115 / 168
第105話 生卵
しおりを挟む
「もうすき焼きの方はお召し上がりなれると思いますので、お好みでそちらの卵を使ってください」
若女将(仮)がそう言って僕達の場を去ったあと、未桜は即座に土鍋の蓋を開けた。
土鍋の中はすき焼きのスープが沸騰グツグツと音を立てて沸騰しており、美味しそうな牛肉や椎茸、白菜や人参などの野菜たちが小躍りしているかのである。
「わぁ♪美味しそう♪」
「よし、めちゃくちゃ腹も減っていることだし、ビールがまだだが食べてしまおう!」
「うんうん♪食べよう食べよう♪」
僕達は「お好みで」と勧められた卵を躊躇なく割ってお椀に投じ、職人が手作りで作ったであろう上等な箸をグルグルと高速させ大急ぎでかき混ぜた。
ところで、すき焼きのお供としてすっかりお馴染みの卵だが、いったいいつ頃から生卵を使って食すようになったのかご存知だろうか?
所説あるらしいのだが、どうやら江戸時代後期が有力なようである。
といっても、当時は現在のような完成形の「すき焼き」の姿ではなく、様々な料理名で呼ばれていたらしいのでハッキリとしたことは分からないという結論に至る。
自分で振っておいてなんだけれど、なんともしまりのない答えになってしまって申し訳ない。
などとまたもやどうでも良いことを考えている間に、僕の視界に入っている助手でうら若き乙女の鈴村未桜は、大量の牛肉を一気に口の中へ放り込み、まるでリスのように頬を膨らませ、口の端から黄色い生卵の一筋を覗かせていたのだった...
若女将(仮)がそう言って僕達の場を去ったあと、未桜は即座に土鍋の蓋を開けた。
土鍋の中はすき焼きのスープが沸騰グツグツと音を立てて沸騰しており、美味しそうな牛肉や椎茸、白菜や人参などの野菜たちが小躍りしているかのである。
「わぁ♪美味しそう♪」
「よし、めちゃくちゃ腹も減っていることだし、ビールがまだだが食べてしまおう!」
「うんうん♪食べよう食べよう♪」
僕達は「お好みで」と勧められた卵を躊躇なく割ってお椀に投じ、職人が手作りで作ったであろう上等な箸をグルグルと高速させ大急ぎでかき混ぜた。
ところで、すき焼きのお供としてすっかりお馴染みの卵だが、いったいいつ頃から生卵を使って食すようになったのかご存知だろうか?
所説あるらしいのだが、どうやら江戸時代後期が有力なようである。
といっても、当時は現在のような完成形の「すき焼き」の姿ではなく、様々な料理名で呼ばれていたらしいのでハッキリとしたことは分からないという結論に至る。
自分で振っておいてなんだけれど、なんともしまりのない答えになってしまって申し訳ない。
などとまたもやどうでも良いことを考えている間に、僕の視界に入っている助手でうら若き乙女の鈴村未桜は、大量の牛肉を一気に口の中へ放り込み、まるでリスのように頬を膨らませ、口の端から黄色い生卵の一筋を覗かせていたのだった...
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~
馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」
入社した会社の社長に
息子と結婚するように言われて
「ま、なぶくん……」
指示された家で出迎えてくれたのは
ずっとずっと好きだった初恋相手だった。
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
ちょっぴり照れ屋な新人保険師
鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno-
×
俺様なイケメン副社長
遊佐 学 -Manabu Yusa-
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
「これからよろくね、ちとせ」
ずっと人生を諦めてたちとせにとって
これは好きな人と幸せになれる
大大大チャンス到来!
「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」
この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。
「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」
自分の立場しか考えてなくて
いつだってそこに愛はないんだと
覚悟して臨んだ結婚生活
「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」
「あいつと仲良くするのはやめろ」
「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」
好きじゃないって言うくせに
いつだって、強引で、惑わせてくる。
「かわいい、ちとせ」
溺れる日はすぐそこかもしれない
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
俺様なイケメン副社長と
そんな彼がずっとすきなウブな女の子
愛が本物になる日は……
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
男装官吏と花散る後宮〜禹国謎解き物語〜
春日あざみ
キャラ文芸
<第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。応援ありがとうございました!>
宮廷で史書編纂事業が立ち上がると聞き、居ても立ってもいられなくなった歴史オタクの柳羅刹(りゅうらせつ)。男と偽り官吏登用試験、科挙を受験し、見事第一等の成績で官吏となった彼女だったが。珍妙な仮面の貴人、雲嵐に女であることがバレてしまう。皇帝の食客であるという彼は、羅刹の秘密を守る代わり、後宮の悪霊によるとされる妃嬪の連続不審死事件の調査を命じる。
しかたなく羅刹は、悪霊について調べ始めるが——?
「歴女×仮面の貴人(奇人?)」が紡ぐ、中華風世界を舞台にしたミステリ開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる