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第1章 サンドリヨンが王子様に捕まるまで
4.サンドリヨンは×××でした。
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「そんなの言われても、本当、困るんだよ。 眠らせてでも引き摺ってでも連れて来いって言われてて、本当参る。 可愛い女の子に無理強いするのは、私の本意じゃ…」
美女は嫌そうに眉根を寄せて目を伏せ、髪をかきあげながら溜息交じりだ。 若干苛立った様子にも見受けられる。
あまり、アシュリーが男だということに、驚かなかったようで、アシュリーの告白などなかったことのようにされた。
そう思っていたのだが、「じゃ」の形に口を開いたままで、美女が固まった。
美女は、横目に見ていたアシュリーにゆっくりと向き直る。 彼女の黒曜石のような目が、アシュリーの顔から足下まで下りていったかと思うと、同じ道筋を辿って顔まで戻ってきた。
「…待って、男?」
きっと、美女は冗談だと思ったのだろう。
顔が若干笑っているし、鼻で嗤うような音が聞こえた。 馬鹿も休み休み言え、とでもいったところだろう。
「はい」
だから、アシュリーはワンピース風の寝間着をごそごそと頭から脱いで、胸に見えるように綿をつめた自作の胸当てを外す。
現われたのは、真っ平らな胸。
美女が見張った黒曜石の目は、アシュリーが晒した素肌の上半身に、釘付けになっている。
アシュリーは下肢には、ドロワーズを穿いたままだ。 時代遅れと言われるドロワーズも、アシュリーの股間を隠すには丁度よかったのである。 アシュリーはずっと、ドロワーズ愛用者だ。
アシュリーは真っ平らな素肌の胸を晒しながら、内心で安堵する。
これで、アシュリーが男だというのはわかってもらえただろう。 アシュリーは本気の本気で舞踏会にも王子様にも興味がない。 だから、諦めて帰ってほしい。
けれど、彼女は何を思ったのか腕組みをした上でどんっと仁王立ちになり、首を揺らす。
「下を見せてごらん、下を。 君は体毛も薄くてどこもかしこもつるつるじゃない。 発育不良な女の子だっているよ」
彼女の言葉は、予想の範囲内ではあったが、彼女のような美女が男の下肢を見たがるとはいかがなものだろう。 だが、仕方がないか、とアシュリーは肩を落とす。
彼女の言葉は、一理ある。
自分で言うのも何だけれど、アシュリーの顔は女にしか見えないし、晒した上半身だって彼女の言うように発育不良な女の子に見えなくもない。 筋骨隆々の逞しい身体ではないのは理解しているし、アシュリーは肌も白い。
けれど、下を見せろ、なんて…。
アシュリーが困っていると、美女が一気に距離を詰めてアシュリーのドロワーズに手をかけた。
「あ、だめです、下は…!」
見られるのが、恥ずかしい。
だから、焦ってアシュリーはドロワーズを下げられないようにと抵抗する。 それが美女には、アシュリーが「発育不良な女子」だから、見られるのを嫌がっているのだと思えたのだろう。
彼女は微笑んだ。
「大丈夫だよ、大人しくしていれば、悪いようにはしないから」
美女なのに、男性的な色香が漂う気がして、ドキリとした。
一瞬、アシュリーが動揺して力が緩んだその瞬間に、驚くべき早業で、ドロワーズがずっと引き下げられてしまう。
終わった。 そう思った。
アシュリーのドロワーズを引き下げた美女は、アシュリーの股間を凝視して、呟いた。
「つるつる…」
「言わないでください! 恥ずかしいんですから」
というか、そっちに反応するのか!
