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第150話 『仲間』

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怪盗イタッチ大作戦!!



著者:ピラフドリア



第150話
『仲間』




 一般の怪我人が使う病室とは違い、特別に設置された病棟。そこに怪我や病気の囚人が集められて治療をしていた。
 その中のB棟四階の004室。そこにサソリは入院していた。



 イタッチは包帯を取ると、赤いマントを背負う。そしてメンバーを確認した。



「侵入するのは俺とダッチ、そしてヒョウだな」



 侵入班のダッチとヒョウは頷くと、ダッチは首を左右に倒して骨を鳴らす。ヒョウは腰を回転させてストレッチした。



 出発の前にパンテールのアジトに残るアンが、三人の前に近づく。



「サソリは重要な秘密に握っています。警察からすれば逃したくない相手のはずです。警備の強力です」



 アンはダッチとイタッチの腕を掴む。



 COLORSとの戦闘に負けた時。アンは不安だったろう。敵か味方かも分からないパンテールに二人が回収された。
 喫茶店に現れたヒョウに案内されて、治療を受けた二人を見るまでどんな気持ちだったか。



 イタッチは膝を曲げて目線を低くする。そしてアンの頭を撫でた。



「心配かけたな」



 イタッチが撫でると、アンは自身が二人の腕を掴んでいたことに気づき、焦って手を離す。
 無意識の行動だったようだ。



 手を離したアンは小さな声で「すみません……」と呟く。
 そんなアンにダッチは背を向けたまま、



「もう負けねぇから、心配するな」



 そう言い残していち早く外へ出た。イタッチはそんなダッチを見て、やれやれと呟き立ち上がる。
 そして赤いマントを靡かせて、アンに背を向けた。



「ダッチが宣言したんじゃ俺もだ。俺ももう心配はかけない」







 アジトを出発した三人は、車を使い施設の近くまで辿り着いた。



「ここからは徒歩だ。車じゃ目立ちすぎる」



 車を捨てて、徒歩で侵入を行う。
 時刻は月が昇り切った頃。闇に紛れるためにヒョウは、全身真っ黒な服に身を包んでいた。
 そんな装備のヒョウは、イタッチとダッチの服装を見て、目を丸くする。



「本当にその服装で行く気なのか?」



 イタッチは赤いマントと首には黄色い鈴をつけている。ダッチは茶色いコートを羽織り、サングラスをかけていた。



「何か問題でもあるか?」



 イタッチは首を傾げると、ヒョウはイタッチに飛びかかる。そして両肩を掴むと勢いよく振った。



「正気か、お前達!? 貴様はなぜ、赤で目立つ服装をしている。そしてそこのお前は夜なのになんでサングラスなのだ!? 今の時間だと何も見えなくなるだろ!?」



 ヒョウはイタッチ達の服装が気になり、問い詰める。
 イタッチはヒョウの腕を払うと、



「派手な方が怪盗らしいだろ!!」



「どういう怪盗のイメージだ!!」



 イタッチの返答でもう手遅れだと思ったのか。今度はダッチの方に返答を求める。
 ヒョウの視線を感じ、少し照れ臭いのかダッチは鼻の先を掻くと、



「この方がカッコいいだろ……」



「お前ら二人揃って今の仕事やめろ!!」







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