天狗と骨董屋

吉良鳥一

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後日談

第四話

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 何ともまぁ息がピッタリな真尋と利音。
 天然で言動がたまにズレる真尋とマイペースで我が道を行く利音は案外相性がいいのかもしれない。
 いや、お互い振り回されているのだろうが仕方無いと思えるほど一緒にいて楽しいのかもしれないと秋人は利音を見る目が少しだけ変わった。

「でも特徴が同じでも普通の犬との混血かもしれないけどね」

 秋人はそう付け加えた。

「でもニホンオオカミってこんな感じだったんでしょ?
と言うか見たことあるんだ」

 キラキラした目で真尋は聞いてくる。

「ああ、まあね。
それに山暮らしもしてた事があるし、何度か見たよ」

 自身の血故に人里離れた所で生活していた事もあった。
  その時に何度か遭遇したことがある。
  その頃秋人がヤマイヌと呼んでいたニホンオオカミは人を襲う事もほとんど無く、少し離れた所から監視しているような、そんな生き物だ。

「と言うか秋人さんはいつの時代の生まれ?」

 秋人と真尋の会話を聞いていた利音が質問してくる。

「江戸後期だよ。
あまりいい思い出は無いけれど」

 今の時代は平和だとしみじみと感傷に浸る。
 しかし真尋の興味は秋人ではなくネコに集中していた。

「利音さん、利音さん。
犬神ってオオカミでもいいんですか?
と言うかオオカミも犬神と呼ぶんですか?」

「まぁそもそもオオカミ自体、神様とすることもあるしね。
それに犬神の犬の字の点を取れば大神、つまりオオカミだよ」

「おお、なるほど!!」

「いや、尤もらしい事言ってるけど取って付けてるでしょ!!
絶対今考えただろ?」

 利音の説明に突っ込みを入れるのは竜樹だ。
 真尋は彼の言うことを完全に信じていたので嘘だったのかとガッカリする。

「竜樹さんって見た目と違って意外と真面目だよね。
融通が利かなそう」

「………」

「どうでもいいんだけど、俺疲れたしそろそろ帰りたい……
明日も学校あるし……」

 ゴーイングマイウェイな二人に最早手綱を握れない竜樹は助けを求めるように秋人を見る。

「そうだね。
そろそろ帰ろうか。
じゃあ真尋、またね」

「うん、また連絡する」

「利音君、真尋を宜しくお願いします」

「……はい」

 こうして久々の再会も終わり、またお互いの日常へと戻って行った。
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