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理解の章
六道の門、震える鍵
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深夜、あらゆる人々が行き来し、時間を忘れて賑わう繁華街。
高校生、サラリーマン、風俗のキャッチ、巡回の警察官、多種多様な人間が入り乱れる中に、1人だけ異様に焦っている男がいた。
皮のジャンパーにパーマの髪の男は、血走った目で人混みを掻き分けてひたすらに走っていた。
その様はまるで、何かから一心不乱に逃げているかの様。
「折角、折角戻ってこれたんだ。こんな所でやられてたまるか・・・」
男は目の前の人だかりに割り込み、息を荒くしながら街の中心へと向かう。
早くしなければ間に合わないという不安と焦燥に駆られ、足に込める力が強くなる。
男の目には、目的地の情景のみが鮮明に映っているだけだった。ただただ、その場所に行かなければならないという、使命感にも似た感情が彼を動かす。
例え自分がこの世界にいてはならない存在だとしても、今はそんな事を考える余裕も無い。
「――っ!」
だが雑踏の中、黒いコートに狐の面を被った人物と目が合った。
彼女は男が最も出会いたくない存在であり、彼の願いを阻む存在。
「いい加減、元の世界に戻って」
「元の世界だと? 俺の故郷は、居るべき場所はここなんだよ!」
少女の言葉に、男は激高しながら突き進んだ。
彼女から逃げる、逃げてあの場所に行くんだと、己に言い聞かせながら。
「・・・何したって無駄だよ」
自分の方へ走る男に呆れながら、少女は手に持った拳銃を構えた。
長い銃身と回転式の弾倉を持つそれを、アスファルトを蹴る男の頭部に向け、そして引き金を強く引いた。
ダァン
瞬間、空気を割く音が、男と少女の耳だけに響いた。
妖力で構築された弾丸は、無関係な人間を通り抜けて直進し、やがて狙い通りに男の眉間を貫く。
この世ならざる亡者のみを狩る妖術の弾丸は、彼をただの土の塊に戻した。
魂を傷つけられた亡者は、依り代となる物体を残して冥界に戻される。
「俺から、また奪うのか・・・」
・・・1・・・
神楽彩芽は、喫煙室の壁にもたれ掛かって煙草を吹かしていた。
最初は何気なく手に取った煙草だが、今では彼女に無くてはならない物へと昇格していた。
甘い空気を吸い、灰色の煙を吐き出すのを繰り返すことで、白煙が日々のストレスを体から抜き取ってくれる。
彩芽の年齢は19歳、彼女が産まれるほんの少し前の時代であればこうはならなかっただろうが、今は抑えきれない少子化への対策として成人年齢が引き下げられたので問題は無い。
だとしてもたったの1年で依存者を作り上げる煙草の魔力というのは恐ろしい。
ピピピ、ピピピ
丁度1本吸い終わった頃に、スマホのアラームが定時を教えてくれた。
彩芽は備え付けの灰皿に残った芯を捨てて、軽く皺を叩いて喫煙所を出た。
朝特有の人で溢れる駅の構内を歩き、周りと同じ様にⅠCカードを改札に当てて通った。
季節は冬と春の境目だが、温暖化により狂ってしまった気象は未だにこの星を凍えさせている。コートからはみ出た両手は悴んで、屋内であるというのに肌寒さを感じてしまう。
「よっす」
道中、似た様なコートを羽織った少女に声を掛けられた。
彩芽より少し身長が低く、ショートカットの下にはヘッドホンを下げている。最近は不眠に悩まされているらしく、今も眠たげに瞼を擦っている。
「おはよう」
神胎水崎、彩芽と同期の獄卒で、年は彼女よりも2、3若いらしい。だがその辺りの情報に彩芽は興味が無いから覚えていない。
「そういや、彩芽は今日非番じゃなかった?」
「そうだけど、他にやる事無い」
彩芽は仕事人間と揶揄される程度には仕事漬けの人生を送っている。シャワーと仮眠室があるからと職場に籠るのは当たり前、食事も最低限だけ食べて後は書類に噛り付いて任務に没頭する。
そもそも彩芽は、産まれてすぐに親を亡者に殺されている。当時赤ん坊だった彼女は獄卒を統括する組織である《冥府》に保護して育てられた。彼女にとって獄卒の仕事は生活の一部であり、人生そのものなのだ。
「・・・これ以外に、やる必要は無い」
「何か言った?」
「・・・別に」
「そう?」
そんな会話を続ける2人は、9番と10番のプラットフォームの間にある扉を開け、そして何気ない様子で中に入った。
清掃員でもない人間が入るのは目立ちかねないが、この時間帯の人間は他人の事を一瞥もしないので問題は無い。
扉の先は幅広の階段になっており、その階段を昇った先には1本の線路と寂れた歩廊があるだけだった。
0番線。現世と地獄を繋ぐ特別な路線であり、無関係な人間の立ち入りは一切許可されていない。というよりも入れない。
『マモナク0番線ニ、冥府行キノ列車ガ参リマス』
「お、丁度じゃん」
水崎が呟き、彩芽も列車が来る方へ視線を向けた。
『クレグレモ、列車ニ襲ワレナイヨウニ注意シテクダサイ』
アナウンスが終わったと同時に、彩芽達の目の前に異形の汽車が止まった。
外観は妙に生物的で、本来ライトがあるべき場所には目玉のような何かが付いている。剥き出しのフレームは骨に見え、列車の扉は舌のようにうねっている。
地獄に住まう生物――妖を利用して造られた特別な列車が、あたかも餌を待つ獣の様に乗客が乗り込むのを待っていた。
彩芽達も迷う事無く列車に乗ると、1分もしないで汽車は雄叫びを上げて走り出した。
「毎度思うけど、この列車のデザインどうにかなんないかな」
「必要ないでしょ」
端的に言葉を返して、彩芽は窓越しに映る地獄の光景を眺めていた。
草木の様に燃え盛る炎、歪にうねる木々、人類の想像する地獄を体現した景色。
決して絶景とは言えない、むしろ恐怖すら感じる光景だが、慣れてしまえば特に何かを感じる事も無くなる。
「あらぁ、2人ともおはよぉ」
会話も無く視線もバラバラになって数分、どうやら同じ列車にいたらしい上司の浅葱留美子が現れた。
薄い青のシャツに白衣というラフな格好だが、少々それが過ぎるという問題があった。抑えきれない胸元が異様に伸びており、酒癖が悪く常に頬は紅く染まっている。その様子は同性からは怠慢、異性からは妖艶な印象という与えていた。
留美子は彩芽の隣に座ると、手に持ったスピリタスを掲げてラッパ飲みし始めた。彼女の様な人種は苦手なのか、彩芽は無言で壁によって距離を取った。
「ふたりともあさからはやいねぇ」
「そちらこそ、朝から随分と飲んでいますね」
彩芽で嫌味を言っても、アルコールにまみれた脳では皮肉だと理解する事も出来ないらしい。
「いやぁねぇ、だってのみはじめたらとまんなくてぇ」
段々とこの不安定な呂律にストレスを感じながら、なるべく会話をしたくない彩芽は視線を逸らして徹底的に閉口した。
彼女とは馬が合わないのか、軽く嫌味を言った後は無視するのがパターンになっていた。それでも半ばイカレている留美子は会話を継続しようとするので無意味なのだが。
煙草を吸いたい衝動をなんとか抑えながら、留美子のダル絡みをなんとかやり過ごそうとしていた。
(外が灼熱の大地でなければ今すぐ10本は吸いたい、それかコイツを外に放り出したい)
「ウザさもここまで来ると才能だね」
水崎は彩芽と留美子の会話を眺めながら、彩芽ほどでないにしろ呆れていた。
理性を狂わせてしまう酒、そんな物に何故依存するのか。彩芽には全く理解出来ないし、理解しようともしなかった。
そうこうしていると、生きた列車は段々とその速度を落としていった。
そして景色も、少しづつ人工物が増えていっていた。
あばら屋の様な家屋や現世には無い作物が植えられた畑に始まり、江戸や幕末の頃にあっただろう建物が規則正しく並ぶようになる。
建物こそ見慣れてはいるが、住民は絵に描いたような妖しかいない。
ここが地獄の1丁目、野庭腹町。彩芽達獄卒が籍を置く冥府の本部もこの町にある。
『ノバハラ、ノバハラ、オ出口ハ左ノ扉デス』
