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62.壊れた国王
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ステファニーは、やんごとなき人物の寝室に運ばれてから1時間もしないうちに目が覚めた。
「・・・ん・・・?!」
「ステフィー!よかった!気付いたんだね!」
「・・・ここは?!」
「僕の寝室だよ」
ステファニーは、エドワードの寝室に寝かされていた。国王夫妻は、夫妻の寝室にそれぞれ繋がる自らの私室を持つ他、離れた場所にも各自の私室空間を持っている。ステファニーが寝かされているのは、後者だった。ステファニーはまだ気付いていなかったが、エドワードがステファニーに当てがおうとしていた2番目の部屋もその寝室のすぐ隣にあり、内扉で繋がっていた。
「どうしてですか?!私が国王陛下の寝室に入ることなど許されることではありません!」
「今は緊急事態だからいいんだよ」
「その緊急事態にさせたのは陛下ですよね?なぜこんな乱暴をさせたのですか?!」
「君が僕を置き去りにしようとしていたからだよ」
エドワードは、以前の澄みきった青い瞳と全く違う、どろりと濁った目でステファニーを見た。ステファニーは、自分の知らないエドワードの昏い目を見て怖くなった。
「へ、陛下を・・・お、お、置き去りなんて・・・おかしいです!私はあくまで『王妃の話し相手』として登城いたしました!」
「お願いだ!僕を独りにしないでくれ!君はやっと僕のそばに来てくれたのにもう僕を置き去りにしてしまうの?!君がいないと僕はもう生きていけない!」
エドワードは、寝台の上に乗ってステファニーに抱き着き泣き出した。そこには、ステファニーの知っている聡明なエドワードの姿はもうなかった。
「陛下、止めて下さい」
「お願いだ、エドって呼んで!怒っているの?君に危害を与えるつもりはなかったんだ。ごめんなさい・・・君が王宮を出て行く前にどうしても君と話したかったんだ」
「止めても無駄です。私は辞めます」
「お願いだ、ここにいてくれ。僕は君なしでは生きていけない!」
ステファニーはエドワードの腕の中から抜け出そうとしたが、彼はますます腕の力を強めてステファニーを逃さまいとした。
「へ、陛下っ!く、苦しいっ、です!」
「エドって呼んで?」
「エ、エドッ!く、苦しい!」
ようやくエドワードが腕の力を緩めたので、ステファニーはやっと一息つけた。それでもエドワードはステファニーを離すつもりはないようだった。
「陛下には王妃陛下がいらっしゃいます」
エドワードは腕の力をまた込めた。
「エ、エドッ!お、お願いっ!力を緩めて!」
「『陛下』って言ったらまた力を込めるよ?・・・ユージェニーは、王妃だけど、仕事上のパートナーというだけだ。僕の妻は君だけだ」
「私はへ・・・エドの妻ではありません。私は結婚していますし、子供も2人います」
「そんなことは僕達の愛の前ではどうにでもなるよ」
「いえ、エイダンは私の夫ですし、子供達はどうでもいい存在ではありません」
「その名前を言うのは止めて?また力を込めるよ」
どう言っても話が噛み合わないエドワードにステファニーは怖くなってきた。
「ごめんね、婚約破棄なんてしないで君を王宮に迎えればよかったんだ。父上や教会がうるさかったからそうするしかないと思ったけど、間違いだったよ。今からやり直そう?」
「無理です。もう婚約解消した時に私達の道は分かれたのです」
「では僕達の道をまた1つにしようじゃないか」
「一体どうやって?!無理なものは無理です!」
「それじゃあ無理でなくなったら、また僕と一緒になる気があるってこと?」
「ち、違・・・く、苦しいっ!離して!」
「ごめんね、君が愛おしすぎてついついぎゅうって抱きしめたくなっちゃうんだ」
エドワードに何を言っても、彼の都合のよいようにねじ曲がって答えが返ってきてステファニーはますます怖くなった。
「・・・ん・・・?!」
「ステフィー!よかった!気付いたんだね!」
「・・・ここは?!」
「僕の寝室だよ」
ステファニーは、エドワードの寝室に寝かされていた。国王夫妻は、夫妻の寝室にそれぞれ繋がる自らの私室を持つ他、離れた場所にも各自の私室空間を持っている。ステファニーが寝かされているのは、後者だった。ステファニーはまだ気付いていなかったが、エドワードがステファニーに当てがおうとしていた2番目の部屋もその寝室のすぐ隣にあり、内扉で繋がっていた。
「どうしてですか?!私が国王陛下の寝室に入ることなど許されることではありません!」
「今は緊急事態だからいいんだよ」
「その緊急事態にさせたのは陛下ですよね?なぜこんな乱暴をさせたのですか?!」
「君が僕を置き去りにしようとしていたからだよ」
エドワードは、以前の澄みきった青い瞳と全く違う、どろりと濁った目でステファニーを見た。ステファニーは、自分の知らないエドワードの昏い目を見て怖くなった。
「へ、陛下を・・・お、お、置き去りなんて・・・おかしいです!私はあくまで『王妃の話し相手』として登城いたしました!」
「お願いだ!僕を独りにしないでくれ!君はやっと僕のそばに来てくれたのにもう僕を置き去りにしてしまうの?!君がいないと僕はもう生きていけない!」
エドワードは、寝台の上に乗ってステファニーに抱き着き泣き出した。そこには、ステファニーの知っている聡明なエドワードの姿はもうなかった。
「陛下、止めて下さい」
「お願いだ、エドって呼んで!怒っているの?君に危害を与えるつもりはなかったんだ。ごめんなさい・・・君が王宮を出て行く前にどうしても君と話したかったんだ」
「止めても無駄です。私は辞めます」
「お願いだ、ここにいてくれ。僕は君なしでは生きていけない!」
ステファニーはエドワードの腕の中から抜け出そうとしたが、彼はますます腕の力を強めてステファニーを逃さまいとした。
「へ、陛下っ!く、苦しいっ、です!」
「エドって呼んで?」
「エ、エドッ!く、苦しい!」
ようやくエドワードが腕の力を緩めたので、ステファニーはやっと一息つけた。それでもエドワードはステファニーを離すつもりはないようだった。
「陛下には王妃陛下がいらっしゃいます」
エドワードは腕の力をまた込めた。
「エ、エドッ!お、お願いっ!力を緩めて!」
「『陛下』って言ったらまた力を込めるよ?・・・ユージェニーは、王妃だけど、仕事上のパートナーというだけだ。僕の妻は君だけだ」
「私はへ・・・エドの妻ではありません。私は結婚していますし、子供も2人います」
「そんなことは僕達の愛の前ではどうにでもなるよ」
「いえ、エイダンは私の夫ですし、子供達はどうでもいい存在ではありません」
「その名前を言うのは止めて?また力を込めるよ」
どう言っても話が噛み合わないエドワードにステファニーは怖くなってきた。
「ごめんね、婚約破棄なんてしないで君を王宮に迎えればよかったんだ。父上や教会がうるさかったからそうするしかないと思ったけど、間違いだったよ。今からやり直そう?」
「無理です。もう婚約解消した時に私達の道は分かれたのです」
「では僕達の道をまた1つにしようじゃないか」
「一体どうやって?!無理なものは無理です!」
「それじゃあ無理でなくなったら、また僕と一緒になる気があるってこと?」
「ち、違・・・く、苦しいっ!離して!」
「ごめんね、君が愛おしすぎてついついぎゅうって抱きしめたくなっちゃうんだ」
エドワードに何を言っても、彼の都合のよいようにねじ曲がって答えが返ってきてステファニーはますます怖くなった。
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