天狗と骨董屋

吉良鳥一

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片割れは傍らに在り(上)

第六話

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 何故笑われたのか分からない二人はお互いを見合った。

「失礼。
宗像さんが以前人を雇ったと仰っていたのを聞いて凄く意外だったので、どんな方なのかと思ってましたが、なるほど……
とても楽しい方ですね」

「楽しい……?」

 そう優しげに微笑む如月の横で利音は眉間に皺が寄った。

 ここで真尋はふと思った。
 妖だなんだと言う会話に如月は特に驚いては無かった。
 彼は何処まで分かっているのだろうと。

「あの、如月さんって視えたりするんですか?」

 その質問に如月は頷いた。

「ええ、ある程度は視えます。
ですが宗像さん程の力はありません。
ですのでこうして、彼に色々と相談をさせて頂いているのです」

「なるほど……
じゃあ俺のことも……」

 きっと真尋に妖の気配が混じっていることも分かっているのだろう。
 彼はどう思っているのだろうか?
 真尋の聞きたいことを察したように如月が口を開く。

「貴方は聞いてほしいのですか?」

「………」

 想定外の質問を投げ掛けられどう答えていいか分からない。

「貴方が聞いてほしいと仰るならば聞きますが、言いたく無いのなら言う必要はありません。
他に質問はございますか?」

「いえ……
ありがとうございます」

「いいえ」

 またにっこりと優しい笑顔を送ってくれる。
 それと、気付いていても聞かれないのは真尋としては凄く楽だったし、彼は妖の部分ではなく自分を見てくれている。
 いい人なんだなと思った。

「あのさ、ぬいぐるみの事なんだけど……」

 横で聞いていた利音が逸れた話しを戻そうと二人に割って入る。

「これはこれは失礼しました。
お聞きしましょう」

 再び先程の話題に戻る。

「ぬいぐるみなんですけど、これもしかしたらぬいぐるみ自身が男に盗ませた可能性がありますね」
 
「盗ませた……?」

 まさかの利音の言葉に真尋も如月も驚いた。
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