列車が完全に停まると、魑魅魍魎が跋扈する異界へと降り立った。
・・・2・・・
野庭腹、冥府総本部。
彩芽と水崎は制服に着替えると、一足先に事務室へ向かっていた留美子から思わぬ指令が飛んだ。
「そうそう、きょうからこの隊に新人がくるからぁ、あやめちゃん達には新人のおせわしてもらうわぁ」
少しアルコールが抜けたのか、車内よりはしっかりとした活舌で留美子は言った。
「新人、ですか?」
「そ、もうすぐ来ると思うんだけど・・・」
コン、コン
「噂をすれば、はいってちょうだぁい」
3人が扉の方を向くと、両扉の片方を開けて紅白の装束を着た少女が入室した。
見たところ年は水崎と同じだろうか、日光と縁遠いのか肌は白く、反対に髪色は夜空を落とし込んだ様な漆黒に染まっている。
「み、巫女酒夜空です。よ、よろしくお願いします」
「私は室長の留美子よぉ。で、こっちは君の先輩ね」
「神胎水崎、水崎でいいよ」
「私は神楽彩芽。まぁ、呼び方はなんでもいいよ」
互いに名乗り終えると、代表して留美子が場を取り仕切った。
「夜空ちゃんの席はそこね。あと、何かわからないことがあったら私達に聞いてぇ」
「あ、はい。ありがとうございます」
見知らぬ場所というのはやはり緊張してしまうのか、夜空は肩に力が入っている様子だった。
だが彩芽はそんな事を気にも留めす、自分のデスクに座ると机に並べた本から適当に選んで読み始めた。
「あ、あの・・・」
「あぁ大丈夫。彩芽は初対面と接するの苦手なだけだから」
「・・・」
じゃあ後は任せたわね、そう言って留美子は事務室を出た。
されど彩芽の神経は変わらず読書に傾いており、夜空と接しようとするのは現状水崎だけになっていた。
「へぇ、家が神社なんだね」
「はい、父が神主で母が巫女をやっていて。でも私が獄卒になりたいって言ってくれたら両親も応援してくれて」
「そっか、いい親御さんだね」
夜空の身の上話に始まり、年が近いのもあってか2人は会話が弾んでいる様だった。
仕事道具の荷解きが終わると、水崎は先輩らしく色々と夜空に教えていた。
「まず私達は、霊装っていう特殊な武器を使うでしょ?」
霊装とは、亡者や妖のみに効果を発揮する武具や道具の事を指す。
妖力という万物が持つ特殊なエネルギーを与える事で真価を発揮し、中には異能とも称される現象を起こす。
彩芽の霊装は2丁のリボルバー、水崎は鎖鎌を使う。これらの霊装は冥府に保管されている物から自由に選ぶ事になる。
「夜空ちゃんも早い内に選んでおこうよ」
「そうですね。早く先輩方の役に立てるように、頑張ります!」
水崎のおかげで緊張の糸も解れたのか、柔らかな笑顔と共に夜空は拳を握りしめた。
「彩芽も一緒に行こうよ」
「いい。消耗品の補充も昨日した」
「そうじゃなくて、セカンドオピニオンも必要じゃん? ね?」
「それなら聖子さんとかの方が参考に――」
「駅前のシュークリーム」
「・・・」
「2つ」
「・・・3つならいい」
「じゃあ行こうか」
見事に言いくるめられ、重い腰を上げた彩芽を含めた3人は事務室を後にした。
・・・3・・・
霊装管理室は、主に職人が製造した武具を保管し、適正者に割り振るのが仕事である。
壁には霊装の模造品が飾られ、その奥の部屋では金属を叩く音がたびたび聞こえてくる。
「おやおや、今日は新顔がいるのかい?」
管理室長の聖聖子は、外観通りの穏やかな口調で言った。
「はい、彼女の霊装を見に来ました」
「あ、えと、巫女酒夜空です。宜しくお願いします」
「ふふ、わたしはここを任されている聖子よ。それじゃあ、早速選びましょうか」
聖子はゆっくりと立ち上がると、他よりも重厚な扉を開けて場所を移した。
その部屋には選定用の霊装の模造品が並んでおり、射撃用の的や亡者に見立てた案山子など、試用するには申し分ない環境が整っていた。
「君は背が高いとは言えないし、体が出来上がるまでは軽い武器がいいと思うわ」
夜空達が室内を見渡す中で、聖子が選んだのは小太刀や反動の少ない近代型の拳銃といった、鍛錬を積んでいない者でも扱える物ばかりだった。
「そういや夜空ちゃん、身体検査とかした?」
「いえ、妖術の修行はした事ありますけど、そういった面は特に・・・」
その言葉を受けて、彩芽はそっと夜空の事を観察した。
確かに、彼女は新人とは思えない妖力量を誇っている。軽く見ただけでも彩芽や水崎と同等かそれ以上だ。
「・・・」
彩芽は観察し終えると、壁に並んだ中からある物を選んだ。
「それは・・・?」
「大太刀かい?」
彩芽が選んだのは、夜空と同じ程の全長を持つ刀だった。
夜空は恐る恐るそれを受け取ると、柄を掴んでゆっくりと刀身を引いた。
灯りの反射は真剣よりも鈍いが、その重量は本物とかなり近い。
つまり鋼の刀と同じ、推定2kgの重量を持っている。その上全長があり重心の安定も難しい。
「新顔ちゃんには扱い辛いと思うけどねぇ」
「ですが、これなら高い妖力を持つ彼女と相性が良いと思います。刀身に妖力を込めれば広い範囲を攻撃できますし、重量も身体強化の術を使えば問題ないでしょうし」
彩芽の意見を聞き、聖子も感心している様子だった。彼女は妖術や妖力に関しては知識が浅く、その点水崎の判断も一理あると言えるだろう。
「巫女酒さんはどう思う?」
「へぁ!?」
彩芽に声を掛けられるとは思わなかったのか、素っ頓狂な声を上げて肩を震わせたが、恐る恐る彩芽から模造刀を持った。
「結構軽いんですね」
「レプリカでも結構重いんだけどねぇ」
軽々と刀を振る姿を見ると、肉体面も申し分ないだろう。
「これがいいと、思います」
好感触だったのか、夜空は期待に満ちた表情で言った。
「でも流石にそのままは大きすぎるから、新しく造らせるわね」
「はい、お願いします。あと訓練用に同じ重さの模造刀も造って頂けると」
代理として聖子と話を進める彩芽の表情は、つい数分前の気怠そうな表情では無くなっていた。夜空の事を考え、自分が持つ知識を総動員して最適解を模索する先輩としての表情だった。
「彩芽、なんだかんだ面倒見いいよね」
「急に何?」
「別に~?」
水崎の行動が理解できずに首を傾げるも、すぐに意識は別の事へと向いた。
「聖子さん、この拳銃と同じ様な物を借りれますか?」
机の上の拳銃に軽く触れると、感触を吟味して問うた。
「これかい? この型はあまり威力は出せないけど、いいのかい?」
聖子はそう言いながらも、壁や棚からいくつか実用品の霊装を出した。
机に並ぶ旧式の回転式やピストル。彩芽もその中から適当に掴み、ひんやりとしたグリップを握りしめて構えた。
Ruger-57、携行のしやすさよりも威力を重視した5.7×28mmの弾丸を用いる米国製の半自動拳銃。
彼女が愛用するS&W-Classic Hunterよりも軽く、片手でも照準の安定性は高い。
両手で拳銃をホールドし、確実に命中させようと深呼吸して――
バァン
1発。放たれた妖力の弾丸は、適格に的の頭部を打ち抜いた。
「お見事」
「お、おぉ!」
「相変わらず良い腕ね」
三者三様の感想を受けると、今度はGlock-G19を選んだ。
グリップは持ちやすいように流線的で、コンパクトならが多い装弾数と取り回しのしやすさから各国で愛用されている。
「・・・」
ッパァン、ッパァン、ッパァン
今度は3発、連射して心臓部に当てた。
反動はこちらの方が軽く、銃身のブレも少ない。
しかし軽すぎる。構造上の問題なのか、通常より多く妖力を込めても軽く、ダメージを与えられる様な感覚は得られない。
「・・・足りない。これじゃあ、足りない。やっぱりあれが」
「彩芽」
思考に飲み込まれていた彩芽は、数Cmの距離まで近づいた水崎に気が付かなかった。
「・・・」
意識を取り戻した彩芽は、握っていた拳銃を手放すと瞼を撫でて溜息を零した。
「ちょっと、煙草吸いたい・・・」
「ん、そっか。私達は先に事務室行ってるから」
「分かった」
そう言って部屋を出る彩芽の手は、かすかに震えていた。
