138 / 185
138話、温泉街と個室酒場
しおりを挟む
お昼ごはんに重箱料理を食べ、再度軽くお城観光を済ませた後、近くにある温泉街へ行こうと話がまとまっていた。
ルキョウの町の一角では昔温泉が噴き出したらしく、せっかくだからと温泉街を設けたようだ。今そこは多種多様な温泉と宿泊施設、そして飲食店が乱立し、お城と並ぶ町の中心地となっている。
私達が泊まっている旅館もこの温泉街の近くにある。温泉街の旅館ではないので値段も安く、予約をしてなくてもすんなりと泊まれる事ができる。いわば一見の旅人向けの旅館でもあった。
とはいえ温泉街に近いのは近いので、立地は悪くない。部屋も広くて居心地が良いのは実証済みだ。
ひとまずその旅館へと戻って鞄などの邪魔な荷物は置き、温泉街へと向かった。タオルなどは貸し出してくれるので、着の身着のまま、軽い気持ちで入れるのが人気の秘訣らしい。
温泉街からはそこかしこから煙が立ち昇り、とても町中とは思えない風体だ。湿気も立ちこめ、温泉特有の硫黄にも似た匂いが漂っている。
温泉施設はいくつもあり、湯によって成分の比率が変わり多少効能が違うという。三人で相談した結果、体が休まる疲労回復効果がある湯を選択した。毎日歩き続けているので、特に足を癒したい。
温泉はかなり広い。脱衣所の時点で百人くらい入れそうで、いざ温泉へと向かうと石で囲われた複数の湯があった。源泉に近い熱いお湯をそれぞれの湯へと流して適温にしているらしく、触ってみると良い温度だった。
まだ夕暮れ前だからか他のお客さんはそこまでいない。私達三人で一つの湯を独占するように足を差し入れた。
「あー……すごい落ち着く」
肩まで浸かると、全身が暖かさで包まれる。温泉の匂いはリラックス効果があるのか肩の力が抜け、まるで全身が溶けてしまうかのようだった。
「気持ちいいけど私にはちょっと熱いわね」
隣りに座るベアトリスの青白い肌は赤く火照っていた。吸血鬼は体温が低いのか、相対的にこの程度の温度でも熱く感じるのだろう。かんざしで纏めた髪のうなじからかいた汗をぬぐい、ふぅ、とため息一つ顔をあおぐ。
ライラはというと……溺れかけていた。
「あっ、あぶっ、これ足がつかないし羽根もお湯の中だと全然動かないわっ」
平常心を失っているのか、ばしゃばしゃもがいて何とか沈まないようにしている。
どうしよう。手で持ち上げた方がいいのかな……なんて私が戸惑っていると、ベアトリスが口を開いた。
「……別に妖精なんだから、羽根を使わずとも魔力を操作すれば受けるんじゃないの? リリアのテレキネシスみたいに」
「……え? あ、本当だ。できるわ」
できるんかい。いや、そんな事できたんだ!?
ライラはさっきまでの慌てぶりが嘘のようにぷかぷかと浮き出した。足は全く下についてないのに、肩付近でお湯に沈み込まない。そのまま水中で座り足まで延ばし始めた。
「私って羽根が無くても浮けたのね。自分の事なのに知らなかったわ」
「浮いてるというより、本当に私のテレキネシスみたいに自分を固定しているって感じだけど……」
でも沈んでない事は事実。そして驚愕だ。妖精は羽根がなくても別に飛べる。ならなぜ羽根があるんだ……飛ぶ時羽根を動かすんだ……また一つ妖精の謎が深まった。
考えても謎の深みの泥に沈むだけなので、気持ちを切り替えるように温泉でばしゃばしゃと顔をぬぐった。
せっかくの温泉だ。何も考えずゆっくりしよう。
私は目をつぶり、ただただ温泉の気持ちよさを味わう事にする。
……。
……。
……。
……。
やばい、これ以上はのぼせる。
見るとライラやベアトリスも限界なのかぐでっとし始めたので、三人一緒にお湯から上がる事にした。いくら温泉が気持ち良くても、長湯は危険。
温泉からあがり着替えて外へ出ると、空は赤く染まっていた。夕暮れの涼しい風がひんやりと首を撫でる。
「この辺りは飲食店もいっぱいあるし、夜ごはん食べていこうか」
「食事もいいけど、なにか冷たい物も飲みたいわね」
ベアトリスが扇子で顔を仰ぎながら言った。湯上りで喉が渇いているのは私もだ。
「せっかくだしお酒でも飲めるお店へ行きましょう。あれとかいいんじゃないかしら」
ベアトリスが選んだのは、料理も食べられる個室酒場だった。特に他の案もないので、そのままそこに入ってみる。
店内は暖色系の明かりが灯る落ち着いた雰囲気。襖で仕切られた部屋がいくつもあり、その一つに案内された。
部屋の中は畳が敷かれた旅館と同じ形式。テーブルを挟んで向かい合わせで私とライラ、ベアトリスが座る。
「そういえばリリアってお酒は飲めるのかしら?」
ベアトリスに聞かれ、私はうーんと唸った。
「そんなにたくさんは飲めないと思う。前ビール一杯で結構きた。逆にライラは結構いけるよ」
「へえ……妖精ってお酒も問題ないのね。……もう謎存在よね」
ベアトリスがそれを言うのか……この謎吸血鬼。
ベアトリスはパラパラとメニューをめくりつつ、店員を呼ぶ。
「とりあえずお酒と料理を適当に頼んでおくわ。一応リリア向けの飲みやすそうなのにしておいたから」
「ありがと」
もう全部ベアトリス任せでいいや。その方が何が出てくるか分からなくてわくわくする。それにベアトリスが選ぶならおいしいのが出てきそうだ。料理が上手だから、そんな安心感があった。
他力本願な考えで料理が来るまでひとまず待つこと数分。
最初にやって来たのは、刺身と香菜のサラダにお酒だった。まだ他にもベアトリスは頼んでいたので、この後も来るのだろう。
「これなんのお酒?」
グラスにそそがれたのは水のように透明なお酒だった。なぜかしゅわしゅわと気泡が漂っている。
「清酒の炭酸割りよ。すっきりして飲みやすいわよ」
「へえ~」
見た目は本当に水みたいなので、すごく飲みやすそうだ。
ひとまずお酒とその当てがきたので、三人で乾杯する事にする。
「かんぱーい」
ライラの高さに合わせてかちりとグラスを合わせ、清酒の炭酸割りとやらを一口。
「んっ、しゅわしゅわする」
炭酸なので当然だ。そして意外とアルコール分は低いのか、飲んでもくらっとこない。炭酸で割ってるから薄まってるのかな。
癖がなくほのかに甘い。苦さがポイントのビールとはまた違った飲み口だ。
火照った体に冷えた清酒は中々心地よく、すっきりした面持ちで刺身と香菜のサラダを食べてみる。
どうやらお酢を使っているらしく、ちょっと酸っぱめ。オリーブオイルも入っているらしい。
香菜の強めの匂いが香り立ち、刺身の柔らかい歯ごたえと味がたまらない。思わず清酒を一口飲んだ。
そうしていると次の料理がやってくる。チーズのベーコン巻きに串盛り、ポテトサラダ。メインとしてミートパスタと中々にたくさんだ。
まず串盛りから食べてみる。色々な串料理があるらしく、私はレバーを食べてみた。
レバーは鉄分豊富でほろ苦い味。甘めのタレがかかっていて、噛むと身が簡単にほろほろと崩れる。好き嫌いが分かれるレバーだけど、私はわりと好き。
やや苦めだけど、それを流す清酒がまたおいしく感じられるのが良い。
次にポテトサラダを食べていると、ベアトリスとライラがかたんとグラスを置いた。
見てみると、二人共グラスが空になっていた。
「ふぅ~……お酒、おいしいわねっ」
ライラがにこにこ顔でそう言った。
「本当に強いのね。体が小さい分アルコールが回りそうなのに」
同じく清酒を飲み干したベアトリスも結構強い方らしいが、ライラの飲みっぷりには呆れるしかないようだ。
「私は次ワインを頼もうと思うけど、ライラはどうするの?」
「同じのでいいわっ」
「そう。で、リリアは……」
「私はまだ飲み終わってないから。あ、でも何かジュース頼んどいて」
清酒は飲みやすくおいしいが、調子に乗って飲むと絶対酔う。だから一杯だけにするつもりだ。
やがて、やって来たワイン片手に料理を食べ始める二人を前に、私も自分のペースで食事を再開した。
チーズのベーコン巻きはコショウがたっぷりかけられている。一口食べるとコショウの強い風味がかけぬけ辛味があるが、解けかけたチーズのまろやかな味とベーコンの塩っ気がうまく組み合わさる。これもお酒に合いそうな味だ。
そしてメインのミートパスタ。これは玉ねぎとひき肉、それにトマトが使われた王道のミートソース。パスタのあっさりした風味がひき肉たっぷりのミートソースで食べごたえ抜群になる。
ちゅるちゅるパスタを食べていると、またからんとグラスを置く音が聞こえた。
もう飲み終わったのか……しかも二人同時に。
二人は立て続けに二杯飲みながらも、まだけろりとした顔をしていた。ベアトリスは意気揚々とメニューを手にして、ライラがそれを覗き込む。
「さて、次は何を飲もうかしら」
「もう一度ワインはどう? これぶどうの味がしっかりしておいしかったわ」
「あら、ワインのおいしさが分かるなんてさすがね。なら次は赤ワインにしましょう。赤ぶどうを使ったこっちは、より芳醇な匂いと味わいで肉料理に合っているわ」
……なんか二人ともすごい飲む気だ。赤ワインに合わせて肉料理まで注文し始めたよ。
私は清酒の残りをぐびっと飲み干す。一杯だけで少しくらっと来たので、ワインを飲むのは諦めて肉料理だけ楽しむ事にした。
しかし……お酒に強いな二人とも。
がぱがぱ飲みまくる二人を前に、私は圧倒されるばかりだった。
……明日、大丈夫かな?
ルキョウの町の一角では昔温泉が噴き出したらしく、せっかくだからと温泉街を設けたようだ。今そこは多種多様な温泉と宿泊施設、そして飲食店が乱立し、お城と並ぶ町の中心地となっている。
私達が泊まっている旅館もこの温泉街の近くにある。温泉街の旅館ではないので値段も安く、予約をしてなくてもすんなりと泊まれる事ができる。いわば一見の旅人向けの旅館でもあった。
とはいえ温泉街に近いのは近いので、立地は悪くない。部屋も広くて居心地が良いのは実証済みだ。
ひとまずその旅館へと戻って鞄などの邪魔な荷物は置き、温泉街へと向かった。タオルなどは貸し出してくれるので、着の身着のまま、軽い気持ちで入れるのが人気の秘訣らしい。
温泉街からはそこかしこから煙が立ち昇り、とても町中とは思えない風体だ。湿気も立ちこめ、温泉特有の硫黄にも似た匂いが漂っている。
温泉施設はいくつもあり、湯によって成分の比率が変わり多少効能が違うという。三人で相談した結果、体が休まる疲労回復効果がある湯を選択した。毎日歩き続けているので、特に足を癒したい。
温泉はかなり広い。脱衣所の時点で百人くらい入れそうで、いざ温泉へと向かうと石で囲われた複数の湯があった。源泉に近い熱いお湯をそれぞれの湯へと流して適温にしているらしく、触ってみると良い温度だった。
まだ夕暮れ前だからか他のお客さんはそこまでいない。私達三人で一つの湯を独占するように足を差し入れた。
「あー……すごい落ち着く」
肩まで浸かると、全身が暖かさで包まれる。温泉の匂いはリラックス効果があるのか肩の力が抜け、まるで全身が溶けてしまうかのようだった。
「気持ちいいけど私にはちょっと熱いわね」
隣りに座るベアトリスの青白い肌は赤く火照っていた。吸血鬼は体温が低いのか、相対的にこの程度の温度でも熱く感じるのだろう。かんざしで纏めた髪のうなじからかいた汗をぬぐい、ふぅ、とため息一つ顔をあおぐ。
ライラはというと……溺れかけていた。
「あっ、あぶっ、これ足がつかないし羽根もお湯の中だと全然動かないわっ」
平常心を失っているのか、ばしゃばしゃもがいて何とか沈まないようにしている。
どうしよう。手で持ち上げた方がいいのかな……なんて私が戸惑っていると、ベアトリスが口を開いた。
「……別に妖精なんだから、羽根を使わずとも魔力を操作すれば受けるんじゃないの? リリアのテレキネシスみたいに」
「……え? あ、本当だ。できるわ」
できるんかい。いや、そんな事できたんだ!?
ライラはさっきまでの慌てぶりが嘘のようにぷかぷかと浮き出した。足は全く下についてないのに、肩付近でお湯に沈み込まない。そのまま水中で座り足まで延ばし始めた。
「私って羽根が無くても浮けたのね。自分の事なのに知らなかったわ」
「浮いてるというより、本当に私のテレキネシスみたいに自分を固定しているって感じだけど……」
でも沈んでない事は事実。そして驚愕だ。妖精は羽根がなくても別に飛べる。ならなぜ羽根があるんだ……飛ぶ時羽根を動かすんだ……また一つ妖精の謎が深まった。
考えても謎の深みの泥に沈むだけなので、気持ちを切り替えるように温泉でばしゃばしゃと顔をぬぐった。
せっかくの温泉だ。何も考えずゆっくりしよう。
私は目をつぶり、ただただ温泉の気持ちよさを味わう事にする。
……。
……。
……。
……。
やばい、これ以上はのぼせる。
見るとライラやベアトリスも限界なのかぐでっとし始めたので、三人一緒にお湯から上がる事にした。いくら温泉が気持ち良くても、長湯は危険。
温泉からあがり着替えて外へ出ると、空は赤く染まっていた。夕暮れの涼しい風がひんやりと首を撫でる。
「この辺りは飲食店もいっぱいあるし、夜ごはん食べていこうか」
「食事もいいけど、なにか冷たい物も飲みたいわね」
ベアトリスが扇子で顔を仰ぎながら言った。湯上りで喉が渇いているのは私もだ。
「せっかくだしお酒でも飲めるお店へ行きましょう。あれとかいいんじゃないかしら」
ベアトリスが選んだのは、料理も食べられる個室酒場だった。特に他の案もないので、そのままそこに入ってみる。
店内は暖色系の明かりが灯る落ち着いた雰囲気。襖で仕切られた部屋がいくつもあり、その一つに案内された。
部屋の中は畳が敷かれた旅館と同じ形式。テーブルを挟んで向かい合わせで私とライラ、ベアトリスが座る。
「そういえばリリアってお酒は飲めるのかしら?」
ベアトリスに聞かれ、私はうーんと唸った。
「そんなにたくさんは飲めないと思う。前ビール一杯で結構きた。逆にライラは結構いけるよ」
「へえ……妖精ってお酒も問題ないのね。……もう謎存在よね」
ベアトリスがそれを言うのか……この謎吸血鬼。
ベアトリスはパラパラとメニューをめくりつつ、店員を呼ぶ。
「とりあえずお酒と料理を適当に頼んでおくわ。一応リリア向けの飲みやすそうなのにしておいたから」
「ありがと」
もう全部ベアトリス任せでいいや。その方が何が出てくるか分からなくてわくわくする。それにベアトリスが選ぶならおいしいのが出てきそうだ。料理が上手だから、そんな安心感があった。
他力本願な考えで料理が来るまでひとまず待つこと数分。
最初にやって来たのは、刺身と香菜のサラダにお酒だった。まだ他にもベアトリスは頼んでいたので、この後も来るのだろう。
「これなんのお酒?」
グラスにそそがれたのは水のように透明なお酒だった。なぜかしゅわしゅわと気泡が漂っている。
「清酒の炭酸割りよ。すっきりして飲みやすいわよ」
「へえ~」
見た目は本当に水みたいなので、すごく飲みやすそうだ。
ひとまずお酒とその当てがきたので、三人で乾杯する事にする。
「かんぱーい」
ライラの高さに合わせてかちりとグラスを合わせ、清酒の炭酸割りとやらを一口。
「んっ、しゅわしゅわする」
炭酸なので当然だ。そして意外とアルコール分は低いのか、飲んでもくらっとこない。炭酸で割ってるから薄まってるのかな。
癖がなくほのかに甘い。苦さがポイントのビールとはまた違った飲み口だ。
火照った体に冷えた清酒は中々心地よく、すっきりした面持ちで刺身と香菜のサラダを食べてみる。
どうやらお酢を使っているらしく、ちょっと酸っぱめ。オリーブオイルも入っているらしい。
香菜の強めの匂いが香り立ち、刺身の柔らかい歯ごたえと味がたまらない。思わず清酒を一口飲んだ。
そうしていると次の料理がやってくる。チーズのベーコン巻きに串盛り、ポテトサラダ。メインとしてミートパスタと中々にたくさんだ。
まず串盛りから食べてみる。色々な串料理があるらしく、私はレバーを食べてみた。
レバーは鉄分豊富でほろ苦い味。甘めのタレがかかっていて、噛むと身が簡単にほろほろと崩れる。好き嫌いが分かれるレバーだけど、私はわりと好き。
やや苦めだけど、それを流す清酒がまたおいしく感じられるのが良い。
次にポテトサラダを食べていると、ベアトリスとライラがかたんとグラスを置いた。
見てみると、二人共グラスが空になっていた。
「ふぅ~……お酒、おいしいわねっ」
ライラがにこにこ顔でそう言った。
「本当に強いのね。体が小さい分アルコールが回りそうなのに」
同じく清酒を飲み干したベアトリスも結構強い方らしいが、ライラの飲みっぷりには呆れるしかないようだ。
「私は次ワインを頼もうと思うけど、ライラはどうするの?」
「同じのでいいわっ」
「そう。で、リリアは……」
