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三章『お留守番』
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しおりを挟むさて、本日でローレルとのお留守番も三日目を迎えました。
当初は少し不安もあったが、現在は以前と比べモノにならない程ローレルと打ち解けたと言えるだろう。
そして今日もベットから朝早くに抜け出した私は今日も朝ご飯を作って現在、ローレルをそろそろ起こしに行こうかと言う所だ。
最初はアリスの部屋のベットで一人で寝ようと思っていたのだが、初日にローレルのベットで寝てしまった為にか、それからは寝る時間になるとローレルに手を引かれて部屋へと連れていかれるので、現在は済し崩し的にローレルのベットで寝起きしている。
寝るときは流石に恥ずかしいので同じベットでも少し離れた位置で寝ているのだが、朝起きると何時の間にか抱き枕と化しているので、朝目覚めた時は何時も焦らされるのだが……。
まぁ嫌な訳では勿論無く、むしろ天国です。
それはそれとして、問題はお風呂だ。まぁ問題と言う程の事でも無い様な気もするが……。
アリスもそうだが、ローレルも私と一緒にお風呂に入りたがる。
そして一緒に入るだけでも恥ずかしいのに、一緒に入ると二人共私の全身を洗ってくれるのだ。
当初は抵抗もあったが、初日からアリスにずっと洗って貰っていたお陰でアリスに洗ってもらうのはもう慣れたと言える。しかし、ローレルは何故か手拭いを使わずに素手で私の体を洗うのだ。
因みにアリスも一か所は必ず素手で洗う。
最初は恥ずかしさと擽ったいのとでいっぱいっぱいだったが、あれは慣れてしまうといけない気がする。
というか既に慣れつつある私が怖い。
何と言うか、最近は二人に洗われるのが少し気持ちいいと感じてしまっている。
このままではイケないという気持ちもあるが、今更嫌だとは私には言えない。
イケないとは思いつつも、嫌だとは思っていないのでそこがまた難しい所だ。
まぁ二人が私を洗う事を望んでいるのなら私に否という言葉は無いという建前を言い訳に、私自身もそれが嫌では無いのだからもうこの事を考えるのは止めよう。
今までに全く経験のない事象だけに何となく問題視してみたけど、今までとは比べるべくも無い程に人と関わり、尚且つどんどんと距離が縮まっているのだ。
今はこのまま幸せな気分のままに進んでいけばいい様な気がするので、その自分の気持ちに従おう。
さて、ローレルの部屋へと入ると、今日も穏やかに寝息を立てているローレルが目に映る。
早速近づいて名前を呼びつつ肩をゆすると、寝起きの良いローレルは直ぐに目を覚まして何時もの様にベットの端に腰かけて伸びをしている。
今日も例のごとく薄着なので視線のやり場に困る。
「ローレル!おはようっ」
『ん~……、ふぁ……、おはようございます、アシュリー。おいでー』
今日も朝の挨拶を交わし、ローレルが微笑みながら腕を広げている。
『おいで』という言葉はこれまで何度か聞いた事があり、ここ最近ローレルが良く私に対して言う言葉だ。
この言葉を言うときは腕を広げて居たり、手招きをする事が多いのでおいでおいでとか来なさい的なニュアンスの言葉だと最近理解した。
おいでと言われれば深く考えずに行けばいいのだ。
来いと言われてもまたしかり、深くは考えず、行けばいいのだ!
そして、私はいつものごとくローレルの傍へと駆けていく。
すると、ローレルの広げていた腕に私はいつものごとく捕まるのだ。
そしてギュッとローレルの腕に抱かれつつ、言われる前に朝の挨拶を済ませる。
「ちゅっ……、おはようっ」
『ふふふ、最近は言わなくてもしてくれるようになりましたねっ。おはようございます、アシュリー、ちゅっ……』
「ふへへへ」
最近ではこんな感じです。
アリスともお留守番をしている間に随分と仲良くなれたと思っているが、ローレルとも中々にいい感じで仲良しになれた気がする。
本当に初日の失態を演じた時はどうなることやらと不安になっていたが、そんな不安は杞憂へと終わったので本当に胸を撫で下す思いだ。
それにしても、私にしては奇跡とも言える程に上手く事が運んでいる気がする。
当初の予定通りにアリスやローレルとも仲良くなれている。
ひょっとするとこの少女の姿というのも一役買っているのかもしれない。いや、恐らくそうだろう。
これであの以前のアバターである筋骨隆々の大男の姿だったとしたらこうはなっていないだろう。
森を彷徨っていた時はこの少女の姿が不安で仕方なかったが、今現在、三人に出会えた後だから言える事ではあるが、この姿で良かったと初めて思える。
まぁ一つ、少しだけ残念なのは、もしも男の姿であったなら友達の先もあったのかもしれないという事だ。
いや、それは無いな。うん、無い無い。
流石にそれはハードルが高すぎる。
三人とも凄い美人だし、私など相手にもされないだろう。
しかし、本当に美人なんだよね。三人共。
ひょっとするともう既に相手が居たりなんて……。まぁ無いとは言い切れない。
この三人の容姿だ。男が放って置かないだろう。
相手、か……。
いるのだろうか。
それは、何だか、嫌だな……。
不意にアリスが今どこで何をしているのか、誰と、居るのかが無性に気になった。
少女の姿で何を言っても仕方ない事、か。
心に生まれたモヤモヤとした物を無理矢理押さえ込み、着替えを終えたローレルと一緒に朝ご飯へと向かう私であった。
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