それが銃の反動によるものなのか、それとも別の何かに震えているのかは、彼女にも分からない。
高校生、サラリーマン、風俗のキャッチ、巡回の警察官、多種多様な人間が入り乱れる中に、1人だけ異様に焦っている男がいた。
皮のジャンパーにパーマの髪の男は、血走った目で人混みを掻き分けてひたすらに走っていた。
その様はまるで、何かから一心不乱に逃げているかの様。
「折角、折角戻ってこれたんだ。こんな所でやられてたまるか・・・」
男は目の前の人だかりに割り込み、息を荒くしながら街の中心へと向かう。
早くしなければ間に合わないという不安と焦燥に駆られ、足に込める力が強くなる。
男の目には、目的地の情景のみが鮮明に映っているだけだった。ただただ、その場所に行かなければならないという、使命感にも似た感情が彼を動かす。
例え自分がこの世界にいてはならない存在だとしても、今はそんな事を考える余裕も無い。
「――っ!」
だが雑踏の中、黒いコートに狐の面を被った人物と目が合った。
彼女は男が最も出会いたくない存在であり、彼の願いを阻む存在。
「いい加減、元の世界に戻って」
「元の世界だと? 俺の故郷は、居るべき場所はここなんだよ!」
少女の言葉に、男は激高しながら突き進んだ。
彼女から逃げる、逃げてあの場所に行くんだと、己に言い聞かせながら。
「・・・何したって無駄だよ」
自分の方へ走る男に呆れながら、少女は手に持った拳銃を構えた。
長い銃身と回転式の弾倉を持つそれを、アスファルトを蹴る男の頭部に向け、そして引き金を強く引いた。
ダァン
瞬間、空気を割く音が、男と少女の耳だけに響いた。
妖力で構築された弾丸は、無関係な人間を通り抜けて直進し、やがて狙い通りに男の眉間を貫く。
この世ならざる亡者のみを狩る妖術の弾丸は、彼をただの土の塊に戻した。
魂を傷つけられた亡者は、依り代となる物体を残して冥界に戻される。
「俺から、また奪うのか・・・」
・・・1・・・
神楽彩芽は、喫煙室の壁にもたれ掛かって煙草を吹かしていた。
最初は何気なく手に取った煙草だが、今では彼女に無くてはならない物へと昇格していた。
甘い空気を吸い、灰色の煙を吐き出すのを繰り返すことで、白煙が日々のストレスを体から抜き取ってくれる。
彩芽の年齢は19歳、彼女が産まれるほんの少し前の時代であればこうはならなかっただろうが、今は抑えきれない少子化への対策として成人年齢が引き下げられたので問題は無い。
だとしてもたったの1年で依存者を作り上げる煙草の魔力というのは恐ろしい。
ピピピ、ピピピ
丁度1本吸い終わった頃に、スマホのアラームが定時を教えてくれた。
彩芽は備え付けの灰皿に残った芯を捨てて、軽く皺を叩いて喫煙所を出た。
朝特有の人で溢れる駅の構内を歩き、周りと同じ様にⅠCカードを改札に当てて通った。
季節は冬と春の境目だが、温暖化により狂ってしまった気象は未だにこの星を凍えさせている。コートからはみ出た両手は悴んで、屋内であるというのに肌寒さを感じてしまう。
「よっす」
道中、似た様なコートを羽織った少女に声を掛けられた。
彩芽より少し身長が低く、ショートカットの下にはヘッドホンを下げている。最近は不眠に悩まされているらしく、今も眠たげに瞼を擦っている。
「おはよう」
神胎水崎、彩芽と同期の獄卒で、年は彼女よりも2、3若いらしい。だがその辺りの情報に彩芽は興味が無いから覚えていない。
「そういや、彩芽は今日非番じゃなかった?」
「そうだけど、他にやる事無い」
彩芽は仕事人間と揶揄される程度には仕事漬けの人生を送っている。シャワーと仮眠室があるからと職場に籠るのは当たり前、食事も最低限だけ食べて後は書類に噛り付いて任務に没頭する。
そもそも彩芽は、産まれてすぐに親を亡者に殺されている。当時赤ん坊だった彼女は獄卒を統括する組織である《冥府》に保護して育てられた。彼女にとって獄卒の仕事は生活の一部であり、人生そのものなのだ。
「・・・これ以外に、やる必要は無い」
「何か言った?」
「・・・別に」
「そう?」
そんな会話を続ける2人は、9番と10番のプラットフォームの間にある扉を開け、そして何気ない様子で中に入った。
清掃員でもない人間が入るのは目立ちかねないが、この時間帯の人間は他人の事を一瞥もしないので問題は無い。
扉の先は幅広の階段になっており、その階段を昇った先には1本の線路と寂れた歩廊があるだけだった。
0番線。現世と地獄を繋ぐ特別な路線であり、無関係な人間の立ち入りは一切許可されていない。というよりも入れない。
『マモナク0番線ニ、冥府行キノ列車ガ参リマス』
「お、丁度じゃん」
水崎が呟き、彩芽も列車が来る方へ視線を向けた。
『クレグレモ、列車ニ襲ワレナイヨウニ注意シテクダサイ』
アナウンスが終わったと同時に、彩芽達の目の前に異形の汽車が止まった。
外観は妙に生物的で、本来ライトがあるべき場所には目玉のような何かが付いている。剥き出しのフレームは骨に見え、列車の扉は舌のようにうねっている。
地獄に住まう生物――妖を利用して造られた特別な列車が、あたかも餌を待つ獣の様に乗客が乗り込むのを待っていた。
彩芽達も迷う事無く列車に乗ると、1分もしないで汽車は雄叫びを上げて走り出した。
「毎度思うけど、この列車のデザインどうにかなんないかな」
「必要ないでしょ」
端的に言葉を返して、彩芽は窓越しに映る地獄の光景を眺めていた。
草木の様に燃え盛る炎、歪にうねる木々、人類の想像する地獄を体現した景色。
決して絶景とは言えない、むしろ恐怖すら感じる光景だが、慣れてしまえば特に何かを感じる事も無くなる。
「あらぁ、2人ともおはよぉ」
会話も無く視線もバラバラになって数分、どうやら同じ列車にいたらしい上司の浅葱留美子が現れた。
薄い青のシャツに白衣というラフな格好だが、少々それが過ぎるという問題があった。抑えきれない胸元が異様に伸びており、酒癖が悪く常に頬は紅く染まっている。その様子は同性からは怠慢、異性からは妖艶な印象という与えていた。
留美子は彩芽の隣に座ると、手に持ったスピリタスを掲げてラッパ飲みし始めた。彼女の様な人種は苦手なのか、彩芽は無言で壁によって距離を取った。
「ふたりともあさからはやいねぇ」
「そちらこそ、朝から随分と飲んでいますね」
彩芽で嫌味を言っても、アルコールにまみれた脳では皮肉だと理解する事も出来ないらしい。
「いやぁねぇ、だってのみはじめたらとまんなくてぇ」
段々とこの不安定な呂律にストレスを感じながら、なるべく会話をしたくない彩芽は視線を逸らして徹底的に閉口した。
彼女とは馬が合わないのか、軽く嫌味を言った後は無視するのがパターンになっていた。それでも半ばイカレている留美子は会話を継続しようとするので無意味なのだが。
煙草を吸いたい衝動をなんとか抑えながら、留美子のダル絡みをなんとかやり過ごそうとしていた。
(外が灼熱の大地でなければ今すぐ10本は吸いたい、それかコイツを外に放り出したい)
「ウザさもここまで来ると才能だね」
水崎は彩芽と留美子の会話を眺めながら、彩芽ほどでないにしろ呆れていた。
理性を狂わせてしまう酒、そんな物に何故依存するのか。彩芽には全く理解出来ないし、理解しようともしなかった。
そうこうしていると、生きた列車は段々とその速度を落としていった。
そして景色も、少しづつ人工物が増えていっていた。
あばら屋の様な家屋や現世には無い作物が植えられた畑に始まり、江戸や幕末の頃にあっただろう建物が規則正しく並ぶようになる。
建物こそ見慣れてはいるが、住民は絵に描いたような妖しかいない。
ここが地獄の1丁目、野庭腹町。彩芽達獄卒が籍を置く冥府の本部もこの町にある。
『ノバハラ、ノバハラ、オ出口ハ左ノ扉デス』
列車が完全に停まると、魑魅魍魎が跋扈する異界へと降り立った。
・・・2・・・
野庭腹、冥府総本部。
彩芽と水崎は制服に着替えると、一足先に事務室へ向かっていた留美子から思わぬ指令が飛んだ。
「そうそう、きょうからこの隊に新人がくるからぁ、あやめちゃん達には新人のおせわしてもらうわぁ」
少しアルコールが抜けたのか、車内よりはしっかりとした活舌で留美子は言った。
「新人、ですか?」
「そ、もうすぐ来ると思うんだけど・・・」
コン、コン
「噂をすれば、はいってちょうだぁい」
3人が扉の方を向くと、両扉の片方を開けて紅白の装束を着た少女が入室した。
見たところ年は水崎と同じだろうか、日光と縁遠いのか肌は白く、反対に髪色は夜空を落とし込んだ様な漆黒に染まっている。
「み、巫女酒夜空です。よ、よろしくお願いします」
「私は室長の留美子よぉ。で、こっちは君の先輩ね」
「神胎水崎、水崎でいいよ」
「私は神楽彩芽。まぁ、呼び方はなんでもいいよ」
互いに名乗り終えると、代表して留美子が場を取り仕切った。
「夜空ちゃんの席はそこね。あと、何かわからないことがあったら私達に聞いてぇ」
「あ、はい。ありがとうございます」
見知らぬ場所というのはやはり緊張してしまうのか、夜空は肩に力が入っている様子だった。
だが彩芽はそんな事を気にも留めす、自分のデスクに座ると机に並べた本から適当に選んで読み始めた。
「あ、あの・・・」
「あぁ大丈夫。彩芽は初対面と接するの苦手なだけだから」
「・・・」
じゃあ後は任せたわね、そう言って留美子は事務室を出た。
されど彩芽の神経は変わらず読書に傾いており、夜空と接しようとするのは現状水崎だけになっていた。
「へぇ、家が神社なんだね」
「はい、父が神主で母が巫女をやっていて。でも私が獄卒になりたいって言ってくれたら両親も応援してくれて」
「そっか、いい親御さんだね」
夜空の身の上話に始まり、年が近いのもあってか2人は会話が弾んでいる様だった。
仕事道具の荷解きが終わると、水崎は先輩らしく色々と夜空に教えていた。
「まず私達は、霊装っていう特殊な武器を使うでしょ?」
霊装とは、亡者や妖のみに効果を発揮する武具や道具の事を指す。
妖力という万物が持つ特殊なエネルギーを与える事で真価を発揮し、中には異能とも称される現象を起こす。
彩芽の霊装は2丁のリボルバー、水崎は鎖鎌を使う。これらの霊装は冥府に保管されている物から自由に選ぶ事になる。
「夜空ちゃんも早い内に選んでおこうよ」
「そうですね。早く先輩方の役に立てるように、頑張ります!」
水崎のおかげで緊張の糸も解れたのか、柔らかな笑顔と共に夜空は拳を握りしめた。
「彩芽も一緒に行こうよ」
「いい。消耗品の補充も昨日した」
「そうじゃなくて、セカンドオピニオンも必要じゃん? ね?」
「それなら聖子さんとかの方が参考に――」
「駅前のシュークリーム」
「・・・」
「2つ」
「・・・3つならいい」
「じゃあ行こうか」
見事に言いくるめられ、重い腰を上げた彩芽を含めた3人は事務室を後にした。
・・・3・・・
霊装管理室は、主に職人が製造した武具を保管し、適正者に割り振るのが仕事である。
壁には霊装の模造品が飾られ、その奥の部屋では金属を叩く音がたびたび聞こえてくる。
「おやおや、今日は新顔がいるのかい?」
管理室長の聖聖子は、外観通りの穏やかな口調で言った。
「はい、彼女の霊装を見に来ました」
「あ、えと、巫女酒夜空です。宜しくお願いします」
「ふふ、わたしはここを任されている聖子よ。それじゃあ、早速選びましょうか」
聖子はゆっくりと立ち上がると、他よりも重厚な扉を開けて場所を移した。
その部屋には選定用の霊装の模造品が並んでおり、射撃用の的や亡者に見立てた案山子など、試用するには申し分ない環境が整っていた。
「君は背が高いとは言えないし、体が出来上がるまでは軽い武器がいいと思うわ」
夜空達が室内を見渡す中で、聖子が選んだのは小太刀や反動の少ない近代型の拳銃といった、鍛錬を積んでいない者でも扱える物ばかりだった。
「そういや夜空ちゃん、身体検査とかした?」
「いえ、妖術の修行はした事ありますけど、そういった面は特に・・・」
その言葉を受けて、彩芽はそっと夜空の事を観察した。
確かに、彼女は新人とは思えない妖力量を誇っている。軽く見ただけでも彩芽や水崎と同等かそれ以上だ。
「・・・」
彩芽は観察し終えると、壁に並んだ中からある物を選んだ。
「それは・・・?」
「大太刀かい?」
彩芽が選んだのは、夜空と同じ程の全長を持つ刀だった。
夜空は恐る恐るそれを受け取ると、柄を掴んでゆっくりと刀身を引いた。
灯りの反射は真剣よりも鈍いが、その重量は本物とかなり近い。
つまり鋼の刀と同じ、推定2kgの重量を持っている。その上全長があり重心の安定も難しい。
「新顔ちゃんには扱い辛いと思うけどねぇ」
「ですが、これなら高い妖力を持つ彼女と相性が良いと思います。刀身に妖力を込めれば広い範囲を攻撃できますし、重量も身体強化の術を使えば問題ないでしょうし」
彩芽の意見を聞き、聖子も感心している様子だった。彼女は妖術や妖力に関しては知識が浅く、その点水崎の判断も一理あると言えるだろう。
「巫女酒さんはどう思う?」
「へぁ!?」
彩芽に声を掛けられるとは思わなかったのか、素っ頓狂な声を上げて肩を震わせたが、恐る恐る彩芽から模造刀を持った。
「結構軽いんですね」
「レプリカでも結構重いんだけどねぇ」
軽々と刀を振る姿を見ると、肉体面も申し分ないだろう。
「これがいいと、思います」
好感触だったのか、夜空は期待に満ちた表情で言った。
「でも流石にそのままは大きすぎるから、新しく造らせるわね」
「はい、お願いします。あと訓練用に同じ重さの模造刀も造って頂けると」
代理として聖子と話を進める彩芽の表情は、つい数分前の気怠そうな表情では無くなっていた。夜空の事を考え、自分が持つ知識を総動員して最適解を模索する先輩としての表情だった。
「彩芽、なんだかんだ面倒見いいよね」
「急に何?」
「別に~?」
水崎の行動が理解できずに首を傾げるも、すぐに意識は別の事へと向いた。
「聖子さん、この拳銃と同じ様な物を借りれますか?」
机の上の拳銃に軽く触れると、感触を吟味して問うた。
「これかい? この型はあまり威力は出せないけど、いいのかい?」
聖子はそう言いながらも、壁や棚からいくつか実用品の霊装を出した。
机に並ぶ旧式の回転式やピストル。彩芽もその中から適当に掴み、ひんやりとしたグリップを握りしめて構えた。
Ruger-57、携行のしやすさよりも威力を重視した5.7×28mmの弾丸を用いる米国製の半自動拳銃。
彼女が愛用するS&W-Classic Hunterよりも軽く、片手でも照準の安定性は高い。
両手で拳銃をホールドし、確実に命中させようと深呼吸して――
バァン
1発。放たれた妖力の弾丸は、適格に的の頭部を打ち抜いた。
「お見事」
「お、おぉ!」
「相変わらず良い腕ね」
三者三様の感想を受けると、今度はGlock-G19を選んだ。
グリップは持ちやすいように流線的で、コンパクトならが多い装弾数と取り回しのしやすさから各国で愛用されている。
「・・・」
ッパァン、ッパァン、ッパァン
今度は3発、連射して心臓部に当てた。
反動はこちらの方が軽く、銃身のブレも少ない。
しかし軽すぎる。構造上の問題なのか、通常より多く妖力を込めても軽く、ダメージを与えられる様な感覚は得られない。
「・・・足りない。これじゃあ、足りない。やっぱりあれが」
「彩芽」
思考に飲み込まれていた彩芽は、数Cmの距離まで近づいた水崎に気が付かなかった。
「・・・」
意識を取り戻した彩芽は、握っていた拳銃を手放すと瞼を撫でて溜息を零した。
「ちょっと、煙草吸いたい・・・」
「ん、そっか。私達は先に事務室行ってるから」
「分かった」
そう言って部屋を出る彩芽の手は、かすかに震えていた。
それが銃の反動によるものなのか、それとも別の何かに震えているのかは、彼女にも分からない。
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