「私はまだ飲み終わってないから。あ、でも何かジュース頼んどいて」
清酒は飲みやすくおいしいが、調子に乗って飲むと絶対酔う。だから一杯だけにするつもりだ。
やがて、やって来たワイン片手に料理を食べ始める二人を前に、私も自分のペースで食事を再開した。
チーズのベーコン巻きはコショウがたっぷりかけられている。一口食べるとコショウの強い風味がかけぬけ辛味があるが、解けかけたチーズのまろやかな味とベーコンの塩っ気がうまく組み合わさる。これもお酒に合いそうな味だ。
そしてメインのミートパスタ。これは玉ねぎとひき肉、それにトマトが使われた王道のミートソース。パスタのあっさりした風味がひき肉たっぷりのミートソースで食べごたえ抜群になる。
ちゅるちゅるパスタを食べていると、またからんとグラスを置く音が聞こえた。
もう飲み終わったのか……しかも二人同時に。
二人は立て続けに二杯飲みながらも、まだけろりとした顔をしていた。ベアトリスは意気揚々とメニューを手にして、ライラがそれを覗き込む。
「さて、次は何を飲もうかしら」
「もう一度ワインはどう? これぶどうの味がしっかりしておいしかったわ」
「あら、ワインのおいしさが分かるなんてさすがね。なら次は赤ワインにしましょう。赤ぶどうを使ったこっちは、より芳醇な匂いと味わいで肉料理に合っているわ」
……なんか二人ともすごい飲む気だ。赤ワインに合わせて肉料理まで注文し始めたよ。
私は清酒の残りをぐびっと飲み干す。一杯だけで少しくらっと来たので、ワインを飲むのは諦めて肉料理だけ楽しむ事にした。
しかし……お酒に強いな二人とも。
がぱがぱ飲みまくる二人を前に、私は圧倒されるばかりだった。
……明日、大丈夫かな?
0
あなたにおすすめの小説
俺とエルフとお猫様 ~現代と異世界を行き来できる俺は、現代道具で異世界をもふもふネコと無双する!~
八神 凪
ファンタジー
義理の両親が亡くなり、財産を受け継いだ永村 住考(えいむら すみたか)
平凡な会社員だった彼は、財産を譲り受けた際にアパート経営を継ぐため会社を辞めた。
明日から自由な時間をどう過ごすか考え、犬を飼おうと考えていた矢先に、命を終えた猫と子ネコを発見する。
その日の夜、飛び起きるほどの大地震が起こるも町は平和そのものであった。
しかし、彼の家の裏庭がとんでもないことになる――
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
美味しい料理で村を再建!アリシャ宿屋はじめます
今野綾
ファンタジー
住んでいた村が襲われ家族も住む場所も失ったアリシャ。助けてくれた村に住むことに決めた。
アリシャはいつの間にか宿っていた力に次第に気づいて……
表紙 チルヲさん
出てくる料理は架空のものです
造語もあります11/9
参考にしている本
中世ヨーロッパの農村の生活
中世ヨーロッパを生きる
中世ヨーロッパの都市の生活
中世ヨーロッパの暮らし
中世ヨーロッパのレシピ
wikipediaなど
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】異世界転移した私がドラゴンの魔女と呼ばれるまでの話
yuzuku
ファンタジー
ベランダから落ちて死んだ私は知らない森にいた。
知らない生物、知らない植物、知らない言語。
何もかもを失った私が唯一見つけた希望の光、それはドラゴンだった。
臆病で自信もないどこにでもいるような平凡な私は、そのドラゴンとの出会いで次第に変わっていく。
いや、変わらなければならない。
ほんの少しの勇気を持った女性と青いドラゴンが冒険する異世界ファンタジー。
彼女は後にこう呼ばれることになる。
「ドラゴンの魔女」と。
※この物語はフィクションです。
実在の人物・団体とは一切関係ありません。
スローライフ 転生したら竜騎士に?
梨香
ファンタジー
『田舎でスローライフをしたい』バカップルの死神に前世の記憶を消去ミスされて赤ちゃんとして転生したユーリは竜を見て異世界だと知る。農家の娘としての生活に不満は無かったが、両親には秘密がありそうだ。魔法が存在する世界だが、普通の農民は狼と話したりしないし、農家の女将さんは植物に働きかけない。ユーリは両親から魔力を受け継いでいた。竜のイリスと絆を結んだユーリは竜騎士を目指す。竜騎士修行や前世の知識を生かして物を売り出したり、忙しいユーリは恋には奥手。スローライフとはかけ離れた人生をおくります。
魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした
たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。
死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる