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はじまりの章
第二節 女軍人白馬の王子を手玉に取る
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「沙夜・・・俺は、どうすれば良いんだ。こんな姿に変わり果ててしまった」
黒人は泣きじゃくりながら沙夜の方へ向かいやるせない強い感情を見せた。
医師からは、沙夜が死んだと宣告を受けた。
だが、黒人はいまだ信じられずにいた。
ずっと一緒にいればきっといつか目を覚まし、こちらに向かってはにかんだ笑顔で
「黒人、ごめんね?待たせちゃったね」
この様な言葉を自分に向けてくれるだろうと信じていた。
この数十分後、犯人は警察に追跡される最中、自ら起こした事故で死んだ。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
「放て!良いか、相手を潰すなある程度の衝撃で留めておくんだ」
大砲をわざと相手側に直撃させずに数十メートル程手前に放たせた。
「将軍、ダメです。相手側は素早い上に、猛烈な怒りを被っている様子。
このままでは手加減どころか我々の身が危険です」
想定以上の強さで進軍させて来た相手側の攻撃を回避させるのがやっとの状態で、
今回の作戦は無事に成功させる事が出来るのか、雲行きが怪しくなって来たのだ。
「ありがとう御座いました。ここまで来ればもう大丈夫です」
ローランドが頭を下げ、礼を言う。
どうやら、この後の流れはローランドに案がある様だ。
「待って下さい!今出て行っては貴女自身に身の危険を及ぼす、どうか、もう少しお待ち下さい」
協力国の将軍が前へ出たローランドを食い止めようとした。だが、ローランドは余裕の笑みである。
「あの者は正義です。私が出たら攻撃は止めてくれます」
何の根拠があるのか分からず将軍は茫然と立ち尽くしてしまった。
その間にもローランドは敵の方へ一歩ずつ確実に歩き出す。
「ど、どう言う事だ!何故、ローランドがここに?」
相手の指揮を執っていた男性軍人が驚愕の面持ちとなった。
「私はここにいる。貴様が我々の国を救ってくれたのだな?」
そして遂にローランドが男性の三歩前の位置まで辿り着いた。
「下がれ、もう大丈夫だ。この様子からだと、これは何か理由があっての行動だろう」
男性軍人はこれ以上の攻撃はして来ない事を確信したのか、仲間に下がる様伝えた。
「聡いな。あぁ、この国は私の国との協力体制をとっている言わば仲間と言えよう」
ローランドが告げる。
男性軍人は安堵を抱いた様子で、仲間達を帰る様伝える。
「私は、しばしの間、こちらの方と話がある。皆の者は戻っていて欲しい」
こうして男軍人の仲間達は帰って行った。
だが、ローランドの計画はここからが本番だった。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
「ここは、地下室?一体何処へ連れて行くつもりですか?」
男性軍人が案内された先はローランドの在籍する国家の軍人機密基地の地下室であった。
「やれやれ、ここまで細工するのには苦労したぞ」
卑しい笑みを浮かべ男性軍人を見つめたローランド、その表情を見た途端男性軍人は
、一気にローランドから離れた。
「貴様、ローランドでは無いな!」
男性軍人が威嚇しながら言い放った。するとローランドはこの様に答えた。
「くっくっく・・・本当に貴様は聡いな。まぁ、半分は正解で半分は不正解と言った所だ」
ローランドが言った台詞に更なる疑問を抱いた男性軍人。
「まぁ、いい。ここは誰も来やしない。そして、貴様は私の仲間をいたぶってくれた。
その罪は万死に値する」
手には鞭、そして制帽(せいぼう)を斜めに被ったローランドは、一歩ずつ男性軍人に迫る。
「そう言う事か。だが、俺達を騙したのはそっちだぞ?これを罪だと言えるのか?」
男性軍人は、ゆっくりと相手の出方を待ちながら言葉を紡ぐ。
「安心しろ。今日、貴様をここへ呼んだのは罪を償わせるつもりでは無い」
「なら、何が目的だ?」
男性軍人が後退して行くと冷たく冷え切った壁が背中をくすぐった。
ローランドは追い詰めた男性軍人の顎に手をあてしっかりと男性軍人の顔を見つめた。
「なるほど。取り繕った姿も面白いが、本心で話をするともっと興味深いな?」
余裕の表情で語るローランドに男性軍人は・・・
「これ以上何かをするなら、こちらとしても容赦しない」
迫られた状態であっても男性軍人は諦めず、何か策を立てようとしていた。
「貴様は私には刃向かえない。そうだろ?」
突き刺さる様な視線を向け男性軍人をゆっくりと拘束し始めた。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
「レイトーニ大佐、大丈夫でしょうか?」
「あの大佐だぞ!信用してご帰還を待たれよ」
男性軍人の名は、レイトーニ・ブルンフィルダー。
階級は、大佐を担っている。
仲間達が珍しく一人行動に出たレイトーニを心配している様子。
今、置かれている状況を知ったらこの仲間達はどう言う行動に出るだろうか?
「大の男共が騒々しい。自分の上司を信用出来ずに隊を務め上げる事が出来るのかしら?」
軍人達の中には女性も存在する。
レイトーニの一番側から支え続けているこの勇敢な少女も表面上ではこの様に言っているものの心の奥底では・・・
(レイトーニ大佐があんな綺麗な女性と一緒に行ってしまわれた。これは何か裏がありそう!色恋沙汰になったらどうしよう!?私がずっとお側で仕えて来たレイトーニ様が・・・)
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
「さて、拘束完了だ」
「こんな事をして、一体何を考えている!早く解いてくれ!」
「ふ~ん、なら、何故私が拘束しようとしていた時に抵抗しなかった?言われるがまま受け入れたのは貴様の方ではないか?」
拘束されている間もレイトーニは抵抗する事なく、ローランドのされるがままになっていたのだ。
「では、拷問を始めようじゃないか」
舌なめずりをして、目を細め卑しい笑みを浮かべたローランドはレイトーニに告げた。
「悪いが、拷問などと言われて軽々しく何でも吐く様な男だと思うな!俺は訓練している。
この身の命が尽きようとも、機密情報などを漏えいさせる様なヘマはしないさ」
この様に言うとレイトーニは歯をしっかりと食いしばり、目を閉じ、
今から施されてしまう衝撃や痛みを覚悟した。
「そうかそうか、だと思ったぞ?あれ程の短期間で私の国が敗北した
上書きをするかの様にあっさりと敵国を殲滅させてくれたのだからな。
少々の、いや、命に関わる程の傷を負わせた所で何も出て来ない。
その様な小さな子供でも分かる事を私がするはずなかろう?」
レイトーニが言い放つ言葉が、まるで最初から分かり切っているかの様な返し方をしたローランド。
「なら、諦めて俺を開放しろ」
レイトーニは、少しばかり安心感を覚え表情がうっすらと和らいだ。
だが、次の瞬間・・・
ピシッ!!!
「っ痛っ!!!い、一体なんだってんだ!?」
突然、ローランドは持っていた鞭をレイトーニの太股に打ち付けた。
「驚いたか?だが、私は貴様を開放などしない。まだまだ時間は残されている」
心なしか嬉しそうな表情に見えるローランドは、本題に入っていない事をレイトーニに伝える為に鞭を振るったのだろうか。
「やるならさっさとやれ!俺は死んでも構わん!
お前が知りたい情報が何なのかは分からない。
だが、こう言う事をする様な奴だったと知った今、お前はその程度の者なのだと悟ったからな。利になる情報も俺は教えない。さぁ、好きな様にすればいいだろ!」
「くっくっくっくっく・・・言ったな?「好きな様にすればいい」と・・・間違い無く言ったな?」
面白可笑しい様子で笑うローランド。その言葉に頷くレイトーニ。
すると、ローランドからとんでも無い言葉が放たれたのだ。
「では、今から貴様をとんでも無い目に遭わせてやろうじゃないか。
覚悟・・・いいや、これを受ければ言いたくない事でも言いたくなるはずだ」
レイトーニは、少し胸元を露出させ、自分の全身を舐める様に見つめて来たローランドに背筋がゾクッとした。
「何だ?まだ何もしていないだろう?どうしてそんなに怯えた表情をするのだ?一体貴様は何を考え、何を思い、何を求める?」
ゆっくりとレイトーニの身体に迫りくる年頃の女性の柔肌。
「い、一体何を考えているんだ!!こんな事をして何になるってんだよ!!止めてくれ!!」
レイトーニが必死に抵抗するもローランドも軍人として鍛え抜いた逞しくも美しい身体は拘束されている今のレイトーニにとっては赤子の様に弱々しいものと成り下がってしまっていた。
「ふ~む、何を期待しているのだ?私はまだ何もしていないぞ?それなのに貴様は期待に満ち溢れている」
ゆっくりと指でレイトーニの上半身をなぞるローランド。
「貴様は、何が目的だ?何が目的でリーヴァンシュタルツ、いいや、この私、ローランド・ディア・グレンディーリッヒに協力してくれた?」
甘い吐息と同時に密着する程の近さで耳元で囁き掛けるローランド。
だが、レイトーニは・・・
「何を戯れ言を・・・俺は俺達の国の為に戦っているだけだ!貴様の様な色ボケした女の為などと・・・」
「くっくっく・・・面白い。では、その色ボケした女がこうして貴様の身体に触れているだけで貴様は蒸気しているのは何故だ?」
互いにプライドを保ち、拷問は続く・・・
「こ、これは生理現象だ!俺の意志では無い・・・それより、本気で貴様の考えている事が分からなくなった!こんな事をして何を企む?」
「ふふふふふ、貴様、さては童貞だな?反応が初心なんだ。実に面白い」
「くっ!!皆、すまん。俺が信じて止まなかった憧れの女性軍人は下らん人間だった様だ。許してくれ。こんな俺の為に皆を巻き込んでしまって。俺は・・・し・・・んぐっ!!!」
舌を噛み切って自害しようとしていたレイトーニの顎を持ち咄嗟に唇を奪ったローランド。
「んぐっ・・・(ゴキュッ)・・・ゲホッ、ゴホッ!!いっ!一体何なんだよ!!死なせてくれ!俺をからかって遊んで楽しいんだろ?だったら死んでやる!その方が早い!」
「ふんっ!少々遊び過ぎた様だな。今貴様に飲ませたのは自白剤だ。では、本題に入ろう。貴様の本当の目的は何だ?」
「だ、誰が言うもの・・・かっ・・・」
「ほほぅ、流石だな。自白剤ですら拒絶出来る程の精神鍛錬を積み重ねているとなると・・・」
ローランドは、再びレイトーニに迫る。
「知っているか?人間、痛みや苦痛には耐えられる様忍耐力が身について来るものだ。
そこを人間達は鍛錬し、貴様の様な強い人間になれる。
だが、これが快楽だった場合、どうだろう?忽ち快楽の海に沈み堕落する。
これが人間の弱さだ。どうだ?私が与える快楽に打ち勝てる自身はあるか?」
ローランドは、レイトーニの全身を優しく撫でながら耳元で囁き掛ける。
「お、俺は・・・絶対に・・・お前なんかに・・・」
「ありがとう。私を守ろうとしてくれて。そして、私を追い掛けて来てくれて。大好きだよ。黒人?」
「・・・・・・黒人?・・・一体それは誰の事・・・だ?」
ローランドは、このレイトーニの正体が黒人だと思い込んでいたらしい。
レイトーニは、逆に黒人とは誰なのかと質問した。
「貴様は、黒人・・・では無い?・・・どうしてだ?私は貴様の正体が黒人だとばかり思っていた。
では貴様は一体?」
「俺は、レイトーニ、レイトーニ・ブルンフィルダーだ!階級は大佐、お前と同じ位だ!」
ここまで計画を進めておきながら別人である事を知ったローランドは、一気にやる気を失せてしまった。
「コホンッ!と、兎に角だ、私達の国を救ってくれた恩はわ、忘れないぞ・・・次は私達の方が、貴様達に危害が及んだ時は全身全霊を以て助け出して見せる!」
こうして少し変わった形ではあるものの、レイトーニが在籍する軍との協定を結び、恩返しをする事となったローランド側は、改めてレイトーニへの謝罪を行った。
「この度は、大変無礼で不躾な振る舞い、どうか許して頂きたい。私は探している人物がいる。きっとこの世界にやって来ている様に思うのだ。だから・・・」
「分かっています。色々と話を聞いてみて分かったんです。
貴女も事情があるのだろうと・・・俺、貴女となら上手くやって行ける様な気がします。
次に会う時は共に戦場に立つ仲間と言う解釈でいいですね?」
「あ、あぁ、こちらこそ、宜しく頼む・・・」
何故、沙夜は黒人がこの世界へ来ていると思ったのだろうか?
ただ、ふわふわした感覚でここまで行動に出たとは思えるはずもなく、
この、レイトーニと黒人に共通した何かがあったのかもしれない。
去って行く背中を見つめながらローランドは、先程までの真っ赤な顔を清々しい
しっかりと前を見据える表情でレイトーニを見送った。
第二節 終
黒人は泣きじゃくりながら沙夜の方へ向かいやるせない強い感情を見せた。
医師からは、沙夜が死んだと宣告を受けた。
だが、黒人はいまだ信じられずにいた。
ずっと一緒にいればきっといつか目を覚まし、こちらに向かってはにかんだ笑顔で
「黒人、ごめんね?待たせちゃったね」
この様な言葉を自分に向けてくれるだろうと信じていた。
この数十分後、犯人は警察に追跡される最中、自ら起こした事故で死んだ。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
「放て!良いか、相手を潰すなある程度の衝撃で留めておくんだ」
大砲をわざと相手側に直撃させずに数十メートル程手前に放たせた。
「将軍、ダメです。相手側は素早い上に、猛烈な怒りを被っている様子。
このままでは手加減どころか我々の身が危険です」
想定以上の強さで進軍させて来た相手側の攻撃を回避させるのがやっとの状態で、
今回の作戦は無事に成功させる事が出来るのか、雲行きが怪しくなって来たのだ。
「ありがとう御座いました。ここまで来ればもう大丈夫です」
ローランドが頭を下げ、礼を言う。
どうやら、この後の流れはローランドに案がある様だ。
「待って下さい!今出て行っては貴女自身に身の危険を及ぼす、どうか、もう少しお待ち下さい」
協力国の将軍が前へ出たローランドを食い止めようとした。だが、ローランドは余裕の笑みである。
「あの者は正義です。私が出たら攻撃は止めてくれます」
何の根拠があるのか分からず将軍は茫然と立ち尽くしてしまった。
その間にもローランドは敵の方へ一歩ずつ確実に歩き出す。
「ど、どう言う事だ!何故、ローランドがここに?」
相手の指揮を執っていた男性軍人が驚愕の面持ちとなった。
「私はここにいる。貴様が我々の国を救ってくれたのだな?」
そして遂にローランドが男性の三歩前の位置まで辿り着いた。
「下がれ、もう大丈夫だ。この様子からだと、これは何か理由があっての行動だろう」
男性軍人はこれ以上の攻撃はして来ない事を確信したのか、仲間に下がる様伝えた。
「聡いな。あぁ、この国は私の国との協力体制をとっている言わば仲間と言えよう」
ローランドが告げる。
男性軍人は安堵を抱いた様子で、仲間達を帰る様伝える。
「私は、しばしの間、こちらの方と話がある。皆の者は戻っていて欲しい」
こうして男軍人の仲間達は帰って行った。
だが、ローランドの計画はここからが本番だった。
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「ここは、地下室?一体何処へ連れて行くつもりですか?」
男性軍人が案内された先はローランドの在籍する国家の軍人機密基地の地下室であった。
「やれやれ、ここまで細工するのには苦労したぞ」
卑しい笑みを浮かべ男性軍人を見つめたローランド、その表情を見た途端男性軍人は
、一気にローランドから離れた。
「貴様、ローランドでは無いな!」
男性軍人が威嚇しながら言い放った。するとローランドはこの様に答えた。
「くっくっく・・・本当に貴様は聡いな。まぁ、半分は正解で半分は不正解と言った所だ」
ローランドが言った台詞に更なる疑問を抱いた男性軍人。
「まぁ、いい。ここは誰も来やしない。そして、貴様は私の仲間をいたぶってくれた。
その罪は万死に値する」
手には鞭、そして制帽(せいぼう)を斜めに被ったローランドは、一歩ずつ男性軍人に迫る。
「そう言う事か。だが、俺達を騙したのはそっちだぞ?これを罪だと言えるのか?」
男性軍人は、ゆっくりと相手の出方を待ちながら言葉を紡ぐ。
「安心しろ。今日、貴様をここへ呼んだのは罪を償わせるつもりでは無い」
「なら、何が目的だ?」
男性軍人が後退して行くと冷たく冷え切った壁が背中をくすぐった。
ローランドは追い詰めた男性軍人の顎に手をあてしっかりと男性軍人の顔を見つめた。
「なるほど。取り繕った姿も面白いが、本心で話をするともっと興味深いな?」
余裕の表情で語るローランドに男性軍人は・・・
「これ以上何かをするなら、こちらとしても容赦しない」
迫られた状態であっても男性軍人は諦めず、何か策を立てようとしていた。
「貴様は私には刃向かえない。そうだろ?」
突き刺さる様な視線を向け男性軍人をゆっくりと拘束し始めた。
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「レイトーニ大佐、大丈夫でしょうか?」
「あの大佐だぞ!信用してご帰還を待たれよ」
男性軍人の名は、レイトーニ・ブルンフィルダー。
階級は、大佐を担っている。
仲間達が珍しく一人行動に出たレイトーニを心配している様子。
今、置かれている状況を知ったらこの仲間達はどう言う行動に出るだろうか?
