166 / 169
縄張り争い(下)
第十五話
しおりを挟む
「ならば何故ここへ来た?
お前も乗り気であったろう」
本部へ襲撃する前に六華は自らその先頭に立っていた。
「別に、俺はただここに用事があったから来ただけで一度も天明道を殺るなど言って無いが?」
屁理屈にも聞こえる六華の言葉。
しかしもうそんなことはどうでも良かった。
天狗達の怒りは天明道から六華へ移る。
「六華の野郎!!
ぶっ殺してやるっ!!」
殺気立つ大天狗らだが、六華は動じるどころか笑みすら浮かべた。
「ほう、この俺を殺せるとでも?」
そう言うと赤黒い妖気が全身から溢れ出る。
それだけでこの場にいる全員がその強大な力に戦いた。
先程の大天狗の心臓を喰らった事でより強い力を手に入れ、更に彼の後ろには彼の沢山の眷属が控えている為、最早大天狗さえも迂闊に六華に手出しは出来なくなった。。
彼らは天明道との戦いに参加しなかった為、他の大天狗の眷属のように天明道に殺されずに済んでいるので、その数も桁違い。
「六華様……」
すると六華の傍に長い黒髪の美しい女天狗が少し後ろにやってくる。
「ご苦労、紅」
紅と呼ばれたその女天狗は軽く頭を下げると後ろに下がる。
この眷属達を六華の命で率いて来たのが紅である。
「さぁ、どうする?」
六華はそう挑発した。
だが、六華に手を出そうとする者は誰もいなかった。
「ならばここから引け。
これ以上天明道との無用な諍いは不要。
あんまり溝が出来てもこちらとしてもメリットが無い」
天明道と争う姿勢の無い彼に天狗達は戸惑いながらも、彼に逆らっては今は不利だと感じ、それを飲んだ。
しかし天明道としてはここまでやられて、しかも天狗の言葉を信用することなど出来ない。
するとそこへ京道が現れた。
「天明道諸君、引け。
我々としてもこれ以上血を流すのは得策ではない」
「会長………」
この戦いはここで無理矢理手打ちにする事となり、終結した。
六華はチラリと秋人を一瞥した後、ニッと笑う。
そして大きな翼を羽ばたいてこの場から去って行った。
「希望とは絶望、絶望とは希望……
お前は今の世界をどう見る。
なぁ、貴眞?」
語り掛けるように呟く六華は懐かしむように空を見上げた。
お前も乗り気であったろう」
本部へ襲撃する前に六華は自らその先頭に立っていた。
「別に、俺はただここに用事があったから来ただけで一度も天明道を殺るなど言って無いが?」
屁理屈にも聞こえる六華の言葉。
しかしもうそんなことはどうでも良かった。
天狗達の怒りは天明道から六華へ移る。
「六華の野郎!!
ぶっ殺してやるっ!!」
殺気立つ大天狗らだが、六華は動じるどころか笑みすら浮かべた。
「ほう、この俺を殺せるとでも?」
そう言うと赤黒い妖気が全身から溢れ出る。
それだけでこの場にいる全員がその強大な力に戦いた。
先程の大天狗の心臓を喰らった事でより強い力を手に入れ、更に彼の後ろには彼の沢山の眷属が控えている為、最早大天狗さえも迂闊に六華に手出しは出来なくなった。。
彼らは天明道との戦いに参加しなかった為、他の大天狗の眷属のように天明道に殺されずに済んでいるので、その数も桁違い。
「六華様……」
すると六華の傍に長い黒髪の美しい女天狗が少し後ろにやってくる。
「ご苦労、紅」
紅と呼ばれたその女天狗は軽く頭を下げると後ろに下がる。
この眷属達を六華の命で率いて来たのが紅である。
「さぁ、どうする?」
六華はそう挑発した。
だが、六華に手を出そうとする者は誰もいなかった。
「ならばここから引け。
これ以上天明道との無用な諍いは不要。
あんまり溝が出来てもこちらとしてもメリットが無い」
天明道と争う姿勢の無い彼に天狗達は戸惑いながらも、彼に逆らっては今は不利だと感じ、それを飲んだ。
しかし天明道としてはここまでやられて、しかも天狗の言葉を信用することなど出来ない。
するとそこへ京道が現れた。
「天明道諸君、引け。
我々としてもこれ以上血を流すのは得策ではない」
「会長………」
この戦いはここで無理矢理手打ちにする事となり、終結した。
六華はチラリと秋人を一瞥した後、ニッと笑う。
そして大きな翼を羽ばたいてこの場から去って行った。
「希望とは絶望、絶望とは希望……
お前は今の世界をどう見る。
なぁ、貴眞?」
語り掛けるように呟く六華は懐かしむように空を見上げた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
女帝の遺志(第二部)-篠崎沙也加と女子プロレスラーたちの物語
kazu106
大衆娯楽
勢いを増す、ブレバリーズ女子部と、直美。
率いる沙也加は、自信の夢であった帝プロマット参戦を直美に託し、本格的に動き出す。
一方、不振にあえぐ男子部にあって唯一、気を吐こうとする修平。
己を見つめ直すために、女子部への入部を決意する。
が、そこでは現実を知らされ、苦難の道を歩むことになる。
志桜里らの励ましを受けつつ、ひたすら練習をつづける。
遂に直美の帝プロ参戦が、現実なものとなる。
その壮行試合、沙也加はなんと、直美の相手に修平を選んだのであった。
しかし同時に、ブレバリーズには暗い影もまた、歩み寄って来ていた。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れ果てた俺がたどり着いたのは、圧倒的な自由度を誇るVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。
選んだ職業は、幼い頃から密かに憧れていた“料理人”。しかし戦闘とは無縁のその職業は、目立つこともなく、ゲーム内でも完全に負け組。素材を集めては料理を作るだけの、地味で退屈な日々が続いていた。
だが、ある日突然――運命は動き出す。
フレンドに誘われて参加したレベル上げの最中、突如として現れたネームドモンスター「猛き猪」。本来なら三パーティ十八人で挑むべき強敵に対し、俺たちはたった六人。しかも、頼みの綱であるアタッカーたちはログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク・クマサン、ヒーラーのミコトさん、そして非戦闘職の俺だけ。
「逃げろ」と言われても、仲間を見捨てるわけにはいかない。
死を覚悟し、包丁を構えたその瞬間――料理スキルがまさかの効果を発揮し、常識外のダメージがモンスターに突き刺さる。
この予想外の一撃が、俺の運命を一変させた。
孤独だった俺がギルドを立ち上げ、仲間と出会い、ひょんなことからクマサンの意外すぎる正体を知り、ついにはVチューバーとしての活動まで始めることに。
リアルでは無職、ゲームでは負け組職業。
そんな俺が、仲間と共にゲームと現実の垣根を越えて奇跡を起こしていく物語が、いま始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる