転生やめて私は死にたい

sui

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「おかぁさん!おとーさん!

大好き!」

6歳の私は両親に向かって走りギュッと体当たりとも言えるような勢いで抱きついた。
子供の私にとっては結構な衝撃だが大人である両親はアッサリと私を受け止めた。

「ハハ。カリス。そんなに突進してきたら危ないだろ?可愛い顔に傷がついたら父さん悲しいぞ。」

お父さんは私の頭を撫でながら笑っている。

「そうねぇ。私もカリスちゃんのお顔に傷がつくのは嫌だけれど、元気なのはとってもいいことよ」

お母さんは屈んで私のほっぺに手を当てながらニッコリと微笑んだ。

私。カリス・ラフィは平民よりもほんの少しだけ裕福な家庭だった。

王都から程近いこの町は海も見えて観光地になっていて、様々な人達が行き交っていた。

両親と一緒に魔道具のお店をしていて、私にも生まれたときから魔力を持っていた。

魔力は持っていても微弱すぎて自分ではなにもできない人は多い。魔道具はそれを補うための物で、私のお店では実用性重視の物を売っていて、結構人気があったと思う。

「ねーねーおかぁさん!私もお手伝いしたい」

「カリスちゃんは頑張りやさんね。じゃぁこの道具を布で綺麗にしてくれる?」

「うん。わかった!」

「カリス、偉いぞー!じゃぁ俺は店に行ってくるからな!」

「はーい!」

家は二階建てで、店は一階にあり、二階は私生活に使っていた。

私は真面目に布でキュッキュッと磨いていると、外からパーン。パーン。という音がした。

今の時期はいろいろなイベントが重なり、連日町は人が大賑わい。

遊びに行きたいけど、両親がいないと揉みくちゃになって楽しむどころではない。両親が仕事の時は家にいて、お手伝いをしていたほうがいい。

「あら、今日は大きな花火が上がっているのね。なにか大きな催しでもやってるのかしら?
ねぇ、カリスちゃん。お昼過ぎたら一緒に見に行かない?」

「いいの!?」

「ええ!」

パーン。パーンとまだ鳴りやまず、それに比例してか外の人達の声も大きくなっていった。

楽しみだなぁ~!

うきうきしていると下からお父さんがバタバタと上がってきた。だいぶ慌てているようで、部屋に入ってきた時に転びそうになっていた。

「どうし…」

「魔族が攻めてきた!!!!!!!」

サァッとお母さんの顔色が悪くなり真っ青になる。 

「ど、どうして…」

「知らない!でもここから早く逃げるんだ!!!外の奴らも今王都に逃げている!!!早く!!!」

私はお父さんに担がれ王都へと向かった。
先ほど聞こえてきたパーンという音は遠くだったらしく、今はお腹に響くような爆発音が鳴っている。どこもかしこも逃げ惑う人達。

昔お母さんから

‘この町は王都から近いから悪い人達が来ることなんて、ほとんどないのよ。悪いことしたらすーぐ捕まっちゃうから’

と、言っていた。

平和だった町は次々と壊され煙がそこらじゅうに上がっていて、悪い夢でも見ているかのようだった。

お父さんに担がれているため、後ろがよく見える。見えてしまった。

悪い夢がもっともっと悪い方向へ向かっていく。

魔族は飛びながらこちらを楽しそうな笑顔を浮かべながら追ってきている。逃げる人を軽く持ち上げ壁へと打ち付ける。壁がどんどん赤く赤く染まっていく。もう、息がないだろうその人は地へと落とされ見るに耐えない状態だった。

「うぇっ…うっ…」

吐き気が込み上げてくる。

怖い。私もあぁなっちゃうの?やだ。やだ。やだ!!!!

「カリス、大丈夫だ!!!お前は絶対に俺が守る!!!」

恐怖が伝わったのだろう、お父さんは私を抱える手に力をいれた。

町の門を抜ける。だが、門の外には多くの人が横たわっていた。

魔族は門の外で待ち伏せをしていた。

魔族は楽しそうに、楽しそうに一人一人殺していった。

そして、私たちの番だど指を指されガタガタと体が震えた。

お父さんが私を下ろし、私とお母さんの前に立った。

「逃げろ。足止めなんて、意味もないかもしれないが…な。」

「おとぉさん!?だめっ!!!!!!」

「早く!!!」

お母さんは私の手を引いて逃げる。振り向くとお父さんはもう。

「おとぉさーーーーん!!!!!!!!!」

魔族はこちらへと向かってきてすぐに追い付いた。お母さんは私を守るように抱き締めた。魔族の攻撃がお母さんの背中を切り裂き、血が私の頬にもかかる。

「カリスちゃん、大好きよ」

抱き締めていた力が抜けてドサッと地面に落ちる。

夢であってほしい。こんなのは夢。そう思いたかったけど、抱き締めてくれた温もりや血の臭いが夢ではないのだといっている。

怖くて動けない。指一本すら動かせない。

逃げなきゃいけないのに。

魔族がこちらを見て笑う。目が離せない。

魔族が一歩こちらへ踏み出すと魔族の頭にグサリと矢が貫通している。

何かの魔法が掛けられているのだろうかキラキラと何かを発している。

魔族はそのまま倒れ絶命した。

「大丈夫か?」

王都の兵だ。

来てくれた。でもなんでもっと早く来てくれなかったの。そしたらお父さんもお母さんも死ななかったのに。

私だけ。生きてても…

「うっ…っえ…えぇぇぇっっっ!!あぁっっっ!!!」

涙が溢れ出す

兵の人が私を抱きしめた

「怖かっただろう。もう大丈夫だ。俺だちが何とかする。」

私は後方にいる兵に預けられ、助けてくれた人は町へと走り出した









怖い怖い夢。あれから十年経ったというのに私の記憶は鮮明にそれを覚えている。しかもここ数日はより鮮明で恐ろしい。

けれど不安と恐怖が渦巻いている気持ちがだんだんと和らいできた。
なぜだかわからないが温かくて落ち着く匂いがする。久しく味わったことのない安らぎに体を委ねた。

目を開けるとあの女の人が私を抱き締めていた。

「え…」

「あ…ごめんなさい。ラフィさんが…その…心配だったから」

気まずそうに目を泳がせて私を離してくれた

ギュッと私はなぜかこの人にまた抱きついた

あぁどうしよう。なんでこんなことしたの!?私!!ほら、この人も戸惑ってる!!!!
あぁぁぁな、なにか言い訳を~!! 
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