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22.秘密の共有
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ドミニクはヨハンを部屋に呼んだ。
「坊ちゃんの肛門が切れて腫れていました。今日、ここにいたのは坊ちゃん以外は君とレオポルディーナ嬢だけです」
「何が言いたい?」
「正直に言いましょう。旦那様は坊ちゃんの性的嗜好を疑っています。それにヨハンとの距離感がおかしいとも思っています」
「なっ……」
「私は旦那様にそんなことはないと言いましたが、坊ちゃんとヨハンの関係は主人と従者とか、幼馴染とかで収まらないと私は感じています。愛し合う者同士、身体を繋げたいという願望は当然です。でも身体を傷つけないよう、お互いに思いやって行動することが大切です」
「何だって言うんだ、はっきり言え!」
「肛門に挿入するなら、それなりの準備が必要ということです」
フェルディナントとヨハンは慌てふためいたが、ドミニクは冷静に言葉を続けた。
「この国では残念ながら同性愛は認められていません。でも貴方達が正直に話してくれれば、秘密を守れるように協力しましょう。今日、ここで見聞きしたことは誰にも言いません。旦那様には坊ちゃんは疲れで熱が出たということにします」
「……ドミニク、信じていいのか?」
「貴方達の秘密を聞く代わりに私の秘密も教えましょう。私の初めての相手は男性でした。あ、もちろん閨の実践以外で、ってことですが」
「えっ?! でも僕の閨の実践であの女を抱いたじゃないか」
「私は女性も抱けます。でも最初に愛した人は男性でした」
フェルディナントの父ロルフと同年代のドミニクは、閨の実践で苦痛を覚えずに女を抱けたが、女性に恋愛感情を持てず、初めて恋したのは男性だった。だが、その男性は家の事情で結婚し、ドミニクは失恋、結婚せずに今に至っている。結婚しないことに相当奇異な目を向けられたが、ドミニクは気にしないことにしている。
「まぁ、私は三男でしたから、両親は嘆きましたが、結婚しなくても支障はありませんでした」
「そうか……話してくれてありがとう。ドミニク、聞きたいことがある。男同士が愛し合うことを教会は罪だと言っているけど、君は罪だと思うか?」
「私は神が本当にそんな決まりを作ったとは思えません。2人の人間が恋に落ちた――それは神の思し召しではないですか? 私は男同士でも、女同士でも、男女でも愛し合うことは素晴らしいと思っているんです」
ドミニクの告白はフェルディナントとヨハンの胸にストンと来た。でも2人にはまだ心配事が残っている。
「ドミニク、僕はそれでもディーナと結婚しなくちゃいけない……彼女のことは好きだよ。でもそれは幼馴染とか、妹みたいな存在としてだ。彼女を抱いて子供を作るなんてできそうもない」
「気持ちを無視したらできそうですか?」
「わからない……勃たないかもしれない……それに……ディーナを抱くのはヨハンへの裏切りに感じてしまう」
「でも後継ぎは必要でしょう? ヨハン、君はどう思うの?」
「俺は……やっぱり嫌だ……男だろうと女だろうとフェルが俺以外と身体を繋げるのは嫌だ!」
「それなら……坊ちゃんの精液を注射器でレオポルディーナ嬢に注入してはどうでしょうか。もちろん彼女には坊ちゃん達の関係を告白してもらわないといけませんが」
「ヨハンもその方法を提案したんだ。でも……僕は彼女に酷なんじゃないかと思う。抱かれたことのない男の子供を産まなきゃいけないなんて、彼女が子供を産む機械みたいで罪悪感を覚えるよ。それに僕は彼女に僕達の関係を告白したくない。この秘密を知っている人間は少なければ少ないほどいいと思うから」
「坊ちゃんは注射器を使いたくない……でもヨハンはそっちのほうがいいと……坊ちゃん、どっちかを選択しないといけませんよ。いいとこどりはできないんですから。どっちにしても私はサポートしますが、私はレオポルディーナ嬢に告白するのを勧めます。夫婦になったら一緒に住むんです。気が付くのも時間の問題でしょう。実際、旦那様も疑っていますからね。方針が決まったら教えて下さい」
「すぐには決められないと思うけど……」
「まだ結婚まで時間はあります。じっくり考えて決めてください。明日は肛門に挿入する準備を教えてあげます。さあ、今日は話はこれぐらいにして夕食にしましょう」
夕食と言っても料理人が常駐していない狩猟の館だ。ドミニクに馬車で持ってきてもらったパンやチーズ、ハムだけの簡単な食事をとって3人は別々の寝室で休む。
