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第1章 疑似兄妹
25.2人の想い
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ヨアヒムは、カロリーネの本音を露とも知らず、彼女と一緒に住めるのを純粋に喜んでいた。コツコツ貯めた歳費で彼女にドレスを作ってあげようと、母が生前ドレスを注文していた仕立て屋にセバスチャンを通じて連絡すると、その仕立て屋はヨアヒムの今の懐具合を知っているようで、けんもほろろに注文を断った。
結局ヨアヒムが屋敷に呼べたのは、国王の愛妾だった母が使っていた仕立て屋よりも大分ランクが落ちる仕立て屋だった。叔母のおかげで目が肥えたカロリーネには、それが一見して分かって落胆した。世間知らずなカロリーネは、まさか王弟がそんなに少ない歳費でやりくりしないといけないとは露知らず、ヨアヒムが普段から質素に暮らしているからカロリーネにもケチって出て行って欲しいのかと疑心暗鬼になった。だが流石のカロリーネもランクの落ちる仕立て屋を呼んだ理由をヨアヒムに直接聞けず、彼の執事セバスチャンにこっそり尋ねた。彼はカロリーネが小さい頃に男爵家で執事を務めていたので、彼女は彼に対して本音を話しやすい。
「ねぇ、セバスチャン。どうしてヨアヒムはあんな仕立て屋を呼んだのかしら? 叔母様が懇意にしていた仕立て屋と比べると大分落ちるわ。私に出て行ってもらいたいから?」
「お嬢様、そんな事をおっしゃらないで下さい! 坊ちゃ……殿下はお嬢様が来て下さって本当に喜んでいらしたのですよ」
「それならどうして? 尚更おかしいじゃない」
「殿下にとってあれが精一杯なのです。新しいドレスを仕立ててお嬢様の喜ぶお顔をご覧になりたいとおっしゃって、お嬢様の為に通いですが侍女も雇っているのです……ああ、おいたわしい……」
セバスチャンは悲痛な面持ちで眼《まなこ》に滲んできた涙をハンカチで拭った。
「ねぇ……ヨアヒムにはあれが精一杯ってどういう事? お金、そんなにないの? 王室はヨアヒムに毎月一体いくらくれるの?」
「それは……ご勘弁下さい。殿下に叱られます」
「もういいわ! ヨアヒムに直接聞く!」
「え?! お嬢様! それはご勘弁を!」
カロリーネは淑女らしくなく、ダダダと大きな足音をたてて走ってヨアヒムの部屋へ向かった。とうに引退年齢であるセバスチャンには彼女に追いつく術はなかった。
カロリーネはノックもせずにバンと大きな音をたててヨアヒムの部屋の扉を開けた。
「ヨアヒム! そんなにお金ないのにどうして私にドレスを買おうとしたの?」
「えっ?! ね、従姉《ねえ》様?!」
面食らって何も話せないヨアヒムの両肩をカロリーネは掴み、ガクガクと揺らした。中々口を割らない従弟を問い詰めている間にカロリーネも徐々に冷静になってきてヨアヒムの肩から手を離して謝った。
「ごめんなさい……冷静じゃなかったわ……でもそんなに大変なら、ちゃんと教えてもらわないと……」
「いいんだよ。気にしないで。僕は従姉《ねえ》様が喜んでくれれば……えっと、その……」
ヨアヒムは自分で言った事に照れて頭を掻いた。
「でも、私が喜ぶだけじゃ割に合わないわよ」
「そんな事ない。僕が嬉しいんだ」
きっぱりと言い切った従弟の顔は、いつも『従姉《ねえ》様』と呼んでカロリーネに甘えている少年の面影はなく、1人の愛する女性を守ろうとする大人の男のように見えてカロリーネは思わずドキッとした。でもいとこ婚を禁止しているクレーベ王国でそんな事はあり得ない。カロリーネはそう思い込もうとし、無理矢理ドキドキ感を心の奥底に押し込めて現実的な話に話題を戻した。
「行儀見習いだって何もしてないんだからお給金をもらう訳にいかないわ」
「いいんだよ。従姉《ねえ》様はセバスチャンと通いの侍女の元で行儀見習いしてるでしょう?」
「でもあれが行儀見習いって言えるのかしら?」
カロリーネの疑問ももっともと言えた。セバスチャンの教えられる事と言ったら、設備や物品の管理、使用人の采配、歳費のやり繰りなど執事の仕事内容であって貴族令嬢の行儀見習いと共通項はほとんどなかった。
通いの侍女は、侍女の仕事をカロリーネに見せてやってくれとヨアヒムやセバスチャンに一応言われているが、本音ではさっさと終わらせて帰宅したがっており、それを察したカロリーネは侍女の仕事を邪魔しない。ヨアヒムは、カロリーネにどこか余所で侍女として働いてほしくなくてわざと曖昧な事を通いの侍女に指示し、侍女の仕事をカロリーネに教えないように仕向けていた。だからカロリーネの侍女は面倒くさい事に巻き込まれたと思っているような節があった。
「いいの、従姉《ねえ》様は何も気にしないで」
「駄目! それじゃ駄目なの。それとも私はここに住んじゃいけないの? 私はヨアヒムの家族じゃないの?」
「何言ってるの?! 従姉《ねえ》様は1番だ、だっ……」
「『1番だ』? 何?」
「い、1番大事な……家族だよ!」
「よかった。じゃあ、私にもこの家の事、お金の事、全部教えて。家族ならヨアヒムに頼ってばかりじゃいけないもの。侍女はいらないわ。でもすぐに辞めてもらうのはかわいそうだから来月までいてもらいましょう」
「え、でも?!」
「男爵家では全部自分だけでやるか、お母様と協力しあっていたから大丈夫よ」
「でも夜会やお茶会用のドレスは1人じゃ脱ぎ着できないでしょう?」
「あっ、それもそうね……でもそんなドレスを着る事なんてほとんどないわよ」
「ごめんなさい、従姉《ねえ》様に贅沢させてあげられなくて……でもたまには従姉《ねえ》様にドレスを買ってあげられると思うよ」
「いいわよ。お金ないんでしょう? 今あるドレスで十分よ。着る時は貴方に後ろのボタンを嵌めてもらうわね」
「えっ、僕に?!」
ヨアヒムが真っ赤になったので、カロリーネは自分が年頃の従弟に何を要求したのかようやく自覚してやはり赤面してしまった。
そうして若い2人の距離は、同居している間に徐々に縮まっていった。やり場のない想いをお互いに何とか隠そうとしていたが、仕舞いには隠し切れなくなって溢れ出てきてしまい、とうとう2人は結ばれた。セバスチャンは主人の禁忌の関係にすぐに気付いて最初は青くなったが、仕舞いには2人の真剣な想いに応えて秘密を守った。
だがカロリーネの予想外の妊娠が彼女の父の耳に入ってしまって全て暗転した。彼女は実家に引き取られて領地の外に出られず、ヨアヒムも男爵家に訪問を拒否され、2人と生まれた娘ガブリエレは引き離されてしまった。大分後になってからヨアヒムとガブリエレの親子対面がこっそり実現したが、禁忌の関係ゆえにヨアヒムは親子の名乗りをあげられなかった。
結局ヨアヒムが屋敷に呼べたのは、国王の愛妾だった母が使っていた仕立て屋よりも大分ランクが落ちる仕立て屋だった。叔母のおかげで目が肥えたカロリーネには、それが一見して分かって落胆した。世間知らずなカロリーネは、まさか王弟がそんなに少ない歳費でやりくりしないといけないとは露知らず、ヨアヒムが普段から質素に暮らしているからカロリーネにもケチって出て行って欲しいのかと疑心暗鬼になった。だが流石のカロリーネもランクの落ちる仕立て屋を呼んだ理由をヨアヒムに直接聞けず、彼の執事セバスチャンにこっそり尋ねた。彼はカロリーネが小さい頃に男爵家で執事を務めていたので、彼女は彼に対して本音を話しやすい。
「ねぇ、セバスチャン。どうしてヨアヒムはあんな仕立て屋を呼んだのかしら? 叔母様が懇意にしていた仕立て屋と比べると大分落ちるわ。私に出て行ってもらいたいから?」
「お嬢様、そんな事をおっしゃらないで下さい! 坊ちゃ……殿下はお嬢様が来て下さって本当に喜んでいらしたのですよ」
「それならどうして? 尚更おかしいじゃない」
「殿下にとってあれが精一杯なのです。新しいドレスを仕立ててお嬢様の喜ぶお顔をご覧になりたいとおっしゃって、お嬢様の為に通いですが侍女も雇っているのです……ああ、おいたわしい……」
セバスチャンは悲痛な面持ちで眼《まなこ》に滲んできた涙をハンカチで拭った。
「ねぇ……ヨアヒムにはあれが精一杯ってどういう事? お金、そんなにないの? 王室はヨアヒムに毎月一体いくらくれるの?」
「それは……ご勘弁下さい。殿下に叱られます」
「もういいわ! ヨアヒムに直接聞く!」
「え?! お嬢様! それはご勘弁を!」
カロリーネは淑女らしくなく、ダダダと大きな足音をたてて走ってヨアヒムの部屋へ向かった。とうに引退年齢であるセバスチャンには彼女に追いつく術はなかった。