「大の男共が騒々しい。自分の上司を信用出来ずに隊を務め上げる事が出来るのかしら?」
軍人達の中には女性も存在する。
レイトーニの一番側から支え続けているこの勇敢な少女も表面上ではこの様に言っているものの心の奥底では・・・
(レイトーニ大佐があんな綺麗な女性と一緒に行ってしまわれた。これは何か裏がありそう!色恋沙汰になったらどうしよう!?私がずっとお側で仕えて来たレイトーニ様が・・・)
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
「さて、拘束完了だ」
「こんな事をして、一体何を考えている!早く解いてくれ!」
「ふ~ん、なら、何故私が拘束しようとしていた時に抵抗しなかった?言われるがまま受け入れたのは貴様の方ではないか?」
拘束されている間もレイトーニは抵抗する事なく、ローランドのされるがままになっていたのだ。
「では、拷問を始めようじゃないか」
舌なめずりをして、目を細め卑しい笑みを浮かべたローランドはレイトーニに告げた。
「悪いが、拷問などと言われて軽々しく何でも吐く様な男だと思うな!俺は訓練している。
この身の命が尽きようとも、機密情報などを漏えいさせる様なヘマはしないさ」
この様に言うとレイトーニは歯をしっかりと食いしばり、目を閉じ、
今から施されてしまう衝撃や痛みを覚悟した。
「そうかそうか、だと思ったぞ?あれ程の短期間で私の国が敗北した
上書きをするかの様にあっさりと敵国を殲滅させてくれたのだからな。
少々の、いや、命に関わる程の傷を負わせた所で何も出て来ない。
その様な小さな子供でも分かる事を私がするはずなかろう?」
レイトーニが言い放つ言葉が、まるで最初から分かり切っているかの様な返し方をしたローランド。
「なら、諦めて俺を開放しろ」
レイトーニは、少しばかり安心感を覚え表情がうっすらと和らいだ。
だが、次の瞬間・・・
ピシッ!!!
「っ痛っ!!!い、一体なんだってんだ!?」
突然、ローランドは持っていた鞭をレイトーニの太股に打ち付けた。
「驚いたか?だが、私は貴様を開放などしない。まだまだ時間は残されている」
心なしか嬉しそうな表情に見えるローランドは、本題に入っていない事をレイトーニに伝える為に鞭を振るったのだろうか。
「やるならさっさとやれ!俺は死んでも構わん!
お前が知りたい情報が何なのかは分からない。
だが、こう言う事をする様な奴だったと知った今、お前はその程度の者なのだと悟ったからな。利になる情報も俺は教えない。さぁ、好きな様にすればいいだろ!」
「くっくっくっくっく・・・言ったな?「好きな様にすればいい」と・・・間違い無く言ったな?」
面白可笑しい様子で笑うローランド。その言葉に頷くレイトーニ。
すると、ローランドからとんでも無い言葉が放たれたのだ。
「では、今から貴様をとんでも無い目に遭わせてやろうじゃないか。
覚悟・・・いいや、これを受ければ言いたくない事でも言いたくなるはずだ」
レイトーニは、少し胸元を露出させ、自分の全身を舐める様に見つめて来たローランドに背筋がゾクッとした。
「何だ?まだ何もしていないだろう?どうしてそんなに怯えた表情をするのだ?一体貴様は何を考え、何を思い、何を求める?」
ゆっくりとレイトーニの身体に迫りくる年頃の女性の柔肌。
「い、一体何を考えているんだ!!こんな事をして何になるってんだよ!!止めてくれ!!」
レイトーニが必死に抵抗するもローランドも軍人として鍛え抜いた逞しくも美しい身体は拘束されている今のレイトーニにとっては赤子の様に弱々しいものと成り下がってしまっていた。
「ふ~む、何を期待しているのだ?私はまだ何もしていないぞ?それなのに貴様は期待に満ち溢れている」
ゆっくりと指でレイトーニの上半身をなぞるローランド。
「貴様は、何が目的だ?何が目的でリーヴァンシュタルツ、いいや、この私、ローランド・ディア・グレンディーリッヒに協力してくれた?」
甘い吐息と同時に密着する程の近さで耳元で囁き掛けるローランド。
だが、レイトーニは・・・
「何を戯れ言を・・・俺は俺達の国の為に戦っているだけだ!貴様の様な色ボケした女の為などと・・・」
「くっくっく・・・面白い。では、その色ボケした女がこうして貴様の身体に触れているだけで貴様は蒸気しているのは何故だ?」
互いにプライドを保ち、拷問は続く・・・
「こ、これは生理現象だ!俺の意志では無い・・・それより、本気で貴様の考えている事が分からなくなった!こんな事をして何を企む?」
「ふふふふふ、貴様、さては童貞だな?反応が初心なんだ。実に面白い」
「くっ!!皆、すまん。俺が信じて止まなかった憧れの女性軍人は下らん人間だった様だ。許してくれ。こんな俺の為に皆を巻き込んでしまって。俺は・・・し・・・んぐっ!!!」
舌を噛み切って自害しようとしていたレイトーニの顎を持ち咄嗟に唇を奪ったローランド。
「んぐっ・・・(ゴキュッ)・・・ゲホッ、ゴホッ!!いっ!一体何なんだよ!!死なせてくれ!俺をからかって遊んで楽しいんだろ?だったら死んでやる!その方が早い!」
「ふんっ!少々遊び過ぎた様だな。今貴様に飲ませたのは自白剤だ。では、本題に入ろう。貴様の本当の目的は何だ?」
「だ、誰が言うもの・・・かっ・・・」
「ほほぅ、流石だな。自白剤ですら拒絶出来る程の精神鍛錬を積み重ねているとなると・・・」
ローランドは、再びレイトーニに迫る。
「知っているか?人間、痛みや苦痛には耐えられる様忍耐力が身について来るものだ。
そこを人間達は鍛錬し、貴様の様な強い人間になれる。
だが、これが快楽だった場合、どうだろう?忽ち快楽の海に沈み堕落する。
これが人間の弱さだ。どうだ?私が与える快楽に打ち勝てる自身はあるか?」
ローランドは、レイトーニの全身を優しく撫でながら耳元で囁き掛ける。
「お、俺は・・・絶対に・・・お前なんかに・・・」
「ありがとう。私を守ろうとしてくれて。そして、私を追い掛けて来てくれて。大好きだよ。黒人?」
「・・・・・・黒人?・・・一体それは誰の事・・・だ?」
ローランドは、このレイトーニの正体が黒人だと思い込んでいたらしい。
レイトーニは、逆に黒人とは誰なのかと質問した。
「貴様は、黒人・・・では無い?・・・どうしてだ?私は貴様の正体が黒人だとばかり思っていた。
では貴様は一体?」
「俺は、レイトーニ、レイトーニ・ブルンフィルダーだ!階級は大佐、お前と同じ位だ!」
ここまで計画を進めておきながら別人である事を知ったローランドは、一気にやる気を失せてしまった。
「コホンッ!と、兎に角だ、私達の国を救ってくれた恩はわ、忘れないぞ・・・次は私達の方が、貴様達に危害が及んだ時は全身全霊を以て助け出して見せる!」
こうして少し変わった形ではあるものの、レイトーニが在籍する軍との協定を結び、恩返しをする事となったローランド側は、改めてレイトーニへの謝罪を行った。
「この度は、大変無礼で不躾な振る舞い、どうか許して頂きたい。私は探している人物がいる。きっとこの世界にやって来ている様に思うのだ。だから・・・」
「分かっています。色々と話を聞いてみて分かったんです。
貴女も事情があるのだろうと・・・俺、貴女となら上手くやって行ける様な気がします。
次に会う時は共に戦場に立つ仲間と言う解釈でいいですね?」
「あ、あぁ、こちらこそ、宜しく頼む・・・」
何故、沙夜は黒人がこの世界へ来ていると思ったのだろうか?
ただ、ふわふわした感覚でここまで行動に出たとは思えるはずもなく、
この、レイトーニと黒人に共通した何かがあったのかもしれない。
去って行く背中を見つめながらローランドは、先程までの真っ赤な顔を清々しい
しっかりと前を見据える表情でレイトーニを見送った。
第二節 終
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