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フィリエル殿下3
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「……はあ、わかりました。ですが本当に大変ですからね?」
「いいよいいよ。いやあ、こういう力仕事とか雑用って一度やってみたかったんだよね。城だと使用人に止められちゃうからさ」
本当に変わった人だ……
さて、そんな感じで収穫祭の準備をこなして夕方になる。
「それじゃあ僕は帰るよ」
「え? この時間ですから、ぜひうちに泊まっていってください」
「うーん、残念だけど隣町で宿を取ってるんだ」
「わかりました。それではお気をつけて」
「うん。またね!」
そう告げてフィリエル殿下は去っていった。
……ん?
あれ、なぜかフィリエル殿下が戻ってきた。
「言い忘れた。レイナ、明日も手伝いに来ていいかい?」
「え? い、いえ、さすがに殿下に連日手伝っていただくわけには」
「……迷惑かい?」
しゅーん、と表情を曇らせるフィリエル殿下。
その表情は反則すぎる。
「……わかりました。でも、他にお仕事があるならそちらを優先してくださいね」
「ああ、ありがとう!」
にっこり微笑むフィリエル殿下に私は困惑する。
「なぜそんなに手伝ってくれるんですか? 得るものはないと思いますよ?」
自分の領地の仕事をしている私と違って、フィリエル殿下には他にもたくさん仕事がある。それなのにどうしてこんな弱小領地の仕事の手伝いなんてしてくれるんだろうか。
「んー、まずは社会勉強の一環というものが一つ」
「なるほど。他にもあるんですか?」
「それはもちろん、君がロージア家との婚約を破談にしたからだよ」
「え?」
一瞬困惑したけれど、私はフィリエル殿下の言葉の意味をすぐに理解した。
「……ああ、わかりました。私が弱っていると心配して、助けてくれようとしたんですね。フィリエル殿下は本当にお優しいですね」
学院時代に交流があったとはいえ、たかが元同級生相手にここまでしてくれるなんて、もはや人格者なんて言葉でも足りないくらいだ。
「ああ、まあ、うん……レイナはそういう考え方をするよね」
「はい?」
「まあいいよ。そのうちわかってもらえる日が来ると思うし。とりあえず、今度こそ僕は行くよ。また明日」
「はい。今日は本当にありがとうございました」
フィリエル殿下は今度こそその場から去っていくのだった。
「いいよいいよ。いやあ、こういう力仕事とか雑用って一度やってみたかったんだよね。城だと使用人に止められちゃうからさ」
本当に変わった人だ……
さて、そんな感じで収穫祭の準備をこなして夕方になる。
「それじゃあ僕は帰るよ」
「え? この時間ですから、ぜひうちに泊まっていってください」
「うーん、残念だけど隣町で宿を取ってるんだ」
「わかりました。それではお気をつけて」
「うん。またね!」
そう告げてフィリエル殿下は去っていった。
……ん?
あれ、なぜかフィリエル殿下が戻ってきた。
「言い忘れた。レイナ、明日も手伝いに来ていいかい?」
「え? い、いえ、さすがに殿下に連日手伝っていただくわけには」
「……迷惑かい?」
しゅーん、と表情を曇らせるフィリエル殿下。
その表情は反則すぎる。
「……わかりました。でも、他にお仕事があるならそちらを優先してくださいね」
「ああ、ありがとう!」
にっこり微笑むフィリエル殿下に私は困惑する。
「なぜそんなに手伝ってくれるんですか? 得るものはないと思いますよ?」
自分の領地の仕事をしている私と違って、フィリエル殿下には他にもたくさん仕事がある。それなのにどうしてこんな弱小領地の仕事の手伝いなんてしてくれるんだろうか。
「んー、まずは社会勉強の一環というものが一つ」
「なるほど。他にもあるんですか?」
「それはもちろん、君がロージア家との婚約を破談にしたからだよ」
「え?」
一瞬困惑したけれど、私はフィリエル殿下の言葉の意味をすぐに理解した。
「……ああ、わかりました。私が弱っていると心配して、助けてくれようとしたんですね。フィリエル殿下は本当にお優しいですね」
学院時代に交流があったとはいえ、たかが元同級生相手にここまでしてくれるなんて、もはや人格者なんて言葉でも足りないくらいだ。
「ああ、まあ、うん……レイナはそういう考え方をするよね」
「はい?」
「まあいいよ。そのうちわかってもらえる日が来ると思うし。とりあえず、今度こそ僕は行くよ。また明日」
「はい。今日は本当にありがとうございました」
フィリエル殿下は今度こそその場から去っていくのだった。
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