霊能力者のレイちゃんは、ダメ、無能、役に立たない?

ピラフドリア

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第8話 『vs大怪盗』

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霊能力者のレイちゃんは、ダメ、無能、役に立たない?



著者:ピラフドリア



第8話
『vs大怪盗』




 世界を股にかける怪盗オリガミ。自称世界一の大泥棒であり、幾多のお宝を手に入れてきた。



 今日狙うのは東京国際美術館で保管されている、ホワイトジュエルを手に入れるため、日本にやってきている。










 この前の除霊から数日。ぐっすりと眠ったリエは起きると普段通りに戻り、元気になっていた。



「レイさん、レイさん、見てください!!」



 リエがテーブルの上に何かを並べて私を呼ぶ。ソファーで寝っ転がって漫画を見ていた私は、座ってリエが作っていたものを見る。



「なに?」



「どうですか! なかなかな出来じゃないですか!!」



 そこにはトランプが積み上げられ、ピラミッドではなく、逆ピラミッドが作られていた。



「なにこれ、どうやって作ったの……」



「私結構器用なんですよ!」



 リエは自慢げに言う。



 確かに凄い。一体どんなバランスで保たれているのか、疑問になる。
 だが、



「あなた、漫画はどうしたのよ」



 リエがこの世に残っているのは、漫画を描きたいという気持ちがあるためだ。
 だが、リエが私に取り憑いてから、漫画を描いているところを一度も見たことない。



「まだ良い内容が思いつかないんですよ」



 リエはそう言ってトランプを倒さないように立ち上がる。



「タカヒロさん、ミーちゃん、見てください!!」



 そして窓際で寝ている黒猫を呼びに行った。



 喉の渇いてきた私はコップを持ち上げるが、空になっているのを気づく。
 漫画を閉じてテーブルの上に置き、コップにお茶を注ぎに行こうと立ち上がる。



「……あ」



 そんな私の目線に倒れて崩れたトランプの塊があった。



「…………」



 私は何も見なかったフリをして、平然と台所に行って冷蔵庫を開けて麦茶をコップに注ぐ。



 お茶を淹れながら、リエ達の会話を聞くと黒猫がめんどくさがって、来るのにはまだ時間がかかりそうだ。



 コップから溢れるほどお茶を淹れ、溢しながらも戻ってきた私はソファーに座り、トランプと向き合う。



 そして静かにトランプを元の形に戻そうとする。



 しかし、逆ピラミッドなんて作れるはずもなく。すぐに崩れてしまう。



 一旦落ち着くため、私は手を震わせながらお茶を飲む。
 だが、震えているためうまく飲むことができず、お茶が鼻から入る。



「ブハァ!? ゴホゴホ……」



 鼻にお茶の入った私は咽せる。そんな私を心配してリエが振り向いた。



「大丈夫ですか?」



 私は咄嗟にテーブルを包むように覆い被さる。



「だ、大丈夫。お茶を鼻で飲んじゃっただけだから……」



「何やってるんですか……。あ、その逆ピラミッド、作るのに三日かかったので壊さないでくださいよ」



 どれだけ時間かけてるのよ!!



「そ、そうなの~、凄すぎてこうやって間近で見させてもらってますよー」



 リエは怪しむ目をしているが、再び黒猫に呼びかけ始める。
 私は今がチャンスだと、もう一度トランプを元に戻そうとする。



 しかし、出来上がったのは……。



「なんか、違う気がする……」



 そこに出来ていたのは、顎の長い女性の顔だった。



 私は頭を抱える。



 ──誰だよ──



 逆ピラミッドを作ろうとしたら、なぜか人間の顔が出来上がっていた。



 どうしてこうなった。なぜこうなった。私が混乱している中、リエが戻ってきた。



「レイ……さん…………」



 リエは変身した逆ピラミッドを見て衝撃的な表情をする。
 そして震える口を開いた。



「……だれ?」



 それはそうなるはずだ。私も同じ立場なら、その反応になる。



 私はリエから目を逸らして、人差し指で頬を掻いた。そして



「アンドレア・アゴリン」



「え……?」



「アンドレア・アゴリンよ!!」



「誰ですか!? それは!?」



 咄嗟に考えた変な名前を出した。



「アンゴルス・アトリエって誰ですか!!」



「アンドレア・アゴリンよ!! あれよ、こう、顎の長いキャバ嬢よ!! アンドレア・ヒゲシゲの娘の」



「アゴリンの話はどうでも良いんですよ!!」



 リエは私を睨んで机を叩く。すると、トランプで作られたアゴリンは、無慈悲にも崩れ去る。



「私の作った逆ピラミッドはどうしたんですか!!」



「逆ピラミッドはアゴリンに進化したのよ!!」



「進化ってなんですか!? 逆ピラミッドがどうやったら、アゴリンに進化できるんですか!!」



「進化するのよ! レベル20でアゴリンに、さらにカミナリの赤石でアゴキャノンに進化するのよ!!」



「アゴキャノンってなんですか!! なんでアゴリン武装してるんですか!!」



「危ない男から身を守るためよ!!」



 私とリエが言い合いをしている中、ため息を吐きながら黒猫が窓際の段差から降りた。



「うるせーな、顎だかキャノンだか知らないが、静かにしてろよ。ミーちゃんが可哀想だろ」



 足音を立てずに段差を降りた黒猫は、文句を言いながらソファーの方に近づいてくる。
 そしてソファーの上にジャンプして乗ったとき、そこにテレビのリモコンがあり、テレビの電源が入った。



「あ、押しちゃった……」



 テレビがつくと、ニュース番組が放送されており、赤い紙に書かれた予告状が画面上に映し出された。



『こちらが怪盗オリガミの出した予告状になります』



 テレビの音声が耳に入った私は、文句を言っているリエを無視して、テレビの方を向いた。



『今夜十九時、東京国際美術館に保管されているホワイトジュエルを盗む。怪盗オリガミ』



 ニュースキャスターが予告状の内容を読み上げ、テレビには空を飛んで警察から逃げる仮面の男の写真が出される。



「オリガミ様~」



 私はそんな怪盗の姿を見てウットリする。



 話を聞かない私に、諦めたリエもテレビを見る。



「あ、話題の怪盗さんですか」



「話題の怪盗?」



 リエの独り言に黒猫が反応する。



「世界各地でお宝を盗んでいる泥棒です。目元を隠した仮面が特徴的で、外した姿はイケメンだって若い人から人気なんですよ。……タカヒロさん、知らないんですか?」



「いや~、俺、猫番組以外テレビ見なかったから」



「たまにポイ捨てされる新聞でしか、情報を得られてなかった私より、情報で劣るってどういうことですか……」



 リエは呆れながらも黒猫と共に私のことを見る。



「この人も怪盗のファンみたいですね」



「そうだな……」



 二人がそんな会話をする中、私は画面に映っている怪盗を凝視していた。



「へぇ~、この辺に来るんだ~、どうしようかな、会いに行こうかな」



 私がそうやってウキウキしていると、



「それは許さんぞ!!」



 後ろから声が聞こえる。私達が振り向くと、そこには



「お、お兄様!?」



 お兄様が仁王立ちで立っていた。
 私は立ち上がり、お兄様の方に身体を向ける。



「どうしてお兄様がここに……」



「ここは俺が管理してるビルだ。合鍵はいつでも来れるように普段から持ち歩いてる!!」



 お兄様はそう言った後、テレビの画面を見た。



「しかし、だ……。なんだ、この男は、こんな貧弱そうな怪盗、俺は許さないぞ!!」



 お兄様はテレビの画面の男を睨む。そんなお兄様も見て、リエと黒猫は呆れた表情をしていた。



「お、お兄様には関係ないでしょ!!」



 私がそう答えてそっぽを向く。



 私は怪盗オリガミのファンだ。例えお兄様であっても、オリガミ様を馬鹿にされたら…………。



 私がそんなことを考えている中、私がそっぽを向いたことでショックを受けたお兄様は、玄関の外で待っている後輩を呼びつけた。



「おい、赤崎!! 赤崎!!」



「は、はい、先輩……」



 お兄様に呼ばれた赤髪の後輩は、ビビりながら急いで事務所の中に入る。



「あの怪盗オリガミ。あいつを捕まえるぞ」



「え……でも、オリガミは俺達の管轄じゃ……」



「捕まえるぞ!!」



「は、はい!!」



 お兄様は勢いで押し切ると、



「怪盗オリガミを捕まえて。目を覚まさせてやるからな!!」



 と私に言い残して事務所を出て行った。




「あの~、行っちゃいましたけど……」



 キョトンとしているリエが私に話しかける。



 私は壁に引っ掛けてあるバックを肩にかけると、



「私が怪盗オリガミを捕まえる!!」



「えええぇぇぇぇ!?」



 私はそう宣言した。



 お兄様はFBIの調査官。もしも怪盗オリガミを捕まえることができれば、お兄様に褒めてもらえるかもしれない。



 私はオリガミのファンだ。だけど、ファンのためになら犠牲になってくれるよね?



「タカヒロさん、楓ちゃんが来たら今日は休みって伝えといて」



「え、俺、留守番?」



「よし、リエ行くよ!!」



 私はリエを連れて事務所を出発した。









 東京国際美術館。すでにそこには多くの野次馬と警官達が集まっていた。



 私は腕時計を見る。



「時間は十八時半、後三十分ね……」



「本当にやる気なんですか……」



 やる気満々な私とは正反対で、リエは心配そうに私を見つめる。



 リエは野次馬には見えないように、半透明になっており、取り憑かれている私だけが姿を見れる状態だ。



 野次馬の中を通り抜け、美術館の前に行くとそこには太った警官が指揮を持っていた。
 そんな警官の元に猫目の警官が駆け寄ってくる。



「福田警部。FBIの方が調査に加えろと……」



「FBI……? ICPOじゃなくてか?」



「FBIです」



「……なんで? …………丁重にお断りしろ」



 福田警部は部下にそう指示するが、パトカーで待機していた別の警官が福田警部の元に駆け寄る。



「本部からの連絡です。……現地に来ているFBIの方を協力させろとの命令です」



「はぁ? なんで!?」



「分かりません。でも、事情を聞いても何も教えてもらえず……圧力をかけられているようで…………」



「どうなってんだ……」



 福田警部は頭を抱える。そんな福田警部の元に白髪の男性と赤髪の青年がやってきた。



「福田警部。今回はよろしくお願いします」



 お兄様は福田警部に礼をする。不機嫌だった福田警部だが、お兄様の登場で諦めたのか、帽子を取って礼をした。



「こちらこそ……協力ありがとうございます……」



 だが、声は低くお兄様を警戒していることは変わらない。



 私は野次馬の中から飛び出すと、お兄様の元へと駆け寄る。



「ちょっと、お嬢ちゃん!?」



 警官が止めにはいるが、私は警官をスラスラと躱した。
 そしてお兄様の前に立つ。



「お兄様、私もオリガミを捕まえます!!」



「なんだと……。お前がオリガミを捕まえる!?」



 お兄様は眉間に指を当てて考える。




 なぜ、寒霧がオリガミを捕まえようとするのか……。
 警官でない寒霧がオリガミを捕まえる必要はない。ここは日本の警察の仕事だ。
 だが、寒霧は自分で捕まえると言った……。



 しばらく考えていたお兄様は一つの答えに辿り着いた。





 ──まさか、オリガミを捕まえて我が物にする気なのか!? ──





 お兄様がショックで立ち尽くしている中、私は警官に追い返されそうになっていた。



「早く戻ってください。ここは関係者以外立ち入り禁止です」



「私も関係者です。そこのFBIの妹です」



「妹でもダメなの!!」



 私が必死の抵抗をしていると、美術館のライトが突然消えた。



 そして近くにいた警官が叫ぶ。



「奴です! 怪盗オリガミが現れました!!」



 美術館の二階にある窓がライトによって照らされる。そして男の姿を露わにした。



 赤いマントを纏い、目元を隠したマスク。黒髪のショートの男。



 私は警官を振り払うと、美術館に向かって走り出した。



「待ってなさい! 怪盗オリガミ!! 私が捕まえてみせるから!!」



「ちょっと、お嬢さん!!」



 リエも私のすぐ後ろを追いかけてきていた。



「レイさん、こんなことして大丈夫なんですか!?」



「大丈夫!! お兄様がどうにかしてくれるから!!」



「人任せ!?」



 私が走り出したのを見て、お兄様も私を追うように美術館に向けて走り出した。



「待て、オリガミを捕まえるのは俺だ!!」



「せ、先輩!?」



 お兄様の後を赤髪の青年も追う。福田警部は走り出すお兄様に向けて叫ぶ。



「捜査官の方とその妹さん!? ……あなた方には負けられません!! オリガミを捕まえるのは俺だ!!」



 そして警部まで美術館に走り出した。



「け、警部まで!?」



 猫目の刑事が警部を止めようとするが、警部に外の警備の指揮を任され、美術館に五人がオリガミを追って突入した。








 美術館の三階。そこの展示室にホワイトジュエルが展示されていた。



 オリガミがホワイトジュエルに手を伸ばした時。



「そこまでだ!!」



 展示室に響き渡る声。オリガミはその声の方へと目線を向ける。



「……また来たか。福田警部………………って、なんかいっぱいいる!?」



 そこには福田警部の他に三人の男女がいた。



「……きょ、今日はなかなか個性的なメンバーだな。……福田警部」



 福田警部はニヤリと笑う。



「今回の助っ人は強力だぞ。ここに来る前に自己紹介をして、特技を教えてもらった……」



 福田警部は自慢げに言うと、まずお兄様に注目する。



「FBIのイケメン調査官、霊宮寺 火瑠路須(れいぐうじ かるろす)さんだ!!」



 お兄様は照れながら前に出る。



「イケメンだなんて……」



 次に福田警部は私を紹介する。



「この美しい女性は霊宮寺 寒霧(れいぐうじ さむ)さん。火瑠路須さんの妹だ」



 私はお兄様同様に前に出て、お兄様と同じ仕草をして照れた。



 そんな私達三人を赤髪の青年とリエは呆れた目線を向けていた。



 ──いつの間に仲良くなってるんだ……それに目の前に犯人いるのにこの紹介いるか?──



 福田警部が赤髪の青年を紹介しようとした時、赤髪の青年がそれを止めた。



「これ以上、無駄な時間を使うのは嫌いです。僕がやります」



 青年は右手を前に突き出すと、青年の右手からバチバチと電気が漏れ出す。



「な、なにこれ!?」



 私達が驚く中、お兄様は冷静に懐にしまってある拳銃を強く握りしめて、動かないようにした。



「無茶すんな!」



 お兄様が叫ぶが、青年は止める様子はない。



 部屋中の家具が動き出す。そして青年の前方に金属製の小さな家具や部品が集結した。



「……変わった力だな」



 オリガミはそんな様子を冷静に見ている。



「余裕ブってられるのも今のうちだ」



 青年はオリガミに向けて集めた金属の塊を飛ばした。そのスピードは50キロほど出ており、室内で狭いということもありあっという間にオリガミの目の前に来ていた。



 しかし、そんな金属の塊が飛んできているというのに、オリガミはニヤリと笑い腕を組んだ。



 どんなに鍛えた肉体でも車の衝突には敵うはずがない。それはオリガミも同様だ。こんな金属の塊がぶつかれば、タダで済むわけがない。



「オリガミ様!?」



 私が叫んだ時、天井からオリガミの目の前に人が降りてくる。オリガミと金属の塊の間に現れた男は、腰に下げた刀を抜くと、一振りでその塊を真っ二つに切断した。



「嘘だろ……」



 青年は自分の放った攻撃が切断されて防がれたことに驚く。
 刀で切断した男は、刀を腰にある鞘にしまった。



「っち、何してんだよ。俺が来なけりゃやられてたぞ、オリガミ……」



 スキンヘッドにサングラスをかけた大柄の男。腰には立派な刀を下げている。



「お前が来てくれるって信じてたからな」



「てめーって奴は……」



 オリガミがそう答えると、その男ははにかむ。



 そんな男の登場に福田警部が解説をしてくれた。



「奴はダッチ。元はアジアンマフィアのボスだったが、どういうわけか、オリガミの仲間になってる……」



 福田警部が解説を終えると、今度は展示室だけの消灯が消えた。
 辺りが真っ暗になり、何も見えなくなる。



「私も忘れるなってか……。オリガミにはもう一人仲間がいる。我々もまだ実態は掴めていないが、ネットワークを駆使してオリガミ達をアシストしている」



 暗がりの中、展示室の奥から物音が聞こえ出す。そして



「ホワイトジュエルはこのオリガミが頂いた!!」



 暗闇の奥からオリガミの叫び声が響く。



 このままではオリガミに逃げられてしまう。



「リエ!!」



「はい!!」



 私は暗闇の中、リエを呼ぶ。私は何も見えていない、だが、目の前にリエがいるのをなんとなく理解していた。
 私はリエにバックの中から細長いのもを取り出して、その先端を渡す。



