[BL]ちょっと横からよろしいですか

青ヌメ

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本編

♥《5》知らない痛みに触れるまで…

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此処までくるのに予想以上の話数を使いました…
そして長い!長くてぶったぎりました。
見直しが甘くなってます;
ので、いつの間にか修正入っているかもしれません;


‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥



 ミシェルです。
 Sっ気意地悪最高神官長が、獲物を捉えて意気揚々と帰巣する獣の如き目を向けてきたとです。

 ミシェルです。
 男なのに、時間を掛けるから逆上せてはいけないとお姫様だっこで聖泉の一番浅い所に運ばれているとです。

 ミシェルです。
 このネタ解る人がこの世界にも、前世の同期の友人達にも居なかったとです。

 ミシェルです。
 ミシェルです。
 ミシェルです――――


 「温度ももう少し温めの所に行きましょう。………ミシェル様?」

 「はっ!ふぁいっ!ミシェルです!」

 「クス…はい、そうですね」


 完全に現実逃避してた…。
 動悸が激しくて、この洞窟はそんなに暑くないのに体がほてってしまう!
 対してモルガンさんは目はギラギラしてるけど態度は落ち着いている…不公平だっ。
 これが大人の余裕というヤツか。くっ…イケオジめ…

 逃避ばかりしている内に、足の甲が半分浸かるくらいの深さに到着してしまいましたぜぇ…
 温度もさっきより少しだけぬるいかな。体はさっきより熱いけどな!
 
 うう…冷静になれないっ。だってこれからモルガンさんに…うおおおおっ!


 「ミシェル様、此処へ座ってください」


 俺が動揺してる間に岩に持たれ足を伸ばして座っていたモルガンさんが、自身の太股を両手でポンポン叩いている。
 そ、其処に座れとっ?!さっきは一応床に座ってたんだけど?!さっきと一緒じゃダメですか?!


 「此方向きで、さあ、どうぞ」


 その有無を言わさぬ雰囲気、使い慣れてますよね?

 この幻想的な青の世界で、水も滴る良いオジ様が腰布一枚で足を投げ出し座り、歴戦の肉体を晒して岩に凭れ掛かっている様…尊過ぎる……!
 俺があまりの光景に立ち尽くしていると、ついにモルガンさんは両手を此方に伸ばして広げてくる。
 はうあっ!甘い笑顔だけど目がギラギラしてるように見えるのは眉が不敵な感じだからですか?!ハの字にしてください!エロ甘俺様笑顔じゃなくて!


 「「………………」」


 くっ……!従います従えばいいんだろっ!!決意したのは自分だもんなっ!男に二言は無い!!

 …項垂れながらしぶしぶ近寄り、足を跨いだ。そもそも俺が腰に布巻いてないのも理不尽だ…
 モルガンさんの膝上くらいに座ってなるべく上半身から離れる。
 往生際が悪いなぁと自分でも思ってるよ!でも理性的な部分での決意ではこのドキドキを止められないんだ。
 相手が冷静だとこっちが緊張してるのを知られたくない……バレバレだけどなっ!

 尻にモルガンさんの足を感じる。引き締まっていて、此処彼処そこかしこに傷があって、戦ってきた男の足だとよく解る。


 「ふふっ、もっと此方へ来てくださらないと、この舌が届きません」


 そう言ってイケオジが悪戯っ子っぽく舌を出す。
 こんなの良いんですかっ?良いんですかっ?!

 まさかの無邪気イケオジに観念して、膝立ちで徐々に近付き太股の真ん中に座ったんだけど、モルガンさんの手が俺のお尻を掴み軽く持ち上げるようにしてグッと引き寄せてきた。
 思わずよろけてモルガンさんの胸に倒れ込む。はうっイケオジの胸板っ!
 ピトリと細マッチョな肉体に引っ付くと、耳から早めの強い鼓動が聞こえてきた。

 あ…モルガンさんもドキドキしてる…?

 俺の方はそれで少し安心したかもしれない。
 少なくとも、嫌々だったらこんなにドキドキしない…よな?
 見上げれば甘々な微笑みが見られた。…目はやっぱりギラギラに見えるけど。

 ん?ちょっと尻揉まれてないか?気のせい…じゃないよコレ?!
 優しく堪能するように揉まれて気持ち良くてキュンキュンしてむずむずする…
 堪らず甘い声で呼んでしまう。


 「モ、モルガンさんン……」


 「とても柔らかくて手に吸い付くようです、離さなければならないと解っているのに…罪な体ですね」


 左手でお尻をやわやわ揉みながら右手はそっと俺の左手首を掴みその顔に引き寄せ、腕にある傷痕達にそっと口付けた。そしてゆっくりと温かな舌で痕をなぞる。


 「んんっ…」


 柔らかくて湿った舌がぬるりと腕を這う。けれど、何かが変わった様子は無い。


 「おっと、いけない」

 「へ…?」

 「能力を発動させていませんでした」


 舐めてただけだったぁああっ!!
 にっこりしてもダメだから!
 頬を膨らまし無言の抗議をしてみる。顔真っ赤でだけど。


 「クスッ、申し訳ありませんでした。欲望が抑えられず、つい」

 「よっ?!」


 大人なイケオジが欲望を抑止できなかったとか言われたらっ…お…俺、男なのに…!




 「『ラファエルの舌』発動。神の望みを賜りし者に癒しの時を与え、あらゆる痛みの記憶を消し去ろう」


 一瞬見えた咥内が強く光ったように見えた。


 「この舌にある聖痕が仄かな光を放っている間が発動している状態です。私の意思で解除できます」


 舌に刻まれたトゥールヌソル神の聖印『クロワ・ド・ソレイユ』の痕…聖痕が、説明してくれている間にチラリと見えてほんのり光っているのが目に付く。
 説明の後、直ぐ様さっきの部分をその舌で舐めあげた。

 すると…(匠なBGM)何という事でしょう、聖泉でも少し薄くするにとどまっていた傷痕が、瞬く間に消えたではありませんか。


 「ほら、キチンと消えましたね。ぴちゃ……独占の証も…」


 まだ残っていた左腕の噛み痕もキスマークも悉くその舌によって消されていく。
 その度にモルガンさんの顔も舌の感触も舐める音も近付いてきていて、胸の高鳴りが早くなっていくような気がする。
 擽ったさもあって身を捩りたくなる…っ。
 這い続ける温もりが徐々に登ってきて、肩の奴隷紋に差し掛かった。

 俺を買った前頭目は、所有者の権限を持ったまま現頭目に殺された。
 あの時の事は…今でも覚えてる。
 現頭目が、血塗れの現頭目を引き摺って、俺に見せつけながらこう言った。


 『これで奴隷じゃない』
 「これで奴隷じゃありませんね」

 「え……?」

 「他の痕同様、奴隷紋も完全に消えました。権限を持っている者の魔力を感じていませんでしたから問題は無かったのかもしれませんが、やはり残っていると気分の良い物ではないでしょう?」

 心臓に悪いよモルガンさん…。こんなとんでもないタイミングで同じ台詞言うなんて。
 ……現頭目はどんな気持ちでああ言ったのかな…

 奴隷紋のあった個所を見ると、本当に綺麗サッパリ消えていた。
 そういえば、熱せられた魔道具で付ける印だったから、火傷痕でもあるのか。


 「ありがとうございます…」

 「いえいえ。貴方の身体に誰かの所有物であるという証など付いているのを私が許せませんから。…ちゅっく」


 左肩に残る噛み痕やキスマークを上からまた軽く吸い舐めつける。その度消えていく現頭目の痕跡に、少し寂しさを感じてしまっていた。


 「っはぁ……恐らく、噛み痕を付けると同時に追跡魔法を掛けたのでしょう。解除してからでなければこんなに安易に消える事はなかったでしょうし」

 「え…でもその内消えてましたよ…?」

 「この魔法は永久ではありませんし、アジトに滞在している間は解除していたとも考えられます。ずっと魔力を送り続ける訳にもいきませんしね」

 「………そう、ですか」


 現頭目はその為だけに噛み痕を?魔法を掛ける為?違う、きっと違う、違う…?


 「こんな時に他の男の事を考えているのですか?」


 ドキッ!!
 見透かされてる?!

