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Primrose

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逃亡の中の策略

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 因縁の男達から逃げながら、俺は彼らがここまで来た理由を考える。
 しかし、何故今更彼らが現れるんだ?
 能力を使った訳でもない、奴らに関わったわけでもない、最近起きた事なんて何もないのに・・・。
 そう考えこんでいると、急に視界がブレる。予知の前兆だ。
 予知で見えたのは、あの男達、彼らが指揮する特殊部隊、そしてあの転校生・・・まさか!?
「あの子も、・・・なのか・・・?」
 彼らが俺に気づいていないなら、予知に写った湊さんが関係あるのだろう。
 それに気が付いた俺は、急いで道を引き返す。
「こっち」
 だがその道中、空き教室に隠れる香崎さんが声をかけた。
「香崎さん? なんでここに?」
「分かってるんでしょ、だからこっちに?」
 朝の時とは全く違う、キリっとした態度で彼女は言う。
 確かにそうだけど、香崎さんも奴らに気づいてたのか?
「私の能力は千里眼。壁越しでも遠くでも、どんな場所でも敵を見通すことが出来るの」
 俺の疑問を察したのか、香崎さんは自分の目を指さしながら言った。
 なるほど、それでここに隠れてた訳か。
「でも、それで奴らが狙ってくるのはちょっと変だ」
 千里眼なんて、奴らが手に入れようと思えば簡単に手に入れられる能力だ。
 だがその疑問は彼女の説明で氷解した。
「私の千里眼は、上下左右360度、あらゆる角度から見通せる。その上、範囲は自分の周囲十数㎞まで見ることも出来る。さっきは能力を使ってなかったから気付けなかったけど」
 そう言うと彼女は、今度は君の番だとばかりに俺を指さした。
「俺は未来予知だよ。でも、自分に危険が迫らないと見えない。多分、さっきは俺も巻き込まれるから見えたんだと思う」
 俺が能力について話すと、香崎さんは顎に手を触れて思案し始めた。
 それから体感数十秒が経つと、香崎さんは立ち上がった。
「君、敵の動きも見た?」
「え、あ、ああ。ほとんど覚えてる。でも、そんな事しなくても、君が千里眼で見通せばいいじゃないか」
 俺の言葉に、香崎さんは苦笑いにながら答えた。
「いや、この能力、あんまり連発出来ないからさ。多分今日はもう使えないと思う」
 そう言って、申し訳なさそうにする香崎さんを見ると、なんだか俺がやらなければならないという気になって来た。
 この人、本当は読心系とか精神干渉系の能力者なのではないのだろうか。
「とにかく、逃げるのは君が頼りだから、よろしくね」
 そう言って、香崎さんは扉を開けて出て行ってしまった。
「ちょ、ちょっと待って‼」
 俺も教室を出て彼女についていった。



「報告しろ」
「はい、千里眼、未来予知ともに逃げられました」
「まあだろうな。それでは予定通り蜂軍団ワーカーズを出せ」
「了解しました」
「・・・予見め、私の恩を忘れたのか・・・」
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