「これは……そういうことね」



 リエはそう言い、どこかへと走っていく。



 私はリエに渡したものの反対側を持ち、タイミングを見計らってそれを引っ張った。



 すると、その長いものに重たい何かが引っかかっており、それが引っ張られる。




 私が引っ張ると同時に消灯がつく。どうやら時間稼ぎのためだけに電気を消していたらしい。



 灯が灯り目が慣れてきた時。私が引っ張っているロープの先は、オリガミの足に巻き付いていた。



「逃さないよ!!」



 オリガミは足に巻き付いたロープにより、電気が消えている間に脱出することができなかったようだ。



「でかした妹さん!!」



 後ろで福田警部が私に称賛を送る。



「オリガミ、何をしてる!!」



 窓を開けて脱出の準備をしていたダッチがオリガミに向けて叫ぶ。



「ロープが勝手に動いて絡まってきたんだ!!」



 オリガミがロープに苦戦している横で、リエがピースをしている。
 オリガミにはリエの姿が見えていないため、暗視ゴーグルをつけていたとしても勝手にロープが絡まってきたようにしか見えていない。



 オリガミはマントの中から折り紙を取り出すと、それを折って剣を作る。



 それを見た私は



「あれは、オリガミの折り紙!!」



「混乱するんですけど……」



 オリガミの使う怪盗道具の一つ。不思議な折り紙で、折ったものが折られたものの効果を持つ。
 風船を作れば本物の風船になり、爆弾を作れば爆発する。



 オリガミは折り紙で作った剣でロープを切断した。



「逃げられる!!」



 ロープを切ったことで自由になったオリガミは、ダッチの元に行こうとするが、



「行かせるか!!」



 オリガミの進行方向にお兄様が全力で走っていき、ギリギリでスライディングをして立ち塞がる。



「お前を捕まえるのは俺だ!!」



 オリガミの後方に私が立ち塞がる。



「いや、私が捕まえる!!」



「なんで張り合ってんだ!?」



 私とお兄様に挟まれたオリガミ。オリガミはどうやってこの包囲から抜け出そうか、考えていると、お兄様がオリガミを睨みつける。



「妹は絶対に渡さん!!」



「なんで!?」



 オリガミは動揺しながらも折り紙を取り出すと、それを折って鎖鎌を作る。



 私とお兄様はオリガミに向かって飛びかかるが、オリガミは鎖鎌を天井に投げると、それを伝って上へと登り私達から逃げた。



 そしてお兄様の頭上を飛び上がり、ダッチの元へと辿り着く。



「なんだか癖の強い奴らだったが……。お宝は頂いた……。“お宝“は、な!!」



 オリガミはその部分を強調すると、ダッチと共に窓から飛び降りていった。



「待てーー!!」



 福田警部がオリガミを追って窓へと向かうが、オリガミは折り紙で作ったグライダーで空を飛び、ダッチと共に空を飛んで逃げていた。



「まだだ。まだ諦めんぞ」



 福田警部は無線を取り出して、「ヘリだ。ヘリを呼べ」と叫びながら展示室を出て行く。



 展示室に私とお兄様、そしてリエと青年が取り残されていた。



 オリガミに逃げられた私達だが、追いかけずにその場で固まっていた。



「レイさん?」



「先輩?」



 その場で固まっている私とお兄様を心配して、リエと青年が近づいてくる。



「お兄様……離れてくださいよ」



「お前から離れろよ……」



 私とお兄様はオリガミに避けられ、反対側にいた二人は正面からぶつかったのだが。
 抱きついたような状態から、動けずにそのままでいた。














 事務所のテレビに美術館の様子が映し出される。



「師匠~、この野次馬の中にレイさん達、いるかな?」



「あー、どっかにいんじゃねーの」



「あ、師匠、オヤツ入りますか? チュール」



「それはミーちゃんに聞け」








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