165 / 169
縄張り争い(下)
第十四話
しおりを挟む
「はっ……はっ………」
「おい大丈夫か!?」
風楽との戦闘でほぼほぼ体力を使い切り、相手からの攻撃を避けるだけで精一杯の秋人。
遂には膝を着いてしまった。
彼が戦えそうに無いのは栗郷も分かってはいるが一人では少々厳しい。
かと言って誰かに加勢してもらうのも、彼らも他の天狗の相手で精一杯。
「中々手こずってるようだな」
「………!?」
相手の天狗の後ろに現れたのは六華だ。
「あ?六華じゃねぇか……
これの何処が手こずってるように見えるんだ?」
秋人は力尽き、栗郷もだいぶ体力を消耗していると言うのに六華の発言はおかしいと反論する。
そして新たな天狗の出現に二人は絶望する。
最早万事休すか………
六華はニッと口角を上げ、その瞬間鮮血が舞い散った___
「なっ………!?」
その場にいた者は皆目を見開いた。
何故なら六華が秋人らが対峙していた大天狗の胸を彼の腕が貫いたのだから………
「りっ……か……!?
きさ…まっ……」
「全く、妖も人も愚かだと思わないかい?
この時代になっても学ばないものだよ」
淡々とそう涼しい顔で話し、その貫いたその腕を引き抜いて、心の臓を抉り出した。
そして心の臓を失った大天狗は地面に倒れ、消え去った。
六華は血に染まった手に持つその心臓を口に運び喰らった。
「六華、貴様血迷ったか!?」
この瞬間を目撃した大天狗ら、そして天明道にも激震が走り、場が凍り付いた。
「何故仲間を!?」
「仲間?
つい最近まで殺し合っていた相手をよく仲間と言える。
言っただろう?いつの間にか後ろから討たれる事態は御免だと。
お前達が寝首を掻かれる可能性があるとは考えなかったのか?」
六華は嘲笑うようにそう吐き捨てる。
「だとしても何故天明道に肩を貸すような事を!?
奴らは我々を卑怯な手で襲ったのだぞ!?」
「俺は縄張り争いには参加していないし、彼らに襲われもしていない。
故に俺が復讐する理由もない」
確かに六華は縄張り争いに参加せず、自分の縄張りの奥底に籠って何もしていなかったし、それ故に天明道にも目をつけられる事はなかったが、大天狗らは解せない事がある。
「おい大丈夫か!?」
風楽との戦闘でほぼほぼ体力を使い切り、相手からの攻撃を避けるだけで精一杯の秋人。
遂には膝を着いてしまった。
彼が戦えそうに無いのは栗郷も分かってはいるが一人では少々厳しい。
かと言って誰かに加勢してもらうのも、彼らも他の天狗の相手で精一杯。
「中々手こずってるようだな」
「………!?」
相手の天狗の後ろに現れたのは六華だ。
「あ?六華じゃねぇか……
これの何処が手こずってるように見えるんだ?」
秋人は力尽き、栗郷もだいぶ体力を消耗していると言うのに六華の発言はおかしいと反論する。
そして新たな天狗の出現に二人は絶望する。
最早万事休すか………
六華はニッと口角を上げ、その瞬間鮮血が舞い散った___
「なっ………!?」
その場にいた者は皆目を見開いた。
何故なら六華が秋人らが対峙していた大天狗の胸を彼の腕が貫いたのだから………
「りっ……か……!?
きさ…まっ……」
「全く、妖も人も愚かだと思わないかい?
この時代になっても学ばないものだよ」
淡々とそう涼しい顔で話し、その貫いたその腕を引き抜いて、心の臓を抉り出した。
そして心の臓を失った大天狗は地面に倒れ、消え去った。
六華は血に染まった手に持つその心臓を口に運び喰らった。
「六華、貴様血迷ったか!?」
この瞬間を目撃した大天狗ら、そして天明道にも激震が走り、場が凍り付いた。
「何故仲間を!?」
「仲間?
つい最近まで殺し合っていた相手をよく仲間と言える。
言っただろう?いつの間にか後ろから討たれる事態は御免だと。
お前達が寝首を掻かれる可能性があるとは考えなかったのか?」
六華は嘲笑うようにそう吐き捨てる。
「だとしても何故天明道に肩を貸すような事を!?
奴らは我々を卑怯な手で襲ったのだぞ!?」
「俺は縄張り争いには参加していないし、彼らに襲われもしていない。
故に俺が復讐する理由もない」
確かに六華は縄張り争いに参加せず、自分の縄張りの奥底に籠って何もしていなかったし、それ故に天明道にも目をつけられる事はなかったが、大天狗らは解せない事がある。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
女帝の遺志(第二部)-篠崎沙也加と女子プロレスラーたちの物語
kazu106
大衆娯楽
勢いを増す、ブレバリーズ女子部と、直美。
率いる沙也加は、自信の夢であった帝プロマット参戦を直美に託し、本格的に動き出す。
一方、不振にあえぐ男子部にあって唯一、気を吐こうとする修平。
己を見つめ直すために、女子部への入部を決意する。
が、そこでは現実を知らされ、苦難の道を歩むことになる。
志桜里らの励ましを受けつつ、ひたすら練習をつづける。
遂に直美の帝プロ参戦が、現実なものとなる。
その壮行試合、沙也加はなんと、直美の相手に修平を選んだのであった。
しかし同時に、ブレバリーズには暗い影もまた、歩み寄って来ていた。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れ果てた俺がたどり着いたのは、圧倒的な自由度を誇るVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。
選んだ職業は、幼い頃から密かに憧れていた“料理人”。しかし戦闘とは無縁のその職業は、目立つこともなく、ゲーム内でも完全に負け組。素材を集めては料理を作るだけの、地味で退屈な日々が続いていた。
だが、ある日突然――運命は動き出す。
フレンドに誘われて参加したレベル上げの最中、突如として現れたネームドモンスター「猛き猪」。本来なら三パーティ十八人で挑むべき強敵に対し、俺たちはたった六人。しかも、頼みの綱であるアタッカーたちはログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク・クマサン、ヒーラーのミコトさん、そして非戦闘職の俺だけ。
「逃げろ」と言われても、仲間を見捨てるわけにはいかない。
死を覚悟し、包丁を構えたその瞬間――料理スキルがまさかの効果を発揮し、常識外のダメージがモンスターに突き刺さる。
この予想外の一撃が、俺の運命を一変させた。
孤独だった俺がギルドを立ち上げ、仲間と出会い、ひょんなことからクマサンの意外すぎる正体を知り、ついにはVチューバーとしての活動まで始めることに。
リアルでは無職、ゲームでは負け組職業。
そんな俺が、仲間と共にゲームと現実の垣根を越えて奇跡を起こしていく物語が、いま始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる