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分断と再構築
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「死んだ? 壮太と碧が?」
隊長の一言で、その場は凍り付いてしまいます。
場所は隊長たちの秘密基地。ここなら《グリード》に捕まることもありません。
「あんたが行って、なんで二人とも死ぬわけ? 死ぬわけ無いよね・・・?」
小柄な少女、碧の妹である翠は、姉の死を認めたくないのか、何度も同じことを聞き続けます。
ですが何度聞いても、隊長の答えは変わりません。
「ああ、《グリード》に喰われた。ここの情報も知られた。すぐに撤退しよう」
「・・・なんでそんなに冷静でいられるんですか。仲間が死んだんですよ‼ なのになんでそんな何でもない顔をしてるんですか!?」
翠が怒鳴っても、隊長は一度も表情は変えません。
そして、翠に現実を語り続けます
「彼らの事を嘆いて悲しめば、彼らは戻ってくるのか? 死を認めなければ、彼らは死んでいないことになるのか?」
隊長は淡々と、そして力強く翠に言います。
確かにそれは事実ですが、今それを言っても、分裂の火種にしかならないのは火を見るよりも明らかでした。
「アンタの装甲かっぴらいて脳を取り出して、その後踏みつぶしてやる‼」
翠は脅迫でしかない言葉を吐きながら、姉とは反対に左腕のナノマシンを変形させて、腕全体を巨大な剣に変えて隊長に突きつけます。
それでも隊長はまゆ一つ動かさず、抵抗も何もしません。
「翠止せ‼」
「その怒りは分かるが、向ける相手を間違えてはないらない。その剣は隊長ではなく《グリード》に向けろ」
周りの説得を聞いて、翠は一瞬迷ったのか、剣を少し遠ざけます。
「俺を殺すのは構わない。今では法律も化石と化したし、それを罰する者もいないからな」
その一言に、翠含め全員が驚愕の表情を浮かべながら隊長を見つめていました。
「だったらここで殺して・・・」
「それは構わない。でも、俺を殺いた罪の意識と向き合い、その行動が招く結果に対して責任を取る覚悟がお前に有るのか? 有るなら殺せ。だが覚悟の無い奴には、絶対に殺されたくない」
その言葉に、翠も隊長を話して黙り込みます。
それどころか周りの人達も、下を向いて黙ってしまいました。
それに呆れた隊長は、喝を入れて皆に指示をだすていきます。
「そんなしょげてないで、食料と水、その他の必要な物を持って、五分後にここへ集合だ。それじゃあ一時解散‼」
「「「「了解」」」」
「・・・了解」
全員それに従い、それぞれの部屋から荷物を取りに行きました。
五分後、全員が同じ場所に集まっています。
円を組んで集合して、その中心には隊長が立っていました。
「さっき、仲間を失った。一週間前も、一か月前も一年前も、俺たちは仲間を失った。でも俺たちは諦めずにここまで来た。今まで出来たなら、これからも出来る。そして俺たちは奴らを倒せる。なら時間を掛ければ、いつかは奴らとの戦争を終わらせられる。俺たちなら終わらせられるんだ‼ だから諦めるな、諦めていい時は無い。自分が最後の一人になっても諦めるな。 奴らに喰われても、最後まで抵抗しろ‼」
隊長のスピーチに、翠を含めて全員が勇気付けられました。
「じゃあ、出発だ」
隊長の合図で、隠し通路の一つが開かれ、次々とそれをくぐって行きます。
「・・・アタシの事も、守ってよ?」
翠は顔を赤く染めながら、隊長にそっと囁いた後、隠し通路へ進みました。
「ああ、お前の事も、みんなの事も、ずっと守るよ」
そして最後に隊長も通路をくぐってから数分、仲間の一人が隊長と目を合わせて確認を取ります。
その手には、無線で起爆するスイッチが握られていました。
「ああ、頼む」
隊長の同意を確認すると、仲間は力強くスイッチを押しました。
それとほぼ同時に、隊長たちの背後が光を立てて爆発します。
「・・・行くぞ」
