2 / 5
逃亡の中の策略
しおりを挟む
因縁の男達から逃げながら、俺は彼らがここまで来た理由を考える。
しかし、何故今更彼らが現れるんだ?
能力を使った訳でもない、奴らに関わったわけでもない、最近起きた事なんて何もないのに・・・。
そう考えこんでいると、急に視界がブレる。予知の前兆だ。
予知で見えたのは、あの男達、彼らが指揮する特殊部隊、そしてあの転校生・・・まさか!?
「あの子も、能力者・・・なのか・・・?」
彼らが俺に気づいていないなら、予知に写った湊さんが関係あるのだろう。
それに気が付いた俺は、急いで道を引き返す。
「こっち」
だがその道中、空き教室に隠れる香崎さんが声をかけた。
「香崎さん? なんでここに?」
「分かってるんでしょ、だからこっちに?」
朝の時とは全く違う、キリっとした態度で彼女は言う。
確かにそうだけど、香崎さんも奴らに気づいてたのか?
「私の能力は千里眼。壁越しでも遠くでも、どんな場所でも敵を見通すことが出来るの」
俺の疑問を察したのか、香崎さんは自分の目を指さしながら言った。
なるほど、それでここに隠れてた訳か。
「でも、それで奴らが狙ってくるのはちょっと変だ」
千里眼なんて、奴らが手に入れようと思えば簡単に手に入れられる能力だ。
だがその疑問は彼女の説明で氷解した。
「私の千里眼は、上下左右360度、あらゆる角度から見通せる。その上、範囲は自分の周囲十数㎞まで見ることも出来る。さっきは能力を使ってなかったから気付けなかったけど」
そう言うと彼女は、今度は君の番だとばかりに俺を指さした。
「俺は未来予知だよ。でも、自分に危険が迫らないと見えない。多分、さっきは俺も巻き込まれるから見えたんだと思う」
俺が能力について話すと、香崎さんは顎に手を触れて思案し始めた。
それから体感数十秒が経つと、香崎さんは立ち上がった。
「君、敵の動きも見た?」
「え、あ、ああ。ほとんど覚えてる。でも、そんな事しなくても、君が千里眼で見通せばいいじゃないか」
俺の言葉に、香崎さんは苦笑いにながら答えた。
「いや、この能力、あんまり連発出来ないからさ。多分今日はもう使えないと思う」
そう言って、申し訳なさそうにする香崎さんを見ると、なんだか俺がやらなければならないという気になって来た。
この人、本当は読心系とか精神干渉系の能力者なのではないのだろうか。
「とにかく、逃げるのは君が頼りだから、よろしくね」
そう言って、香崎さんは扉を開けて出て行ってしまった。
「ちょ、ちょっと待って‼」
俺も教室を出て彼女についていった。
「報告しろ」
「はい、千里眼、未来予知ともに逃げられました」
「まあだろうな。それでは予定通り蜂軍団を出せ」
「了解しました」
「・・・予見め、私の恩を忘れたのか・・・」
しかし、何故今更彼らが現れるんだ?
能力を使った訳でもない、奴らに関わったわけでもない、最近起きた事なんて何もないのに・・・。
そう考えこんでいると、急に視界がブレる。予知の前兆だ。
予知で見えたのは、あの男達、彼らが指揮する特殊部隊、そしてあの転校生・・・まさか!?
「あの子も、能力者・・・なのか・・・?」
彼らが俺に気づいていないなら、予知に写った湊さんが関係あるのだろう。
それに気が付いた俺は、急いで道を引き返す。
「こっち」
だがその道中、空き教室に隠れる香崎さんが声をかけた。
「香崎さん? なんでここに?」
「分かってるんでしょ、だからこっちに?」
朝の時とは全く違う、キリっとした態度で彼女は言う。
確かにそうだけど、香崎さんも奴らに気づいてたのか?
「私の能力は千里眼。壁越しでも遠くでも、どんな場所でも敵を見通すことが出来るの」
俺の疑問を察したのか、香崎さんは自分の目を指さしながら言った。
なるほど、それでここに隠れてた訳か。
「でも、それで奴らが狙ってくるのはちょっと変だ」
千里眼なんて、奴らが手に入れようと思えば簡単に手に入れられる能力だ。
だがその疑問は彼女の説明で氷解した。
「私の千里眼は、上下左右360度、あらゆる角度から見通せる。その上、範囲は自分の周囲十数㎞まで見ることも出来る。さっきは能力を使ってなかったから気付けなかったけど」
そう言うと彼女は、今度は君の番だとばかりに俺を指さした。
「俺は未来予知だよ。でも、自分に危険が迫らないと見えない。多分、さっきは俺も巻き込まれるから見えたんだと思う」
俺が能力について話すと、香崎さんは顎に手を触れて思案し始めた。
それから体感数十秒が経つと、香崎さんは立ち上がった。
「君、敵の動きも見た?」
「え、あ、ああ。ほとんど覚えてる。でも、そんな事しなくても、君が千里眼で見通せばいいじゃないか」
俺の言葉に、香崎さんは苦笑いにながら答えた。
「いや、この能力、あんまり連発出来ないからさ。多分今日はもう使えないと思う」
そう言って、申し訳なさそうにする香崎さんを見ると、なんだか俺がやらなければならないという気になって来た。
この人、本当は読心系とか精神干渉系の能力者なのではないのだろうか。
「とにかく、逃げるのは君が頼りだから、よろしくね」
そう言って、香崎さんは扉を開けて出て行ってしまった。
「ちょ、ちょっと待って‼」
俺も教室を出て彼女についていった。
「報告しろ」
「はい、千里眼、未来予知ともに逃げられました」
「まあだろうな。それでは予定通り蜂軍団を出せ」
「了解しました」
「・・・予見め、私の恩を忘れたのか・・・」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
二度目の勇者は救わない
銀猫
ファンタジー
異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。
しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。
それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。
復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?
昔なろうで投稿していたものになります。
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる