【完結保証】あれだけ愚図と罵ったんですから、私がいなくても大丈夫ですよね？ 『元』婚約者様？

取り立て(ランザス視点)２

　家令は視線を逸らしながら言った。

「その……今年は雨が多く、作物の多くに被害が出てしまったので……」
「だとしてもこの額は有り得んだろう！　お前は何をしていた！？」
「領地の管理は……ここしばらく、自分ではなくレイナ様が主にやっていましたので……」

　その言葉に父がとうとうキレた。

「ふざけるな！　領地管理は貴様の仕事だぞ！　貴様が責任を持ってやるんだ！　だいたい大切な領地の仕事をレイナなどという小娘に任せるなど、頭がおかしい！」
「し、しかし、レイナ様に仕事をさせるのは旦那様が指示したことだと……」
「黙れ！　人のせいにするな！」

　父に怒鳴られて渋々黙り込む家令。

　まあ、正直レイナに領地運営をさせていたのは父なのでこの言い分はおかしいんだが……どうでもいいか。俺関係ないし。

「とにかく貴様は税収を元に戻してこい！　こんな少額で生活できるか！」
「は、ははっ！　……くそっ、なんで自分が……」

　うんざりしたように悪態をつきながら去っていく家令。

　さーて俺は遊びに行こっかなー。

　ドカドカドカドカ！

　なんか足音が聞こえてくるな。

「ロージア卿！　借金の取り立てに参りました」

　やってきたのは隣領を治める貴族だ。
　護衛を大勢引きつれている。

　まずい、と俺や父の顔が青ざめる。