そこにある、本来女性にはないはずのものには、美女は一切触れない。
美女の呟いた【つるつる】という言葉に、アシュリーは顔を真っ赤にし、さっとドロワーズを引き上げた。 脱いだ胸当てと寝間着をかき集めたはしたが、アシュリーは思わず涙ぐむ。
だから、嫌だったのだ。
アシュリーの下肢の茂みは薄く、ほとんど産毛のようだと言っても差し支えない。
アシュリーには、第二次性徴というものがほとんど訪れなかったのだ。 声変わりだってしたのかしていないのかわからないくらいの変化だったし、喉仏だってあるかないかわからないほどだ。
髭だって剃ったことがないし、体毛だって剃ったことがない。 なのに、どこもかしこもつるつるで、筋肉のつきにくいらしい身体は、目の前の美女が繰り返すように、発育不良の女子と言っても疑う者はないだろう。
普通の男性のように、むきむきのもりもりでもじゃもじゃではない貧相な身体なのがわかっているから、恥ずかしい。
「…そう…。 発育不良な男の娘だったか…。 リアルぱいぱんなんて初めて見たよ、私…。 ありがとう…?」
アシュリーを凝視していた美女は、顎に左手を当てて左肘を右手で支えたかと思うと、ひとつ頷いた。
口にしている言葉の半分くらいはよくわからない内容だったが、とりあえずは、【男の子】だと納得してもらえたようだとアシュリーはほっとする。
これで、アシュリーを置いて帰ってもらえると顔を上げたのだが、美女の黒曜石の瞳が再びジッとアシュリーの顔に向くのでぎくりとする。
「にしても、君が男だったら、女を辞めた方が幸せな女なんて、どれほどいるか…。 全く不公平な世の中だ」
美女はそう呟くが、アシュリーに相槌や返答を期待しているわけではないらしい。
視線はすぐにアシュリーから逸れたし、考え込むような神妙な表情になる。
「あいつ、このことを知っているのか? 馬鹿なのか? …ああ、いや、馬鹿だったな…。 馬鹿は死ななきゃ治らないと言うけど、死んでも治らない馬鹿だからね、あいつは」
ほとんど独白のようだが、後半は溜息に塗れていて、美女は手で目元を覆ったまま項垂れてしまう。
しばしそのまま固まっていたのだが、美女はぱっと顔を上げてアシュリーに値踏みするような視線を投げてきた。
「…それで? お嬢さんは、女装癖でもあるの?」
美女は嫌そうに眉根を寄せて目を伏せ、髪をかきあげながら溜息交じりだ。 若干苛立った様子にも見受けられる。
あまり、アシュリーが男だということに、驚かなかったようで、アシュリーの告白などなかったことのようにされた。
そう思っていたのだが、「じゃ」の形に口を開いたままで、美女が固まった。
美女は、横目に見ていたアシュリーにゆっくりと向き直る。 彼女の黒曜石のような目が、アシュリーの顔から足下まで下りていったかと思うと、同じ道筋を辿って顔まで戻ってきた。
「…待って、男?」
きっと、美女は冗談だと思ったのだろう。
顔が若干笑っているし、鼻で嗤うような音が聞こえた。 馬鹿も休み休み言え、とでもいったところだろう。
「はい」
だから、アシュリーはワンピース風の寝間着をごそごそと頭から脱いで、胸に見えるように綿をつめた自作の胸当てを外す。
現われたのは、真っ平らな胸。
美女が見張った黒曜石の目は、アシュリーが晒した素肌の上半身に、釘付けになっている。
アシュリーは下肢には、ドロワーズを穿いたままだ。 時代遅れと言われるドロワーズも、アシュリーの股間を隠すには丁度よかったのである。 アシュリーはずっと、ドロワーズ愛用者だ。
アシュリーは真っ平らな素肌の胸を晒しながら、内心で安堵する。
これで、アシュリーが男だというのはわかってもらえただろう。 アシュリーは本気の本気で舞踏会にも王子様にも興味がない。 だから、諦めて帰ってほしい。
けれど、彼女は何を思ったのか腕組みをした上でどんっと仁王立ちになり、首を揺らす。
「下を見せてごらん、下を。 君は体毛も薄くてどこもかしこもつるつるじゃない。 発育不良な女の子だっているよ」
彼女の言葉は、予想の範囲内ではあったが、彼女のような美女が男の下肢を見たがるとはいかがなものだろう。 だが、仕方がないか、とアシュリーは肩を落とす。
彼女の言葉は、一理ある。
自分で言うのも何だけれど、アシュリーの顔は女にしか見えないし、晒した上半身だって彼女の言うように発育不良な女の子に見えなくもない。 筋骨隆々の逞しい身体ではないのは理解しているし、アシュリーは肌も白い。
けれど、下を見せろ、なんて…。
アシュリーが困っていると、美女が一気に距離を詰めてアシュリーのドロワーズに手をかけた。
「あ、だめです、下は…!」
見られるのが、恥ずかしい。
だから、焦ってアシュリーはドロワーズを下げられないようにと抵抗する。 それが美女には、アシュリーが「発育不良な女子」だから、見られるのを嫌がっているのだと思えたのだろう。
彼女は微笑んだ。
「大丈夫だよ、大人しくしていれば、悪いようにはしないから」
美女なのに、男性的な色香が漂う気がして、ドキリとした。
一瞬、アシュリーが動揺して力が緩んだその瞬間に、驚くべき早業で、ドロワーズがずっと引き下げられてしまう。
終わった。 そう思った。
アシュリーのドロワーズを引き下げた美女は、アシュリーの股間を凝視して、呟いた。
「つるつる…」
「言わないでください! 恥ずかしいんですから」
というか、そっちに反応するのか!
そこにある、本来女性にはないはずのものには、美女は一切触れない。
美女の呟いた【つるつる】という言葉に、アシュリーは顔を真っ赤にし、さっとドロワーズを引き上げた。 脱いだ胸当てと寝間着をかき集めたはしたが、アシュリーは思わず涙ぐむ。
だから、嫌だったのだ。
アシュリーの下肢の茂みは薄く、ほとんど産毛のようだと言っても差し支えない。
アシュリーには、第二次性徴というものがほとんど訪れなかったのだ。 声変わりだってしたのかしていないのかわからないくらいの変化だったし、喉仏だってあるかないかわからないほどだ。
髭だって剃ったことがないし、体毛だって剃ったことがない。 なのに、どこもかしこもつるつるで、筋肉のつきにくいらしい身体は、目の前の美女が繰り返すように、発育不良の女子と言っても疑う者はないだろう。
普通の男性のように、むきむきのもりもりでもじゃもじゃではない貧相な身体なのがわかっているから、恥ずかしい。
「…そう…。 発育不良な男の娘だったか…。 リアルぱいぱんなんて初めて見たよ、私…。 ありがとう…?」
アシュリーを凝視していた美女は、顎に左手を当てて左肘を右手で支えたかと思うと、ひとつ頷いた。
口にしている言葉の半分くらいはよくわからない内容だったが、とりあえずは、【男の子】だと納得してもらえたようだとアシュリーはほっとする。
これで、アシュリーを置いて帰ってもらえると顔を上げたのだが、美女の黒曜石の瞳が再びジッとアシュリーの顔に向くのでぎくりとする。
「にしても、君が男だったら、女を辞めた方が幸せな女なんて、どれほどいるか…。 全く不公平な世の中だ」
美女はそう呟くが、アシュリーに相槌や返答を期待しているわけではないらしい。
視線はすぐにアシュリーから逸れたし、考え込むような神妙な表情になる。
「あいつ、このことを知っているのか? 馬鹿なのか? …ああ、いや、馬鹿だったな…。 馬鹿は死ななきゃ治らないと言うけど、死んでも治らない馬鹿だからね、あいつは」
ほとんど独白のようだが、後半は溜息に塗れていて、美女は手で目元を覆ったまま項垂れてしまう。
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