カロリーネはノックもせずにバンと大きな音をたててヨアヒムの部屋の扉を開けた。
「ヨアヒム! そんなにお金ないのにどうして私にドレスを買おうとしたの?」
「えっ?! ね、従姉《ねえ》様?!」
面食らって何も話せないヨアヒムの両肩をカロリーネは掴み、ガクガクと揺らした。中々口を割らない従弟を問い詰めている間にカロリーネも徐々に冷静になってきてヨアヒムの肩から手を離して謝った。
「ごめんなさい……冷静じゃなかったわ……でもそんなに大変なら、ちゃんと教えてもらわないと……」
「いいんだよ。気にしないで。僕は従姉《ねえ》様が喜んでくれれば……えっと、その……」
ヨアヒムは自分で言った事に照れて頭を掻いた。
「でも、私が喜ぶだけじゃ割に合わないわよ」
「そんな事ない。僕が嬉しいんだ」
きっぱりと言い切った従弟の顔は、いつも『従姉《ねえ》様』と呼んでカロリーネに甘えている少年の面影はなく、1人の愛する女性を守ろうとする大人の男のように見えてカロリーネは思わずドキッとした。でもいとこ婚を禁止しているクレーベ王国でそんな事はあり得ない。カロリーネはそう思い込もうとし、無理矢理ドキドキ感を心の奥底に押し込めて現実的な話に話題を戻した。
「行儀見習いだって何もしてないんだからお給金をもらう訳にいかないわ」
「いいんだよ。従姉《ねえ》様はセバスチャンと通いの侍女の元で行儀見習いしてるでしょう?」
「でもあれが行儀見習いって言えるのかしら?」
カロリーネの疑問ももっともと言えた。セバスチャンの教えられる事と言ったら、設備や物品の管理、使用人の采配、歳費のやり繰りなど執事の仕事内容であって貴族令嬢の行儀見習いと共通項はほとんどなかった。
通いの侍女は、侍女の仕事をカロリーネに見せてやってくれとヨアヒムやセバスチャンに一応言われているが、本音ではさっさと終わらせて帰宅したがっており、それを察したカロリーネは侍女の仕事を邪魔しない。ヨアヒムは、カロリーネにどこか余所で侍女として働いてほしくなくてわざと曖昧な事を通いの侍女に指示し、侍女の仕事をカロリーネに教えないように仕向けていた。だからカロリーネの侍女は面倒くさい事に巻き込まれたと思っているような節があった。
「いいの、従姉《ねえ》様は何も気にしないで」
「駄目! それじゃ駄目なの。それとも私はここに住んじゃいけないの? 私はヨアヒムの家族じゃないの?」
「何言ってるの?! 従姉《ねえ》様は1番だ、だっ……」
「『1番だ』? 何?」
「い、1番大事な……家族だよ!」
「よかった。じゃあ、私にもこの家の事、お金の事、全部教えて。家族ならヨアヒムに頼ってばかりじゃいけないもの。侍女はいらないわ。でもすぐに辞めてもらうのはかわいそうだから来月までいてもらいましょう」
「え、でも?!」
「男爵家では全部自分だけでやるか、お母様と協力しあっていたから大丈夫よ」
「でも夜会やお茶会用のドレスは1人じゃ脱ぎ着できないでしょう?」
「あっ、それもそうね……でもそんなドレスを着る事なんてほとんどないわよ」
「ごめんなさい、従姉《ねえ》様に贅沢させてあげられなくて……でもたまには従姉《ねえ》様にドレスを買ってあげられると思うよ」
「いいわよ。お金ないんでしょう? 今あるドレスで十分よ。着る時は貴方に後ろのボタンを嵌めてもらうわね」
「えっ、僕に?!」
ヨアヒムが真っ赤になったので、カロリーネは自分が年頃の従弟に何を要求したのかようやく自覚してやはり赤面してしまった。
そうして若い2人の距離は、同居している間に徐々に縮まっていった。やり場のない想いをお互いに何とか隠そうとしていたが、仕舞いには隠し切れなくなって溢れ出てきてしまい、とうとう2人は結ばれた。セバスチャンは主人の禁忌の関係にすぐに気付いて最初は青くなったが、仕舞いには2人の真剣な想いに応えて秘密を守った。
だがカロリーネの予想外の妊娠が彼女の父の耳に入ってしまって全て暗転した。彼女は実家に引き取られて領地の外に出られず、ヨアヒムも男爵家に訪問を拒否され、2人と生まれた娘ガブリエレは引き離されてしまった。大分後になってからヨアヒムとガブリエレの親子対面がこっそり実現したが、禁忌の関係ゆえにヨアヒムは親子の名乗りをあげられなかった。
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