やしあか動物園の妖しい日常 第一部

流川おるたな

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歓迎会直前

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「何これ!?いつもこんな盛大な感じなんですか?」

 やしあか食堂の光景を見ていきなり驚かされた。
 建物の外の入り口付近に高さが膝下くらいのテーブルが数カ所置いてあり、その周りには人に化けられない動物系の妖怪達が大勢集まっている。
 テーブルには巨大なお皿が置いてあって、その皿に何種類もの料理が盛られている。
 グラスや取り皿は無く、お酒は樽やバケツに入っているようで、フライングして呑み始めている者もいた。

「やしあか動物園の妖怪は全部で100種を超えるからね。こんな風に中と外で分かれて集まるんだよ」

「外の様子からすると、中にもかなりの人が集まるという事ですね」

「そうだよ。因みに僕らは中の方に集合しないとならないからね」

 周りを見回すと妖怪達の中にさとり兎のサトリさんが、鎌鼬夫婦のダダンさんとザザンさんと一緒に話しているのが目に入った。
 わたしはサトリさんに伝えなければならない事がある。

「久慈さんはコクリさんに料理を届けないといけないですよね?ちょっと用事があるので先に行ってください」

「分かった、先に行くよ。中の会場に遅れないようにね」

「了解です!」

 久慈さんはやしあか食堂の中に入り、わたしはサトリさんのいる方へ向かった。

「サトリさ~ん!ちょっと良いですか~?」

 サトリさんはわたしの呼び掛けに直ぐ気づいてくれた。

「お~紗里っち!何かあったの?」

「さっき魔法をかけた時に伝え忘れた事があったんです。能力封じの効果は5時間ほどで無くなりますから気をつけてくださいね」

「...何だそういうことか。そんな遅くまでここに居るつもりは無いから大丈夫だよ。でも、気持ち良く歓迎会に参加出来そうだ。本当にありがとう紗里っち!」

 良かったぁ。文句の一つでも言われるかと覚悟してたんだけど、逆にニコニコ顔で感謝されてしまった。

 ダダンさんとザザンさんにも挨拶だけして、やしあか食堂へ急いで向かう。
 食堂の中に入ると、普段は一般のお客さんが食事をするスペースがパーティ会場のように様変わりしていた。
 会場にはざっと30人以上は集まっている。
 テーブルには人間社会のパーティに出るような料理やワイン、グラスやお皿、ナイフやフォークなども置かれていた。
 
 会場の窓際には特別な壇上が設置されていて、そこには園長の他に数人が立っている。
 園長がわたしに気付き手を振って呼んだ。
「黒川さーん!こっちに来てください!」
「あ、はい!いま行きまーす!」

 わたしは壇上に上がり園長と、司会を務める天狗のテグンさんと三人で打ち合わせをしたのだった。
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