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第81話 沈黙
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ごく普通に現実的な考え方からすれば、幽霊と会話をするためには生存している僕達は良いとして、命を落としこの世の者で無い幽霊側が人間と同じ、もしくは人間に近い声帯らしきものを持っていなければならない。
いや待て、身体の構造などというものを持ち出してしまえば、そもそもこちら側の声が届くのだろうかという疑問が浮き...
「お婆さん!お婆さんはわたし達に何か伝えたいことがあって姿を現したんでしょ?」
ああ、流石は天真爛漫かつ迅速果敢な我が助手。こんな時はうだうだと考えるより実践した方が早いってもんだ。
未桜の真っ直ぐな問いかけに、仏像の如く微動だにしていなかった老婆の霊が肩をすくめてゆっくりと頷く。
どうやらこちら側の声は幽霊に届くらしい...ならば。
「お婆さん、この家で30年前に何が起こったのか知りませんか?」
「...................」
僕は普通の大きさの声で問いかけたつもりだったのだが、老婆の霊は未桜の方を向いたまま口を開くこともなくジッとしている。
「もしかしてお婆さんはこの淀鴛家のご先祖様なの?」
老婆の霊は表情こそ変わらないものの、未桜の質問にまた頷いて答えた。
なんだ聞こえているじゃないか。よし僕もワンチャン。
「小さい頃にこの庭で遊んでいた淀鴛龍樹さんを見守っていたのは貴方だったのですね?」
「...................」
老婆の霊は先程と同様に僕の問いかけるに反応を示してくれず、ただ虚しいだけの凍るような沈黙の時間が流れる。
結論からして、どうやら届いているのは未桜の声だけのようだ...
いや待て、身体の構造などというものを持ち出してしまえば、そもそもこちら側の声が届くのだろうかという疑問が浮き...
「お婆さん!お婆さんはわたし達に何か伝えたいことがあって姿を現したんでしょ?」
ああ、流石は天真爛漫かつ迅速果敢な我が助手。こんな時はうだうだと考えるより実践した方が早いってもんだ。
未桜の真っ直ぐな問いかけに、仏像の如く微動だにしていなかった老婆の霊が肩をすくめてゆっくりと頷く。
どうやらこちら側の声は幽霊に届くらしい...ならば。
「お婆さん、この家で30年前に何が起こったのか知りませんか?」
「...................」
僕は普通の大きさの声で問いかけたつもりだったのだが、老婆の霊は未桜の方を向いたまま口を開くこともなくジッとしている。
「もしかしてお婆さんはこの淀鴛家のご先祖様なの?」
老婆の霊は表情こそ変わらないものの、未桜の質問にまた頷いて答えた。
なんだ聞こえているじゃないか。よし僕もワンチャン。
「小さい頃にこの庭で遊んでいた淀鴛龍樹さんを見守っていたのは貴方だったのですね?」
「...................」
老婆の霊は先程と同様に僕の問いかけるに反応を示してくれず、ただ虚しいだけの凍るような沈黙の時間が流れる。
結論からして、どうやら届いているのは未桜の声だけのようだ...
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