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133話、ベアトリスが作ってくれたローストビーフ
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恐怖の人形寺から逃げるように獣道を進むこと数時間。荒れた道のせいか、あるいは先ほど体験した恐怖心からか、思ったより歩みは捗らなかった。
結果、通行止めされていた街道の先へとたどり着けず、日が暮れはじめる。私達はしかたなく野宿する事にした。
「さっきの体験の後にその近くで野宿ってわりと恐怖だよね」
「本当よね。勘弁してほしいわ」
ベアトリスが青い顔を返した。吸血鬼だからか日中は元々青白いのだが、恐怖を感じている時も顔が青ざめるらしい。しかし怖くて顔を青くする吸血鬼っていうのも変だ。怖がられる存在だろうに。
でも、今や吸血鬼かどうかも疑わしい不思議存在となっているベアトリスにツッコんでいてはらちが開かないので、触れないでおく。
「ところで、夕ごはんはどうするの?」
ライラは怖くないのか、けろっとした顔でそう聞いてきた。あの体験の後にする野宿より、今日のごはんの方が気になるんだな……。
「せっかくだしベアトリスが作ってよ」
「……せっかくの意味が分からないんだけど?」
どうせ一緒に旅をしているのなら、料理が上手なベアトリスのごはんが食べたい。自分で作るといつも簡単で雑なのに逃げがちだから。
そういう気持ちを込めていたのだが、当然ベアトリスには伝わってないようだ。彼女はため息をつきつつ、ま、いいけど、と結局快諾してくれた。
「フウゲツの町を出る前に確か牛肉の塊を買ってたわね。生肉はさっさと食べないと傷むから、豪快に全部食べちゃいましょう」
あんな体験をした後なんだから、せめてごはんは豪華にしないと割にあわないわ……と小さく付け加えていた。
「牛肉でなにを作るの?」
「そうね、野外で凝った料理を作るのは難しいから、ローストビーフでも作ろうかしら」
「え……ローストビーフって凝った料理じゃないんだ」
「結構簡単よ、あれ」
やはり根本の料理スキルと知識が違うのか、私とベアトリスの常識は食い違っている。私の中ではローストビーフなんてお店で食べる物だよ。
「とりあえず火をつけてちょうだい。後は私が勝手にやるから」
「はいはい」
私は手慣れた動きで火を灯した。魔女だから魔術を使えば火起こしなんて簡単だ。燃料すら要らずに長時間火を燃やし続けることだってできる。
「本当便利よね、その火起こし魔術」
……別に野宿する為の魔術ではないんだけどね。便利は便利。
火を起こすと、ベアトリスはてきぱきと料理の準備に取りかかった。
紐で肩に下げるタイプの小型クーラーボックスから牛肉の塊を取り出し、彼女自身が持っている調理器具を準備する。
木製のまな板の上に牛肉を置き、そこに塩コショウとオリーブオイルをかけ、揉むように刷りこんでいく。
「下味はこんな物ね。後は焼くだけなんだけど……」
そういえばベアトリスは物体を動かしたり固定するテレキネシスが使えないのか。やれやれ、しかたないなぁ。ここは私も手伝うとしよ……。
「あ、こうすればいいのよ」
私が得意気に魔術を使おうとしたら、ベアトリスはぱちんと指を鳴らした。すると彼女の周りに夜の暗闇の中でも分かる色濃い闇が生まれ、それが蠢きながら牛肉を持ち上げる。
そのまま牛肉は濃い暗闇に運ばれて火の上に固定された。どころか時折くるくると回転して全体に焼き目をつけていってる。
「……前々から思ってたんだけどさ、それなに?」
「? それって?」
ピンと来てないのか、ベアトリスは首を傾げた。
「その……なんだろう、暗闇を操作してるやつ。魔力の気配がないから魔術じゃない……よね?」
「ああ、これね。そうね、何て説明したらいいのかしら……」
ベアトリスはうーんと呻きながら考え込む。
「例えば、見えない手足がたくさんあるとするじゃない? それを自分の意思で操作しようとしたら、こんな風に暗闇が湧き上がってくるのよ。そしてなぜかそれを自在に動かせるってわけ」
「……ダメだ、全然分かんないや」
見えない手足がたくさんある感覚ってなに。
「私もよく分からないわ。いつの間にか使えてたもの。多分吸血鬼としての特殊能力ね。日光に弱いんだもの、それを補う能力くらいないと不公平だわ」
……そういうものだろうか?