 図星過ぎて思わず罪悪感が溢れた。


 「ごっ、ごめんなさいっ」

 「…素直さは時に残酷ですね……なんて、私から追跡魔法に関する事を振ったのですが」


 モルガンさんが苦笑いを浮かべたのは一瞬で、直ぐに色気を纏う表情に戻してくれた。
 
 追跡魔法の話を出したのはモルガンさんでも思い出す人を限定したのは俺だ。それに、その前から時折思い出していたし…。

 …俺はまだ、心の何処かで現頭目が俺を信じていた、大事にしていたと思ってるんだ……

 自分の決意の不安定さと不甲斐なさに落ち込んでいると、モルガンさんが今度は両手で大事そうに俺の右手を取り腕を持ち上げ、手首の傷が無い部分を俺によく見えるようにペロリと舐めた。


 「んっ…えっ?」

 「はぁ…困った顔や落ち込んだ顔も庇護欲を掻き立て可愛らしいですが、やはり笑顔が一番魅力的です。ちゅっ…今の処は」


 手首に音が鳴るようにキスをされて体の熱が上がる。


 「もっと貴方の表情を、心を曝け出してください…。ぴちゅっ…貴方の中の全てを私に吐き出さなければ、貴方は本当の意味で甘えてくださらないでしょう?」

 「っ…!」


 俺は、盗賊に父が殺され母と共に抵抗も出来ず嬲られたあの日から、それまでの自分を封印し続けた。
 平和ボケで甘ったれだった自分に色んな自分を塗り重ねて隠し続けてきたんだ。
 だから、現頭目にだって流される事はあっても自分から甘えた事なんて無い。

 何で…何でそんなに俺を解ってくれるんだよ…日頃人の悩みを聞いてるからか?俺こういう淫猥な行為の最中にだって気持ちを隠す技術を磨いてきたのに!
 ………[私]が混ざったから色々緩くなってるのかもしれない。

 音を立てながら舐る度に軽く吸い付いては離すを繰り返される。
 ぴちゅ…ちゅぱっ。こんな卑猥な音が幻想的な洞窟内に響いて煽ってくるし、モルガンさんの舌も唇も気持ちいいし、意識がふわふわした感覚に浸食されていく。
 左と同様に右腕も終わったら、俺の腰に片手を当て空いている手を俺の後頭部へ回したモルガンさんは俺の方に上半身を傾けてきた。
 思わず俺は両手でモルガンさんの胸に手を当てた。
 ゆったりと自然な動作だったからこの体勢に気付くのが遅れて驚きに目を見開くと、すぐ目の前のモルガンさんと視線が合わさる。


 「あ…」

 「……驚かせてしまいましたね」


 間近で微笑まれてドクンッと心臓が跳ねた。
 近い!近過ぎる!
 モルガンさんはそのまま顔を傾け近付けてきた。


 「…ぁっ…」


 そのまま横に逸らして降りていき、首元にあるキスマークを消しにかかった。

 一瞬、キスされるかもと思ってしまった…
 でもこの儀式とも言える傷を消す行為についつい邪なモノを持ち込んでしまうのは仕方ないと思うんだ。
 こんな近い距離で甘々な雰囲気の中、後頭部を持たれたら嫌でも勘ぐってしまうじゃないかっ。
 俺……期待したのかな……

 
 「ちゅっ…ちゅっ…貴方から甘い香りがします…」

 「な…にも付けてないっ…んんっ…」

 「これは貴方自身の香りなのでしょう…ちゅ…いつまでもこの香りを堪能していたくなります…」

 「うう…嗅がないでぇ…」


 くすりと笑われ耳の後ろ辺りに鼻を付けられて深呼吸された。酷い!わざと恥ずかしがらせる事して!…でも嫌じゃない…
 今までと同じように軽く吸い付くと同時に舐められると、耳元に息遣いや吸い付いて離れる音、舐める水音が響いて腕の時よりゾクゾクが凄くて体が震えてしまう。


 「んんっ…それ…やんっ…」

 「ちゅくっ…っそれ、とは何の事ですか?…ちうっ」

 「うっ…そのっ…んぁっ…吸って舐めるのっ…」

 「ぴちゅ…どうして嫌なのですか?…ちゅ…」


 うう…わざと聞いてきて恥ずかしい言葉を言わそうとしてるよ絶対っ…!
 問いかけながらも止まらないし!