隊長が促して、再び一行は歩き出します。
明日のために、そして死んだ仲間のために。
隊長の一言で、その場は凍り付いてしまいます。
場所は隊長たちの秘密基地。ここなら《グリード》に捕まることもありません。
「あんたが行って、なんで二人とも死ぬわけ? 死ぬわけ無いよね・・・?」
小柄な少女、碧の妹である翠は、姉の死を認めたくないのか、何度も同じことを聞き続けます。
ですが何度聞いても、隊長の答えは変わりません。
「ああ、《グリード》に喰われた。ここの情報も知られた。すぐに撤退しよう」
「・・・なんでそんなに冷静でいられるんですか。仲間が死んだんですよ‼ なのになんでそんな何でもない顔をしてるんですか!?」
翠が怒鳴っても、隊長は一度も表情は変えません。
そして、翠に現実を語り続けます
「彼らの事を嘆いて悲しめば、彼らは戻ってくるのか? 死を認めなければ、彼らは死んでいないことになるのか?」
隊長は淡々と、そして力強く翠に言います。
確かにそれは事実ですが、今それを言っても、分裂の火種にしかならないのは火を見るよりも明らかでした。
「アンタの装甲かっぴらいて脳を取り出して、その後踏みつぶしてやる‼」
翠は脅迫でしかない言葉を吐きながら、姉とは反対に左腕のナノマシンを変形させて、腕全体を巨大な剣に変えて隊長に突きつけます。
それでも隊長はまゆ一つ動かさず、抵抗も何もしません。
「翠止せ‼」
「その怒りは分かるが、向ける相手を間違えてはないらない。その剣は隊長ではなく《グリード》に向けろ」
周りの説得を聞いて、翠は一瞬迷ったのか、剣を少し遠ざけます。
「俺を殺すのは構わない。今では法律も化石と化したし、それを罰する者もいないからな」
その一言に、翠含め全員が驚愕の表情を浮かべながら隊長を見つめていました。
「だったらここで殺して・・・」
「それは構わない。でも、俺を殺いた罪の意識と向き合い、その行動が招く結果に対して責任を取る覚悟がお前に有るのか? 有るなら殺せ。だが覚悟の無い奴には、絶対に殺されたくない」
その言葉に、翠も隊長を話して黙り込みます。
それどころか周りの人達も、下を向いて黙ってしまいました。
それに呆れた隊長は、喝を入れて皆に指示をだすていきます。
「そんなしょげてないで、食料と水、その他の必要な物を持って、五分後にここへ集合だ。それじゃあ一時解散‼」
「「「「了解」」」」
「・・・了解」
全員それに従い、それぞれの部屋から荷物を取りに行きました。
五分後、全員が同じ場所に集まっています。
円を組んで集合して、その中心には隊長が立っていました。
「さっき、仲間を失った。一週間前も、一か月前も一年前も、俺たちは仲間を失った。でも俺たちは諦めずにここまで来た。今まで出来たなら、これからも出来る。そして俺たちは奴らを倒せる。なら時間を掛ければ、いつかは奴らとの戦争を終わらせられる。俺たちなら終わらせられるんだ‼ だから諦めるな、諦めていい時は無い。自分が最後の一人になっても諦めるな。 奴らに喰われても、最後まで抵抗しろ‼」
隊長のスピーチに、翠を含めて全員が勇気付けられました。
「じゃあ、出発だ」
隊長の合図で、隠し通路の一つが開かれ、次々とそれをくぐって行きます。
「・・・アタシの事も、守ってよ?」
翠は顔を赤く染めながら、隊長にそっと囁いた後、隠し通路へ進みました。
「ああ、お前の事も、みんなの事も、ずっと守るよ」
そして最後に隊長も通路をくぐってから数分、仲間の一人が隊長と目を合わせて確認を取ります。
その手には、無線で起爆するスイッチが握られていました。
「ああ、頼む」
隊長の同意を確認すると、仲間は力強くスイッチを押しました。
それとほぼ同時に、隊長たちの背後が光を立てて爆発します。
「・・・行くぞ」
隊長が促して、再び一行は歩き出します。
明日のために、そして死んだ仲間のために。
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