキを眼下の僕たちに向けたマチルダ先生が、笑顔で言い放つ。
「はぁ? 攻撃ってなんだ?」
「まあ、死なない程度に加減しますし、もし当たっちゃっても回復させますから♪」
「死なない程度……加減……?」
ざわざわとクラスメイトの間に動揺が走ったその時。
「矢、必中、射出~!」
軽やかに魔法のステッキが振り下ろされ、三節の詠唱――つまり追尾能力のある無数のマジックミサイルが具現し、僕たちに襲いかかった。
「マジかよ!」
「逃げろ!」
突然のことにパニックを起こしたクラスメイトたちが蜘蛛の子を散らすように逃げ始める。
「うふふっ。逃げもダメよぉ!」
マチルダ先生の高らかな笑いが響く中、数名の生徒に着弾し、吹き飛ばされていくのが見えた。
「ぎゃあ!」
「助けてっ!」
あちこちで悲鳴が上がるが、一応加減はされているらしく負傷は深刻なものではなさそうだ。とはいえ、直撃を喰らえば、かなり痛いだろうな。
「追撃されるよ! みんな、防御して! 水鉄砲」
アルフェが咄嗟に氷の壁を打ち立て、連続して水鉄砲を放って迎撃する。
「「風の弾丸」」
リリルルの声が重なり、透明な風の弾丸がクラスメイトたちを追尾するマジックミサイルを打ち落とす。
「リリルルちゃん、すごい!」
「「さすがだ、白い肌のエルフの人」」
リリルルが声を揃え、アルフェを褒めながらその場でくるりと回る。どうやらアルフェたちのおかげで、攻撃の第一波は凌げたようだ。
「あら、やりますねぇ」
ぱん、ぱん、と緩やかに手を叩きながら、マチルダ先生が被弾しなかった生徒たちに称賛を送っている。だが、顔に張り付いたようなその笑顔は、目が全く笑っていなかった。
「それならこれはどうです?」
問いかけと同時に、マチルダ先生が乗っていた箒で地面を滑るように掃く。
「リーフ、伏せて!」
アルフェが瞬時に警戒態勢に入ったかと思うと、箒の軌跡から鋭い風の刃が放たれたのが見えた。
「土よ、我が命により隆起せよ。クレイウォール!」
アルフェが詠唱と同時に地面に両手をつく。即座にせり上がった土の壁が風の刃を受け止めた。
「「よくやった」」
リリルルが土の壁を左右から駆け上がり、高く跳躍する。
「「天雷よ、紫電の槍となり敵を穿て。ライトニング・ファランクス!」」
空中で手を繋いだ二人の詠唱の声が重なり、空中に浮かぶマチルダ先生に向かって無数の雷の槍が殺到する。
「うふふっ。お見事」
だが、マチルダ先生は全く動じずに笑っている。完全にその姿を捉えたはずの雷の槍は、マチルダ先生の手前で風の防壁に当たり、散り散りになった。
「「これが、常闇の森の魔女の力……」」
不意打ちからの攻撃を当てられなかったことに、リリルルが愕然とした様子で目を見開いている。マチルダ先生は魔法のステッキを楽しげに左右に振ると、リリルルとアルフェを指した。
「実に素晴らしいですねぇ。あなたたち三名は、加点の上合格にしまーす♪」
「「グッジョブだ。白いエルフの人」」
合格と聞き、リリルルが声を揃えてアルフェに拍手を送っている。
「リリは惜しみない称賛を贈ろう」
「ルルは惜しみない称賛を贈ろう」
拍手をしながら駆け寄って来たリリルルは、アルフェの周りをくるくると回って踊り始めた。
「あ、ありがとう」
アルフェもほっとした様子で、リリルルに合わせて踊り始める。どうやら、エルフ同盟とやらの踊りは基本的に同じ動きのようだな。何度か見るうちに段々と覚えてきた。
「それと、そこのあなたたちも合格でーす!」
マチルダ先生が、被弾しなかった生徒たちを光で照らす。
一人はギードで、氷の壁を打ち立ててマジックミサイルを防いだようだ。かなりボロボロに被弾した壁が今にも崩れそうに罅割れている。
その他に、木の陰に隠れるようにして身を潜めている数人の生徒に合格が告げられた。いずれも魔法科の生徒だったはずだ。
「マチルダ先生、回復魔法をお忘れなく」
自らは被弾していない魚人族の男子生徒が、低く訴えている。尖ったサメの歯を剥いているように見えるのは、もしかして怒っているからなのかもしれない。
「はいはーい♪」
彼の傍らに倒れている数人の生徒に手早く回復魔法をかけ、マチルダ先生が笑顔で起きるように促す。
被弾したらしいヴァナベルも回復を受けて、悔しげに地面を蹴った。傍らに寄り添うヌメリンは、元々無傷のようだ。
「さて、それでは授業を続けまーす」
「……あの、僕とホムはどうなるのでしょう?」
マチルダ先生の攻撃に被弾しないことが条件であれば、一応僕たちも当てはまるかもしれない。
「んー? あなたたちは守ってもらったから、やり直しでーす♪」
朗らかに宣告し、マチルダ先生が再び空中に無数のマジックミサイルを生成する。それからは、先生の攻撃を防ぐまで地獄の授業が続いた。
ホムは戦略を考え、武装錬成を駆使してマジックミサイルを打ち落とすことに成功したが、ホムに守られた僕は再び失格となり、クリエイトウォーターで防御壁を築くことでようやく合格を勝ち取ることができた。
身体は女神のエーテルのせいですぐに回復するとはいえ、普通の身体なら何度か死にかけているようなマチルダ先生の魔法学の授業は、はっきりいって悪夢でしかない。今夜は魘されそうだな。
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