日が暮れてから帰るのは危険なので、ドミニクは狩猟の館に宿泊し、明日診察後に侯爵家に戻ることになった。
「坊ちゃんの肛門が切れて腫れていました。今日、ここにいたのは坊ちゃん以外は君とレオポルディーナ嬢だけです」
「何が言いたい?」
「正直に言いましょう。旦那様は坊ちゃんの性的嗜好を疑っています。それにヨハンとの距離感がおかしいとも思っています」
「なっ……」
「私は旦那様にそんなことはないと言いましたが、坊ちゃんとヨハンの関係は主人と従者とか、幼馴染とかで収まらないと私は感じています。愛し合う者同士、身体を繋げたいという願望は当然です。でも身体を傷つけないよう、お互いに思いやって行動することが大切です」
「何だって言うんだ、はっきり言え!」
「肛門に挿入するなら、それなりの準備が必要ということです」
フェルディナントとヨハンは慌てふためいたが、ドミニクは冷静に言葉を続けた。
「この国では残念ながら同性愛は認められていません。でも貴方達が正直に話してくれれば、秘密を守れるように協力しましょう。今日、ここで見聞きしたことは誰にも言いません。旦那様には坊ちゃんは疲れで熱が出たということにします」
「……ドミニク、信じていいのか?」
「貴方達の秘密を聞く代わりに私の秘密も教えましょう。私の初めての相手は男性でした。あ、もちろん閨の実践以外で、ってことですが」
「えっ?! でも僕の閨の実践であの女を抱いたじゃないか」
「私は女性も抱けます。でも最初に愛した人は男性でした」
フェルディナントの父ロルフと同年代のドミニクは、閨の実践で苦痛を覚えずに女を抱けたが、女性に恋愛感情を持てず、初めて恋したのは男性だった。だが、その男性は家の事情で結婚し、ドミニクは失恋、結婚せずに今に至っている。結婚しないことに相当奇異な目を向けられたが、ドミニクは気にしないことにしている。
「まぁ、私は三男でしたから、両親は嘆きましたが、結婚しなくても支障はありませんでした」
「そうか……話してくれてありがとう。ドミニク、聞きたいことがある。男同士が愛し合うことを教会は罪だと言っているけど、君は罪だと思うか?」
「私は神が本当にそんな決まりを作ったとは思えません。2人の人間が恋に落ちた――それは神の思し召しではないですか? 私は男同士でも、女同士でも、男女でも愛し合うことは素晴らしいと思っているんです」
ドミニクの告白はフェルディナントとヨハンの胸にストンと来た。でも2人にはまだ心配事が残っている。
「ドミニク、僕はそれでもディーナと結婚しなくちゃいけない……彼女のことは好きだよ。でもそれは幼馴染とか、妹みたいな存在としてだ。彼女を抱いて子供を作るなんてできそうもない」
「気持ちを無視したらできそうですか?」
「わからない……勃たないかもしれない……それに……ディーナを抱くのはヨハンへの裏切りに感じてしまう」
「でも後継ぎは必要でしょう? ヨハン、君はどう思うの?」
「俺は……やっぱり嫌だ……男だろうと女だろうとフェルが俺以外と身体を繋げるのは嫌だ!」
「それなら……坊ちゃんの精液を注射器でレオポルディーナ嬢に注入してはどうでしょうか。もちろん彼女には坊ちゃん達の関係を告白してもらわないといけませんが」
「ヨハンもその方法を提案したんだ。でも……僕は彼女に酷なんじゃないかと思う。抱かれたことのない男の子供を産まなきゃいけないなんて、彼女が子供を産む機械みたいで罪悪感を覚えるよ。それに僕は彼女に僕達の関係を告白したくない。この秘密を知っている人間は少なければ少ないほどいいと思うから」
「坊ちゃんは注射器を使いたくない……でもヨハンはそっちのほうがいいと……坊ちゃん、どっちかを選択しないといけませんよ。いいとこどりはできないんですから。どっちにしても私はサポートしますが、私はレオポルディーナ嬢に告白するのを勧めます。夫婦になったら一緒に住むんです。気が付くのも時間の問題でしょう。実際、旦那様も疑っていますからね。方針が決まったら教えて下さい」
「すぐには決められないと思うけど……」
「まだ結婚まで時間はあります。じっくり考えて決めてください。明日は肛門に挿入する準備を教えてあげます。さあ、今日は話はこれぐらいにして夕食にしましょう」
夕食と言っても料理人が常駐していない狩猟の館だ。ドミニクに馬車で持ってきてもらったパンやチーズ、ハムだけの簡単な食事をとって3人は別々の寝室で休む。
日が暮れてから帰るのは危険なので、ドミニクは狩猟の館に宿泊し、明日診察後に侯爵家に戻ることになった。
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