しかし分かった事は一つ。これはおそらくベアトリスに生来備わった能力だ。まあ吸血鬼なんだから人間には使えない能力があっても不思議はない。魔女もしょせん人間。こんな変な生物が相手では理解も解明もできなくて当然だ。
でもあの暗闇……それとも影? それを操作する能力は結構便利そうでいいなぁ……と思う。
「よし、十分焼き目がついたわね。後はアルミホイルで包んで……と」
牛肉の表面がこんがり焼けたのを確認したベアトリスは、浮かび上がる暗闇を操作して器用にアルミホイルで包みだした。
……これ、やっぱり私の魔術より便利だ。テレキネシスだとこんな器用な真似できないもん。ベアトリス自身が言ってた見えない手足って例えは正しいようだ。本当に自分の手のように器用に動かしている。
「後はこのまま余熱で火を通して、十分冷めたらできあがりよ」
「冷めるまで待つんだ?」
ちょうど火が通った熱々の出来たてがおいしそうなのに。
「そうしないと切った時に肉汁がこぼれるのよね。冷ますと肉汁が内部に留まってよりジューシーになるわ」
「へえー……そうなんだ。熱い方がジューシーなイメージなのに。じゃあ完成まで結構時間かかる?」
「……まあ、三十分くらいはするわね」
「結構するなぁ」
でもジューシーなローストビーフの為には待つしかない。
待ってる間暇なので、以前鉱石の町カルディアで買った原石をチェックする事にした。
くすんだアメジストや傷ついたブラックオニキス、それに石の表面に付着しているだけのラピスラズリ。粗悪な原石だが、魔女が常に持ち歩いて魔力がこもると魔宝石となり、淡く発光し続けて価値があがる……はず。
しかしまだそれほど期間が経ってないせいか、見た目は変わりなかった。ただ、確かに魔力が溜まりつつあるのは感じる。うまくいけば魔宝石になるだろう。魔宝石になったら石などの不要な部分や傷ついた部分をカットして形を整えてみようかな。
「それ、なにが目的で持ち歩いてるわけ?」
粗悪な原石を眺めているのが不思議だったのか、ベアトリスがそう聞いてくる。私は簡潔に説明してみた。
「ふぅん、魔女ってそんな事もできるのね。面白いわ」
するとベアトリスは思いついたとばかりに顔を明るくさせる。
「私も魔女に習って宝石を加工してみようかしら。吸血鬼特製の宝石って売れそうじゃない?」
「まず吸血鬼特製の宝石っていうのがピンとこない」
魔女は宝石に魔力を込めるけど……吸血鬼は宝石に何を施すんだ?
