天狗と骨董屋

吉良鳥一

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河童の手のミイラ(上)

第八話

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 天明道には今後関わりたくないときっぱり言った利音に栗郷は腑に落ちないままだ。

 ふと下の方に目線を落とした栗郷は利音の左腕が気になった。

「その腕……呪詛か……?」

「………」

「あ~そうなんですよ。
聞いて下さいよ」

「真尋、余計なこと言わなくていいから!!」

 天明道の栗郷に相談しようとするも知られる事も恩を売る事もしたくない利音は口止めしようとするが、時既に遅し。
 栗郷は利音の弱みを握れると、逃がしてはくれなかったので仕方無く今までの経緯を話した。

「ほぅ、大蝦蟇ね。
しかも誰かに恨まれてるのか。
誰か思い当たる節はないのか?」

「無いから困ってんでしょ。バカなの?」

 二人とも何だか仲悪いように見えるが気のせいだろうかと真尋は思った。

「それで君はなんでここにいるの?」

 今度は逆に栗郷に利音が質問した。
 すると栗郷は任務だと答えた。

「……アンタ、三上克之みかみかつゆきって人覚えてるか?」

「三上……誰?」

「まぁぶっちゃけ俺もそんな覚えてるわけじゃないが、俺らが高校の時か……
俺が確か16で、アンタが18か?
そん時その三上っつー人と一緒に任務に一回だけ行ったんだが」

 まだ2人が高校生の時だ。
 三上と言う30代の男性と20代半ばの坂下と言う女性が2人と共に任務に着いた。

 この祓い屋の世界は人手不足である。
 何故なら視えるだけでなく、祓える力が必要なので戦える者は誰でも欲しいのだ。
 その為まだ10代の彼らも天明道の戦力の一員として任務に出ざるを得ない。

 しかし利音は10代ながらも類い稀なる力を発揮し、最終的に1人で大物の妖を祓ったのだ。
 それから利音の存在は天明道で知らぬ者はいないくらい有名となった。

「んで、そん時の三上って人が最近殺された」

「…………」

 殺された………
 誰に、何故殺されたのかは分からない。
 だからこそ天明道は現在調査しており、栗郷も色々と情報を集めている最中だった。

「多分妖絡みだとは思うが情報が無い。
………つうかその呪詛、俺が手伝ってやろうか?」

 唐突にそう利音に対して不敵な笑みを浮かべ言った。

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