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第1話 旅立ち ノ24
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「印籠ねぇ...確かに人へは天下の徳川一族であることの意味は大きかろうな。しかし怪異を相手どって印籠を呈しても意味は無かろう。鬼や天狗のキョトンとする様が目に浮かぶわ」
仙花のずれた価値観から、徳川家紋入りの印籠が泣いてるようにも見える。ついでに光圀の背中にも哀愁が漂っていた。
「つ、つべこべ言わず持っておれ。怪異相手に役立つものではないが、いつの日か必ずお主の役に立つ筈じゃ」
「うむ、承知した。お守り代わりとして大切にさせてもらうことにするぞ。ほれこの通り感謝する」
光圀の残念そうな顔を見た仙花は柄にもなく?気を遣い頭を下げ、上げ戻した瞬間に満面の笑みを作って見せた。
「うむ、大切にせよ」
仙花の笑顔で光圀が悦に浸る。
彼女の取った行動と光圀の様子を眺めていた他の者達は密かに胸を撫で下ろした。
「まだ渡すものがあるぞ。滝之助、あれを蓮左衞門に預けるのじゃ」
「はっ!」
指示を受けた滝之助が社の入り口に走り、如何にも重そうな『千両箱』を如何にも重そうに抱えて来た。
「ご、御老公。無礼な物言いかもしれませぬがあれは本物の千両箱にござるか?」
蓮左衞門が信じられない物を見るような目をして訊いた。
それはそうであろう。
千両箱などという珍しい代物は、生涯通して目にすることの出来る者はほんの一握りしかいないのだから。
「こっこっこっ♪もちのろんじゃ。本物の千両箱に本物の金が千両入っておる。これは旅の軍資金。お主を旅の勘定奉行に任命するゆえ堅牢に管理するのじゃ。良いな?」
「はっ!その大役、この槙島蓮左衞門が命を賭して完遂させていただくでござる」
蓮左衞門は跪いて畏まり、「勘定奉行」の大役を恭しく承ったのだった。
両腕をプルプルとさせ、両足もガクガクの滝之助が額に冷や汗を掻いている。
「れ、蓮左衞門よ。早々にこの千両箱を引き取ってくれ。箱の重さで腕が千切れそうだ」
「おっと!これはすまぬ滝之助殿。今預かるでござるよ」
そう言って怪力の持ち主の蓮左衞門が千両箱をヒョイと受取り、既に背負っていた大量の荷物の中へ組み込んだ。
蓮左衞門の準備が整ったのを見て取った光圀が真剣な面持ちで口を開く。
「仙花よ。お主に渡せる物は全て渡した。苦難の旅になろうが、くれぐれも命だけは粗末にするでないぞ」
「重々承知しておるよ。滝之助に絹江、じっさまのことをよろしく頼むぞ」
声を掛けられた二人が無言で頷く。
「では我が娘仙花よ。行くが良い」
「うむ、行ってくる。じっさまぁ、達者でな!」
仙花は最後に元気で美しい笑みを見せたあと、蓮左衞門、お銀、九兵衛、雪舟丸の四人と共に西山御殿の坂を降り、長い長い世直しの旅路を歩み始めたのだった。
仙花のずれた価値観から、徳川家紋入りの印籠が泣いてるようにも見える。ついでに光圀の背中にも哀愁が漂っていた。
「つ、つべこべ言わず持っておれ。怪異相手に役立つものではないが、いつの日か必ずお主の役に立つ筈じゃ」
「うむ、承知した。お守り代わりとして大切にさせてもらうことにするぞ。ほれこの通り感謝する」
光圀の残念そうな顔を見た仙花は柄にもなく?気を遣い頭を下げ、上げ戻した瞬間に満面の笑みを作って見せた。
「うむ、大切にせよ」
仙花の笑顔で光圀が悦に浸る。
彼女の取った行動と光圀の様子を眺めていた他の者達は密かに胸を撫で下ろした。
「まだ渡すものがあるぞ。滝之助、あれを蓮左衞門に預けるのじゃ」
「はっ!」
指示を受けた滝之助が社の入り口に走り、如何にも重そうな『千両箱』を如何にも重そうに抱えて来た。
「ご、御老公。無礼な物言いかもしれませぬがあれは本物の千両箱にござるか?」
蓮左衞門が信じられない物を見るような目をして訊いた。
それはそうであろう。
千両箱などという珍しい代物は、生涯通して目にすることの出来る者はほんの一握りしかいないのだから。
「こっこっこっ♪もちのろんじゃ。本物の千両箱に本物の金が千両入っておる。これは旅の軍資金。お主を旅の勘定奉行に任命するゆえ堅牢に管理するのじゃ。良いな?」
「はっ!その大役、この槙島蓮左衞門が命を賭して完遂させていただくでござる」
蓮左衞門は跪いて畏まり、「勘定奉行」の大役を恭しく承ったのだった。
両腕をプルプルとさせ、両足もガクガクの滝之助が額に冷や汗を掻いている。
「れ、蓮左衞門よ。早々にこの千両箱を引き取ってくれ。箱の重さで腕が千切れそうだ」
「おっと!これはすまぬ滝之助殿。今預かるでござるよ」
そう言って怪力の持ち主の蓮左衞門が千両箱をヒョイと受取り、既に背負っていた大量の荷物の中へ組み込んだ。
蓮左衞門の準備が整ったのを見て取った光圀が真剣な面持ちで口を開く。
「仙花よ。お主に渡せる物は全て渡した。苦難の旅になろうが、くれぐれも命だけは粗末にするでないぞ」
「重々承知しておるよ。滝之助に絹江、じっさまのことをよろしく頼むぞ」
声を掛けられた二人が無言で頷く。
「では我が娘仙花よ。行くが良い」
「うむ、行ってくる。じっさまぁ、達者でな!」
仙花は最後に元気で美しい笑みを見せたあと、蓮左衞門、お銀、九兵衛、雪舟丸の四人と共に西山御殿の坂を降り、長い長い世直しの旅路を歩み始めたのだった。
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