「それはもう、血よ。自分の血をこう、毎日数滴ずつ垂らして宝石を真っ赤に染めていくの」
「こっわ。それ吸血鬼特製の呪いの宝石じゃん」
血で真っ赤に染まった宝石とかやばいでしょ。どう考えてもいわくつきの一品だよ。
「面白い案だと思ったんだけどね。今度やってみようかしら」
やめて欲しい。夜な夜な宝石に自分の血を垂らしているベアトリスの姿を夜中にうっかり見たら、心臓破裂する。
そんな事を言っていたらちょうど時間が経ったのか、ベアトリスがいそいそとアルミホイルから牛肉を解放し始めた。
「うん、いい具合に冷めてるわね」
まな板の上で牛肉を薄くスライスすると、中心部分がほどよくピンク色になっていた。まさに見た事があるローストビーフである。
「後は軽くパンを炙って……と。これで完成ね」
大皿に半分までスライスしたローストビーフを乗せ、三人分のパンを添える。牛肉の塊自体が大きいせいか、かなり豪勢に見える一品だ。
夕ごはんが出来あがったので、皆で早速食べる事に。
「ソースがあってもいいけど、下味をちゃんとつけたからそのままでパンと合うと思うわよ」
言われるまま、まずはローストビーフを一切れ食べてみる。
柔らかい食感。薄くスライスされているのに、噛むとじゅわっと肉汁が溢れてくる。冷めているのに全くパサパサしていなかった。ベアトリスが言う通り、ほどよく冷めたことで肉汁が内部にしっかりこもっている。
そして下味でしっかりつけた塩コショウとオリーブの風味が漂い、肉の旨みを抜群に引き出していた。
「おいしい」
「うんうん、おいしいわ」
私もライラも一切れ食べて絶賛である。
「ありがと」
ベアトリスは自分で作ったからか、まあこんな物ねとばかりに食べ進めていた。
軽く火で炙ったパンは香ばしくなっており、冷めていながらも肉汁がしっかりこもっているローストビーフとの相性もいい。パンに数切れ挟んで食べればローストビーフパンのでき上がりだ。
「せっかくだから、もう全部食べてしまいましょ」
まだ切ってない塊部分もスライスしてしまい、山盛りのローストビーフができあがる。
すごい……豪勢。まさか野宿でこんなたくさんお肉を食べられるなんて。
しかも三人いるから全然食べ切れる。薄切りだからかテンポよく食べられるし、時折パンを食べて口の中をさっぱりさせられるのもいい。
私達はあっという間に山盛りのローストビーフをたいらげてしまう。
「はぁ……お腹いっぱい」
もう人形寺での恐怖体験なんてどこかへ行ってしまった。やはりおいしいごはんを食べると幸せな気分になれる。
「リリア、食後にお茶が飲みたいわ」
「いいわね。リリア、紅茶ー」
「はいはい」
ベアトリスとライラに催促され、私はもそもそと紅茶の準備を始めた。
三人いると、やっぱり野宿でもにぎやかになるもんだなー。そう思う私だった。
結果、通行止めされていた街道の先へとたどり着けず、日が暮れはじめる。私達はしかたなく野宿する事にした。
「さっきの体験の後にその近くで野宿ってわりと恐怖だよね」
「本当よね。勘弁してほしいわ」
ベアトリスが青い顔を返した。吸血鬼だからか日中は元々青白いのだが、恐怖を感じている時も顔が青ざめるらしい。しかし怖くて顔を青くする吸血鬼っていうのも変だ。怖がられる存在だろうに。
でも、今や吸血鬼かどうかも疑わしい不思議存在となっているベアトリスにツッコんでいてはらちが開かないので、触れないでおく。
「ところで、夕ごはんはどうするの?」
ライラは怖くないのか、けろっとした顔でそう聞いてきた。あの体験の後にする野宿より、今日のごはんの方が気になるんだな……。
「せっかくだしベアトリスが作ってよ」
「……せっかくの意味が分からないんだけど?」
どうせ一緒に旅をしているのなら、料理が上手なベアトリスのごはんが食べたい。自分で作るといつも簡単で雑なのに逃げがちだから。
そういう気持ちを込めていたのだが、当然ベアトリスには伝わってないようだ。彼女はため息をつきつつ、ま、いいけど、と結局快諾してくれた。
「フウゲツの町を出る前に確か牛肉の塊を買ってたわね。生肉はさっさと食べないと傷むから、豪快に全部食べちゃいましょう」
あんな体験をした後なんだから、せめてごはんは豪華にしないと割にあわないわ……と小さく付け加えていた。
「牛肉でなにを作るの?」
「そうね、野外で凝った料理を作るのは難しいから、ローストビーフでも作ろうかしら」
「え……ローストビーフって凝った料理じゃないんだ」
「結構簡単よ、あれ」
やはり根本の料理スキルと知識が違うのか、私とベアトリスの常識は食い違っている。私の中ではローストビーフなんてお店で食べる物だよ。
「とりあえず火をつけてちょうだい。後は私が勝手にやるから」
「はいはい」
私は手慣れた動きで火を灯した。魔女だから魔術を使えば火起こしなんて簡単だ。燃料すら要らずに長時間火を燃やし続けることだってできる。
「本当便利よね、その火起こし魔術」
……別に野宿する為の魔術ではないんだけどね。便利は便利。
火を起こすと、ベアトリスはてきぱきと料理の準備に取りかかった。
紐で肩に下げるタイプの小型クーラーボックスから牛肉の塊を取り出し、彼女自身が持っている調理器具を準備する。
木製のまな板の上に牛肉を置き、そこに塩コショウとオリーブオイルをかけ、揉むように刷りこんでいく。
「下味はこんな物ね。後は焼くだけなんだけど……」
そういえばベアトリスは物体を動かしたり固定するテレキネシスが使えないのか。やれやれ、しかたないなぁ。ここは私も手伝うとしよ……。
「あ、こうすればいいのよ」
私が得意気に魔術を使おうとしたら、ベアトリスはぱちんと指を鳴らした。すると彼女の周りに夜の暗闇の中でも分かる色濃い闇が生まれ、それが蠢きながら牛肉を持ち上げる。
そのまま牛肉は濃い暗闇に運ばれて火の上に固定された。どころか時折くるくると回転して全体に焼き目をつけていってる。
「……前々から思ってたんだけどさ、それなに?」
「? それって?」
ピンと来てないのか、ベアトリスは首を傾げた。
「その……なんだろう、暗闇を操作してるやつ。魔力の気配がないから魔術じゃない……よね?」
「ああ、これね。そうね、何て説明したらいいのかしら……」
ベアトリスはうーんと呻きながら考え込む。
「例えば、見えない手足がたくさんあるとするじゃない? それを自分の意思で操作しようとしたら、こんな風に暗闇が湧き上がってくるのよ。そしてなぜかそれを自在に動かせるってわけ」
「……ダメだ、全然分かんないや」
見えない手足がたくさんある感覚ってなに。
「私もよく分からないわ。いつの間にか使えてたもの。多分吸血鬼としての特殊能力ね。日光に弱いんだもの、それを補う能力くらいないと不公平だわ」
……そういうものだろうか?
しかし分かった事は一つ。これはおそらくベアトリスに生来備わった能力だ。まあ吸血鬼なんだから人間には使えない能力があっても不思議はない。魔女もしょせん人間。こんな変な生物が相手では理解も解明もできなくて当然だ。
でもあの暗闇……それとも影? それを操作する能力は結構便利そうでいいなぁ……と思う。
「よし、十分焼き目がついたわね。後はアルミホイルで包んで……と」
牛肉の表面がこんがり焼けたのを確認したベアトリスは、浮かび上がる暗闇を操作して器用にアルミホイルで包みだした。
……これ、やっぱり私の魔術より便利だ。テレキネシスだとこんな器用な真似できないもん。ベアトリス自身が言ってた見えない手足って例えは正しいようだ。本当に自分の手のように器用に動かしている。
「後はこのまま余熱で火を通して、十分冷めたらできあがりよ」
「冷めるまで待つんだ?」
ちょうど火が通った熱々の出来たてがおいしそうなのに。
「そうしないと切った時に肉汁がこぼれるのよね。冷ますと肉汁が内部に留まってよりジューシーになるわ」
「へえー……そうなんだ。熱い方がジューシーなイメージなのに。じゃあ完成まで結構時間かかる?」
「……まあ、三十分くらいはするわね」
「結構するなぁ」
でもジューシーなローストビーフの為には待つしかない。
待ってる間暇なので、以前鉱石の町カルディアで買った原石をチェックする事にした。
くすんだアメジストや傷ついたブラックオニキス、それに石の表面に付着しているだけのラピスラズリ。粗悪な原石だが、魔女が常に持ち歩いて魔力がこもると魔宝石となり、淡く発光し続けて価値があがる……はず。
しかしまだそれほど期間が経ってないせいか、見た目は変わりなかった。ただ、確かに魔力が溜まりつつあるのは感じる。うまくいけば魔宝石になるだろう。魔宝石になったら石などの不要な部分や傷ついた部分をカットして形を整えてみようかな。
「それ、なにが目的で持ち歩いてるわけ?」
粗悪な原石を眺めているのが不思議だったのか、ベアトリスがそう聞いてくる。私は簡潔に説明してみた。
「ふぅん、魔女ってそんな事もできるのね。面白いわ」
するとベアトリスは思いついたとばかりに顔を明るくさせる。
「私も魔女に習って宝石を加工してみようかしら。吸血鬼特製の宝石って売れそうじゃない?」
「まず吸血鬼特製の宝石っていうのがピンとこない」
魔女は宝石に魔力を込めるけど……吸血鬼は宝石に何を施すんだ?
