天狗と骨董屋

吉良鳥一

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後日談

第三話

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 天明道に所属する名門宗像家の跡取りと目されていた利音は、自らの意思で家を出て細々と骨董屋を経営している。

 変わり者と言われる彼は何故真尋を傍に置くのか、秋人は不安を覚えた。
 真尋に何かよからぬ事を仕出かしたりしないかと……
 秋人は利音に問うた。

「真尋にも言ったけど、ただの興味で、何もしやしない。
彼面白い子だしね」

 そう前置きした上で、利音は続けた。

「ただ不思議だよね。
隔世遺伝みたいな形でここまではっきり妖の力が発現するって。
普通竜樹さんみたいに血と共に力も薄まって行く筈なのに、面白いなって」

 興味本位だと言うが秋人は納得は行かない。
 真尋は見世物などではない。
 自分勝手に真尋を巻き込まないで欲しいと内心イライラした。

 だが当の真尋は特に怒ってもおらず、寧ろ利音といることを楽しんでいるかのようだ。
 それにファミレスを出ると利音の飼い犬の犬神、ネコと楽しそうに戯れ始めた。

「よしよしネコ」

「ネコ……?」

 竜樹と同じリアクションの秋人に真尋は竜樹の時と同じ説明をする。
 秋人も同様にネコと言う名前に反応したが、真尋だからと納得せざるを得なかった。

 そんな秋人はあることに気がついた。

「この犬神、犬じゃ無い気がするけど……」

「犬じゃない?」

「これ、所謂ニホンオオカミと言う奴かと……
頭の額から鼻にかけての形とか、色とか、見た目が似ているなと」

「「「ニホンオオカミ!?」」」

 秋人の言葉が衝撃的で三人の声が重なりあった。
 
「え、利音さんこれオオカミなんですか?」

「いや知らないけど。
まぁ、かなり古い物だったしあり得るんじゃない?」

「いやいや利音さんなんでそんな冷静なんですか?
ニホンオオカミですよ!!
絶滅したと言われてるニホンオオカミ!!
まぁ俺はまだ生き残りがいるんじゃないかと思ってますけど。
ってかここにいるし!!生きてた!!
まだいましたよ利音さん!!」

「真尋落ち着け。
ネコはもう死んでるから」

「あそっか……」

 動物好きの真尋はネコがニホンオオカミではとの指摘に興奮していた。
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