71 / 168
第66話 推理
しおりを挟む
「想いの線」のは一度発動させるとたった一分ほどで具現化した光の線が消え去ってしまう。
決して都合よく無制限に効果を発揮するわけではないけれど、光の線が指し示す距離に関してだけは無制限に伸びるのである。
無制限に伸びる光と聞けば「それは凄い!」と驚く人もいるだろう。だが、無制限に伸びるといっても障害物があればそこで光の線は途絶えるし、対象が付近にいるならまだしも、ほとんどの場合どのくらい離れた場所を指し示しているのか計測不能なのだ。
「サイコメトリー能力」の方がよっぽど役に立つイメージだが僕はこれくらいで十分だと考えている。
現状でさえ常人ではなく能力者という異質な存在なわけだし、これ以上チートな能力は僕の精神崩壊を招く恐れもあるかので不要なのである。
調子に乗ってついつい能力の話しばかりしてしまったが、今最も重要なことは釜戸から取り出し僕の掌に乗ったこの灰と、関係性の深い人物が生きているということにあった。
僕は光の線の指し示す方向を見ながら対象の人物を推理する...
取り敢えず、30年前に亡くなった淀鴛さんの両親は生存していないから外すとして、息子である淀鴛龍樹の可能性が大いにあり一番可能性が高いだろう。
だがもし違ったならば、或いは「おもしろい展開になること請け合い」と言っても過言ではない。
事件のあった当時から今日までの間に、誰かが釜戸を使用したという可能性も無くはないだろうが、その形跡は現場をとことん調べた結果からして特に見当たらず、かなり低確率な可能性だと思われる。
釜戸が現役で稼働していた頃に、淀鴛さんの家族以外の人物が使用した可能性も同じくらいの確率だろう。
従って淀鴛さんと再会を果たし、この灰を使って「想いの線」を発動させ、彼では無く別の方向を指し示した暁には...という具合だ。
まぁ淀鴛さんに光の線が当たる可能性の方が高いわけだから、過剰な期待はしない方が無難ではあるけれど...
ともかく僕は持参していたビニール袋を三つほどリュックから取り出し、両手で掬った灰をそれぞれに入れたのだった。
「これでよし。さて助手よ、ぼちぼち民宿に引き返すとするか」
「もちろんそれは良いんだけどさぁ。取締役!何か忘れてやぁしませんかぁ?」
我が探偵事務所は法人じゃないから取締役は存在しないし、彼女の言わんとしていることは百も承知だったが、僕は正直なところ急いで民宿に戻りたかった。
だって気が付けば、時間の経った外は暗さを増している上に、小雨だった雨が勢い増し増しとなっていたのだから...
決して都合よく無制限に効果を発揮するわけではないけれど、光の線が指し示す距離に関してだけは無制限に伸びるのである。
無制限に伸びる光と聞けば「それは凄い!」と驚く人もいるだろう。だが、無制限に伸びるといっても障害物があればそこで光の線は途絶えるし、対象が付近にいるならまだしも、ほとんどの場合どのくらい離れた場所を指し示しているのか計測不能なのだ。
「サイコメトリー能力」の方がよっぽど役に立つイメージだが僕はこれくらいで十分だと考えている。
現状でさえ常人ではなく能力者という異質な存在なわけだし、これ以上チートな能力は僕の精神崩壊を招く恐れもあるかので不要なのである。
調子に乗ってついつい能力の話しばかりしてしまったが、今最も重要なことは釜戸から取り出し僕の掌に乗ったこの灰と、関係性の深い人物が生きているということにあった。
僕は光の線の指し示す方向を見ながら対象の人物を推理する...
取り敢えず、30年前に亡くなった淀鴛さんの両親は生存していないから外すとして、息子である淀鴛龍樹の可能性が大いにあり一番可能性が高いだろう。
だがもし違ったならば、或いは「おもしろい展開になること請け合い」と言っても過言ではない。
事件のあった当時から今日までの間に、誰かが釜戸を使用したという可能性も無くはないだろうが、その形跡は現場をとことん調べた結果からして特に見当たらず、かなり低確率な可能性だと思われる。
釜戸が現役で稼働していた頃に、淀鴛さんの家族以外の人物が使用した可能性も同じくらいの確率だろう。
従って淀鴛さんと再会を果たし、この灰を使って「想いの線」を発動させ、彼では無く別の方向を指し示した暁には...という具合だ。
まぁ淀鴛さんに光の線が当たる可能性の方が高いわけだから、過剰な期待はしない方が無難ではあるけれど...
ともかく僕は持参していたビニール袋を三つほどリュックから取り出し、両手で掬った灰をそれぞれに入れたのだった。
「これでよし。さて助手よ、ぼちぼち民宿に引き返すとするか」
「もちろんそれは良いんだけどさぁ。取締役!何か忘れてやぁしませんかぁ?」
我が探偵事務所は法人じゃないから取締役は存在しないし、彼女の言わんとしていることは百も承知だったが、僕は正直なところ急いで民宿に戻りたかった。
だって気が付けば、時間の経った外は暗さを増している上に、小雨だった雨が勢い増し増しとなっていたのだから...
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~
馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」
入社した会社の社長に
息子と結婚するように言われて
「ま、なぶくん……」
指示された家で出迎えてくれたのは
ずっとずっと好きだった初恋相手だった。
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
ちょっぴり照れ屋な新人保険師
鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno-
×
俺様なイケメン副社長
遊佐 学 -Manabu Yusa-
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
「これからよろくね、ちとせ」
ずっと人生を諦めてたちとせにとって
これは好きな人と幸せになれる
大大大チャンス到来!
「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」
この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。
「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」
自分の立場しか考えてなくて
いつだってそこに愛はないんだと
覚悟して臨んだ結婚生活
「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」
「あいつと仲良くするのはやめろ」
「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」
好きじゃないって言うくせに
いつだって、強引で、惑わせてくる。
「かわいい、ちとせ」
溺れる日はすぐそこかもしれない
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
俺様なイケメン副社長と
そんな彼がずっとすきなウブな女の子
愛が本物になる日は……
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
男装官吏と花散る後宮〜禹国謎解き物語〜
春日あざみ
キャラ文芸
<第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。応援ありがとうございました!>
宮廷で史書編纂事業が立ち上がると聞き、居ても立ってもいられなくなった歴史オタクの柳羅刹(りゅうらせつ)。男と偽り官吏登用試験、科挙を受験し、見事第一等の成績で官吏となった彼女だったが。珍妙な仮面の貴人、雲嵐に女であることがバレてしまう。皇帝の食客であるという彼は、羅刹の秘密を守る代わり、後宮の悪霊によるとされる妃嬪の連続不審死事件の調査を命じる。
しかたなく羅刹は、悪霊について調べ始めるが——?
「歴女×仮面の貴人(奇人?)」が紡ぐ、中華風世界を舞台にしたミステリ開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる