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緋色の罪
第八話
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女性に憑いていたのは赤い着物のとても美しい女だった。
苦悶の表情でこちらを見る彼女は観念したのか抵抗しようとする様子は見られなかった。
「椿の花………
古椿の霊か?」
「椿?」
利音の言葉に真尋が首を傾げる。
「彼女の髪飾り、椿の花だ。
だから古椿の霊かと思うけど……」
違う?と女に顔を向けて問うと女は軽く頷いた。
「ええ、そうですよ。
貴方の仰る通り、私は古椿の霊です」
古椿の霊……。
それは長い時を生きた椿が霊となったもの。
妖艶で美しいその女は男を惑わせると言う。
椿の花は散る際に花が丸ごと落ちることから、不吉だとも言われている。
「へぇ、椿……
それで椿ちゃんはどうしてこれを狙ってるの?」
「椿ちゃん………」
真尋が付けたあだ名に利音は訝しげに反復する。
「だって古椿の霊ちゃんって言うのは長いじゃないですか。
椿ちゃん可愛く無いですか?」
「君さ、忘れてるのかもしんないけど、彼女君よりずっと長生きだよ?
普通、椿"さん"じゃないの?」
「……あ、そっか!!
ごめんなさい、目上の方でした」
「…………」
二人の空気を読まないズレた会話に女は呆れて目をヒクつかせる。
口を挟んでいいのか少し考えた彼女はため息を一つついて、口を開いた。
「別に好きに呼んで結構です。
私はただ病を治したいだけです。
ですのでその水晶が必要なので渡しては頂けませんか?」
「病?」
「はい、私の本体の木に人が薬品を撒いたのです。
なんの薬品かは知りません」
椿の彼女が言うには、人がボトルに入った液体を要らなくなったからとボトルごと不法投棄したと言う。
しかも蓋が緩く外れてしまい本体である椿の木の根元に染み込んでしまった。
その薬品は草木にとって良くないものだったらしく、そのまま成す術もなく、長い年月をそこに鎮座していた椿は見る見る弱って行ったそうだ。
苦悶の表情でこちらを見る彼女は観念したのか抵抗しようとする様子は見られなかった。
「椿の花………
古椿の霊か?」
「椿?」
利音の言葉に真尋が首を傾げる。
「彼女の髪飾り、椿の花だ。
だから古椿の霊かと思うけど……」
違う?と女に顔を向けて問うと女は軽く頷いた。
「ええ、そうですよ。
貴方の仰る通り、私は古椿の霊です」
古椿の霊……。
それは長い時を生きた椿が霊となったもの。
妖艶で美しいその女は男を惑わせると言う。
椿の花は散る際に花が丸ごと落ちることから、不吉だとも言われている。
「へぇ、椿……
それで椿ちゃんはどうしてこれを狙ってるの?」
「椿ちゃん………」
真尋が付けたあだ名に利音は訝しげに反復する。
「だって古椿の霊ちゃんって言うのは長いじゃないですか。
椿ちゃん可愛く無いですか?」
「君さ、忘れてるのかもしんないけど、彼女君よりずっと長生きだよ?
普通、椿"さん"じゃないの?」
「……あ、そっか!!
ごめんなさい、目上の方でした」
「…………」
二人の空気を読まないズレた会話に女は呆れて目をヒクつかせる。
口を挟んでいいのか少し考えた彼女はため息を一つついて、口を開いた。
「別に好きに呼んで結構です。
私はただ病を治したいだけです。
ですのでその水晶が必要なので渡しては頂けませんか?」
「病?」
「はい、私の本体の木に人が薬品を撒いたのです。
なんの薬品かは知りません」
椿の彼女が言うには、人がボトルに入った液体を要らなくなったからとボトルごと不法投棄したと言う。
しかも蓋が緩く外れてしまい本体である椿の木の根元に染み込んでしまった。
その薬品は草木にとって良くないものだったらしく、そのまま成す術もなく、長い年月をそこに鎮座していた椿は見る見る弱って行ったそうだ。
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