 「だめぇ…っ、やじゃない…から、だめ…っ」

 「ふふっ…ちゅくっ…お嫌では無いのでしたら構わないではありませんか…」


 ゆっくり下へと降りていくモルガンさん。その度に俺の上半身は後ろに倒されてゆく。
 胸部に数ヶ所ある刃物による傷痕を優しく舌でなぞっていく。
 他より感覚が鈍くなっている筈の其処が妙に擽ったくて体を捩りたくなって身動ぎすると腰にあった大きな手がスッと動き、完全に腰に回され引き寄せられてモルガンさんと下半身が更に密着した。

 う…動けないし、モルガンさんの腹に俺の息子が当たって恥ずかしい…!
 と、下を気にした途端、お尻の下に少し硬いモノを感じた。

 え…?もしかして…モルガンさん…?


 「起ってる…?」


 驚きで思わず声に出してしまった。
 だって、ドキドキはしてもそういう意味で興奮されるとは……どうしよう、嬉しいかも…
 モルガンさんの顔を見ると、困ったような苦笑いだった。


 「これでも抑えているんですが…気付かれてしまいましたね」

 「あっ、あの…」

 「……今日はもう止めておきますか?」


 あああっ!!!何で言っちゃったんだぁぁああっ!!!
 別にモルガンさんが俺に興奮してもいいし!寧ろ嬉しいしっ!気不味くないしっ!!

 俺は止めてほしくない一心でモルガンさんに抱きついた。


 「やだっ!続けてっ…ほし……です………」


 言いながら我に返り、代わりに羞恥心が溢れてくる。

 これって…俺が誘ってるみたいじゃね?!
 違うんだ!続けてほしいのは傷を消す事であってエッチい事をしたいって意味じゃなくて…!
 けどこの今触れてる体が見た目よりガッシリしてて大きくて温かくて…この肉体に後ろから抱きしめられながら突かれたら…って何考えてんだ俺っ!!

 この体勢だと何度我に返ってもすぐにおかしな思考になってしまうっ!
 けど闇ギルドの奴ら、現頭目に対しての時とは違う…快楽に逃げたりそれだけを求めるのとは全然違うんだ…
 モルガンさんが俺で気持ち良くなってる姿を見てみたい。嬌声を聞いてみたい。
 好奇心もあるけど、もし…俺と繋がってモルガンさんが幸せそうな顔してくれたら……うん、やっぱ嬉しいと思う…。
 
 真っ赤な顔になってる俺をモルガンさんはじっと見つめていた。
 甘い顔も良いけど、やっぱり漢な顔もいい。


 「そんな可愛らしい事を言って……貴方は私にどれだけ許す気ですか…?」


 イケオジの本気顔、プライスレス。
 かなり[私]に毒されている俺が、モルガンさんにときめかない訳がなかった。


 「……何処まで…してくれますか…?」

 「っ………貴方が許してくださるなら、何処まででも」


 どどど何処まででもっ…?!?!


 「で、でもモルガンさん…さっき男に興味ないって」

 「貴方は別だと申したつもりだったのですが」

 「舐めるのとは訳が違うよ!お…男を抱いた事なんて無いでしょ?」

 「ありません。ですが、やり方は知っています」

 「ふえっ?……でもっ、でもっ…」


 モルガンさんは異性愛者だ。それなのに、こっちに引き込んでいいのだろうか?俺だって、絶対に同姓じゃなきゃとか思った事は無い。ただ、犯され続けて気持ち良さを知っただけだ。恋愛対象は……イケオジになりつつあるけど。
 でも…モルガンさんは妻子ある人で…


 「お…奥さんが悲――んんっ?!」


 俺の言葉を遮り、モルガンさんは俺の口をその口で塞いだ。
 まさか突然キスされると思っていなかった俺は、更に舌を入れられて動揺で固まってしまった。





‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥∽‥

続きはもう少しチェックしてから近日中に載せます。
かみんぐすぅん…

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