貧乏αと金持ちΩ

吉良鳥一

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プロローグ

第二話

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 キーンコーンと学校のチャイムが響き渡る教室の奥の窓際の席に、眠そうに机に突っ伏すのはクールな二重で猫目が綺麗な少年、柊叶芽ひいらぎかなめだ。

「ねむ……」

 白く高級感のある制服に身を包む彼は眠そうにあくびをしながら鞄を持って席を立った。
 特に誰と会話するでもなくさっさと教室を出る。

「カナ」

「あ、佑真!!」

 階段の所でカナと言う愛称で呼び止められた叶芽が振り返ると、背の高いイケメンが立っていた。
 叶芽と同じ制服を着ているが、ネクタイは緩く着けている。

  沢田佑真。
 彼は叶芽の家の近所に住んでいて、家族ぐるみで付き合いのある幼馴染みだ。
 そんな2人は一緒に階段を降り、校舎を出ると駐車場へと向かう。
 だだっ広い校庭、校舎は普通の学校では無い。

 聖雷学園高校。
 ここは金持ち校と呼ばれ多くのお金持ちの子供、及び多くのαが通う高校である。

 αが多いこの高校だが勿論βもいるし、Ωもいる。
 しかしαは特進クラスに入り、その他は普通クラスと言う区別がなされている。
    
 そしてその特進クラスにいるのは佑真だ。
 そう、佑真はαだ。
 その佑真とは別のクラスで、普通クラスの叶芽は勿論αではなかった。

「ねぇ佑真、日曜日どっか遊び行きたい」

「ん?いいよ、どうせヒマだし」

「やった!!」

 日曜日に遊びに行く約束を取り付けた叶芽は嬉しそうに心を弾ませる。

「まぁそれはいいけどお前、遊びに行くならΩ用の首輪くらい着けた方がよくね?」

 そう佑真が言うと叶芽は顔を曇らせる。

「ヤだ。制服のシャツとかネクタイでも首に圧力掛かってんの邪魔なのになんで首輪とかしなくちゃいけないわけよ!!」

「なんでって……
まだそんなワガママ言って、変なαに噛まれたらどうするよ?
いい加減ちったぁ考えろよ」

「………ヤだ」

 ふて腐れる叶芽に佑真は苦笑いを浮かべるしかない。

    
    

    


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