「それはもう、血よ。自分の血をこう、毎日数滴ずつ垂らして宝石を真っ赤に染めていくの」
「こっわ。それ吸血鬼特製の呪いの宝石じゃん」
血で真っ赤に染まった宝石とかやばいでしょ。どう考えてもいわくつきの一品だよ。
「面白い案だと思ったんだけどね。今度やってみようかしら」
やめて欲しい。夜な夜な宝石に自分の血を垂らしているベアトリスの姿を夜中にうっかり見たら、心臓破裂する。
そんな事を言っていたらちょうど時間が経ったのか、ベアトリスがいそいそとアルミホイルから牛肉を解放し始めた。
「うん、いい具合に冷めてるわね」
まな板の上で牛肉を薄くスライスすると、中心部分がほどよくピンク色になっていた。まさに見た事があるローストビーフである。
「後は軽くパンを炙って……と。これで完成ね」
大皿に半分までスライスしたローストビーフを乗せ、三人分のパンを添える。牛肉の塊自体が大きいせいか、かなり豪勢に見える一品だ。
夕ごはんが出来あがったので、皆で早速食べる事に。
「ソースがあってもいいけど、下味をちゃんとつけたからそのままでパンと合うと思うわよ」
言われるまま、まずはローストビーフを一切れ食べてみる。
柔らかい食感。薄くスライスされているのに、噛むとじゅわっと肉汁が溢れてくる。冷めているのに全くパサパサしていなかった。ベアトリスが言う通り、ほどよく冷めたことで肉汁が内部にしっかりこもっている。
そして下味でしっかりつけた塩コショウとオリーブの風味が漂い、肉の旨みを抜群に引き出していた。
「おいしい」
「うんうん、おいしいわ」
私もライラも一切れ食べて絶賛である。
「ありがと」
ベアトリスは自分で作ったからか、まあこんな物ねとばかりに食べ進めていた。
軽く火で炙ったパンは香ばしくなっており、冷めていながらも肉汁がしっかりこもっているローストビーフとの相性もいい。パンに数切れ挟んで食べればローストビーフパンのでき上がりだ。
「せっかくだから、もう全部食べてしまいましょ」
まだ切ってない塊部分もスライスしてしまい、山盛りのローストビーフができあがる。
すごい……豪勢。まさか野宿でこんなたくさんお肉を食べられるなんて。
しかも三人いるから全然食べ切れる。薄切りだからかテンポよく食べられるし、時折パンを食べて口の中をさっぱりさせられるのもいい。
私達はあっという間に山盛りのローストビーフをたいらげてしまう。
「はぁ……お腹いっぱい」
もう人形寺での恐怖体験なんてどこかへ行ってしまった。やはりおいしいごはんを食べると幸せな気分になれる。
「リリア、食後にお茶が飲みたいわ」
「いいわね。リリア、紅茶ー」
「はいはい」
ベアトリスとライラに催促され、私はもそもそと紅茶の準備を始めた。
三人いると、やっぱり野宿でもにぎやかになるもんだなー。そう思う私だった。
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