一輪の廃墟好き 第一部

第153話 レーザー光線

「あ、あぁ、信じられ光景だが、青白いレーザー光線のようなものが俺の胸に当たっているのが見えている...」

　そうか、見えちゃってるのか...

「それでこの突然現れた光の線は何なんだ？」

　よほど気になるのか、否、気にならならない方がおかしいだろう。淀鴛さんが僕に対して質問を繰り返す。

　さてどうしたものだろう...

　もし本当にヘアピンの所有者が淀鴛さんだとしたら、「想いの線」の説明を素直にしてしまうことは危険なのではないだろうか？

　僕が数秒の間に頭をフル回転させ、想定される事象を検証していると。

「ねぇ一輪、『想いの線』が淀鴛さんを貫いちゃってるけど大丈夫なの？」

　指をヘアピンで切ったにも関わらず、僕と淀鴛さんに放置されていた可哀想な娘の未桜が口を挟んできた。

　だが彼女の言葉に「はっ」とする。

　僕としたことが、どうやら大きな勘違いをしてしまったらしい。

　「想いの線」は到達した所有者の身体に当たるとそこに留まり、所有者が移動すれば追尾するという能力である。

　僕の位置からは淀鴛さんの身体に当たり留まっているように見えているけれど、なんてことはない、僕達の側面にいる未桜からは淀鴛さんの身体を貫いているかのように見えていたのだ。
　
　つまり、「想いの線」は淀鴛さんを所有者として指し示したわけではなかったのである...