ギルドを追放された支援魔法士は悪魔※とギルドを創る

るちぇ。

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序章:悪魔と手を結んだ日

笑いがバックな感動劇

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「キャーーーッ!」

 ルークとイブリースがそちらを向くと、モンスターに襲われている3人パーティーがいた。

 男が1人倒れ、もう1人の男が嫌がる女性の腕を引っ張っている。

「俺は……もう……駄目だ。ミリア、お前だけでも逃げろ……っ! クリオ、後は頼むぞ……!」
「あ、あぁ、任された! 逃げるぞ、ミリア!」
「嫌よ! ヨシオを置いて行くなんて!」

 敵はグリズリー。

 青い毛並みが特徴の凶暴な熊である。

 グリズリーは倒れたヨシオにゆっくりと近付くと、その鋭利な爪を振り上げた――

「おい、偽魔王! 邪魔するなよ!?」
「最初から最後までそっちの誤解じゃないですか! 冤罪です! 直訴してやります!」
「いいから黙っていろ! リフレクト・シールド!」

 振り下ろされる直前、ルークの防御魔法が発動。

 金属が擦れる音が響き、その爪は砕けバラバラと落下した。

 激痛に顔を歪め、グリズリーは悶える。

「え……?」

 なぜ助かったのかと疑問に思ったのだろう。

 しかし3人はすぐにルークを見つけ、歓喜する。

「あ、あれは……<宵闇の竜>の幹部、ルークさん……!」
「ほ、本当だ……! これで何とかなるぞ!」
「お、お願いします! ヨシオを助けて下さい!」
「言われなくても!」

 気合い十分に言い放つルークだが、生憎と、倒すことはできない。

 攻撃手段を持たないからだ。

 見たところヨシオらの装備は貧弱で、あの分厚い毛皮を貫くのは無理だろう。

 ――どうしたものか

 ルークが思案し始めたとき、

「ねぇ、寄生虫。どうしてあいつらを助けるんですか?」

 イブリースは心底不思議そうに尋ねた。

「誰かを助けるのに理由が要るのか?」
「ほ……ほほぉ、言質を取りました。いいでしょう――」

 ひとつの影が駆け抜けた。

 それは黒い手――イブリースの影から伸びたものだった。

 そのままグリズリーの横腹を抉り、奴は更に悶える。

 致命打ではない。

 しかし、確実に装甲を貫いている。

「――加勢してやります。我が力に感謝せよ、ふはははっ!」
「お、お前……!」

 ――いける。ウザいけど、いける。

 確信したルークは指示を出す。

「支援魔法をかける! イブ、奴の心臓を穿て!」
「契約完了、毎度ありです!」

 再び伸びる影の手。

 だが、グリズリーもアホではない。

 強敵と分かるや否や、背を向けても逃げ出そうと試みる。

「逃がすか! グラビティ・バインド! そしてストレングス!」

 足元に黒い魔法陣が出現し、グリズリーは地に伏す。

 身動きが取れない様子で、もがくのが精一杯のようだ。

 それを見下しながらイブリースは無い胸を張り、

「おい、熊公。お前も相手が悪かったですね。魔王軍幹部候補生の中でも遠近両用職、シャドウ・ルーラーの――」
「――早く仕留めろ」

 長過ぎる前口上のため、頭頂部にチョップを食らった。

 頭を押さえてうずくまる。

「いったぁ……っ!? べ、別にいいじゃないですか! 名誉挽回のチャンスなんです!」
「もう一度だけ言うぞ? 早く仕留めろ。さもないと同じ目に遭わせてやる」
「なっ!? わ、私が美少女だからって、這いつくばらせて欲望の限りを尽くそうという魂胆ですか!? 無理もありません。えぇ、甚だ不本意ですが、クズ男の衝動を受け止めるのは美少女の務め! だから――」

 そうこう言っている内に魔法が解けてきたのだろう。

 グリズリーは何とか自由になった手を振り上げ、イブリースへ向けた――

「――空気を読んで下さい、ケダモノ」

 ――その瞬間、影の手が背部から心臓を貫く。

 支援魔法で威力も上がっているためだ。

 イブリースは素直に感心する。

「へぇ、支援魔法も侮れませんね。私の引き立て役、本当にどうもありがとう」
「何か癪に触る言い方だけど、まぁ、勝ったから良しとしよう。ところで、誰がクズ男だって?」
「え、そこに反応するんですか? 自覚あるんですね――って、な、何ですか、そのワキワキする手は! だ、ダメ、やめろーっ!」

 イブリースがくすぐられたため腕は消失。

 加えて魔法も解けたというのに、グリズリーは微動だにしない。

 既に事切れている証拠だった。

「や……やった……?」

 3人は、ただただ呆気に取られていた。

 隔絶した力の差を見せ付けられ、理解の範疇を越えたのだ。

 しかし、助かったことだけは間違いなく、

「あ、ありがとう……ありがとうございます!」

 紅一点のミリアは深々と頭を下げると、ヨシオの下へ走った。

「ヨシオ、あぁ……ヨシオ!」
「ミリアッ!」

 それを見守るクリオは、ホッと安堵したように胸をなで下ろしたのだった。

 なお、この感動劇は、

「あはははははっ! わっ、わき、脇はあっはははははっ!」
「ここか、ここがえぇんか!」
「た、たすけっ――あっはははははっ!」

 爆笑の中で行われていたのは言うまでもない。
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