一輪の廃墟好き 第一部

流川おるたな

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第64話 調べる

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 現場を探索すると言っても、焼死体発見当時、警察によってじっくり検証されたであろう現場で何かしらの物証が見つかる可能性は限りなくゼロに等しい。

 だが曲がりなりにも探偵稼業を生業とする僕としては幼児期の淀鴛さんのために、是が非でも物証になりそうな物を探し出してやろうというという気持ちが芽生えていた。

「いいか未桜。君が視た不可思議な存在のことは一時頭から取り払って、この現場で事件に繋がる何かを探し当てるんだ」

「んもぉう、それくらい言われなくてもわかってるよぉ。一輪より早く探し出してやるんだからぁ。何か見つけたらご褒美もよろしくねぇ♪」

 ほほう、それは頼もしいじゃないか。
 だがご勝手に褒美を貰える前提を作るんじゃない!

 僕達は釜戸の周囲を重点的に調べたあと、付近にある木製にの棚に置かれた備品なども注意深く調べた。

 もちろん重ねられた薪木も一本ずつ丁寧に調べたのだが、これといって目を惹くような物は見つからず、虫の死骸や、現役で元気なゴキ○リくらいしか出て来なかった。

 未桜は特に虫が苦手な方ではなかったけれど、突然姿を現すゴ○ブリや蜘蛛やらに悲鳴を上げたものだったが、時間的余裕が無く焦り始めていた僕は一切無視たものである。

 手分けして釜戸部屋の隅々までを調べきった僕達には、しゃがんだり、地面にうつ伏せになったりと、無理な姿勢で動き汚れた挙句、何一つ成果が上がらないまま疲労だけが身体に残った。

 流石の未桜も、顔に疲労感が滲み出ている。

「一輪、残念だけれど何にも無さそうだねぇ...」

「...そうだな、これだけ探しても収穫無しってのは寂しいが...いや、待てよ...」

 僕は腰に手を当て、突っ立ったままの状態で周りをもう一度見渡し、未だ一箇所だけ調べていない場所があることに気付いたのだった...
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